大本営入りした大樹らは東条英機ら陸海軍の参謀総長、軍令部総長、参謀次長、軍令部次長、作戦部長・課長に出迎えられた。
「大樹野槌水御神様、御成りです。」
衛兵の声で、列席者たちが起立し大樹を出迎える。
大樹が着席する。
「皆さん、社交辞令は結構です。作戦の概要を作戦参謀。」
大樹の言葉に作戦部長が立ち上がり説明し始める。作戦課長はその補佐に回る。
「では、これより大東亜戦争における作戦説明を行う。まず、この戦争で重要な南方資源地帯の確保を行います。ボルネオ島・スマトラ島は石油資源が豊富にあり、旧領の採掘場は今も稼働しています。また、マレーシアを含む地域は世界有数のゴム資源地帯です。ここを抑えることで我が国の兵器生産速度を上げることが出来、敵には大打撃与えられます。」
作戦部長が概要説明を行うと次は作戦の詳細を説明し始める。
「南方資源地帯の制圧です。まず、山下陸軍中将率いるマレー半島を南下。すでにマレー半島ではこちらに協力を約束している南方妖怪が決起し英軍の対応を妨害し容易に占領できると考えております。シンガポールを抑えてマレー半島を掌握後はフィリピン・ボルネオ島、スマトラ島に上陸を敢行、上陸に呼応し各島々の妖怪たちが決起する運びです。また、本作戦の援護には小沢提督率いる第二主力艦隊を投入。砲撃や空母艦載機による支援を行う予定です。上陸に成功したのちすみやかに島全体を制圧し第一段階を終了します。すぐさま第二段階に移行します。第二段階はインドおよび東南アジアの制圧。第二段階終了後はオーストリア、ニュージーランド、ハワイなど制圧。その後、アメリカ上陸作戦を行い北米諸藩と共同しアメリカを降伏させます。作戦は以上です。」
大樹が立ち上がり締めの言葉を述べる。
「各員奮励一層努力せよ。」
『臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。大本営陸海軍部12月8日午前6時発表。帝国陸海軍は本八日未明西太平洋においてアメリカ・イギリス軍と戦闘状態に入れり。帝国陸海軍は本八日未明西太平洋においてアメリカ・イギリス軍と戦闘状態に入れり。』
1941年12月、皇国はアメリカ、イギリスなどの連合国に宣戦を布告。
宣戦布告と同時に攻勢を開始。
「フィリピン攻略部隊は上陸に成功。港湾部を確保し、戦線を拡大中。」
「ボルネオ島ではブルネイ王国が我が国の側に立って連合国に宣戦を布告。ボルネオ攻略部隊の支援に回りました。」
「スマトラ島上陸成功、現地妖怪軍と東西で連合国軍を挟み撃ちにすることに成功しました。」
「マレー方面も山下中将率いる陸軍部隊が順調に南下しておりシンガポールに迫りつつあります。」
大本営では第一段階が順調に進む内容の報告が上がって来ていた。
「太平洋方面航空銃翼戦隊より入電。『アメリカ艦隊 見ユ。 艦隊 イオウジマホウメン へ ムカッテイル モヨウ』」
「第一主力艦隊はすぐに行けるのか!?」
「公海上では接敵は難しく硫黄島近海で迎え撃つとのこと。」
「間に合いそうですか?」
大本営要員の会話に口を挟む大樹。
「申し訳ありません。鋭意努力するとしか・・・。」
大樹は側仕えの妖精に命じる。
『お化け鯨を軸とした水棲妖怪たちにアメリカ艦隊攻撃を命じます。』
先の大戦の傷が癒えていないお化け鯨を動かしたのは大樹にとって苦渋の決断であった。
大樹の米艦隊討伐の勅命が太平洋の人魚、魚人と言った水棲妖怪の長達に下った。
カロリン諸島に現れたお化け鯨に骨魚や骨鳥が自然と集まり、それを目印に太平洋の各所から水棲妖怪たちが集まりながら、北上し硫黄島方面へ向かうアメリカ艦隊をマリアナ諸島沖で捕捉。
「敵接近!!」
「詳細を報告しろ。」
アメリカ海軍の艦上では艦隊司令が敵接近の報告を受ける。
「インペリアルモンスターズ!!皇国の妖怪軍団です!!」
「来たぞ!!化けも共だ!!艦載機を飛ばせ!!バードマン共にクソを撒かれないように追い払え!!砲戦用意!!海上のでか物を沈めるぞ!!」
第二次世界大戦最初の海戦は人間対妖怪で始まった。
アメリカの艦上戦闘機と張り合う航空銃翼兵の天狗たち。
艦隊の下に潜り込もうとする人魚達を爆雷投下で追い払おうとする駆逐艦。
うっかり集団で顔を出すと敵艦の砲撃で木っ端みじんにされてしまう。
魚人達は敵艦に取り付き艦上で米兵と白兵戦を行う。不利を悟った駆逐艦が魚人達を巻き込んで自爆する。
巡洋艦の対空機関砲が天狗に命中し羽が千切れ錐揉み回転で海に落ちていく。
『キュオオオオオオ!!』
空母に体当たりをしたお化け鯨に戦艦三隻から砲撃が放たれる。
ズゴーンと言う大きな音を立ててお化け鯨の骨がへし折れる。
『クォオオオオオン!!』
お化け鯨は悲鳴とも雄たけびとも聞き取れる鳴き声を上げて、戦艦の一隻を道連れに海に沈んでいった。
アメリカ艦隊は妖怪たちの攻撃に晒されつつも北上を断行するが、硫黄島沖で待ち構える山本五十六率いる第一主力艦隊に捕捉され海戦を開始。敵は妖怪たちの攻撃を受けながらも戦艦4隻、空母2隻を維持した大艦隊だったが硫黄島から多数の航空機と航空銃翼兵が援軍として駆け付け、水棲妖怪から受けたダメージに加え山本五十六の巧みな指揮により海戦は我が方有利に進み。空母1、重巡3、補助艦39隻を撃沈する大戦果であった。
大してこちらは旧式駆逐艦3隻のみであり艦隊の被害は軽微であった。しかし、妖怪側の被害はお化け鯨の討ち死を始め多数の死者が出た。妖怪>人間の図式に変化が現れ始めたのであった。
その後シンガポールの陥落と共に英領マラヤが降伏。マレー沖海戦では英国東洋艦隊をサイゴン及びツドゥムの航空基地から陸上攻撃機と航空銃翼兵の混成大編隊が襲来しこれと戦闘に入り東洋艦隊を撃破した。英国艦隊は日本の航空戦力に対して期待を集めた対空火器ポンポン砲を装備していたが有効に機能することは無かった。
ボルネオ島やスマトラ島も順調に進撃しており各地で掃討戦が始まっていた。さらに米傀儡のフィリピンが降伏。戦力に余裕が出たことでスラウェシ島やパプアニューギニア島にも上陸を敢行、現地妖怪に決起させることも同時に行われた。
東南アジアの連合国拠点を次々と陥落させていった。そして、蘭領東インドが陥落。残存部隊を掃討しつつインド攻略の準備を始めたのであった。