大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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152 平成 西洋妖怪軍団襲来 中編

そして、鬼太郎たちの筏が鬼界ヶ島をベストメンバーで目指しているころ。

 

 

 

 

ヤングジェネレーションズを率いる立場にあったさとりは幻想郷でレミリアからメイド妖精やゴブリンと言った一部兵力を借り受け、自身が治める旧地獄に伏せていたゾンビフェアリー軍団を率いて鬼界ヶ島へ向かう前に、紅魔館のレミリアを介してパチュリーの協力を得て、麻帆良の図書館島地下に籠る大樹に通信をつなげたのであった。

 

 

大樹は世話役の妖精巫女から水晶玉を媒体にした通信球を受け取って、紅魔館の一室を借りたさとりからの通信がつながる。

 

通信をつなげるために紅魔館の食客の魔女パチュリー・ノーレッジが一瞬移るがすぐに画面外に移動して、通信に異常が出たら呼ぶように告げるとどこかに行ってまった。

 

 

孫娘さとりとの会話内容に入る前に幻想郷の立ち位置について説明しておく必要がある。

現在の幻想郷は人間社会とのかかわりを完全に断ち切っている。妖怪の餌を確保するために人間を誘拐しているようだが、居なくなっても問題なさそうな人間を選ぶなど八雲紫もかなり気を使っている様だ。ただし、妖怪社会の関りは幻想郷の秘匿を維持するうえで外部の協力は不可欠なこともあり継続中である。是非曲直庁の幻想郷支部があり、西洋妖怪軍団のレミリア・スカーレットやさとり・K(古明地)・ベアードと言った西洋妖怪軍団の重鎮に別荘地設けさせたり、是非曲直庁と西洋妖怪軍団の複雑で政治的な事情によって設けられた旧地獄の所領、戦後の日本妖怪の大移住など色々な妥協を受け入れているが局外中立を謳っており、八雲紫派閥(?)の天狗衆の天魔の兵力や彼女自身の式や彼女の一声で集まってくる妖怪などがいるので武装中立的側面も持っている。また、彼女の式である九尾の八雲藍はどの程度の縁戚かは知らないが、白面金色九尾狐と縁戚であるらしく中国妖怪の首領チーとの窓口もあり、中国妖怪と西洋妖怪の衝突があった際に幻想郷の仲介で幕引きされた事例もある程、政治的にも重要な立ち位置にいる。

 

レミリアやさとりがそれぞれの所領に私兵を伏せているのは八雲紫のルーズな面が出ていると言えばそれまでだが、八雲紫とその協力者の戦力が強大である故にレミリアやさとりの私兵の存在を見逃しているとも言えるのである。また、さとりが幻想郷創設時の協力者の一人である私の孫娘であるという忖度もあるかもしれない。ただ、私は創設時のメンバーではあるが1936年の幻想郷侵略の主犯であるので幻想郷での評価と言う株は創設時に比べ落としてしまっているだろうが、有力者であることは変わらないだろう。

 

話を戻して、さとりとの会話が始まる。

 

「久し振りですね…さとり、お仕事は順調?。妹のこいしとは仲良くやっていますか?」

「はい、お祖母様。ご存じかとは思いますが、私・・・お父様に新しい軍団を任せて頂けたんですよ。色々大変でしたが、お燐もお空よく私を補佐してくれます。」

 

嬉しそうに話す孫娘さとりに思わず顔を綻ばせる大樹。

 

「ただ、こいしは・・・心の目を閉ざしてから年々、存在が薄くなって私もお父様もこいしの存在が掴めなくなって・・・。」

「そうなのですね。」

 

「ですが、ご心配なく。私の軍団が名を挙げて知名度が上がれば私の妹としてのこいしの知名度が上がって存在が濃くなるはずですから!」

 

さとりとの会話は弾み2時間近く話し込んでしまった。

さとりにも仕事があるのだからと大樹は話を切り上げようとした時、さとりは少しだけ表情を硬くして大樹に話し始めた。

 

「お祖母様は100年前極東の島に妖怪と人間の共存する理想郷を作り上げました。」

「今は滅び去った過去の話です。」

 

さとりの言葉に大樹はすぐに否定して返す。

 

「その最たる大日本合藩連合帝国は東洋の大半を掌握し、お父様もそれに倣いドイツ帝国やオーストラリア、トルコを掌握して、1910年代にはお父様の勢力圏と共同し実質的に世界国家の形を作りつつありました。」

「結果は惨憺たるものになったわ。」

 

「ですが、お祖母様は一度は世界に妖怪の理想郷を完成させた。」

「それは過程の話です。」

 

「お母さまも最期までその世界の為にお父様を支えました。妖怪や妖精の未来のために・・・。」

 

普段の彼女からは想像できないほどに感情が出ているさとりに大樹は痛いところを突かれたと苦い顔をする。

 

「お祖母様。今、世界は人間の傲慢によって酷いことになっています。世界中で大勢の妖怪や妖精たちが辛い思いをしています。もし、お祖母様が御立ちになるのなら世界中の妖怪が、妖精がお祖母様に従うでしょう。お祖母様、今こそ私たち妖怪、妖精の為に道をお示しください!」

「今のは聞かなかったことにします。」

 

さとりの言葉を聞いた大樹はそう言って通信機のスイッチを切った。

 

物言わなくなった通信球を大樹はただただ見つめた。

環境破壊が進み、人間たちの無配慮な開発が妖怪や妖精たちの住処を奪い、ゾンビフェアリーと言う妖精の怨霊とも呼べる存在を生み出した。心ある人間たちは年々その数を減らし、この世界が確実に悪い方向へ進んでいることも頭では理解している。

 

だが、天童夢子をはじめ大樹に人間の心の光を示した者たちがいるのも事実なのだ。

麻帆良には近衛学園長をはじめ大樹に理解ある人間が多くいた。

この学園で教師として子供たちと接し、子供たちにある種の光を見ていたのは事実だ。

だが、それが実を結んでいるかと言えば…答えることはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「お祖母様・・・。」

 

切られた通信球を目に、さとりは俯いた。

 

「お祖母様が、私たち妖怪の最後の希望なのに…。」

 

 

 

少しして、レミリアが顔を出した。

 

「その様子じゃあうまく行かなかったようね。」

「えぇ、ですが…。」

 

さとりが次の言葉を続ける前にレミリアが言った言葉にさとりは驚いてしまう。

 

「君の部下たちが、君の指示を待たずに日本妖怪たちと戦闘を始めたようだよ。」

「なっ!?」

 

「ハハハハ!!独断専行は戦の華とはよく言ったものだが、ゲゲゲの鬼太郎はそう容易い相手ではないぞ。ヤングジェネレーションズには少々荷が勝ちすぎているし、あのバルモンドとか言うエジプト妖怪は信用ならなそうだ。はやくいってやったほうがよいのではないか?」

「・・・・・っ!?レミリアさん、ここは失礼させていただきます。」

 

さとりは足早に紅魔館を後にした。

 

パチュリーの言葉にレミリアは愉悦を混じらせた笑みを浮かべる。

 

「楽しそうね。レミィ。」

「見える運命は朧気で一つに絞れないが、どう転んでも面白そうではある。」

 

 

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