鬼界ヶ島では鬼太郎がバルモンドに敗れ、ミウの前に引きずり出された。
バルモンドは地獄のカギの在処を言わないミウに苛立ち、ミウを殺そうと喉元に鋭く尖らせた包帯を突き立てようとした。
「これ以上お前たちなんかにみんなを傷つけさせてたまるかぁ!!!」
「な!?」
鬼太郎の渾身の指鉄砲の乱射でバルモンドの腹部を貫き怯ませた。
「わぁあああああ!!」
指鉄砲の乱射で西洋妖怪の雑兵たちの大半を倒して、西洋妖怪を撤退させたのであったが鬼太郎も力尽きて海に落ちてしまうのでした。
海に落ちた鬼太郎を引き上げたミウは、鬼太郎に地獄のカギを授け鬼太郎の命を救った。しかし、ミウは鬼太郎の無事を仲間たちに知らせに行く途中でバルモンドに捕まってしまうのです。
さらにバルモンドは自らの回復のためにドラキュラ三世や狼男ワイルドに魔女ザンビアの揚力を奪い取ります。
「わたしはバックベアード様と姫様のお気に入りなんだから、そんなことをしたら後悔するんだから!」
「ベアード?さとり?あんな歴史の浅い妖怪になぜこの俺様が従わねばならんのだ!それにその娘は日本の妖精の母を持つ混ざりものではないか!!・・・?なんだ?この汚い妖力は「私、ビビビのネズミ男」要らん!!」
放り出されたネズミ男は仲間たちに助けを求め、子泣き爺や砂かけ婆たちが駆けつける。
ミウは地獄のカギを渡さぬようにと四季映姫の下に駆け出す。
「五官王様からは鬼太郎のために戦えと言われてましたからね!」
「よくやりましたよ!小町!この少女は白!真に正しき者です!」
小野塚小町の大鎌がバルモンドの胸を貫き、四季映姫の悔悟の棒がバルモンドを張り倒す。
そして、満身創痍ながらも鬼太郎が姿を現す。
「これ以上は好きにはさせない。バルモンド。」
「くそ、だが、そんな姿じゃ指鉄砲はもう使えんだろう!ここで貴様らまとめて皆殺しにして西洋妖怪の頂点に立ってやる。」
バルモンドは吸収した妖力を使って巨大化し鬼太郎たちに襲い掛かる。
そして、戦いの中でついに鬼太郎に託された地獄のカギが発動する。
「開け鍵よ!来い!地獄の業火よ!うわぁああああああああ!!」
「ぐわぁぁあああああ!!」
自身の髪に宿った灼熱地獄の業火がバルモンドとその配下のミイラたちを焼き尽くした。
「あれはこそ、地獄究極奥義獄炎乱舞!」
「ん!?っひ!?」
ザンビアたちが目を覚ますと鬼太郎に取り囲まれていた。
「ここが年貢の納め時じゃな。」
「観念せい!」
子泣き爺と砂かけ婆にそう言われたザンビアたちであったが不敵に笑う。
「まだ、それは早いみたいよ。」
ザンビアが上を見上げると数千はいるだろうゾンビフェアリーと妖精の大軍勢。
「私の部下たちが世話になったようですね。」
その中心に見えるフリルの多くついたゆったりとした水色の服とピンクのスカート。紫色の髪と瞳、そして何よりもベアードの娘であることを象徴するサードアイが頭の赤いヘアバンドと複数のコードで繋がれている。
「お仕置きが必要のようですね。」
さとりが手を前に出し、妖力弾を放つとそれに合わせて数千のゾンビフェアリーと妖精たちも魔力弾を斉射する。
「え、ちょ!?私たちまで!?」
「うそぉ!?」
「こ、これはプリンセス・・・相当にお怒りなのでは?これは拙い、ひとまずは逃げてそれから謝りますよ!!」「「賛成!!」」
第2射、第3射と弾幕の雨が降り注ぎ、地面を抉っていく。
「き、鬼太郎!?」
「み、皆、岩場に隠れるんじゃ!」
さとりたちの攻撃は緩まることなく苛烈に続いている。
「さてさて、これにて止めにしましょうか・・・っ!?」
さとりが止めを刺そうとした瞬間。
「おっと!それは出来ねえ話だな!」
さとりの居たところに一撃を加え、さとりはすんでのところで回避する。
「「「「「蒼坊主(蒼兄さん)!!」」」」」
「日本妖怪の援軍?」
さとりが蒼坊主のその先を見ると、そこには呼子やカワウソたちを乗せた日本妖怪の第二陣が迫っていた。
「このまま背後を取られてはよろしくないですね。」
さとりは反撃か撤退か少し悩んでから撤退を決断した。
「彼らの若気の至りとミイラの勝手で計画とはすでに違っています。ここは撤退し立てなおした方がいいでしょう。ヤングジェネレーションズ、撤退しますよ。」
そう言うと、さとりは踵を返した。
「「「っは、はい!!」」」
さとりの視線を受けた3人は背筋をピンとして返事をすると、そそくさとさとりに続いて去っていった。
「父さん、彼女はいったい。」
「姫とかプリンセスとか呼ばれていたようだが?」
鬼太郎と蒼坊主の問いに目玉おやじは少し考えてから、思い出して話始める。
「西洋妖怪で姫と呼ばれるのは、おそらくはさとり・K・ベアード、バック・ベアードの娘じゃ。彼女がここまで来たのじゃ。鬼太郎、蒼!西洋妖怪との戦いはこれからもっと厳しくなるぞい。わしらもこれまで以上に鍛錬せにゃならんのぅ。」
「はい!父さん!」
「おぅ!任せとけ!」
鬼太郎たちの返事を聞いた目玉おやじは頷いて応じた。
(さとり・K・ベアードはバック・ベアードの娘。そして、大樹野槌水御神様の孫・・・大樹様はどう思い、どう動かれるか。)
さとりの登場に目玉おやじは一抹不安を覚えたのだった。
西洋妖怪軍団日本侵攻軍根拠地、東南アジアの某所である。
そもそも東南アジアの過半が南方妖怪の影響かだが、第二次世界大戦後期間を拒否した旧日本皇国妖怪軍残党、東南アジア諸国に圧力をかけた中国の流れに乗って食い込んだ中国妖怪、冷戦時代に民主派勢力の背後に隠れて流入した西洋妖怪と様々な勢力が食い込んでいる。
西洋妖怪軍団の拠点はそう言った西洋妖怪系の所領を徴発したものだった。
「本当に申し訳ありませんでした!!このドラキュラ三世、深く謝罪申し上げます。」
「姫様、すいませんでした。」
「ごめんなさい!許してください!」
さとりに平身低頭するヤングジェネレーションズの3人。
「今回はバルモンドの件もありましたし不問としましょう。別に想起でお仕置きしたりはしませんから怯えないでください。わたしも若い貴方たちに一生もののトラウマを植え付ける気はありませんし…ね。」
さとりはそう言って視線を動かす。
その先にはバック・ベアードの姿があった。
「「「ば、バックベアード様!?」」」
「ヤングジェネレーションズ、今回の事はさとりから聞いているよ。さとりがそう決めたのだから私からは特にいうことはないよ。私は少々、欧州でやることがあるのでね。しばらくは日本侵攻の件はさとりに任せる。だから、ヤングジェネレーションズの働きに期待している。諸君らは吸血鬼、魔女、人狼の名家の者たちだそれぞれの家名に恥じない働きをするのだぞ。火炎猫、霊烏路も娘たちのことをよろしく頼むぞ。」
「「「「「っは!」」」」」
さとりはふと思い出したように、ドラキュラ三世に尋ねる。
「そう言えば、さきの鬼界ヶ島の戦いの名乗りは随分とセンスの良いものでしたね?私やお父様のはあるのかしら?」
かなりの無茶ぶりにドラキュラ三世は戸惑いながらも口上を述べる。
「で、では僭越ながらバック・べアード様から・・・何者よりも恐ろしく、残忍で冷酷。
死者は蘇り、犠牲者の血が空を紅く染めあげる。我らが黒き太陽、絶対なる我らが王…バック・ベアード様!!」
「・・・。」
「ほぅ・・・なかなかセンスがある。娘のはどうだ?」
ベアードからの好感触に気をよくしたドラキュラ三世はさとりの口上も謳いあげる。
「では!日本侵攻の大任を預かり、怨霊も恐れ怯むその智謀。若く才気溢れる西洋妖怪を率いる麗しきダークプリンセス。そして、この世界の正統後継者!!我らがさとり・K・ベアード姫殿下!!」
「・・・。」
「悪くないな。敵方に名乗りを上げるのは東洋の侍と言い西洋の騎士と言いわかりやすい文化ではあるからな。一騎討ちはしなくていいが、敵に威を知らしめるためにも次回はさとりの向上も述べてもらった方がよいと思うぞ。」
「ぇ?えぇ…あ、はい。」
西洋の一部の妖怪が持っているキザな文化に一定の理解を持っているバック・ベアードとは言えそれを勧められるとは思ってもみないさとりであった。