大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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104 近世 第一次世界大戦 グレート・プレーンズの戦い

 

 

 

国境に200万の大軍を集めたアメリカ軍の大攻勢はアメリカ合衆国の生産力を見せつける凄まじいものだった。

対する大日本合藩連合帝国北米諸藩の兵力は士族卒族で構成された番方の兵力に加え、徴兵された領民たちで構成された民兵で70万程だ。

 

カナダ側にも兵を置いており70万はギリギリの兵力であった。

北米諸藩は本来なら本国軍の援軍が必至であったが、対ロシア、対イギリス、対フランスに陸軍は出払っており、交戦状態には無いが清国との国境にも兵を立てる必要があり、対米戦に本国軍を大規模に送る余裕は無かった。これは妖怪軍にも言えることであった。

もちろん、他地域の諸藩や連合加盟国に外征能力は殆ど無い。

 

そんな、窮地に立った北米諸藩を救ったのは先住民諸部族であった。グレート・プレーンズに布陣した北米諸藩軍に協力した先住民は1万前後であったが100~1000前後の小集団が休みなく奇襲を仕掛けて来るわけであり、アメリカ合衆国陸軍の背後を脅かし、北米諸藩軍の戦線崩壊を防ぐのに一役買っていた。

 

 5日間の準備砲撃の後に1,600kmに及ぶ国境を超えたアメリカ軍は、月面のようになった国境だったものを目にして、日本兵は一人も生き残っていないと確信したとされる。

 

しかし、塹壕戦の知識は直接的なものでないにしろ本国からの経験が組み込まれた分、北米諸藩軍に軍配が上がった。アメリカ軍の砲撃を耐えた北米諸藩軍はアメリカ軍の歩兵が攻撃のために塹壕から姿を現すと諸藩軍の反撃が始まった。

 

諸藩軍の民兵は銃を用いた標準的な兵隊であったが、諸藩の常備軍である番方衆は戦国時代から続く士族卒族階級であり剣術等において何かしらの流派の有段者や皆伝者で白兵戦ともなると体格差を感じない八面六臂の戦いぶりであり、「塹壕戦で日本刀を構えた侍と対峙した場合は背を向けて逃げながら銃を撃て」と言われるほどで「決して銃剣やナイフで応戦するな」と言われるほどだった。

 

諸藩軍の決死の抵抗はアメリカ軍の前進を阻み、本国より供与されていた機関銃と迫撃砲も成果を上げていた。また、アメリカ軍の精神を削ったのは大樹大社御料兵と現地のネイティブ・フェアリーによる特攻で「タイジュノヅチミヅミカミサマ!!エイコウアレ!!」「タイジュサマ!!バンザイ!!」と奇声を上げて全身に爆弾を巻いて上空から陣地に飛び込んで爆発すると言う狂気じみた戦法だった。

現代では誤解されがちだが妖精がぴちゅる際にはゲームのように光の粒子が飛び散って終わりと考えるものが多いが、現実はゲームではないので致命傷を受け光の粒子に代わる過程において、血が飛び散り臓物をぶちまける過程が加わる。

そのためアメリカ軍の兵士たちの精神はガリガリと削られ、戦後精神を病むもの達が続出した。

さらに言えば記憶が飛ぶと言う不都合はあるが、妖精には死と言う概念が存在しないのだ。

目視と言うアナログではあるが精密な爆撃によって敵陣を攻撃し効率的にアメリカ軍の戦線を傷つけていった。

 

「撃て!撃て!なんなんだ!?あの頭のおかしい連中は!!」

「バンザァイ!!」

 

体に巻き付けた爆弾に命中し空中で爆発四散する妖精。

兵士達に内臓が飛び散り降り注ぐ。

 

「253陣地がやられたらしい!6匹も突っ込んできたらしいぞ!!」

「あの、カミカゼフェアリーめ!!」

 

北米大陸の先住民領域は自然が多く妖精も多い。それでいて多くの神々が現世を去り、精霊が弱っていく中、現世に残る妖精を庇護する唯一の存在である大樹への忠誠は狂信近くなっていた。

 

 

あらゆるものを奪われた復讐と精霊の頂点である大樹による実質的な聖戦に燃える先住民やリトルビックホーンの虐殺で敵愾心と義憤を燃やしている北米諸藩軍の士気は極めて旺盛であり、対するアメリカ軍の戦意は早くも下がり気味であった。

 

しかし、約3倍の200万の敵を相手に持ちこたえることは出来ず北米諸藩軍の国境防衛陣地は徐々に占領されていく。

そう言った塹壕陣地で諸藩兵とアメリカ軍兵士が狭い塹壕内で拳銃や歩兵銃で撃ち合い。

銃剣を突き付けるアメリカ軍兵士複数人相手に日本刀を振り回して大太刀周りする士族士官。トマホークを振り回しアメリカ軍兵士の頭をかち割るラコタ族の戦士。

 

「死なば諸共よ!!」

「この、黄色い猿どもめ!!」

「聖地はわたさんぞ!!」

「邪悪なインディアンどもめ!!」

 

全身を撃ち抜かれながらも10人ほどのアメリカ軍兵士を切り伏せて崩れ落ちる士族士官。

生き残ったラコタ族の戦士に士族士官が息も絶え絶えで腰の脇差を渡す。

 

「む、息子に・・・。」

「わかった。」

 

脇差を受け取ったラコタ族の戦士は塹壕の外に出てまだ無事な陣地を目指していった。

残された塹壕にはアメリカ軍兵士、先住民、北米諸藩軍兵士問わず夥しい数の死体が転がっていた。

 

戦地へと赴くパレードの際、子どもと握手したアメリカ人兵士たちがこの悲惨な光景を想像出来ただろうか。血走った目付きで機関銃や迫撃砲を発射し、歩兵銃を乱射するアメリカ人兵士たちは想像は愚か。もはや、思い出す事すら出来ないだろう。

 

「撃ち落とせ!!」

 

妖精兵を見つけて、アメリカ軍兵士たちが高射砲を発射する。

 

 

「敵の頭を抑える!!行くぞ!!」

 

腰に差した日本刀と騎兵銃を構えた新仙台藩の騎兵部隊は騎乗した状態でアメリカ軍の騎兵隊に銃撃を浴びせて機制を制し、腰の日本刀を抜く、それに続く先住民騎兵もトマホークや大鉈を掲げ、サーベルを抜いたアメリカ軍騎兵と切り結ぶ。

北米諸藩軍と先住民の連合軍は近接戦闘においての勝率は非常に高かった。

騎兵同士の戦いはもちろん、塹壕制圧における近接戦闘でもアメリカ軍の被害は多かった。

 

 

1917年4月から、5月までの間にアメリカ軍の各部隊は平均して50kmの前進に成功し、最大では100kmも進撃に成功したが、その間に戦死した兵士は50万人を超えて、完全に攻勢能力を喪失することになった。

 

後に「血の30マイル」と呼ばれる屍山血河である。

 

1km前進するのに約1万人が死んだ計算だった。

 

この数値は、4年間続いたアメリカ南北戦争の全期間に発生した戦死者の数を僅か1ヶ月で塗り替えるアメリカ軍史上最低最悪の大損害だった。

 

この結果にアメリカの世論は割れるあまりの戦死者数に厭戦気分が広がる一方で、彼らが蔑んできた黄色人種に一杯食わされたことが気に入らず復讐を望む声で二分した。

 

アメリカ軍は膨大な死傷者のみならず、補給の欠乏に苦しんでいた。

グレート・プレーンズの戦線には日増しに先住民諸部族の義勇兵が集まりつつあり、合流を断念した先住民はアパッチ族のジェロニモJrを中心にアメリカ各地で破壊活動を行った為であった。

アメリカ軍にとっての悲劇はまだ始まってすらいなかった。

 

 

アメリカ軍の攻勢停止を待って、北米諸藩軍は反攻を開始する。

補給が滞り砲兵戦力が機能していないアメリカ軍は北米諸藩軍の反撃に為す術もなく、後退をしていった。

北米諸藩軍はアメリカ軍の疲弊を待っていたのである。この作戦の立案者は竹中清兵衛、竹中半兵衛の子孫であった。

 

反撃開始から1ヶ月でアメリカ軍は元の国境まで押し返され、さらに死傷数を30万人追加することになった。

 

対する日本軍の損害も膨大で、30万人が死傷している。その内の20万人が反撃開始から1ヶ月間に生じた損害だった。また、先住民の死者数は参戦数も把握できないので詳細は不明だが1万はいたとする資料も存在する。

 

およそ3ヶ月間に渡る攻防戦により、北米諸藩軍も大損害と補給が追い付かず攻勢が停止した。

 

初期の対アメリカ戦は大軍を擁して攻めかかったが北米諸藩軍と先住民連合によって押し返された上に国内で散発的に発生する無差別攻撃の不安におびえさせられる結果となり終了する。

 

 しかし、本当の脅威は海からやってきた。

 

 アメリカ海軍大西洋艦隊がパナマ運河を越え、太平洋航路へ進出し通商破壊戦を開始したのだった。

 

 

 




今後は少しづつ戦闘シーンを増やしたい。
そろそろ、モブやオリキャラ以外の原作キャラも出したいな。
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