ネギ君とエヴァの戦いはエスカレート。
茶々丸を不意打ちしようとしたのはよろしくないですがギリギリで思いとどまってくれたのですから、良い方向に成長してくれてるみたいです。
カモミール君から、手伝ってほしいって言われたけど。
私、エヴァとはお友達だし…今回は中立ね。
茶々丸から事前に麻帆良大橋で停電起こして戦うってお知らせを受けたし・・・、ちょっと様子を見にってもいいかな。
私は麻帆良大橋の方へ歩いていく。
おやおや、佐々木さんたちが集まっていますね。
エヴァも久しぶりに吸血鬼っぽい事をして・・・ふふふ。
佐々木さんに、明石さん、和泉さん、大河内さんね。記憶が残る様なへまをするようなエヴァじゃなし、任せましょうか。私は観客に・・・。
その後から、ぞろぞろと他のクラスの生徒たちがゆっくりと群れをなして・・・、ウルスラや芸大付属に大学生もいる。用務員さんも?いくら何でもやりすぎでしょエヴァ!?
すこし、速足で歩いていると私の方に、少し赤み掛かっていてクリンとした可愛げな眼の吸血蝙蝠が方に止まる。エヴァの眷属じゃないわね。でも、昔は頻繁に会っていた吸血鬼の感じ、この蝙蝠って確か・・・。
「ジョニーの妹蝙蝠じゃない!?」
明日奈と仮契約したネギはエヴァンジェリンと接戦し、麻帆良大橋の戦いはエヴァの想定より早く停電が復旧した事で川に落ちそうになったエヴァンジェリンをネギが助けて、ネギの価値と言うことで終わりそうだった。
「エヘヘ、さぁこれで本当に僕の勝ちですよ!もうこれで、悪いこともやめて授業にしっかり出てきてくださいね!」
「わかったよ…坊や。」
「呪いのことなら、僕がうーんと勉強して解いてあげますからね。」
「な!?」
エヴァンジェリンがネギに文句を言おうとした瞬間だった。
チャラ~ン
何処からともなくギター演奏が響く。
そして、歌も・・・。
『お聞きなさい この調べ~。 胸締め付ける ギターの糸~』
さっきの4人以外の人たちが集まってきてネギとエヴァンジェンたちを取り囲む。
「ん!?この歌は!?お前たち!!歌を聞くな!」
「え、なんですかこれは!?」
「ちょっと、あんた!どういうことよ!!」
「あ、アニキ!?」
「周囲の索敵を開始します。」
『私の指で 貴女の心 解いて あげよう~ おやすみなさい 私の肩で~』
「わたしの操っていた人間たちじゃない。なぜ、あいつが・・・。」
「マスター。」
エヴァンジェリンのただならぬ態度に、ネギと明日菜も身構える。
「そう、奴の名は・・・」
『上弦の月が 真上に上り この屋敷を 照らすだろう 貴方の真赤な ワインで 乾杯 そう私は 』
『「吸血鬼エリート」』
「やぁ、久しぶりだね。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。」
少々小柄ではあったが、ギターを背負いタキシードを着て身なりの整った男が姿を現したのだった。
「貴様、なぜこんなところに・・・。」
エヴァの言葉にエリートはつまらないことを聞くなと言わんばかりに答える。
「この学園にはあのお方がいるではないか。僕はあのお方をお迎えに上がったんだよ。いつまでも、人間どもに束縛されていいお方ではないんだよ。あのお方は・・・。まぁ、物のついでにこの学園の優秀な子供の血も頂戴しようかとも思っているがね。都合よく、魔法世界の英雄の息子なんて言うのもいるんだから、今日はついているな。」
「ほぅ、さすがに堂々とそのようなことを言われるとはな。ここの警備要員もしている私としては見逃せんな。」
それを聞いたエリートは軽蔑のまなざしを送り、エヴァンジェリンを罵る。
「真祖だなんだと、大層なことを言う割には飼い犬が似合っているではないか。裏切者の面汚しが・・・。」
「裏切者?面汚し?ずいぶんな言い草だな。」
「そうさ、当然だろう。あのお方の寵愛を受けておきながら、あのお方を押し込める輩に与したんだ。」
「お前のような蝙蝠上がりが、ずいぶんと大きく出たな。」
エリートはエヴァを睨みつけ注射器を取り出す。
「やかましい!あのお方だけが!あのお方だけが!僕を御認めになってくださった!あのお方だけが僕を正しく評価してくれた!あのお方を貶めた連中は皆殺しだ!それに与する貴様も同罪だ!この注射の中にある溶解液はなんでも溶かす。僕の邪魔をするのなら、同族とは言え死んでもらう!さぁ、下僕たち奴らを殺すんだ!
」
エリートの命令に操られた人々が襲い掛かってくる。
「なんなのよ!こいつら!」
「明日奈さん!気を付けてください!!」
「マスター!彼らは吸血鬼化していません!」
「わかっている!殺すなよ!!」
操られた人々を退けたネギたちは改めてエリートに向き直る。
「ここまでです!」
「観念するんだな。」
ネギとエヴァに追い詰められたはずのエリートは余裕を崩さない。
「確かに、雑徭は退けたみたいだが・・・、僕のギター催眠は聞き始めたみたいだな。」
ネギとエヴァはギターの催眠攻撃を受け動けなくなる。
茶々丸も吸血蝙蝠たちの攻撃を受け身動きが取れなかった。
「さて、エヴァンジェリン。君をドロドロに溶かした後は、英雄の息子君の血を堪能しようじゃないか。」
「っひ。」「っく。」
二人を手に掛けようとした瞬間。
スパーン。
明日奈の見事な膝蹴りが決まる。
「ぐっが!?なんだ貴様!?なぜ、僕のギター催眠が効かないんだ!?
「なにが、ギター催眠よ。ただの、ギター演奏じゃない!」
「くそっ」
エリートは明日奈の攻撃を避け続けてはいるが押されているのは明らかだ。
「蝙蝠たち!この娘の血を吸い尽くせ!」
エリートの命令に蝙蝠たちが殺到するが、間に入った蝙蝠によって蝙蝠たちは明日奈への攻撃をやめてしまう。
「ティナ!!なぜ、兄ちゃんの邪魔をするんだ。」
「キー!キッー!」
ティナと呼ばれた蝙蝠の示す方を一瞬だけ見たエリートは一気に態度を豹変させた。
「あぁ!貴女の糸は私にはわかりませんが、貴女様が御望みならば・・・私は引きましょう。我々は貴女様が再び君臨なさる日を待ち望んでおります。100年前の夢の続きをいつか見せてください!」
そう言って、エリートは吸血蝙蝠たちを連れて空へ去っていった。
エヴァンジェリンはすぐに追いかけようとしたが、エリートが見た方向を見てからすぐに追跡はやめた。
横やりが入ってしっちゃかめっちゃだったが、ネギたちと別れたエヴァは人気のない小公園に入り、声をかける。
「大樹、どういうつもりだ。」
「彼は、かつての東西同盟の立役者です。いくら、あなたでも彼を殺すことは許しませんよ。」
大樹とエヴァの視線が交差する。
先に折れたのはエヴァだった。
「昔から、そういうところは変わんな。昔のよしみだからと情に流されすぎると自分を苦しめるぞ。」
「私は、一度自分の下に来た者を自分の都合で捨てる気にはなりません。」
「・・・・・・。」