2019年4月2日、ネギ少年は晴れて3-Aの担任教師になった。
その頃、ちょうど桜通りの吸血鬼の噂が生徒たちの間で広がっていた。
駅前では小柄の男性がギター演奏でストリートミュージックを披露していた。
その横をたくさんの学校の生徒たちが駆け抜ける。
そんな毎年恒例の光景。
いつも通りだ。
と、思っていたのだが・・・
生徒の一人が保健室に運び込まれていた。
佐々木真希絵さん、うちの生徒ですね。うまく隠してあるけど・・・。
首の跡と言い、エヴァ・・・何クラスメイト襲ってるの!?
と言うわけで彼女を問いつめてみたのですが・・・
「目の前に呪いを解く血が転がってるんだ。手を出したいのは当然だろう。」
いや、まぁ・・・解らなくはないですけど・・・。」
「安心しろ。お前ほど酷いことはしない。大宰府から雷神を呼ぶ様なぶっ飛んでるお前のようなことはしない。」
うぐっ・・・痛いところを・・・、うぅ・・・ちょっとだけですからね。
「すまないな。恩に着るよ。」
エヴァが行動を起こしたことが切欠で思い出したが、ネギ君のパートナー選びも手伝ってあげないとだよね。近右衛門もそれとなく言ってくることがあるし…。
大樹は超包子のキッチンカーで飲茶セットを頼み、ぼっと考える。
パートナーねぇ…。
ネギ君が魔法使いとしての相棒、パートナーをこの中から選ぶ。それは想像するに容易い話だ。極端な話、クラスメイト全員と契約するのだってあり得る話だ。
現実的には神楽坂さんが最有力、本人の意思とかそういうのは置いといて戦力と言う面で考えるなら一般人の古菲さん、長瀬さん、佐々木さんもありっちゃありかな~。案外、このクラスに置いているってことは近衛さんもありってことかな。こちら側って意味では明石さん、春日さん、桜咲さん、龍宮さんがいるわね。資金源て意味では雪広さんも候補に入れていいのかな?本人もノリノリで承諾しそうだし…。
そういえば、長瀬さんって滝川一益の部下だった子の子孫だよな。気配と言うか面影あるもん。あれぇ?古菲さんも青娥が最近、脳筋過ぎて術は教えなかった孫弟子ってのと特徴そっくり、あの人も最近は台湾以外のところをふらふらしてるらしいし、ここにも来るかもね。
「あ、どうも。」
四葉さんが運んできた点心をつまみながらジャスミン茶を楽しむ。
そういえば、ザジさんって魔族だよね。神綺様か幻夢姉妹に問い合わせてみるかな。
しっかし、今までは旧敵国の文化関係は知識としてしか考えてなかったから、ここまで積極的に取り組むことになるとはねぇ。ネギ君だっていい子だからやぶさかでないけど…。どう考えたって無力な一般人もいるから気を付けてほしいわ。その辺り、近右衛門とは考えが合わないわ。とは言え綾瀬さん、宮崎さん、早乙女さんが就職困ったら自分のところの巫女になんて考えてる辺りは人の事言えないかな。
「さてと、四葉さん。お代はここに置いていきますね。」
彼女がコクンと応じたのを確認して大樹は席を立つ。
そうだ、綾瀬さんに大樹記西征編を貸してあげる約束をしていました。
帰る前に寮によっていきますか。
綾瀬さんに前の資料と交換に大樹記を貸してあげた帰り道。
珍しいな、こんなところにオコジョなんて…。
よ~し、おいでおいで~。何か餌になりそうなものは・・・。さっき、スーパーで買ったイチゴをお食べ~。
お~シャクシャク食べてる。あまおうをあげちゃったのはもったいない気がしてきた。
・・・・・・・?このオコジョって妖精だ。同族かな?珍しいなぁ。
「オコジョ妖精さん。珍しいですねぇ。ここに何か御用ですか~?」
キュ~???
「とぼけなくても大丈夫ですよ~。同族ですからぁ。」
少しだけ隠蔽を解除して妖精の羽を見せる。
すると、すごい態度を豹変させるオコジョ妖精。
「なんだ、同族かよぉ。珍しいのはおたがいさまじゃねえかよぉ。ちょうどいいや、あんたネギのアニキを知らねぇか?ネギのアニキに用があってよぉ。ネギのアニキはネギ・スプリングフィールドって言って魔法世界の英雄ナギ・スプリングフィールドの息子なんだ。能天気なフェアリー族の妖精だって魔法世界の英雄は知ってるだろ?その息子なんだぜ!俺っちはそのネギ・スプリングフィールドの一の子分なんだぜ!」
「あら?ネギ君のお友達なんだね。」
「ん?あんた、アニキを知ってるのか?だったら、話が早いてなもんだ!ネギのアニキのところへ連れてってくれよ!」
ネギ君の関係者みたい。悪い奴じゃなさそうだけど…。
ここは少し話を聞いてみましょうか。
「へぇ~ネギ君の子分なんだ。私も今ネギ君のお手伝いをしてるのよ。」
「あんたがアニキの手伝いをしてるって!?あんたみたいな抜けてそうなのがアニキの手伝いって大丈夫なのかよぉ!」
し、失礼な。私はちゃんとやってますよ。
「それは、大丈夫ですよ。ところで、オコジョさんはネギ君とはどうやって知り合ったの?私はもともとここに住んでて地元民として色々手伝ってるのよ。」
「そうなのかい?アニキも土地勘がないだろうからちょうどいいのかな?俺っちとアニキの出会いは・・・(略、要するに罠にかかってたのを助けてもらった恩義ってことらしい。)
ところで、アニキのパートナーはもう決まったのか?」
学園の警戒網を敗れるような実力はなさそうだし、近右衛門の手引き込みってとこかな。
「何人か候補はいますけど・・・。まだ、いませんよ。」
「おっと!そいつはいけねえ!魔法使いと言えばパートナーは必須だぜ!アニキには早く男になってもらいたいぜ!パクティオでぶちゅ~とな!!」
「あらあら。」
ちょうどネギ君が向こうから、使い魔志望みたいな感じだしいいか。
「ネギ先生。お知り合いの方を連れてきてあげましたよ。」
すると、ネギ君はこちらを向いて駆け寄ってきた。
「あ、大樹先生!こんにちは。あ、カモ君!!」
なんだかんだと再会を喜ぶ二人。そして、話はパートナーのことに・・・。
オコジョさんの名前はアルベール・カモミールって言うんだそうです。
流れでネギ君の学生名簿を見ちゃいますよ~。あら、色々書いてる。
「アニキ!この人っス!!俺っちのセンサービンビンっすよ!」
あ、宮崎さん。この子は良い娘よねぇ。ネギ君はうぶなところあるし、仮カード作りだけならいいかな。最初の勢いをつけさせてあげるのは悪いことじゃないし、宮崎さんもネギ君のこと好いてたし・・・。
ちょっと、手伝ってあげるかな。
私が宮崎さん。カモミール君がネギ君を連れて来る手筈で・・・。
一肌脱ぎますよ~!
さてさて、場所のセッティングもしたし、ラブレターも仕込んだしあとは待つだけですね。
「それにしても、フェアリーの嬢ちゃんは先生だったんだな。良かったのかい?こういうのって学校の先生的にいいのかい?年齢差とか・・・?」
「年の差なんて、大したことはありませんよ。私だって見た目年齢なら夫との差は相当ですよ。それに、私も夫とのそれは床ドン!顎クイッ!からの~キャ!」
「へ、へぇ~そうなんすか・・・。あ、二人ともそろった見たいっすね。」
「あ、じゃあ私は向こう側にいってますね。」
あ、キスするのね。もどかしいわね。早くすればいいのに最近の男は勢いがないのよ!
あの人みたいにもっとガッと行きなさいな!
って、神楽坂さんの乱入!?あら、もうダメねぇ。
あんまり、生徒には裏の事は知られてないし、ここは静かに去ろうかしらね。
スススッ
「ま、待ってくだせぇ!!姐さん!!これはオオキ先生のお墨付きなんッスよ!」
「えっ!?大樹先生!?って、いないじゃない!!」
「あ、あれ!?先生!?先生!?・・・ま、待って!?ぎゃああああ!!」
そのあと
大樹を見つけて文句を言うカモミール。
「なぁ、逃げるなんてひでえぜ。オオキ先生。」
「ごめんなさいね。生徒の子たちには私の裏の事、原則教えてないのよ。ごめんね。」
そう言って、高級ひれ肉ステーキを皿に乗せて差し出す。
ムシャムシャと食べ始めるカモミール。
「だったらさきに言ってくれよ~。遠縁は言え同族のよしみで許してやるッスけど。うめぇ!!マジ、うまいッス!!」
「それは良かったです。」
肉を頬張りながら、何の気なしにカモミールは大樹に尋ねた。
「そういえば、あんたの旦那さんってどんな人なんでぇ?」
「織田信長。」
「へ?」
「織田信長。」
「え、えっと?どこの織田信長さんで?」
カモミールの声がわずかに震えている。
「尾張の国の織田信長さんですねぇ。」
「・・・えっと、もしかしてその織田信長さんって天下とっちゃたりは・・・。」
「してますねぇ。第六天魔王名乗ってましたね。」
妖精なら彼女の事を知らないなんて生まれて間もないか。モグリだ。
カモミールは彼女の正体を察した。
「生言って、申し訳ありませんでしたぁああああ!!!」
土下座。
それはもう、見事なオコジョ土下座でした。
「このことは、くれぐれも御内密にお願いしますね。」
「は、はぃいいいいいいい!!」