大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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121 連合国占領下 残党軍

10月10日、大樹の威が通じる東久邇宮内閣が解散し、完全な傀儡の内閣に引き継がれる。

これによって、これまで大樹の威によって抑えていたものが爆発する。

 

 

「京都の破魔勢力が大樹様の統制を外れ攻撃を仕掛けて来よった。妖狐たちを搔き集めよ!」

 

大樹体制下において抑えられていた破魔の勢力が大樹の失脚と共に京都及び畿内掌握に動き出した。

解体中だった中央鎮台軍や旧妖怪軍部隊を集結させようとしたが妖怪軍の多くは逃亡し、解体中であったがために武装も満足になかった中央鎮台軍は各地で敗走。

 

「人は狡く意地悪く、生き物の中では一番偉いつもりでいる。大樹様を裏切り、我々を背後から撃つ。大樹様の理想を理解しないどころか。このような事まで…恨めし、憎し…口惜しや……。白山坊はおるか。」

「ここに。」

「中央鎮台はこれまでよ。妖狐衆はそれぞれの氏族率いて各地に身をひそめよ。変化を得意とする者は人の世に潜み機をうかがえ。」

 

 

信貴山命蓮寺が僧兵によって包囲される。

 

「人心を悩乱せしむは、聖白蓮!!覚悟せよ!!」

「御仏の本願、一切衆生救済にあり人妖の分け隔てなし!!」

 

数千を超える僧兵や術師たちを相手に長時間大立ち回りを演じるも、力尽きて膝をつく白蓮。

 

「私の志すは人妖問わず御仏の慈悲にて救済すること。妖怪ことごとく日の本より逐われし時、御仏の導きにて我必ずや復活します。法界にて自らの修行とします。星、皆。暫しの別れです。」

 

白蓮ためらわず大呪を唱え、自らを法界へと封じたのであった。

 

 

 

 

 

10月22日、GHQは大樹野槌水御神を世界樹蟠桃に幽閉を決定。

伊勢神宮、富士浅間大社や諏訪大社、大宰府天満宮と言った神社諸々から妖精たちが退去して行った。すでに多くの妖精が幻想郷へ去った後であり、これら妖精は大樹に対して深い忠誠を持っていた妖精達であった。彼女たちがどこに去って行ったかはすぐに露見することとなる。

 

 

また、大樹の幽閉が決定された際には関東近郊の妖怪や妖精の決起が発生したが散発的でまとまりは無くGHQ付の魔法使いたちによって討伐された。

 

GHQは魔法使い達を蟠桃の監視に置いた。これが麻帆良学園都市へと姿を変えて関東魔法協会を形成するのである。

 

 

 

 

 

 

 

その数日後。

 

妖怪の一団が呉海軍工廠を襲撃。妖狸の兵士が海軍工廠の警備兵を次々と無力化、戦場帰りの妖狸と内地勤務の警備兵では練度が違う。)3月の呉軍港空襲によって軍港機能を削られ重要その下がった場所に配備される警備兵と非戦闘員である造船所職員が相手なら建造中だった大和型戦艦紀伊を奪取することは容易であった。

 

あっという間に奪取された戦艦紀伊は呉の軍港を脱出、大樹を信奉する河童や山童は制圧下戦艦紀伊に乗り込み艦橋や機関室を掌握した。瀬戸内海から太平洋へと航海し、すぐに日本海軍や連合国海軍の哨戒網から逃れることに成功した。

 

戦艦紀伊の太平洋脱出が成功したのは日本海軍内の天道派の協力であったり、連合国を快く思わない海軍軍人のサボタージュなどが挙げられる。

 

武器弾薬の入った木箱や鉄箱が甲板の各所に積み上げられていた。

妖狸たちとそれを上空から見守る航空銃翼兵団の天狗や妖精たち。彼彼女らの視線は大礼服を着た大樹最恩顧の大妖怪と目される隠神刑部狸に集まっていた。

 

「我らが愛する大樹野槌水御神様は今、世界樹・蟠桃の底に幽閉されている。大樹様は我らの為にその身を挺してお守りくださった。そして、私、隠神刑部に恩寵の品としてこの蟠桃の香木をくださった。大樹野槌水御神様はその名の通り大樹の妖精を始まりとしていることは知っての事であろう。大樹大社において桃が神聖なものであり、蟠桃はその頂点であると言える。つまり、この香木は自身の魂の一部なのだ!!私は大樹様を誰よりも信奉しておる。これを託されたと言う事は!!大樹様を信奉する者の頂点に立てと言う意味だと理解したのである!!御料兵団は我に従うことを約束してくれた。諸君らは私を認めるか!!異議がある者は、今ここで発言せよ!!」

 

隠神刑部狸は辺りを見まわす。

刑部狸の背後には蟠桃の大きな香木が聳えていた。

異議を唱えるものなどいなかった。

 

 

「私は、大樹野槌水御神様を信奉する者として・・・誇りある日本妖怪として誓う!!あの悪しき者どもから大樹野槌水御神様をお救いし、奴らに勝利するその日まで・・・決して武器は下ろさぬと!!我が戦友諸君もその力を貸してくれようとしてくれている。我々に神国日本の命運が懸かっているのだ!!よって・・・私は今、連合国及びメセンブリーナに対して徹底抗戦をここに宣言する!!」

 

「「「「「うわぁああああああああ!!!!!」」」」」

妖怪狸、天狗、妖精と言った妖怪たちが武器を掲げて雄たけびを上げた。

 

 

 

 

 

さらに数日後、マッカーサーらが詰めるGHQの司令部に上げられた報告書を呼んだマッカーサーは渋い顔をする。

 

『復員船の失踪案件についての最終報告』

 

「マジシャンどもの口車に乗って火遊びをしたら火が消せなくなってしまったな。人間同士の戦争は仕舞にして後はマジシャンどもに責任を取ってもらえ。クソが」

 

マッカーサーは書類をそのまま暖炉に放り投げた。

 

 

 

 

 

 

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