大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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10 綿月の二姫

 

羽山戸神様と大気都比売神、秋比売神姉妹らとの交流で大和の国と大樹の国の関係は回復しつつあった。

 

大樹の国と大和の国のお互いに行き来するようになりました。

そんな時に私の住む大樹の国の社に美人な姉妹とお姉さん方の旦那さんが訪ねてきたのです。

 

「大樹野椎水御神、姉が産気づいてしまいました。どうか、暫し宿を貸していただけないでしょうか。」

 

そ、それは大変だ。

みんなぁ!この方たちに部屋を用意してあげて!!

 

「まぁ!大変!みなさん!こちらへどうぞ!」

 

大ちゃんが、慌ててお三方を部屋へ案内する。

慌ててたから、少し遅くなったけど妊婦さんは豊玉姫、妹さんは玉依姫と言う方でした。

豊玉姫の旦那さんは火折尊って言うらしいよ。

.

 

 

 

 

 

「絶対に中を覗かないようお願いします。」

 

豊玉姫様は私達にそうお願いしてきたので私は産湯を用意して待ってますね。

 

「本当に何から何まで有り難う御座います。」

 

豊玉姫様は一足先に部屋にこもってしまったので妹の玉依姫様が代わりにお礼を言ってくれた。

 

「大丈夫なのか!?大丈夫なんだよな!!」

 

山幸彦様は忙しなく部屋の周りをうろうろしているよ。

 

ガタガタと部屋の中から大きな物音がする。よっぽどの難産なのかな?

玉依姫さまも山幸彦様も心配そうだ。でも入るなって言われてるし・・・大ちゃん、御二柱にお茶をお出ししてくれない?

 

「わかりました。」

 

私も大ちゃんと一緒にお茶の用意を手伝いに行く。

 

「もう我慢できん!!!豊玉姫!!戸を開けるぞ!!」

 

山幸彦様の大声が聞こえると同時に、豊玉姫様に貸している部屋からものすごい音がしてすごく騒がしい。大ちゃん、少し様子を見てくるね。

 

どうかしましたか~?

 

「ぎゃあああああああ!!!化け物!!!」

 

あっ痛ぁ!?

 

山幸彦様がもの動い勢いでぶつかって来て突き飛ばされちゃったよ。

痛いなぁ・・・もうっ!

 

そうだ!!豊玉姫様たちは!?

私が急いで様子を見に行くと・・・。

 

「火折尊様・・・ひどいわ・・・覗かないって約束したのに・・・。」

「姉さん・・・。」

 

泣き崩れる豊玉姫様とそれを支える玉依姫様。

 

「なんで…どうしてよ!!もういやっ!!」

「ちょ!?待って姉さん!!」

 

豊玉姫様も激昂して走り去っていき、玉依姫様もそれを追ってどこかに行ってしまった。

 

いったい何があったの!?部屋がめちゃくちゃだよ~。泣きたいのは私だよ・・・。

 

「うぅぅ・・・おぎゃあああああああああ!!」

 

え!?赤ちゃん!!ちょ!?ちょっと!!皆さん!!お子さんをお忘れですよ!?

 

 

 

『豊玉姫は妹の玉依姫を連れて陸にやりてきし そこに住まう土地神の 

大樹野椎水御神に社を借りて 豊玉姫は出産に臨んだ 

豊玉姫は絶対に中を覗かなきやう言ひし されど敢え~せられぬ山幸彦がこっそり覗くと 豊玉姫は和邇に姿を変へたりし 山幸彦は恐れおののき逃げ去に 

姫はのぞき見られしを恥じて海に去に 妹の姫もそれを追ひし 

残されし大樹野椎水御神は暫しの間 生まれし子を育てることとなりき。 』

 

 

※『』宮内庁書陵部蔵 日本書紀及び同書写本より

 

 

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