南洋諸島を手中に収めた皇国軍は日泰(タイ)攻守同盟を締結。東南アジアの各地域を解放して行った。その過程で香港などの連合国の疎開植民地を次々と占領した。
皇国軍はタイ王国、ビルマ王国軍他東南アジア諸国軍を統合し大東亜共栄圏同盟軍を編成。
日本皇国軍、インド国民軍、大東亜共栄圏同盟軍、妖怪軍の戦力を持ってビルマの国境を越境し英印軍と交戦状態に入った。
1942年4月、日本軍はインド攻略の足掛かりにセイロン島占領を目論み、南雲中将・小沢中将の率いる艦隊を派遣した。これに対して英国とオランダ海軍が迎え撃つも空母1戦艦1重巡3その他補助艦艇多数沈没と言う惨憺たる結果に終わった。日本軍はセイロン島に上陸これを占領した。
3月時点で日本軍はラバウル、サラモアを占領していたが、5月上旬に発生した珊瑚海海戦の痛み分けの結果、皇国海軍は無視できない損害を受ける。
その影響で一時はポートモレスビー及びツラギ攻略を目標としたモ号作戦の延期が大本営会議にて話し合われた。
しかし、これに対して大樹は猛烈に反対した。
「ラバウル攻略後はラエやサラモアなどニューギニア島東部へ進出すべし、南洋の妖怪たちはお化け鯨亡き後の士気の低下が目立つ。ここで皇軍の姿を彼らに見せて、彼らと共にあることを示さねば。南洋妖怪たちが今次大戦から離脱してしまいます。南洋諸島の確保は彼らの協力失くしては成しえません。艦隊兵力が無いのならば太平洋中の水棲妖怪を搔き集めて戦力を編成するのです。」
「で、ですが彼らも硫黄島沖ならびにマリアナ沖海戦で損害を被っております。」
「では、本土の河童たちやそれ以外の水棲妖怪を動員したうえで航空戦力に航空銃翼兵と
御料兵を動員してモ号作戦を強行するのです!」
5月中旬には西国鎮台と妖怪陸軍四国旅団、中部師団隷下の1個連隊、九州師団隷下2個連隊を乗せた輸送船団が皇国海軍の護衛艦隊と水棲妖怪連合軍と航空銃翼兵及び大樹御料兵に守られて、ニューギニア島を中心とした南洋諸島へと向かった。
珊瑚海海戦でこの周囲には日米双方の主力艦隊が撤退しており臨時時編成の上陸艦隊は一時的にできた空白を縫ってニューギニア島ポートモレスビーに上陸を果たした。
ポートモレスビーに上陸した本土妖怪軍はポートモレスビーを根拠地化し、そこを拠点に周辺地域ならびに周辺の島々を制圧していくのである。
ポートモレスビー制圧を果たした翌日。
1隻の駆逐艦が入港する。
タラップの周辺に隠神刑部狸ら西国鎮台の重鎮や妖怪陸軍の旅団長や連隊長、南方妖怪の長であるアカマタらが整列して出迎える。
駆逐艦から降りてきたのは大樹野槌水御神その人、否、その神であった。
「アカマタ、案内していただけますか。」
「はい、こちらです。刑部、あなたは南方妖怪たちと南洋諸島奪還に注力しなさい。」
「っは」
大樹は御料兵の妖精とアカマタと数匹のキジムナーらを伴い、小舟に乗って目的の島に向かう。30分程舟に揺られて着いた島はアカマタたちの本拠地であり、実質的な南方妖怪の首都である。首都と言っても島は都市がある訳でもなく熱帯密林で占められ、僅かに原始的な生活をする先住民が居るのみであった。
「大樹様、ここがバルル島です。」
バルル島の山奥の天然プールに案内された大樹たち。
プールには巨大な骨があった。
「お化け鯨・・・いえ、ゼオクロノドン、大海獣なのですね。」
「はい。」
プールの「命の水」は強力な妖力を備えている。しかし、ゼオクロノドンを復活させるにはまだ足りない。
「アカマタ、これを。」
「これは。」
大樹は風呂敷を解き、包まれていた木片を渡す。
「私の世界樹、蟠桃を枝分けした苗です。私の祈りも込めています。これを泉の一角に植えて育ててください。命の水の濃度が増すはずです。」
「あ、ありがとうございます。この御恩・・・いつか必ず。」
「「「大樹様!ありがとうございます!」」」
チン〇、ヤシ落とし、アドバラナらが歓喜の礼を言う。そして、南方妖怪たちの代表としてアカマタが大樹に話しかける。
「大樹様、この度はご足労頂き感謝いたします。セオグロノドン様もお喜びのはずです。」
「彼の件は私の落ち度。この程度のことしか出来ませんが・・・。」
大樹はアカマタに頭を下げるが、慌ててアカマタたちが止めさせる。
「あ、頭をお上げください!?我々は大樹様に感謝こそすれ頭を置下げになるようなことはありません!!この度の大樹様がなさってくださったことは南洋の妖怪たちとの結束をなお一層固めるものになりましょう。」
南方妖怪南洋閥の妖怪たちは自分たちの神であるセオグロノドンの復活の目途が立ったことにより南洋の妖怪たちは郷土防衛に燃えることとなる。大樹はそれを見てから本土に戻った。
また、大本営参謀辻政信中佐は東部ニューギニアのオーエンスタンレー山脈を越え、直線距離にして220キロを陸路をポートモレスビーと繋げ、周辺の連合国陸軍一掃を画策した。
辻政信中佐は陸軍天道派に属する軍人であり、陸軍上級士官らで大樹の存在を知り大樹の意向によって動く軍人でもあった。この当時は陸軍の天道派上級士官や将校らが軍の要所に配置されていた。
「山脈を越えて島の東西を繋げ連携することで、島の掌握は早まる。ここを維持することは米豪の連携を妨げることもできのだ!大東島(ニューギニア島)の残存を一掃したら他もだぞ!」
5月末には日本軍はビルマの英国割譲領地を奪還し、インド国境を越えた。南洋の大半は日本の制圧下に入った。犠牲は出たがうまくいっている・・・そのはずだった。
1942年6月初旬、ミッドウェー海戦で日本海軍は投入した空母4隻とその搭載機約290機の全てを喪失し敗北するまでは・・・。
ミッドウェー海戦の敗北。その前の珊瑚海海戦で日本海軍の基幹戦力である空母が5隻も失われた。
一方、ミッドウェー海戦で勝利を収めたアメリカ海軍は逆にラバウルを奪還するため、手始めに同年6月、ソロモン諸島に拠点を構えようと、ガダルカナル島占領を目指すウォッチタワー作戦を計画、8月7日にはガダルカナル島に上陸した。また、南西太平洋方面連合軍司令官ダグラス・マッカーサー陸軍大将はフィリピン奪還のためにオーストラリアを拠点にした反攻を計画した。そのため、オーストラリアの前哨ともいえるポートモレスビーの安全を確保することは重要であり、ニューギニア島を占領するにもポートモレスビーの基地が重要な役割になることが予想された。マッカーサー大将はオーストラリア軍最高司令官トーマス・ブレーミー陸軍大将と共同しニューギニア島の奪還を計画し実行に移した。
1942年8月7日午前4時、アメリカ海兵隊第1海兵師団を主力とし、オーストラリア軍の支援を受けた約1万の海兵隊員が、艦砲射撃と航空機の支援の下でガダルカナル島テナル川東岸付近に上陸を開始した。また、同時にツラギ島方面にも1500が上陸した。
同地の日本軍は壮絶な玉砕戦が行われたのだった。
ガダルカナル島の戦いに勝利した連合軍はソロモン諸島方面及び東部ニューギニア方面で本格的反攻に転じた。
連合国はニューギニア島及び周辺群島奪還の為に連合国(アメリカ、オーストラリア)軍17個師団規模、約40万の兵力を投入した。
対する日本側も10個師団以上の規模、約20万を投入した。さらに妖怪戦力は近代化している2個師団規模の西国鎮台や御料兵、航空銃翼兵団と近代化していない本土妖怪軍2個師団弱規模の約5万。詳細な数は不明だが相当規模の数を誇る南方妖怪が迎え撃った。
南洋に侵攻した連合国の兵士達は日本側の激しい抵抗を受ける。
「我らの土地に一歩足りとも踏み入れさせてはならん!!連合国を何としても撃退するんだ!」
ヤシ落としの投げたヤシの実が米兵のヘルメットを頭蓋ごと変形させ、密林の各所に潜むキジムナーたちが火球をがむしゃらに吹き放つ。
「撃て!撃てぇ!」
連合軍兵士たちは小銃や機関銃で応射した。
「ポー!!」「擲弾投下!!」
「高射砲はまだか!!」
「まだ後方です!!」
「早く持って来てくれ!!」
妖怪チン○や銃翼兵の天狗たちが空から襲い掛かる。
「西国鎮台の練度の高さを見せてやれ!」
「山童第28砲兵団へ座標送れ!」
鎮台軍や妖怪軍の一部の近代化軍は連合国軍と銃撃戦を繰り広げる。
『ニューギニアはラグナロクの一場面の様だ。』
連合国の兵士達は南方戦線をこう話した。
日本陸軍や本土妖怪軍、南方妖怪はその総力を結集して戦った。
ニューギニア、インドネシア、フィリピンと言った南洋地域の抵抗は尋常ではなかった。
しかし、米国の物量による力攻めは確実に日本軍を締め上げ徐々に南洋の拠点を奪われていった。