Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
シグルイより抜粋
カコンと音が幾たびもなる。
凄まじい速度で木刀が振るわれていた。
まるで剣舞であるが一手しくじれば骨が行く。
そしてもう一方の場では拳と拳のやり取りが静かになされていた。
此方も一手しくじればヤバいことになる。
それを行うのは達哉と宗矩、そしてマシュと書文である。
正しく武の極地と言っても過言ではない。
そして縁側の縁に座って待機するのはクー・フーリンと長可、場が開いていないのでオルガマリーとエミヤも待機中だった。
最早訓練領域ギリギリだ。
汗が飛び木刀などが軋む。
為景や控えていた長尾衆も唖然としていた。
達哉はKUMAの首を一撃で分断したというが。
彼の師匠はそれ以上に鋭い。
だがあと一歩という所だった。宗矩も冷や汗を掻く。
確実にゆっくりであるが自分の領域に達しつつあると感じた。
あと少しで宗矩の編み出した魔剣も使える領域に達しつつある。
「拙者の勝ちですな・・・」
「ああ俺の負けだ」
何とか剣を絡めとって達哉の木刀を弾き飛ばし返す刃で木刀を首筋に添える。
あと一歩だと宗矩は思った。
書文とマシュの組手もそれと同時に終わる。
「ご指導ありがとうございます」
「こちらこそ」
マシュと書文の手合わせも終わった。
こっちは達哉と宗矩程苛烈ではない。実戦で歪んだ型運びの矯正程度である。
元々マシュとオルガマリーは免許皆伝を受けている実力なのだから。
為景からすれば三人共化け物だった。
「虎千代を見てくれるか?」
「良いですが・・・ウチは厳しいですよ?」
虎千代を見てくれるかという為景の問いに手拭で汗を拭きつつ達哉が言う。
カルデアの訓練は型稽古と実戦を往復し実戦に耐える物を作り上げるスパルタだ。
型稽古はもう三人共自分自身で出来るようになったので実戦方式を取っている。
「だが恐怖で誰も見てくれないのだ」
為景からそう説明される。
要約するとこうだ。限界超えて訓練しようとする。
参ったと言っても相手を打ち据える。現に長男の晴景はトラウマになっているのだとか。
「典型的サイコパスだね」
ロマニはそう診断する。
「わかった俺がやる」
矯正方法も粗方検討が付いていたので達哉がやることになった。
これは宗矩の場合虎千代との技量格差が開きすぎて負けて当然と思われかねない。
達哉も宗矩に拮抗しつつもなんか舐められている風なので。
彼が怖い刑事役を買って出ることにしたのだった。
つまり負傷前程のカルデア式である。
「行きますよ!!」
「来い・・・」
勢いよく踏み込んで来る虎千代だったが。
剣筋を読まれ半身逸らして達哉は回避、虎千代の横腹に柄頭をのねじ込む。
無論加減してだ。下手に力むと内臓と骨が逝く。
最もロマニの治療魔術、ペルソナの各種回復スキルがあるので問題はない。
「イタッ!?」
その場に蹲る虎千代だったが。
「立て」
今度は右肩を狙って木刀を振り下ろす。
虎千代は転がるように回避、次の瞬間、眼を淀ませまるで獣の様に襲い掛かって来た。
普通なら悶絶ものの筈なんだがなと達哉は思いつつ。
虎千代を打ち据える。
獣の如き軌道なんぞ見飽きているから至極読みやすい。
それにこれは教育だ。彼女が痛みを知るまでやめるつもりは無い。
的確に手甲を折り肩を外し、膝を破壊する。
目の前に居るのはズタボロの少女だった。
「ま、参りました」
「立て」
達哉が木刀で打ち据える。
「参りましたと」
「立て」
無慈悲に彼女の懇願を無視して木刀で何度も。
「痛いです!! お願いです!! やめてください!!」
「ようやく言えたな・・・それが痛いという事だ」
「!?」
「それが晴景に・・・お前の兄にやった事だ」
「・・・」
直ぐに回復はかけない。
諭すように痛みを刷り込むように言う。
これが痛いという事でありお前の兄にやった事だと突きつける。
虎千代はプルプル震えて・・・
「・・・ごめんなさい」
「謝る相手は俺じゃないだろ」
そして全てを理解した虎千代は達哉に謝るが。
謝る相手は自分じゃないだろと達哉は指摘する。
「コウリュウ、メディアラハン」
そして虎千代を治療した。
「謝るべき相手はお前の兄にだ」
「はい・・・」
「わかったならロマニの診察を受けてから謝りに行け、わかったな?」
「はい」
その後虎千代はロマニの診断を受け完全治癒した事を確認し。
すぐ様晴景に謝りに行った。
人間らしくなりつつある虎千代に不気味さを覚えた晴景だったが。
カルデアの者達がどうにかしたと知って。数日の中で仲は改善されつつあった。
ついでに虎千代に三人でいろんなことを教え込んだためか。
「兄様!!姉様!!姉上!!」
達哉は余計に虎千代に懐かれていていた、今では兄様呼びであり。
オルガマリーは姉様、マシュは姉上呼びだった。
だが長尾衆とも良い関係だ。
そして。
「兄上!!」
「おう!!」
虎千代と晴景が左右に分かれ達哉を挟撃する。
だが達哉はいともたやすく実力のみでそれを捌きカウンターを食らわせた。
そして二人を大の字にする。
カルデア式ならもっとキツイ。ここから回復スキル使って再選かつ限界まで己を追い詰める。
「今日は此処までだゆっくり休め」
「あー今日も勝てなかった・・・」
「というか達哉殿。自分の右腕折れているのですが・・・」
「コウリュウ、メディアラハン、そらこれで良いだろう、次、宗矩さん俺の相手を頼む、少し根を詰めるから段階上げてくれ」
「承知」
そしていつも以上の達哉と宗矩の修練を見る二人。
達哉の腕や手甲に指がへし折れその都度回復スキルで繋げ直し再び挑む。
なお晴景も虎千代もドン引くものだったのは言うまでもない。
「なぜ毎回あれほどまでに打ちのめされて兄様は」
「タツヤには才能無いからねー」
戦慄する虎千代の横にオルガマリーが座ってポテトチップス(コンソメ)を置きながら言う。
「アレで才がないと?」
「私達が先の人間って話はしたわよね?」
「はい」
「まだこの事態が起きるまでは私とマシュはペーペーの素人だったのだけれどタツヤは色々あってこれと同規模の激戦を駆け抜けていたからね戦闘経験の差で私達より強いというだけの理由よ」
「兄様は歴戦の勇者と・・・」
「本人は勇者なんかに成りたくなかったけどね」
「兄様は名声を求めないと?」
「タツヤはただ・・・失った物を取り戻したかっただけなのよ・・・そして忘れたくなかっただけ」
「・・・」
虎千代は幾ら矯正されたとはいえ神の思考を持つ。
それで色々察してしまった。
ナニカ大きな戦いがあり理不尽に全てを奪われたそれでももうこれ以上はと必死に技を磨き駆け抜けたのだろう。
「本当ならこんなことに巻き込みたくなかったのだけれどね・・・でも私彼が居なきゃ死んでたもの」
オルガマリーの感想はそんなところだった。
もう十分達哉は頑張った。だが同時に彼がこの世界に引きずり込まれていなければオルガマリーに今はない。
「世界とは・・・」
「なぁに?」
「真ままならないものですね」
「こっちが立てばアッチが立たずだからねぇ、しみったれた話はお終い。今日の昼食は連日で悪いけどレトルトハンバーグよ」
「ハンバーグですか!!ヤッター!!」
この時代、戦国期には肉食はタブーとされてきたが。
薬と言い張り食べる風習があったので誰もが容認していた側面がある。
故にレトルトととは言え食べるために育てられた牛肉ハンバーグなんぞお目に掛かれない。
天子様や将軍だって食えない代物だ。
そして虎千代は如何に神の血筋を引くとは言え舌が矯正され子供舌である。
子供と言えばハンバーグは御馳走だろう。
それからさらに数日長尾邸に滞在し虎千代に武術に勉学、カウンセリングに投薬治療をしながら過ごし。
これなら周辺集落の調査にも支障はないとオルガマリーが判断し。
為景の許可と代行書を委任され一行は周辺集落の調査に乗り出すことになった。
「・・・なんで虎千代も付いてきているのよ」
オルガマリーの疑問だった長尾衆が複数人付いてくるのは良い。
カルデアのサポートがあるとはいえ土地勘ない訳だし案内役はいればいるほど良い。
「いやだってな、為景さんに外の世界を見せて欲しいって頼まれたし」
虎千代の精神的成長はすさまじかった神視点というサイコパス思考の矯正に成功しつつあるからである。
最初は土台作りの為に強引な事をしたが、土台は作れたのでそこからは交流とカウンセリングに投薬で一気に人間味が出てきている。
つまりクソガキ化していた。
先日もカルデア一行と長尾衆の目を盗んで酒盛りに使った黒龍(超レアものの日本酒)をうまい棒ツマミにがぶ飲み一人で飲み切り。
オルガマリーに雷落とされ頭の上にたん瘤を生やされたのちに関節技という名の修正を喰らった。
それで人間味が増してやんちゃになったので為景は虎千代の管理をカルデアにぶん投げた訳である。
カウンセリングと投薬治療もまだ半端だったので受けざるを得なかった。
あと人間味を会得したことで何しでかすか分からないしというのもある。
それに晴景の身体の様子がおかしいという事もあって領主としての勉強を兼任して外を見て来いという事だった。
委任状も持たされ領内では為景の意向とするという物で権力もばっちりである。
「まるで越後版水戸黄門だな」
達哉はそう言う。
「むしろ暴れん坊将軍じゃないですか?」
マシュ的にはそっち派だった。
「兄様、姉上、水戸黄門と暴れ坊将軍というのは?」
「ああ、こっちの世界でのあー娯楽芝居って言えばいいのか、悪代官なんかをより偉い人が叩き潰す劇なんだよ」
「ええ~・・・」
「まぁ勧善懲悪ものだが殺陣がよくってなぁ」
「殺陣とは?」
「演技された剣戟ものの事を言う、実際演技で人を殺すわけにはいかないからな」
「へぇーそれはいいかもしれませんね」
虎千代は興行としては良いと思ったが。
「殺陣は技量と連携が物を言う、そう簡単に出来る事じゃないだろうなぁ」
「それは残念」
殺陣は演技とは言え鉄の棒を使うのだ。
下手にヒットすれば人が死ぬ、故に熟練の演技者が必要なのである。
まぁそれはさておいて置いて。
「地図によるとそろそろ第一村へのとうちゃ・・・」
「私現実逃避したいんだけど・・・悲鳴がめっちゃ上がってる」
「所長に同意見です」
第一村には悲鳴が上がっていた。
三人共現実逃避しつつ走る。
鬼が捕食行動をしていた。
蹂躙戦とかそいう形容詞とかでは済まない。
一方的すぎる物だった。
「ちぃ!!」
オルガマリーが両手にリペアラーを持って発砲する。
だが鬼の皮膚を貫通するには至ら無かった。
あくまで拳銃は拳銃だ。
人型の殺傷しか想定していない。
故に幻想種への対策は考慮されていない、あくまでサーヴァントへの対策だ。
要するにマグナムで熊を殺せるかという話である。
鬼であるなら余分にだ。
達哉はアポロをセット、マシュはウリエルをセットし立ち上がる。虎千代も槍を構え即応体制だった、
そして鬼に切りかかる。
「硬い!?」
如何に天才とは言えまだまだ虎千代は子供。
鬼の皮膚を突破する力も技量もない。
「アポロ。ゴッドハンド」
だが達哉は違う、兼定で鬼の皮膚を引き裂きそこにアポロのゴッドハンドを叩き込む。
すると鬼の肉体の一部がはじけ飛び。
動きを止めた鬼に対し更にマシュが。
「ウリエル。ブレイブザッパー」
更に追撃振るわれる鉄塊子とウリエルが鬼の首を両断する。
この程度であれば三人が連携すれば即座に倒せる。
故にカルデア以外の皆が驚愕していた。
鬼ですらこうも簡単に殺し切れるのかと。
そりゃそうだ人外無舞を演じているカルデアマスターズにはこの程度。
何時もの事だったからだ。
幻想種なんぞもう何体も倒し飽きたのだから。
属性系スキルを使わないのは単純に周辺被害を思っての事だった。
サタンの光子砲なんてぶっ放してみろ家屋が倒壊する所じゃないのだから。
ダイン系やその上位互換も却下である。
戦場では良いが市街地戦においては一般人を巻き込みかねない。
収縮射出しても周囲を巻き込む可能性があった。
第一特異点で収縮発射したが。それはあくまで射線上に敵しかいないと言う条件が重なったからである。
集落のど真ん中では射線が通らない故に物理スキルオンリーだった。
「ふぅ何とか済んだな」
達哉はいつも通り血糊を払い鞘に兼定を収める。
「あの・・・」
「なんだ?」
「あなた方が毘沙門天の化身である虎千代様の率いるお供さんでして?」
村人の声にカルデア一同、思った。
あの女やりやがったと。
虎千代は戦の裁定者として製造された半神である。
それを何よりも青岩院が裏技で製造したのが虎千代だ。
絡繰りをロマニに見抜かれてこの時空では追放であるが。
まだ諦めていなかったらしい、恐らくニャルラトホテプあたりに諭され。
噂結界を利用し虎千代を毘沙門天の化身にする算段なのだろう。
「虎千代は毘沙門天の化身でもなんでもない、為景様の代行として領内の怪異を討滅代行者だ。俺たちはそのお供に選ばれただけだ」
「へぇそうなんですか・・・」
「第一に神の化身なんて早々現れる物でもないだろう、”たかが迷信だ”信じるな」
「へぇ・・・」
これには虎千代も分かった兄様の過去は知らないけれど地雷踏んだなと。
無論達哉の過去を知っているオルガマリーとマシュは毒婦というだけで達哉の地雷踏み抜いている事が分かる。
更にオルガマリーの地雷も踏む抜いているそうで在れと毒婦に育てられたのだから。
マシュとてそうだ。都合のいい命として意図的にデザインされ生み出されたのだから。
そんなカルデア組の地雷を踏みまくり尚も諦めていない女の情念っぷりに怒りを抑えつつつ
怒りを抑えて噂を抑制するためににそう答えた。
為景の名代として虎千代は居るのだと。
「ですがこの噂どう広めます?」
「だよな・・・」
既に虎千代が毘沙門天の化身という噂は広域を浸食しつつある。
兎に角折角人間に引き釣り戻したのだ。
この噂をどうにかしない事には虎千代は再び元に戻り神の化身と化す。
故に此処はあくまで為景の代行として妖魔やKUMA討伐していることをカウンターとして広める必要性がある。
だがしかし妖魔やKUMAが跋扈する土地で長尾衆を拡散させて行動させるのもリスクはある。
青岩院は噂結界が張られた後から仕込みを入れていたのだろう。
「毒婦めが・・・」
これには事情を知る精鋭の長尾衆も顔を顰め呟く。
最初は不気味だから捨てようと思った所をニャルラトホテプに諭されて。
自分の都合のいい神を作ろうとしている。
誰だって毒婦と吐き捨てるのもやむなし。
挙句に妖魔、KUMAやら出現させて領地内大混乱状態の上に犠牲者まで出ているのだ。
下手したら山神まで顕現しているかもしれない。
先に仕込みを終わされたのなら後手に回るしかない。それがニャルラトホテプの大権能だ。
「・・・兎に角、青岩院を追いながら各村を回って噂を抑制するしかない」
達哉はそう言う、現状現代や1990年代みたいに電子機器など無い時代だ。
先程も言った通り後れを取ったら対処療法しかない。
「ちょっと待ってくれ一応役に立つかもとして用意していたんだ」
ロマニがそう言って紙束を取り出す、複雑な魔術式が書かれていた。
「これは・・・魔除けの呪符ですか?」
「うんこうも酷いとまた湧いてくるかもしれないからね、恩を売って置けばいい噂になる」
「ロマニ殿は医者ではなく陰陽師なのですか?」
「陰陽師じゃなくて魔術師だけどね、けど医者も本業だよ」
虎千代の疑問にロマニはそう答える。
古来より魔術と医療は密接な関係にある。
魔女狩り以前は魔術師が医者やって何て当たり前だ。
最も現代医療の知識はロマニが受肉して必死に身に着け戦場での緊急医療で身に着けた技術であるけれど。
そして元グランドキャスターだ魔除けの呪符くらい作るのは実に容易い。
時代が時代だ噂での呪符効果の反転を狙うのも困難だろう。
「だけど限度はあるから・・・とりあえず山の中掃討してから次に行きたいね」
そう流石に力の一部を取り戻しているとはいえその殆どがゲーティアの物になっている。
故にロマニは普通のサーヴァントくらいの力しか出せない。
最もそれでも時間操作とか因果律操作できるのでチートだが。
元となったソロモンがどれだけチートだったか分かるという物である。
それはさておき、一行は山狩りしつつ掃討戦を開始しながら次の村へと向かった。
「熊ってこんなにデカくなるものだったか・・・」
「あーアーカイヴで俺も見たがこれ位デカくなる熊はみたことねぇな」
KUMAから虎千代を助けた時から思った事を口にする達哉の疑問に長可がそう言う。
この時期の日本は神秘も薄れこういう類は出ない筈だと長可が答えた。
「俺の時代には居たけどな」
クー・フーリンがそう答える。
ルーンを喰らって巨大化したKUMAがいたとかなんとか。
なにそれ怖いと全員が思っている所に、ポトリと何かが落ちてきた。
「燕ですかねこれ・・・」
「片羽が折れてるね」
「・・・見殺しにするにしても気分が悪い、直しておくか、コウリュウ、メディアラハン」
そう言って達哉は燕の片羽を治療する。
治療された燕はその後飛び立ち、達哉達に礼をするかのように達哉達の周囲を一蹴すると飛び去って行った。
「・・・なんかあの燕変な機動してなかったか?」
「そう?」
達哉は燕の機動が一瞬気になった。まるで空間跳躍とか空間を飛び跳ねているみたいで。
最も達哉の呟きに生燕を見たことがないオルガマリーはその異常さに気づけず軽く一蹴したが。
まぁそれはさておきKUMAや鬼を退治しつつ進むのだが。
「まさかここまで正確に具現化出来る物とは思わなくて・・・娘が村人に暴行を・・・」
「はぁ・・・」
山中歩いている中、山神と遭遇していた。
最も普段はこんなに力強く具現化できないのだが。
噂結界のせいでほぼ実体化しているとの事。
それで山神の娘が調子乗って次の村の山に入る人々に悪戯ら奇襲しているから懲らしめて欲しいとの事だった。
因みに山神が達哉達に丁重に接しているのは彼らがペルソナ使いだからである。
一山の神如きが神話の主神級を降ろせる連中に勝てるのかという話だ。
マシュに至ってはロンゴカリバーで山を消し飛ばせるのだから山神の方が恐れるのも当然である。
そう言う訳でどこも子育て苦労してんなぁと皆は思ったわけだが。
「報酬は弾みますんでどうにか」
「報酬は要らないんで噂を山神のネットワークで広めて欲しい」
「噂ですか?」
「虎千代は決して毘沙門天の化身ではなく長尾為景の名代として部下を引き連れて村に居りてきた熊や妖魔を成敗しているに過ぎないという噂です」
「それくらいならお安い御用です、しかしそれだけでいいんですか?」
「あまり言いたくないが、主神級の邪神が動いている」
「なるほど私のような木っ端でも具現化できるようになったのはそれが理由でしたか・・・話の分かる連中には伝えておきますね」
達哉は思った。最初に出会った山神が話の分かる奴でよかったと、山神の顔は見るに堪えないが話の分かる御仁でよかったと。
実際無意識にペルソナで脅していた訳だが。
しかしこの噂は匙加減が難しい。
達哉はあの故郷の事件でテロリスト扱いされ自分たちが正義の味方と噂流した結果。
テロリスト定義されたシャドウが具現化しえらいことになった。
故に今回は慎重に言葉を選んだのである。
「では我々は次の村に移動するついでに娘さんを懲らしめてやればいいんですね?」
「はい」
マシュのいいように頷く山神。
「そりゃもうボコボコにしていいので」
「なら所長の出番ですね」
山神の許可も貰ったのでオルガマリーによるCQCビッタンビッタンが山神の娘に炸裂する事が確定したのだった。
そして・・・
「あのー」
「なぁに?」
「もう止めて上げましょうよ!! 姉様!! 私が受けた教育より酷いですよ!!」
虎千代がそう言う。
山神の娘、そりゃもうボコボコだった。
当初は余裕ぶっ扱いていた物の。
オルガマリーに張り倒され先述の通りビッタンビッタンに投げ飛ばされ。
完全に怒り狂ったのか権能まで持ちだした物の。シュレディンガーであえなく防がれ。
ボコボコにされ小規模クレーターが出来るレベルでの投げ技で地面に叩きつけられ。
ヤムチャポーズで泣いていた。
これには虎千代もドン引きだった。もしあの時自分の人格矯正を達哉ではなくオルガマリーがやっていればというIFが其処にあったからである。
わかるまで叩き伏せられ、投げ飛ばばされ、意識が飛ぼうが打撃の連打を浴びていていたからと思うとぞっとする。
「アンタら・・・山神の娘たるワタシにこんなことしてギャ!?」
「オマエの母さんから依頼を受けたのよ」
まだだと今度は母さんにしがみ付こうとした山神の娘の髪を掴んで強制的に目線を合わせるオルガマリー。
オルガマリーの目線は完全に三角コーナーの汚物を見るかの目線で在った。
「そうねどんなにボコボコにしても構わないから人格矯正をしてくれってあと村の皆手を出さない様にってね」
「母様が人間に・・・そんな嘘だ」
「・・・もういっぺんさっきの一周してみる?」
にこりとほほ笑むオルガマリーの微笑に山神の娘は屈しったのであった。
と言う訳で次の村である。主だった被害はあの山神の娘によるものだったので大した被害はないみたいであったが。
「・・・」
オルガマリーが交渉中にどこかへと去って行く村人を達哉は見た。
それと同時に嫌な予感がする。
「所長と親方代行(虎千代の事は村人前ではそう呼んでいる舐められない様に)・・・村での歓待は遠慮するべきかと、時期が時期だ。村人に負担を強いるのはよろしくない」
「フムン確かにそうね親方代行もそれでいい?」
「??良いですけど」
「村長、適当に空いてる一軒家は」
達哉の問いに村長はあると言って。今日は日が暮れるからそこに泊まり明日朝に出立することを伝えた。
そして早々に一軒家に入り囲炉裏に薪をくべる。
「タツヤ・・・なんで強引に割って入ったの?」
オルガマリーは疑問を提示するまるで交渉を断ち切っるような感じで割って入り。
この一軒家を借りたからである。
「この時間帯に一人の村人が俺たちとは逆方向の村に山に入っていくのを見たからだ。もう日も暮れると言うのにな、幾ら山神の娘を退けたことを伝たとはいえおかしいだろ」
「・・・確かに」
「それに村人たちを俺たちを見る目線が露骨だからな、村社会と言えばそれまでだが嫌な予感がする」
達哉はオルガマリーにそう説明した。
なんだかんだ言ってこういう村での閉鎖コミュニティでの活動はオルガマリー、ロマニ、マシュは初めてでそんな物かと流していた。
逆に虎千代はこの時代の人物だいつも通りとしてしか映らない。
されど達哉は違う、過去、罪の事件で噂が加速して町全体が因習村の如き様相を呈していたからわかってしまったのだ。あくまで勘ではあるが嫌な予感がすると。
「下手すれば村人全員敵ですね」
「この時代証拠隠滅も楽だからな、死体をバラして山に投げ捨ててそんな奴ら来ていないと言えばいい」
マシュの言いように達哉はそう言う。
そう科学技術が発展していないこの時代、死体の隠蔽なんて簡単だ。
死体をバラして山に投げ捨てれば完全犯罪となる。お偉いさんが捜索に来てもそんな連中来ていないと言えばいいし、死体が発見されても熊にでも襲われたと村ぐるみで隠匿すればバレることはない。
これが田舎の閉鎖空間の恐ろしさだ。故に因習村とか部落とか平然とできる訳である。
兎にも角にも長尾為景の力もまだ大きくはない故に村の闇に光を当て切れていない。
いつの世も暗いものである。
「義はないのでしょうか」
「ないな村の人にとっては戦は勘弁だし食えないのもごめんなんだ。そして権力者選びは自分の都合のいい奴に着く」
もっと領地が大きい大名クラスが納める地域であれば話は別だがとも達哉は続ける。
「良い事? 基本権力者とその部下たちは民の奴隷なのよ都合がいいからというだけ納得させられなければ引き釣り降ろされ首を挿げ替えられる」
オルガマリーは囲炉裏の薪に着火剤で火を付けながら言った。
「姉様もですか?」
「まぁね達哉が来るまでびくびくしてたわよ、でもこれが終わったら絶対に所長の座をキリシュタリアあたりにぶん投げて達哉とマシュと一緒に逃げ切ってやる!!」
「そんなに辛いんですか?」
「世界の命運背負っている上に一日休んだだけでこのくらいの書類が溜まり各職員に指示だして毎日の様に投げ飛ばされればね」
「ヒェ」
ミスれば世界が終わり常日頃に過酷な戦場を駆け抜ける羽目になり、それが終わっても仕事は溜まっていく。
其処からさらに職員への指示や戦闘訓練、ロマニの事前知識を使っての対ニャルラトホテプ対策会議及び戦術戦略予想である、そこに具体的に手のジェスチャーで伝えられる書類の厚みと具体的に提示される激務の数々に虎千代は思わず悲鳴を上げた。
「虎千代も兄上に全部ぶん投げようとおもいまする」
「晴景の補佐するのもアナタの役目よ~生まれ的には逃げられないわね」
「そんなー」
長尾一門も立派な武家であるどのみち未来人であるオルガマリーは虎千代がどうなるか分かっていた
そんなこんなで深夜である。
「兄様」
尋常ただならぬ空気に虎千代は跳ね起きる。
起きると同時に達哉は窓から手鏡を出し周囲を確認していた。
そして虎千代に静かにというジェスチャーを送り武器を構えるように伝える。
オルガマリーはリペアラーの弾倉を再チェックして。
マシュは既にウリエルを展開、ロマニはグリズリーを不慣れな手つきでチェックしていた。
『カルデアの観測の通りだ。囲まれている』
『敵戦力はどうなんです先輩?』
『正規兵が100人、後腕っぷしの強そうな農民が10人』
レイライン通信で会話しつつマシュの問いにそう答える達哉。
『先の村とはケースが違う無論殺しは無しだしペルソナは補助のに止めて魔術もなし、余計な噂広められたら不味い』
そして噂結界が動いているのならこういう村コミュティでは取れる手段は不殺か殲滅戦かの二択となる。
殲滅戦を取れば後で不利となり一人でも逃がした場合、余計に噂が広がる。
村コミュティは外界からの刺激は薄いが伝われば速攻で伝播するが故だ。
故に此処は不殺を取るしかない。
だがこの程度の戦力なんぞカルデアにとっては駄菓子だと言っても油断はしないが。
『敵部隊長を確認合図と同時に突撃するぞ』
そう言って達哉はレイライン通信とジャスチャーを併用し意思とタイミングを計って一軒家の扉を蹴り飛ばした。
遅れた上に短くてすいません断酒したら手足が痺れてベットの上の住人やってました。
因みに作者は体罰は反対派です、いや適量にやるなら良いですけど過剰は行けませんよ。
お陰で学生時代のトラウマの一つですし。
ですが言っても聞かないなら致し方なしと思う事もあります。
実際、自分の中学時代世紀末でしたしね。
極論、幼児が道端で不発弾弄っていて言っても聞かないなら多少の暴力で取り上げてでも誰だって警察署に駆け込むのと同じです。
だからと言って暴力が肯定されて良い訳がないですが。
虎千代ちゃんの場合価値観が違い過ぎるから根本的に痛い事を教え込むためにたっちゃんも心を鬼にして痛みという概念を叩き込みました。
人の心を徐々に理解できつつあって虎千代は色々教えてくれるたっちゃんやオルガマリーにマシュを兄様姉様姉上と呼ぶようになりました。
虎千代ちゃんついでに家族とも和解出来ましたね
ニャル「まぁ特異点解決後には元に戻るんだけどな!!」
そして魔術に関しては万能すぎるロマニの巻。
そりゃゲーティアに力の大部分奪われてもグラキャスですんで。
普通なら山神さんも一般人相手なら無礼やら化した連中には恐怖体験させるのですが・・・
たっちゃんはアポロ、言わずも知れた太陽神。固有スキル時止め
オルガマリーはシュレディンガー、思考実験の悪魔。固有スキルテクスチャにも食い込める空間切断
マシュはウリエル、大天使の滅殺の剣。固有スキル無限出力
山神様「勝てる訳ねぇだろうがぁぁぁぁあああああ!!」
といった具合で降伏。
と言ってもたっちゃんたち真摯だったんで取引で噂を広めることに協力的です。
あと次回更新も遅れます断酒の影響で肝臓は良くなったが四肢が痺れてまともに動かないし一気に体重が激減した上に筋力も落ちて走れなくなり歩くのでやっとそこに一気に寒くなったせいで自律神経が吹っ飛びうつ症状が悪化してるので・・・すいません遅れます