大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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145 昭和・三種の神器編 ぬらりひょん派の進撃

12月年末、御用納めの時期。

ぬらりひょんがアジトに使っている自社ビルの屋上に設置している日本屋敷。

 

 

「本所七不思議の妖怪たちがやられては手詰まりじゃぞ?ぬらりひょんよ。」

 

邪骨婆は眉をひそめて怪訝そうにぬらりひょんの顔を見る。

朱の盆は黙ってふたりの様子を伺っていた。

 

「うむ。鬼太郎めがここまでやるとは思わなんだ。儂も少しばかり危険を冒す必要がありそうじゃな。そこで儂は三種の神器を手に入れようと思っておる。」

 

「ほぉ・・・それはそれは・・・して、首尾は?」

 

「上々・・・熱田に向かわせた鉄鼠と辻神たちから草薙剣を奪ったと先ほど連絡があった。」

 

「ぬらりひょん様!!それは!!」

朱の盆が声を上げる。

 

「そうだ!三種の神器はこの国の皇が代々受け継いだ由緒正しいもの!三種の神器を手にすればこの国を支配したも同然!!次は伊勢神宮の八咫鏡だ!!」

 

そこにタイミングよく草薙剣を奪ってきた鉄鼠たちが現れる。

 

「おぉ!よくやったぞお前たち!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「総理!一大事です!!」

「何事かね?」

 

秘書官が総理に何やら耳打ちする。

 

「なんと!?それは一大事じゃないか!!直ちに自衛隊に・・・いや待て・・・自衛隊はいかん!いかんぞ!アメリカを刺激しかねん。うむ、そうだな。ひとまずここは警察力で三重の機動隊に周辺県警の機動隊を援軍に向かわせて守りを固めよう。あと、三重はどっちの管轄だったか?関西か関東か?」

「関西です。総理。」

 

総理は手をポンと叩き秘書官を指さして命じる。

 

「であれば、君!その関西に至急伊勢の死守命令を出したまえ!!」

 

秘書官がさらに付け加える。

 

「総理、三種の神器が狙いならば。八尺瓊勾玉も危ないのでは?」

「なら、そっちにも県警機動隊を派遣すればいいだろう!それと呪術協会の連中にもだ!」

 

「総理、八尺瓊勾玉は皇居の剣璽の間です。」

「じゃあ!関東の魔法協会に伝えたまえ!そのくらいの気を利かせたまえよ!君!」

 

「いえ、皇室関連の事象は大樹大社へも通達する慣例があります。」

「大樹大社ぁ!?あ・・・あれか。うむ、そうか。確か、今は麻帆良の小神社であったか?」

 

梅下総理は大樹大社の名前を聞いて少しだけしおらしくなる。

梅下を総理に推した元老議員の何人かは大樹大社の熱心な信者もいたからだ。

しかしながら、大樹信者の議員がいる一方で、魔法使いやアメリカに媚を売る議員もいるわけで・・・。

 

「また、面倒な・・・。関西で片を付けさせよう。陛下も最近御身体の調子がよろしくない。下手にご心労をおかけする必要もないだろう。うん、それがいい!君、関東への伝達は明日でいいぞ!」

 

楽観的なことを言う総理であった。

 

 

 

 

しかし。

 

「総理、伊勢神宮の八咫鏡が奪われました。」

「な、なんだと!?・・・・・・こうなった以上、麻帆良のやんごとなき御方にお頼みするほかあるまい。」

 

 

 

 

 

 

 

「と、いう訳じゃ。大樹殿、お願いできるかの?」

 

学園長の近衛近右衛門は手を合わせてお願いする仕草をして大樹の方を見る。

 

「三種の神器を二つも盗られては、私でお役に立てますか?」

 

大樹が心配そうにしているとエヴァンジェリンが横から口を出す。

 

「私が付いて行っても良いが?」

「エヴァは三種の神器がどれほどの物かわかっていないから楽観的なのね。あれは中国の四凶すらも倒す力があるの。闇属性のあなたとの相性はあまり良くないわよ。」

「とは言え、お前ひとりでと行くよりはいいだろ?」

 

大樹の不安視する言葉で近右衛門とエヴァンジェリンはそれを否定することが出来ずに押し黙ってしまう。

 

『とは言え、大樹。貴女が引きこもったままだと万策尽きるのは事実なのよ?』

 

そんな言葉と共に、何もない空間が咲けて道士服を着た女が姿を見せます。

その妖怪は八雲紫であった。

 

「久しぶりね大樹、それにエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。闇の福音と言えど神器二つを相手取るのはキツイわよ。」

 

あっけに囚われている近右衛門に対して、スカートの裾を持って挨拶する。

 

「お初にお目にかかります。幻想郷の管理者八雲紫と申します。お見知りおきを・・・とは言え、私ができることは少ないわ。援軍を送る事だけよ。」

 

そう言って、隙間からスポポンと言った擬音が聞こえそうなモーションで二人の妖精が飛び出してきた。

出てきた二人の妖精を見て大樹は目を丸くした。

 

 

「大ちゃん!!チルノも!?」

 

「え、ここは?え?ティタ!?」

「痛たたた…なにすんのよ!!あ!ティタ!?」

 

 

 

「かつての貴女の重臣を置いていくわ。この子達、貴女の事を思い出してるから、きっと助けになるわ。」

 

八雲紫はそう言って隙間を閉ざした。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、大樹たちは総理の要請もあって八尺瓊勾玉警護の為に皇宮へと向かった。

大樹大社のナンバー2であった実績を生かして、大妖精は周辺の妖精達を搔き集めて臨時の巫女衆を結成した。

 

「麻帆良の周辺は魔力が濃いから神秘もそれなりにあるみたい。妖精の子達もそれなりにいたわ。みんな、協力してね。」

 

「おー!」「まかせろー!」「わぁい!」

 

 

間の抜けた掛け声を聞いたエヴァは「大丈夫なのか?」と一言。

 

「ま、まぁ。いないよりはマシでしょ?」

 

妖精集団に交じり氷の剣を作って剣舞風の動きをするチルノを見ながら大妖精は答えた。

 

「光の三妖精の子達はまだ思い出せてないのよ。それに、こっちにいるはずの梅林や水楢にも声を掛けたけど返事が無かったのよ。」

 

「ケケケ、先が思いやられるッテカ?ご主人?」

「うるさいぞ・・・。」

 

エヴァンジェリンは手を頭に当てて、天を仰いだ。

 

「エヴァ、大ちゃん?どう様子は?」

「やれるだけの事はしたけど…ごめんね。あんまり順調じゃないよ。」

 

 

「大妖精の言う通りだ。やれるだけのことはやった。爺が言い含めてくれたから警察も麻帆良の魔法使いも、こっちに変なちょっかいは出さないが・・・。」

「協力も期待できないって事か。・・・・・・ん?」

 

 

大樹が何かに気付いて、空を見上げる。

 

「皆さん!事情は紫さんからの手紙で聞きました!!僕たちもお手伝いします!!」

「大樹様!!えばんぜりん殿!!それに大妖精様にチルノ殿もいらっしゃったか!!ぬらりひょんとは浅からぬ因縁、儂らゲゲゲの森の妖怪たちが御味方しますぞ!!」

 

 

一反木綿に乗った鬼太郎と目玉の親父が居りてきた。他の妖怪たちは烏たちに運んでもらったり自力で飛んできている。

 

それを見た大樹は鬼太郎たちにお礼を言う。

 

「皆さんありがとうございます!皆さんが来てくれて心強いです!」

 

 

 

「へ~、シーサーから洩矢の諏訪子様も小さい女の子って聞いてたけど、大樹様も小さい女の子なのね。神様ってみんなそうなの?」

「え!?他の神様はもっとお姉さんだったり、大人だったりするんですけど。それに私も諏訪子も年は・・・えっと・・・。」

 

「猫娘さん!神様が困ってますよ。」

 

そう言って、救急箱を持った夢子が顔を出す。

 

「あれ、貴女は人間?よね?」

「はい、私も何かお手伝いしたくて…。邪魔にならないようにしますから手伝っていいですか?」

 

大樹は少しばかり頭を悩ませた。

 

「夢子ちゃんやぁい!包帯とか薬は儂の鏡の中に入れておくといいぞ。儂の鏡の中は広いからな。あっれまぁ~大樹様じゃぁあ~!ありがたや、ありがたや。」

 

鏡爺が夢子に声を掛けた拍子に大樹の姿を見つけて拝み始める。

それに大樹は苦笑交じりに尋ねる。

 

「あなたはこの人間の女の子と仲が良さそうですが、この子はどんな子なんですか?」

「夢子ちゃんはとってもいいこじゃよ。儂ら妖怪にも優しいし、きっと妖怪と人間の懸け橋になってくれる子なんじゃと皆、思っているんじゃよ。」

 

それを聞いた大樹は微笑んで、許可を出して部下のぐわごぜを呼びつける。

 

「ぐわごぜ、彼女を救護所に連れてってあげて。」

「は、はい!って貴女は・・・あの時の・・・あの時は悪いことしたすまなかった。」

「カロリーヌちゃんのお父さんですもの、悪い妖怪じゃないってわかってますよ。」

「そう言ってくれると助かるよ。ありがとう。」

 

「あら、ぐわごぜとも知り合いなのね。なら、心配いらないかしら?じゃあ、お願いね。」

「はい、お任せください。カロリーヌ、この子と一緒に救護所に行くから早く来なさい!」

 

「は~い!」

 

ねずみ男と遊んでいたカロリーヌを呼びつけてぐわごぜと夢子は皇宮の門の内側に入っていった。久しぶりにカロリーヌと会えたねずみ男はだいぶ興奮気味に喜んでいた。

 

「人と妖怪が仲良くすること・・・・・・まだ、希望が持てそうね。もう少し頑張ってみるわ。」

 

 

 

 

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