大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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11 妖精は幼さを捨て

「おぎゃあ!おぎゃあ!」

 

な、泣かないで~。おんぶ紐で赤ちゃんが落ちないようにして私はでんでん太鼓を鳴らして赤ちゃんをあやしてるんだけど・・・。やっぱり本当のお母さんじゃなきゃ、泣き止んでなんかくれないよね。

 

「あぁああ!!」

 

おしめかなぁ?さっき替えたばっかりなのに・・・、やっぱり違う・・・。

おっぱいかな?どうしよう私じゃ出ないよぅ・・・。

 

「あわわ!」「牛の乳じゃ駄目よね?」「ヤギもダメだぁ!」

「どうしよう!?」「ひえぇええ!!」「お粥はもっとダメだぁ!!」

 

妖精のみんなも大混乱だよ。

 

そ、そうだ。大樹の国のに住むお母さん方から母乳を分けてもらえば!!

 

そんなこんなで4年の時が経ちました。

 

「ははさま。」

「うがやふき。」

 

4年もたてば赤ちゃんも立って歩き話せる様になりましたよ。

そのうち私のより背が高くなるかも・・・。

 

 

そんな時でした・・・玉依姫が大樹の国に再び訪れたのは・・・。

 

「大樹野椎水御神様・・・その節は・・・。」

 

妖精巫女に案内されてきたのは玉依姫様は私にお礼と謝罪をしてきました。

玉依姫は私に、赤ちゃんを引き取ることが出来ないことを伝えてきたのでした。

 

「地上の穢れを吸ってしまった鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)は月に連れていけないのです。」

 

そんな!?

 

「ですが、幸いにも私自身は月の浄化術に長けておりますので、時折様子を見に来ようかと思います。」

 

こうして、私では教えられない天津神としての作法や大和の流儀を教えるために、年に何度かこの地に来られるようになられたのでした。

 

その何度かの作法指南の先生なわけで、教師と生徒の禁断の関係を築き上げて子供をこさえてたのは予想外の事でしたけどね。

よく考えるとあんたたちの関係って叔母と甥じゃないか!?近親婚じゃないのよ!やだ~!

 

二人の子供はうがやふきの強い訴えもあり地上で暮らすことになったよ。

 

また、そのすぐ後にうがやふきの父である山幸彦の母、要するにうがやふきのお祖母ちゃんにあたる神様、木花之佐久夜毘売様がいらっしゃいました。最初から最後まで緊張しっぱなしだよ~。

 

「私の不詳の息子が、とんだご迷惑を・・・。」

 

そ、そんな!?あ、頭を上げてください!?私の様な妖精上がりのものに頭など!?

 

「いえ、鵜葺草葺不合命をここまで御育ていただき感謝しています。大した礼も出来ず・・・」

 

い、いえそのような!?うがやふきは我が子も同然です。

出来る事なら、大和に戻った後も顔を合わせることをお許しいただきたく。

 

「もちろんです。鵜葺草葺不合命も喜びます。つきましては大樹野椎水御神様に内々にお願いしたいことが・・・。」

 

は、はい!?なんでしょうか!?

 

「鵜葺草葺不合命の養育の経験を生かして、その子・・・彦火火出見の養育・・・いえ、後見をお願いします。これは勿論、天照大御神様の賛同を得ての発言です。」

 

な、なぜ!?そのような!?

 

「このところ葦原中国における穢れの増大は一部の神々の危惧するところとなりまして、月読尊の一派などは一足早く月に浄土の都を築き、そこに居を移しました。わたくしたちの中からも高天原に帰るべきとの声を上げるものも現れております。まだ、数えるほどではありますが人の子として形を成そうとしている神の子たちも現れてきているのです。大和朝廷が権勢をふるえたのは力持つ多くの天津神がその圧倒的な力を持って土地神たちを抑えたからに他なりません。そして(じき)にそれは通用しなくなる。そうなる前に葦原中国を統一しなければならないのです。」

 

私は、大和の国の天津神それも上位の神様に私のできる限り最大の殺意を飛ばした。

 

・・・・・・佐久夜毘売様、それは私が洩矢の国の洩矢諏訪ノ神と親交を結んでいると知っていてそれを言うのですか。

 

「鵜葺草葺不合命を我が子と彦火火出見を我が孫と言ってくださるのなら、後見の件・・・お引き受け願いたく思います。」

 

佐久夜毘売様、ずるいですよ・・・。妖精と言う子を為せぬ種族に生まれながら母と子の情愛を知ってしまったこの身に・・・それは・・・断れるはずがないでしょうよ。

 

「・・・わかりました。天照大御神様にお伝えください・・・私、大樹野椎水御神は彦火火出見いえ・・・、たしか即位後は神武を名乗るのでしたね。神武天皇の後見の件・・・謹んでお引き受けします。」

 

 

この数日後大樹の国は解体し、大和の国に忠信を誓った。

 

 

 

 

 

そして、この時『日本書記』『古事記』『風土記』他多くの歴史文献において強い意味を持つ名詞が生まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『天皇養母兼摂政 大樹野椎水御神』

 

 

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