大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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147 昭和・三種の神器編 吹上の戦い

「髪の毛針!!!」

「あいしくるふぉーる!!」

「魔法の射手(サギタ・マギカ)!! 氷の17矢(セリエス・グラキアリース)!!」

 

 

鬼太郎、チルノ、エヴァンジェリン達が大奮戦し、邪骨婆率いる主力を圧倒する。

 

 

「おのれ!!何という強さじゃ・・・寄せ集めと侮るべきでなかったわっ!!」

 

苛立たし気に地団太を踏む邪骨婆であったが、すぐに表情を変えてニヤリと笑う。

 

「じゃが、お前たちを引きつけると言う目標は達成済みじゃから問題は無いわっ!!」

 

「それはどういう意味です!?」

 

その場を指揮していた大妖精が尋ねる。

 

「シャシャシャ!ぬらりひょんがここにいないってことがそのままの意味じゃよ!!な、なんじゃ!?」

 

 

邪骨婆が悦に浸ろうと気を許した瞬間にエヴァンジェリンとチルノが大技を繰り出す。

 

 

「解放・固定(エーミッタム・エト・スタグネット) 、千年氷華(アントス・パゲトゥー・キリオーン・エトーン)!!」

「ぱーふぇくとふりーず!!」

 

 

「「「「ぎゃあああああ!!」」」」

 

ぬらりひょん配下雑兵妖怪たちが氷漬けになる。

 

 

「鬼太郎!!吹上御所だ!!吹上御所に行け!!奴はそこにいる!!」

「わかった!!」

 

エヴァンジェリンの言葉に従って鬼太郎はその場を離れる。

 

「鬼太郎を逃がすな!!ぬあ!?」

 

邪骨婆が鬼太郎を攻撃しようとしたがエヴァンジェリンとチルノがそれを阻んだ。

 

「本家の闇の魔法(マギア・エレベア)がお相手しようか。ぬらりひょんの参謀殿。」

「あたしたち、氷のサイキョータッグが相手よ!!」

 

「私は闇を前面に・・・いや、何でもない。氷の魔法で相手をしようか。(チルノ・・・安土時代より馬鹿になった気がするな。)」

 

 

 

 

「「「えいか!えいか!とぉ!!」」」

「もっと!」

「「「えいか!えいか!とぉ!!」」」

「もっと、前へ!!」

 

そのすぐ近くでは通常よりも長い桃の棍を装備した妖精達を大妖精が指揮して、妖怪たちを撃退していた。

 

「砂爆弾じゃ!!」「おんぎゃー!」「締め上げちゃる!!」「ぬりかべ~!!」「ニャー!!」

 

鬼太郎ファミリーの面々も大活躍だ。

 

 

 

 

「えぇい!!ぬらりひょんも神器を得て強くなってる!!鬼太郎一人増えても何とかなるわい!!貴様らも怯まずいかんか!!」

 

そう言って督戦する邪骨婆だが、当人はちゃっかり辻神に乗って戦線離脱した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「雷光剣!!」

 

「ほぉ…神鳴流の剣士ですか。なるほど、なるほど…今までの私なら脅威でしたが、草薙剣と八咫鏡を手に入れた今の私なら、脅威至りえませんな。このようにぬらりくらりと躱して・・・こう!」

 

「っぐぅ…」

 

神鳴流の剣士である近衛詠春は扉に叩きつけられ気を失う。

叩きつけられた扉はそのまま後ろに倒れ、室内があらわになる。

 

ベットを起こした状態で国璽の入った漆箱を抱え、ぬらりひょんを睨みつける今上天皇と八尺瓊勾玉を首に掛け、桃の柄の薙刀を向ける大樹の姿があった。

 

「これはこれは、今上陛下。三種の神器の三つ目、八尺瓊勾玉とその国璽を頂きにまいりましたぞ。」

 

「こ、これは貴様の様なものが持ってって良いものではない!絶対に渡さん!護衛官!!」

今上天皇の言葉で皇宮警察の護衛官の拳銃が一斉に放たれる。

 

「無駄です!」

 

八咫鏡を中心に膜状の障壁が現れ、銃弾を防いでしまった。

 

「大樹様、人間に期待をするなんて無駄なことはおやめなさい。この国は妖怪が政の中心にいた方がよくなりますよ。」

 

「そうかもしれません・・・ですが!!それは貴方ではない!!」

 

大樹が薙刀を振り下ろす。

 

「ぬ、貴女は戦神ではない。立ちすじは素人に毛が生えた程度・・・。」

「てぇい!!」

 

ぬらりひょんは大樹の攻撃をぬらりくらりと躱していく。

 

「私ですが、仕込み刀で剣術は少々たしなんでいましてね。戦国時代には三好での抗争で刀を振るったことも多かった。」

 

ぬらりひょんは大樹を追い詰めていく。

 

「援軍の見込みは無く、三種の神器の内、二つはこちらにある。大樹様、詰みです。」

「っく」

 

ぬらりひょんは大樹に止めを刺そうと剣を引いて突き刺そうとする。

 

「人間ばかりを贔屓して、妖怪の為には何もしない・・・出来ない神など。不要・・・です。」

 

 

 

 

「リモコン下駄!!」

 

「っぐぁ!?おのれ鬼太郎!!どこまでも私の邪魔をする!!」

 

苛立たし気に鬼太郎を睨みつけるぬらりひょん。

 

鬼太郎はオカリナ剣とちゃんちゃんこを棒状にした二刀流で身構える。

 

「勝負だ!ぬらりひょん!」

「望むところだ!ゆくぞ!」

 

 

鬼太郎とぬらりひょんが何合と武器を打ち合わせ続ける。

 

「えぇい!ここでは国璽を壊しかねん!外で相手をしてやる!!」

「待て!!」

 

ぬらりひょんが外へ飛び出し鬼太郎がそれを追う。大樹も侍従に助け起こされてから、その後を追う。

 

 

神器二つを相手に鬼太郎も次第に押され始め、ぬらりひょんは調子に乗り始める。

 

「ふあははは!!!妖怪に破邪の神の力はきつかろう!!儂とてピリピリするでな!!」

 

それを聞いた大樹はぬらりひょんに飛びつく。

 

「な、大樹!?何のつもりじゃ!!」

「ぬらりひょん、貴方ほどの大妖怪でも神気は辛いようですね!!なら、私の神気も食らいなさい!」

 

大樹は自身の神気を草薙剣と八咫鏡に流し込む。

 

「熱い!?痛い!?なんだこれは!?や、やめろ!!」

「止めだ!ぬらりひょん!!」

 

鬼太郎の掛け声で危機感を感じたぬらりひょんは草薙剣と八咫鏡を投げ捨てる。

 

「こんなもんいるか!?危なすぎるわっ!!」

 

鬼太郎と大樹の双方に神器を投げつけて、逃亡を図るが失敗してしまう。

 

「ぬらりひょん・・・、大人しく天狗ポリスに捕まるんだ。同じ妖怪の誼・・・殺したくはない。」

「ほぉ…、私に情けを掛けるか。気に入らんな…それに、人間たちはそのつもりはなさそうだぞ。」

 

ぬらりひょんは煙幕を張ってそのまま逃げて行った。

 

ぬらりひょんはいなくなった。

しかし様子がおかしい、機動隊や魔法使い達の銃口と杖が向いたままだった。

 

「武器を下ろしなさい!!下ろせと言っている!!」

 

大樹の一喝で機動隊の方は銃を下ろす。

しかし、昔から因縁のある魔法使い達の杖先が降りない。

 

「妖怪は殺すべきだ!!ぬらりひょんを逃がしたこいつも同類だ!!」

「そうだそうだ!」

 

人間った位の方から非難の声が上がる。非難の声は警察側からも上がる。

 

大樹・鬼太郎と魔法使いや警官たちの間に一人の少女が割って入る。天童夢子である。

 

「こんなのおかしいわ!!鬼太郎さんたちは人間を助けてくれたのよ!!どうして、こんなことするの!!間違ってるわ!!」

 

 

彼女の言葉に心打たれた機動隊の隊長が武器を下ろすように言う。

魔法使い達も渋々武器を下ろした。

 

難局を乗り越えて緊張の糸が切れた夢子は膝を付き、鬼太郎がそれを支える。

 

「ありがとう、夢子ちゃん。」

「鬼太郎さんこそ大丈夫?」

「うん。」

 

 

仲睦まじそうにする二人を大樹は微笑んで見つめる。

 

人間と妖怪はきっと仲良くできる。

純粋な心を持つ光のような少女、彼女の様な子がいればきっと・・・大丈夫。

 

 

パーーーーーン!!

 

 

一発の銃声が響いた。

 

 

1発の銃弾が歴史を変える。

 

 

 


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