Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
.hack//G.U. TRILOGYより抜粋
オルガマリーは殺意を持ってサモライザーの引き金を引いた。
引き撃ちも空から宝具ブッパもしてこないなら都合が良い。
ガウェインは己が霊基に絶対性の自身を持っているようだが。
そんな物戦場ではただの飾りでしかない。
暴論であるが筋肉の鎧も神秘付与した戦車砲は防げない。
それと同じで筋肉の鎧さえ突破できるならガウェインは古臭い騎士でしかない。
最もガラディーンはそれでもなおの事脅威なのでオルガマリーが今回防御担当で、
ガウェインに対し攻勢を仕掛けるのは、
「シッ!!」
「ッ!?」
柳生宗矩と、
「ッッ!!」
「ムーンセルぶりだな、だが今はカルデアの元で喰わせてもらっている身だ。容赦せん」
李書文である。
柳生宗矩の剣は変幻自在かつ兜割りを連発できる。
因果破断が可能な兜割りはさしもの初代でさえ捌いて受けるほどだ。
真っ向から馬鹿正直に受け止めると剣ごと真っ二つであるがゆえに。
そして書文は八極拳の極みの一つであり浸透勁にも通じている。
如何に強固な筋肉のガウェインの肉体だろうと内臓を破壊できるのだ。
正しく相性最悪の相手だった。
だが宗矩に変幻自在の剣筋に気を取られれば園境で姿を消した書文に取られる。
ならオルガマリーを直接狙いで多少の負傷込みでガラディーンを解放するかと言われればそれも出来ない。
オルガマリーとマシュは捕えろと命令されているがゆえにだ。
だったらちゃっちゃとオルガマリー掻っ攫えれば良いかと言われればそれもまた無理筋である。
生まれる時代を間違えたアマネに卒業証書のナイフを貰い、エミヤから二刀流の教えを受けて極めた彼女であればガウェイン相手でも十分に防衛可能。
さらに言えばペルソナを使えば有利を取れるし筋肉の鎧もシュレディンガーの空間とテクスチャを抉るヴォイドザッパーを前にすれば紙切れ当然なのだ。
事前知識、対策、それに比例する技術と能力さえあればガウェインは決して怖い相手ではない。
現に達哉であればノヴァサイザーからの兜割りで終了だ。
であればマシュ及び達哉やカルデアのサーヴァントを統率する
真のカルデアの女王たるオルガマリーをガウェインが止めるすべはない。
そしてマシュの方に行ってもクー・フーリンとマシュ自身を止める術が無いため、
ガウェインはどうしようもなく詰んでいた。
故に捨て駒、この状況に移行して以降、そうするとアルトリアは決めていた。
だってそうだろう? 王を聖剣ブッパするだけの楽な仕事だと言い切った奴には相応しい末路だし。
元より使い捨てるこの馬鹿娘に人理無視して再度忠誠を誓う馬鹿者共だ。
捨て駒にするしかあるいまいてという奴である。
そうガウェインはカルデアのマスター三人の内誰を相手どっても詰んでいる。
「いい加減、粘るな!!」
「どっちが!!」
ガウェインの一太刀も宗矩の前では風車。
オマケに隙を突いて奇襲仕掛けてくる書文に隙を作り出さんとするオルガマリー。
ただでさえ宗矩は手に余る相手なのに、
宗矩含むカルデア側の三人に袋叩きにされては厳しいも厳しい。
徐々に追い込まれていくという状況になる。
質と量が拮抗状態の場合、どうしても質は数に負けるが故だ。
詰める、詰める、詰める、詰める、詰める、詰める、詰める、詰める。
こうして逃げ場をなくしていく。
「ッこの剣は太陽の映し身。もう一振りの星の聖剣! あらゆる不浄を清める焔の陽炎!」
であるなら宝具での形勢逆転を狙う。
それはオルガマリーも読んでいた。
「
「皆、私の後ろに、シュレディンガー!! ヴォイドザッパー!!」
放射状に広がる疑似太陽フレア。
しかしその放射型と言うのに弱点はある。
放射型故に威力が拡散するのだ。すなわちオルガマリーのシュレディンガーのヴォイドザッパーで一部を切り開くことが可能なのである。
放射された熱戦はヴォイドザッパーの前に引き裂かれ、オルガマリー、宗矩、書文を傷つける事能わずという奴だった。
であれば、
転輪する勝利の剣・過重極光を使うかという話になるが、
此方はエクスカリバーと同規模程度、回避されるかニヒト・イドを一瞬だけ切られてカウンター受けてハイ終了と言うやつである。
それに此処はガウェインにとっても本拠地。オジマンディアスとの鬩ぎ合いをしている上にこれ以上の破損は計画に支障をきたす。
それに第一オルガマリーも生け捕り対象なのだからエクスカリバー並みの破壊力は厳禁なのだ。
追い詰めた筈が逆に王手を掛けられた形である。
だがまだ詰みではない。
天秤は揺れ動いているのだ。
故に状況は拮抗している。腐っても円卓トップ、あのランスロットと互角にやり合える騎士である。
技術では圧倒できるがフィジカルが違い過ぎるのだ。
だからこそ致命打をギリギリで避けられ押し切られそうな場面もあった。
本当にやっていられないとオルガマリーは内心舌打ちする。
リペアラーの銃弾ではガウェインの筋肉を貫けなかったからだ。
ペルソナスキルもぶち当てているが猫騙し程度にしかならない。
当てにできるのはせいぜいがヴォイドザッパーと宗矩と書文だけだ。
織曰く礼装越しで視ているが死線が見えぬらしい。
ここで織の直死は無意味でフィジカルで狩られかねないため彼は待機だった。
さらに言えば現地サーヴァントの援軍も見込めない。向こうには天使共や粛清騎士たちが殺到しており天手古舞である。
増援は見込めない。
だったら此処は強行突破するしかないのだが、
現状の戦力でフィジカルお化けであるガウェインとつり合いが取れているのでオルガマリーもこの場を離れるわけには行かず。
倒して押し通るしかなかった。
だからこそ発生するのは極地の応酬。
オルガマリーが足止めを務め、宗矩と書文が魔技を持って仕留めに掛かるのをガウェインはフィジカルと直感で捌き回避し続けていた。
だが焦れてはいけない。下手すりゃ引っ繰り返される状況は今でも続いているのだから。
かと言って、
「見えてきましたよ、アナタの技!!」
「ッ!?」
ガウェインが徐々に対応し出して来た。
才能の暴力というのはこれだから恐ろしいとオルガマリーは舌打ちする。
降ろしているペルソナをシュレディンガーに固定し、
オルガマリーも本格的に攻撃に回った。
「アナタの攻撃は効きません!!」
「それはどうかしらねぇ!!」
「ッ!?」
リペアラーを後ろ腰のホルスターに収め振り下ろされる剣を半身で躱し、スライディングするようにガウェインの右足に組み付きそのまま持ち上げガウェインをうつ伏せに組み伏せる。
「しまッッ」
「まず一本!!」
基本関節技は筋肉とかを無視する故にヴォイドザッパーで来るかと思っていたガウェインの隙を突くことができた。
そのまま右足を捩じり上げ関節を破壊、右足を使えなくするが。
「うぉぉぉおおおおおおお!!」
ガウェイン、痛みを無視しつつ咆哮。
破損した右足関節を強引に筋肉で動かしオルガマリーを吹き飛ばしつつ、
立ち上がって見せる。
吹っ飛ばされてもシュレディンガーに自身を受け取らせ壁に衝突コースからの骨や背中の筋肉破損は回避。
だがこれも織り込み済みだ。
今ので致命傷的隙が生じたのである。
ガウェインが痛みに一瞬目を閉じ、右足を破壊されたことによって生じた隙を、
あの二人が逃すはずないのだ。
故にガウェインが見たのは、己の心臓を貫く宗矩の姿と、
背後から同時に浸透勁を叩き込んだ書文の姿だった。
「柳生新陰流奥義 鎧通し」
「无二打」
完全に決まった。裏表から霊核を完全に破壊する一撃である。
如何にガウェインであれ致命傷だ。もう動く事も出来はしまい。
宗矩は刀を抜いて一歩下がり残心、書文も同様だった。
膝を着くガウェインを見て、オルガマリーが溜息を吐いた。
「倒したの?」
「さて、まだ油断は成りませぬ」
「左様、連中は天使と融合しておりますからなぁ」
ガウェインも血反吐を吐いて膝を着く、だが剣を杖に立ち上がろうとしていた。
「まだ・・・まだぁ『もう要らんぞ。ガウェイン卿』我が王!?」
ガウェインの脳裏に響くのは何処までも冷たいアルトリアの言葉。
『本当に使えない、消耗くらいはさせるか戦力を一人くらいは道連れにできると思っていたのだがな・・・ああ貴様は月の裏でこういっていったらしいな影から聞いている。私の仕事は聖剣をぶっ放すだけの簡単な仕事とか言っていたな。ついでにこれはこれそれはそれと他者を王として仰いでいたみたいではないか。役に立たん上に私が不要なら私もお前が不要だ、故に――――――――』
ガウェインは月でのやらかしをニャルラトホテプに見せられているのである。
故に申し開きようがない。
『最後は私の役に立たせてやろうではないか、接続我が主、我をバイパスにガウェインへの命令を乞う』
「ぐぁ!?」
その瞬間圧倒的神気がガウェインの身体から漏れ出す。
展開させる魔法陣と共にガウェインの身体が砕け散っていく。
そうガウェインと融合しているのはメタトロンである。
そしてアルトリアは自分をバイパスにして聖四文字からの命令を直接ガウェインに流れ込ませた。
『■■■■から神の戦車へ、状況を確認、指示を送る、メタトロンへ、ビーストを排除せよ』
そしてそれは通った。
霊基の比重がガウェインからメタトロンへと寄り再編成されていく。
其処に出現したのはガウェインを機械人形化させた様な存在だった。
背中からは巨大な翼が生えている。
「メタトロン・ガウェイン、命令を受諾、及び顕現完了、主の命に応じ、対象、ビーストⅦ/Fオルガマリー・アニムスフィアを排除する」
契約の天使、天の書記、神の代理人、小YHWHの異名と数々の名を持つ聖四文字の代理人が真実に降臨した。
吹き荒れる神気は大概のものを浄化する。
「やるしかないみたいね・・・CALL 織」
「出番って訳でもなさそうだな・・・」
「私の代わりに宗矩と書文連れて突入して。マシュと合流して代わりにアルトリアをぶん殴って来て。私はこいつを終わらせる」
「・・・わかった無理はすんなよ」
そう言って織は宗矩と書文を引き連れてキャメロット・ブライト・エハングウェンの内部に突入していった。
「さて――――来て・・・来なさい!! 私はここにいる!!」
オルガマリーの心臓部から漆黒の杭が飛び出し全身に光の文様が張られ。
具現化するのは。
「シュレディンガー・ニヒト・イドォォォォォオオオオオオオオ!!」
その姿は大鎌を持った死の女神そのものであり同時に終焉の理を持つ獣。
その威容はメタトロン・ガウェインにも負けてはいない。
ただし前の冬木の一件から連戦でこっちに来たため残り時間のリセットがされておらず。
現状残り時間5分45秒しか展開できない切り札である。
獣の女神と大天使が相対し、
イドタイマーがスタート。
五分弱で殺し切れるかという不安を振り切りオルガマリーが疾駆する。
「つぁぁぁあああああああああああああ!!」
「排除します」
激突するのは器官として融合したガラディーンと大鎌。
無論ヴォイドザッパーが乗っている。
普通なら容易く切断できるが霊基密度が違い過ぎる。現に連撃を加えてもびくりともしない。
これは出力差の問題である、メタトロン・ガウェインはアルトリアを経由し聖四文字から直接供給を受けているのだから。
出力差は拮抗していると言っても過言ではない。
だが攻撃力はシュレディンガー・ニヒト・イドの方が上だ。
しかし霊基の密度が攻撃力と拮抗しているが故に撃ちあえる。
それだけメタトロンという大看板は強固だ。
そして何十重にも打ち合いが発生し両者共にはじけ飛ぶ。間合いが開いた。
「そこを退きなさい! メタトロン!! 時間が無いのよ!!」
「主に当方による、撤退権限は認められていない」
「あっそう、じゃあ・・・」
その瞬間、メタトロン・ガウェインの背後に大鎌振りかぶったシュレディンガー・ニヒト・イドが出現する。
ヴォイドフォールによる空間転移だ。
多少の攻撃では絶えられるがゆえに直接攻撃をオルガマリーは選んだのである。
「アンタの心を引き裂いて無理やりにでも退かす!!」
ヴォイドフォールによるワームホールの生成。
それによる多角からの連続不意打ち、メタトロン・ガウェインは成すすべもなく切り刻まれていくが。
彼女の癖を見抜いたのか、ガラディーンで攻撃を止められ切断できず鍔攻め理合いの形に持ち込まれた。
退くも出来ない、下手に退けばガラディーンの一閃がオルガマリーを襲う。
継続戦闘能力という点と霊基密度ではどうしても如何にアンビーストと言えど疑似神格の域を出ない。
攻撃力で勝っているのが唯一の救いなのだ。
故にここは押す。ゴリ押す。
火花が散り、空間が裂ける、それだけの鬩ぎ合いだ。
メタトロン・ガウェインも退けはしない。
そしてついに臨界が来る。
ぴしりと音を立てて、ガラディーンに亀裂が入ったのだ。
「うぐぁ、つぁ・・・」
「――――」
このまま行けばオルガマリーが押し切れる。
だがしかし。
ガウェインの蓄積した戦闘経験はメタトロンも使える。
唸るように剣をひねり攻撃を逸らす。
そして盛大にからぶった形になりオルガマリーが隙をさらしてしまう。
「なっ」
オルガマリーの驚愕を他所に。メタトロン・ガウェインはガラディーンに内蔵されている疑似太陽を解放。
地表に小型の太陽が生まれ、
隙を晒したシュレディンガー・ニヒト・イドを片腕で体格差による鷲掴みにして、
飛翔、再降下。
ガラディーンから完全開放された疑似太陽に押し付けるように叩きつける。
凄まじい爆発がオルガマリーを襲った。
シュレディンガー・ニヒト・イドは大破状態。
オルガマリーも意識を手放しかけていた。
「対象の滅殺が現状不可能、我が主へ、シナイの神火の発動を要請」
『■■■■承認、全力で対象を浄化せよ』
「メタトロン・ガウェイン、命令を受諾、対象を完全浄化します」
(くそぉ・・・・動けない・・・)
全身に激痛が襲いオルガマリーは動けなかった。
疑似太陽に叩きつけられたのだ本来ならニヒト・イド事焼き尽くされてもおかしくはなかったが、
炎耐性を持っているため本当にギリギリの所で耐えることが出来た。
だが動けない。
メタトロン・ガウェインは両手を突き出し魔法陣を展開。
神の一撃であるシナイの神火を発動しようとしていた。
無論、これが直撃すればオルガマリーは消し飛ぶが、アルトリアはある意味信じているのである。
この程度乗り越えられるという身勝手な信頼を。
だが現実、オルガマリーは指一本すら動かせはしない。さらに間の悪い事にイドタイマー残り時間一分を切っていることを表示していた。
メタトロン・ガウェインはアルトリアの無駄な信頼感やら聖四文字の命令もあって神威を発揮すべく仮想砲塔を形成する。
このままオルガマリーを消し飛ばすつもりだった。
キィィィィイイイイイイイインンと音が鳴り球体上の火球が射出される。
(ここまでね・・・)
どう足掻いても死は追いついてくる終わりはそこにあるのをオルガマリーはよく知っている。
何故なら終焉の理を持つアンビーストであるがゆえにだ。
ごめんタツヤ、ごめんマシュ、ごめんカルデアの皆と謝りながら己が死を受け入れ・・・
『『――――――――――』』
振り返りほほ笑む二人の姿を幻視し。
約束を思い出す。
「―――――っあ」
そうだ約束したじゃないか、まずこれが終わったら三人揃って朝日を見ようと。
そして炸裂するシナイの神火はキャメロット・ブライド・エハングウェンの一角で炸裂した。
それは光属性であるがゆえにキャメロット・ブライド・エハングウェンを傷つけずに済んだが、
本来なら両方とも消し飛ばしてもおかしくはない威力だったからである。
だがしかし。
「うぉぉぉおおおおおおおおおおお!!」
シナイの神火が直撃する瞬間に気合と根性でオルガマリーが再起動。
ヴォイドフォールによる短距離ワープでシナイの神火とすれ違うように回避。
大鎌は疑似太陽に叩きつけられたときに手放してしまった。だがまだ武器は在る。ヴォイドザッパーを右手指に身に纏い、
完全に不意打ちする形で爪を横文字一閃、霊核こそ砕けなかったが、霊基は半壊させた。
メタトロン・ガウェインの動きが完全に止まる、引き裂くと同時に通りぬけたシュレディンガー・ニヒト・イドが右腕にヴォイドフォールで仮想砲塔を展開。
装填されるのはネガスキル。
即ちネガ・エターナル。
永劫存在を否定し終了させるものだ。
今のメタトロン・ガウェインには効果覿面であろう。
抗えるのはネガスキルで鬩ぎ合いをするしかないのだから。
「くたばれぇぇぇええええええええええええええええええええ!!」
オルガマリーの咆哮と共に射出されるネガ・エターナルの球体の直撃を受けてメタトロン・ガウェインは爆発四散するのだった。
そしてそのまま地に降り立つと同時に、イドタイマーが丁度よく起動する。
オルガマリーはそれでも意識を失わずニヒト・イドを解除し這って皆の後を追った。
最も頭部両側面から後頭部に掛けて角が伸び、服装が金細工の施されたドレスに変わっている事には本人は気づいていなかったが。
マシュ・キリエライトは無垢ではない。
と言うかそれを自覚したのはもう散々突きつけられた。
人は無垢では生きていけぬと理解したからだ。
例え人間モドキでも生がある限り己が生を全うしたい。
それが彼女の渇望だった。
「クソ!!」
故に普段の口調をかなぐり捨て悪態を吐く。
天使や粛清騎士がチェイテピラミッドアズライールの廟に行っていると思えば、
それより多少高位な天使や粛清騎士が詰めていたのだった。
洒落になっていない。今はクー・フーリンとエミヤという味方が居るから強行突破出来ているだけで、
十分にキツイ状況だった。
ペルソナもラウンドテーブルからウリエルに切り替え積極的に攻め立てる。
「マハフレイダイン!!」
炸裂する核熱の炎が天使共を焼き払い。
討ち漏らした敵をエミヤとクー・フーリンが処理する。
「それにしても詰め過ぎではないかね!?」
「敵の本拠地で無限召喚できるんだ!! 当ったり前だろうが!!」
エミヤが悪態を吐きそれよりも腕動かせ腕とクー・フーリンが叫ぶ。
無限沸きしてくるパワーやヴァーチャー達を掃討していく。
兎に角前に前にと純白の濁乱を掻き分けるように強行突破する。
漸く中庭に出た。後はここから上層部へと昇り、アルトリアの馬鹿を友人としてぶん殴り達哉を救出するだけであるが、
「これ以上は行かせはしない」
馬に跨ったパーシヴァルが其処に存在していた。
右手には宝具機能もある絶死の槍事ロンギヌスを携えている。
それがマシュの美観に抵触してもう何本血管をぶちぎらせたことか。
王が馬鹿をやっているなら止めろよ。お前らの主だろうにと。
殺意が高まっていく。既にマシュのイノセントダストの威力はポセイドンの真体をカチ割ったレベルにまで上昇させていたが、
そのままイノセントダストを切ると第三特異点同様、達哉も巻き込まねかねないため自重していた。
第一に、
「くっ」
薬を打つ頻度が上がっていた。
薬抜きを碌にしていないため薬に対する耐性が出来上がりつつあるのである。
これは良いことではない。耐性が出来上がる=薬が効かなくなることを意味しているのだから。
マシュは三本目の薬を首筋に打ち込み、何とか戦闘行動だけは続行できる状態だった。
「嬢ちゃんここは俺たちに任して先に行け」
「ですが」
「こっちも断腸の思いなのだよ。私達なら出血は気合と根性で防げるが、アレを君が受ければ致命傷になる」
クー・フーリンとエミヤがそう言う。
噂結界内に置いてロンギヌスは通常状態でも致命傷に成りえるのだ。
その威力は既に第一で確認済みである。
マスターであるマシュに万が一突き刺さってみろ。
最悪詰みである。
かと言って今の状態のマシュを先に行かせるのもどうかと思うが、
要するに下の下か下の中程度の誤差範囲でしかない。
なら多少勝率の高い方を選ぶのが当然と言えた。
「だから頼むぜ情けない話だけども」
「そう言う事だ」
二人の言葉を受けてマシュが走り出す。
パーシヴァルは逃がさまいとしたが。
「悪いが」
「こっちも逃がさねぇ準備は出来てんだよ」
固有結界「無限の剣製」に絡め捕られて見事にマシュを取り逃がしてしまう。
加えてパーシヴァルの相手はクー・フーリンという歴史的に見れば大先輩で槍の極みに到達した一人だ。
オマケに現状の霊基はメイヴの考えた最強のクーちゃんというインチキレベルである。
そしてここはエミヤの世界だ。彼に有利な戦場なのは間違いがない。
しかしここまでやってようやく互角である。
ギフトに天使との融合、そしてロンギヌスにパーシヴァル自体の技量。
クー・フーリン単騎でも殺せるが時間が掛かり過ぎる故にここまでやって、
相性差もない現状、ここまでやってようやく確殺出来るというレベルなのである。
「さぁ絶望に挑むが良い」
クー・フーリンの外殻が盛り上がり。
空に無数の剣が投影される。
それは正しく絶望の権限であった。
「と言う訳で私か!!」
そしてマシュと共に最上階へと昇るのは孔明であった。
ぶっちゃけ前線筋ではなく、マジで現状の戦況で出番ないから予備役として待機中だったが、
もうそうは言ってられない。使える物は全て使わなければ前に勧めないと思った故にCALLしたのである。
相も変わらず湧いて出てくる天使に孔明は絶叫しつつマシュはもう勘弁してくれという気持ちで回廊を走っていった。
下手に複雑な回廊である為、迷いかねなかったが、
其処は孔明の頭脳でどうにかなった。
そして天使共と粛清騎士を薙ぎ払ないながらストレートの大きな回廊へとでる。
マシュは感じた。その最奥から出ている神気に。
ここを通り切った先が玉座の間に違いないと。
なら後少しだと思いつつまた両足から力が抜ける。
クソッと舌打ちしながらペン型注射器で首に注射。
「はぁはぁ」
全液体を注入して、空になったペン型注射器を投げ捨てる。
「マシュ・・・大丈夫かね?」
「大丈夫じゃないですけど大丈夫です」
マシュの薬の過剰投与によって目と鼻や喉の毛細血管並びに内臓系が損傷。
血涙やら鼻血に血反吐を吐き散らす事態となって言った。
孔明が回復魔術及び鎮静魔術を掛けてくれたおかげで過剰摂取の減少は和らげたが、
「貴様たちの旅路も此処までだ」
黒い粛清騎士を引き連れたアグラヴェインが其処にやって来た。
「アグラヴェイン・・・」
「ほう私の事を知っているのか」
「勘ですよ勘・・・元々ギャラハッド卿が乗り移っていた際の知識の様なものです」
「・・・そうか貴様が、マシュ・キリエライトか」
マシュの言いように何処か納得した様子でアグラヴェインは眉間の皺を深めた。
だって彼にとっては達哉も、オルガマリーも、マシュも怨敵だったからである。
「投降しろ、悪い様にはせん」
「するわけないでしょう・・・友人が馬鹿やってるんです、大事な人が捕まっているんです・・・第一に止めてあげてくださいよ、私の知っている鉄のアグラヴェインならそうした筈です」
懇願するようにマシュは言う。
だがアグラヴェインは表情一つ変えず、
「それがなんだというのだ今度こそ悲しみがない理想郷へと王には行ってもらう、それが私の贖罪だ」
「なにを・・・言って」
「王は散々自分を押し殺して来た。国の為に身を捧げてきたのだ」
そうアルトリアは散々自分を押し殺して来た。王と言う名の理想の機構として。
そんなアルトリアを人理は世界は裏切り消耗し続けた。
「・・・は・・・はは・・・」
マシュの口から乾いた声が漏れ出す。
当にそんなことは知っている。だがランスロットたちから本当はこんなことしたくはないというアルトリアの気持ちを教えられていた。
やりたいなら彼らの裏切りに忠道大儀なんて祝いの言葉を贈らないだろうから。
つまるところニャルラトホテプあたりに追い込まれまたしたくないことをしているというのは察しが付くと言う物である。
「だからそれを止めろと言ってるんですよ!!あなた達は餌を待つ雛鳥ですかぁ!!何時までも何時までもアルさんに縋ってるんじゃないですよぉ!!」
「やはり貴様は女だな、女は感情論で動く故に私は女は嫌いだ。 モルガンは醜く淫蕩だった。清らかさを謳ったギネヴィアはランスロットとの愛に落ちた。 私は生涯、女というものを嫌悪し続ける。 人間というものを軽蔑し続ける。 愛などという感情を憎み続ける。 その、私がはじめて嫌われる事を恐れた者が、男性であった時の安堵が、お前に分かるか。・・・それが。ランスロットとギネヴィアのふざけた末路で。王の苦悩を知った時の、私の空白が、お前に分かるか!!」
「いいえ違いますよねぇ、本当は気づいていたんでしょう?」
「なにを!!」
「アルさんが女であるという事にですよ。それでも理想を体現する存在だったからアナタは初めて恋をした。でなければあのタイミングでランスロットの糞野郎とギネヴィアの不貞暴露なんかしませんでしたよねぇ。アルさんに報連相も無く反ランスロット派閥の手勢を率いて」
そうアグラヴェインのは忠義でもなんでもなくあのタイミングでのランスロット関係の不貞暴露は悪手にしかならない。
明らかに私情満載の暴露、挙句の果てにアルトリアに報連相もしていないという始末。
第一幾らマーリンの認識作用のある魔術が掛かっていてもアルトリアが女と気づけない方が阿呆だ。
他の円卓なら兎にも角にも女嫌いのアグラヴェインが気づかないなんてあり得ぬ話なのである。
故にマシュの指摘にアグラヴェインの心に始めて罅割れが入った。
鉄の心など持つ物なんていないがゆえに。居たらいたでソイツは英雄という名の化け物であるがゆえにだ。
「極論アナタはアルさんにずっと自分の理想で在って欲しかっただけなんですよ。それに女は感情論で動くと言いましたが男も十分感情論で動いて間違えますよ。第一間違いを起こさない人間なんていないんですから」
達哉も、オルガマリーも、マシュも感情論で動いて間違えている。
と言うか感情論で動かない人間なんていないのだ。間違いを犯さない人間なんていないのだ。
故に誰もが苦悶し幻想の薔薇という超常現象に縋りたがるのである。
「黙れ・・・」
アグラヴェインは顔を俯かせポツリと呟く。
「我らの王の理想像を壊したのがお前らだろうが!! 友情という同調圧力を王に与え理想としての機構を壊し尽くした!!」
「責任転換しないでください、アルさんが目指した理想とは皆で食卓を囲めるごく普通の物だったんですよ!!」
そうアルトリアが目指した王道とはたったそれだけ。
理想の機構として成り果てたがゆえに忘れてしまったそれなのだ。
たったちっぽけな夢こそがアルトリアの目指した王道だったから。
「それを自分たちの理想というラッピング施したエゴを押し付けて食い物にしたのがアナタたちです!! いい加減に自覚してください!」
そうそして餌を求める雛鳥の如くただ白痴の様に自分たちの理想を押し付けて彼女を壊し現在が在るのだ。
其処から目を背けてはいけない。
ケイはもとより妹の傍に寄り添ってきたがゆえにそうした理想の押し付けとかしたことはない。
故に反省しているのがランスロットとトリスタンだけというのは何たる皮肉だろうか。
「ギャラハッドの力を掠め取り超越者を気取るか人間モドキ!! お前らに私の私達の何が分かる!!」
「論点すり替えて自己保身に走ってんじゃねぇですよ!! この自己愛性自己保身主義者が!! 自分達より自分の方を先に言ったのがその証拠です。所詮自分の身の方が可愛いんですよアナタは、モルガンと一緒ですね!!」
「黙れぇ!!」
まさかマシュにお前はモルガンと同類と言われ激高したアグラヴェインが切りかかってくる。
普段のマシュならこのような挑発はしない。だが自分に残されている戦闘時間は短い事も知っている。
この後にはアルトリアも控えているのだ。
だから鉄の心を砕き踏みにじるような真似をしたのである。
本来ならこんなニャルラトホテプのような真似はしたくないが、挑発して相手から冷静さを奪い短期決戦を挑まなければならぬからそうしたのである。
と言っても普段なら言わないだけでこの挑発はマシュの偽らざる本音だったが。
当たり前だいい年扱いて何時までアルトリアに縋ってやがると松島で親交をアルトリアと紡いだマシュは思っていた訳であるのも当たり前の話である。
そして振り下ろされる剣をウリエルで受け止めつつ更に踏み込み裡門による肘打ちを叩き込む。
その威力は絶大だ。震脚を踏む際に一切の無駄が無いためマシュの足型の踏み抜きができるほどである。
故に一切の力の逃げはなくアグラヴェインの胸に突き刺さった肘打ちは彼の内臓を破壊したのだ。
更に襲い掛かってくる粛清騎士にも即座に対応しウリエルの物理スキルで即座に撃破する。
所詮は中身のない伽藍洞だ。
倒すのは天使より容易い。
がしかし、
「まだだ・・・」
アグラヴェインは血反吐吐きながら立ち上がる。
無駄に往生際が悪いなとマシュは内心吐き捨てるものの、
両足がカクンとなる。
薬の持続力がなくなってきているのは先ほども書いた通りで、
遂に限界が来ようとしていた。
残る薬も二本だけ。
それに内心舌打ちしつつ懐から薬を取り出し注射すれど、
戻った感覚は多少だけ。
「ダヴィンチちゃん!! 薬が効かないッッ!!」
『なんだってぇ!?』
思わず絶叫するマシュに対しダヴィンチも絶叫で返す。
何度も言うが薬抜きしてないからそうなるのだ。
本当に今回は事を性急に運び過ぎたのである。
かと言って性急に運ばねば、このキャメロット・ブライト・エハングウェンをロケットに達哉は連れ去られ新世界の礎となっていただろう。
「王手詰みだな人間モドキ」
内臓をやられ霊核を半壊され壁に叩きつけられて全身ガタガタのアグラヴェインはそう言って剣を振り下ろし。
マシュはペルソナを鎧部分だけ展開しつつウリエルを消す。
今の状態ではとてもじゃないがアグラヴェインの全身の荷重が乗った一撃を止められる自身が無かった故だ。
故に・・・
――――パシ――――
「なっ」
アグラヴェインの驚愕。
其処にはアグラヴェインの剣を白刃取りするマシュの姿が在った。
そのまま腕を横にして剣事アグラヴェインの体勢を崩すと同時にウリエルを再度召喚し。
思いっきりぶっ刺す。
今度は半壊なんぞ許さない。
鉄塊染みたウリエルの尽きによって胸の左部分からチギレ飛んだ。
無論霊核も一緒にだ。
「なぜ私は――――」
そう言いながらアグラヴェインが消失する。
はぁとため息を吐いた時である。背後の通路向こうから天使共と粛清騎士たちが追い付いてきたのだ。
「マシュ、ここは私が足止めする」
「お願いします」
ぶっちゃけ孔明の戦闘能力は低い。
今、弱りに弱っているマシュより戦闘に不向きだ。
逆を言えば戦略を立てることと足止め性能は唯一無二である。
故にここは心苦しいがマシュを行かせ自分は足止めに専念するしかないと思考する。
それをくみ取ったのかマシュは無言でうなずきつつよろよろと玉座の間へ向かった。
其処に存在したのは、
「来たか」
そう呟いたのはアルトリアだった。
多量の出血痕と達哉のポシェットから増血剤の入ったペン型注射器を取り出し、達哉の首筋に打ち込んで抱えゆっくりと達哉を床に降ろしマシュを見据えるアルトリアの姿が在った。
ガウェイン最初から詰んでいるの巻き。
そりゃ防御無視できるのが当カルデアなので筋肉三倍防御はあってないようなものです。
ガウェイン「メタトロン霊基の三倍筋肉の鎧!! 攻略できるものならしてみなさい!!」
達哉&宗矩「じゃ兜割りで」
マシュ&書文「浸透勁で」
オルガマリー「ヴォイドザッパーかニヒト・イドからのヴォイドフォールで」
クー・フーリン「刺しボルグで」
ガウェイン「」
聖四文字「ニャルフィレとの共同計画の為だヤレ」
メタトロン「主がやれって言うし・・・本格顕現するわ」
ガウェイン「」
アルちゃん「オルガマリーにニヒト・イド切らせ切ったなヨシ!! 後、王は聖剣ブッパするだけの簡単な仕事とかほざいた件忘れんからな、お前は理想の騎士という名の幻想を抱いて溺死しろ」
ガウェイン「」
ガウェイン、アルちゃんに信頼されていなかった模様。そりゃ月裏でギャグとはいえ王は聖剣ブッパするだけの簡単なお仕事とかほざいたからね。
捨て駒として精々、オルガマリーにニヒト・イド切らせる捨て札としか見られない訳だし。
なんでアルちゃんが月の裏のこと知っているかって? ニャルが映像付でチクったからです。
あとアルちゃんメタトロン・ガウェインにオルガマリーが負けるとは思わなかったのという疑問ですが。
彼らの旅路を見てきましたからね、負けるとは微塵も思っていません。
アッくん「お前らのせいで完璧な王は壊れたのだ!!」
マシュ「初恋拗らせて責任転換してんじゃねぇですよ!!淫売の息子!!お前らが寄って集って壊したんだろうが!!」
アッくん「まだ言うか人間モドキめ!! ギャラハッドの力を掠め取った挙句に開き直るとは!!」
マシュ「論点すり替えてんじゃねぇんですよ自己愛性自己保身野郎!!」
マシュ、アッくんの主張にガチギレ。
もう扱いが雁夜おじさんと一緒のレベルまで降下してます。
つまりランスロット以下。
マシュがクソでしゅ構文唱え始めるくらい。
ニャル&コトミー「「うーん今日もワインがおいちぃ!!」」
そして引き上げたニャルはコトミーと共に謎空間でテレビ中継越しに現状を見ながら計画が上手く行っている事を確認しつつワイン飲みながらチーズ食べつつ愉悦してます。
次回カルデアサーヴァントVS円卓とズタボロの所長&マシュVSアルちゃんでお送りします。
あと調子が悪いので次回も遅れます。それでは皆さん次回ノシ