バックヤードまで連れられた刹那と木乃香。途中でネギの式神とも合流した。
木乃香はほぼ一般人でこの状況を理解していない。なんなら、天狗たちに話しかけるくらいだ。
逆に刹那の方が動揺している。恐らくは味方なのだろうが、天狗ポリスの天狗たちは妖怪法
の執行者と言う立場上、並み以上の天狗たちだ。どれも地方の伝承に登場できる様な実力者だ。
「大樹先生・・・。か、彼らは?」
「・・・味方です。この度の修学旅行の一件は想像以上に悪い方向に向かっています。正直今すぐにでも中止させたいくらいです。」
「味方なのは解ります。聞きたいのは大樹先生のことです。」
「興味本位で聞くべきことではありませんよ。桜咲刹那、裏に関わる者なら解るでしょう。好奇心だけで詮索はするべきではありません。どうせ、すぐにバレそうな気もしますけどね。それと刀は今は返さなくていいですよ。まだ使いそうですし。」
刹那は大樹の口ぶりから大樹が長を呼び捨てできる程度に親しいか。大物であることを察して詮索することはひとまずやめた。
大樹はネギの分身体に声をかける。
「ネギくんは今、関西呪術協会の本山にいるのですね。無事でよかったです。でも、他の子たちもいるのは困りましたね。・・・ふぅ、近衛さん達を連れてそちらに行きますので詠春に伝えておいてください。それと詠春に一言、やってくれましたねとも言っておいてくださいね。」
大樹が少し怒っていることに気が付いた式神ネギの向こうのカモミールとネギはびくっとしていた。
大樹は木乃香と刹那に話しかける。
「話は聞いていたと思いますが、本山に行きますよ。引率の私の言うことを聞いて付いてきてくださいね。」
「わかったえ。」
「わかりました。先生」
大樹はよしよしと笑顔で返して今度は黒鴉に話しかける。
「少々面倒なことになりましたね。関西呪術協会には私が出向いて調整しないといけませんが、和歌山の件も放置はできないです。それに鬼太郎くんとも合流したいです。」
大樹の話を聞いた黒鴉はそれに回答し意見具申をする。
「鬼太郎さんには我々の方で使いを出しましょう。和歌山の方にも天狗ポリスの者を使者に立てましょう。」
「官憲組織の天狗ポリスでは彼らが警戒しそうですが・・・。」
「ですが、それ以外・・・。」
大樹と黒鴉が思案する中、おずおずと刹那が声をかけてくる。
「あの、3-Aにも私のように裏に関りを持つ者はいます。彼女らに協力を依頼しては?」
「教師としては生徒に危険なことはさせたくないのですが・・・・・・背に腹は変えられないか。」
大樹は生徒の名簿を思い出して、誰に協力を依頼しようか思案し始める。
確か、ホテルにいる裏の関係者は魔法生徒の春日さん、スナイパー?傭兵だったかしら龍宮さんもいるわね。それに甲賀中忍の長瀬楓さんも適任かもしれないわね。
そういえば、万年竹の竹林には鬼太郎たちが行くって言ってたけど。どうなってんのかしら?そのことも踏まえて黒鴉に聞いてもらわないと・・・。
っと、脱線してしまいました。
さてさて・・・色々考えなおして・・・。
「近衛さん、桜咲さんにはこのまま、関西呪術協会の本山に行ってもらいましょう。白蔵主のところには私と黒鴉が出向くとして、鬼太郎さんのところに行ってもらいましょうかね。」
「万年竹のところですか?鬼太郎が居るとは言え、万年竹の気がかなり立っていると思いますが・・・。」
少しだけ考えたが、大丈夫でしょう。
「大丈夫でしょう彼女なら・・・。桜咲さん、長瀬さんの番号でかけてもらえますか?」
「あ、はい。わかりました…。」
桜咲さんは長瀬さんに電話をかけて、二言三言話すと私に代わった。
「もしもし、長瀬さんですか?」
「いかにも、でござるよ。大樹先生・・・、まさか忍びとしての拙者に御用とは・・・以外でござるよ。」
麻帆良学園ではエヴァとの付き合いや学園長との付き合いで裏を匂わせてはいたが、これと言って表立ってはいなかったので、意外な人物からのオファーでしたでしょうか?
若干警戒しているような気もしますね。甲賀の忍びなら、私の命を断るとは思いませんが・・・。
「えぇ、細かく言うのなら丸に竪木瓜の旗の下にいた笹竜胆の忍びにですけどね。」
私の言葉を聞いた電話向こうの長瀬さんが息をのんだような気がします。
当たり前と言えば当たり前、今の私は古い権力者が使う忍びの暗号のようなものを言ったのだから・・・。
丸に竪木瓜の旗、表の意味合いなら譜代大名滝川氏の旗。裏の意味なら・・・。
幕府忍軍頭領家滝川氏の旗であり、笹竜胆は長瀬家の家紋だ。
「っ!」
幕府忍軍が使った古い符牒を並べて、私がどういった人物かを匂わせる。
忍び符牒を使ったので桜咲さんはよくわかっていない様子。
電話向こうの長瀬さんの周りに誰かいても忍びでなければ意味は伝わるまい。
「筒井が功で立身した長瀬家には、得意分野では?ある種の人助けですよ?」
「あはは・・・、大樹先生がどのような人かはなんとなく察せたでござるよ。忍び符牒はもう十分・・・この符牒を使うのは滝川家か公方様の直系、あとは皇族の方々くらいでござるよ。」
少々自分を大きく見せましたので長瀬さんが身構えてますね。
「いえいえ、大したことは無いんですよ。ちょっとしたお使いと道案内ですよ。」
長瀬さんに万年竹の竹林にいるゲゲゲの鬼太郎を関西呪術協会の本山に連れてくるように頼むのでした。それと注意事項を伝えないと・・・。
「それと竹林の主さんは今、非常に気が立っていますので竹林に入る前に血を一滴だけ竹に付けて名乗りを上げてください。貴女のご先祖は昔この辺りが担当でしたし、彼も覚えているでしょう。あぁ、それと横にいるお友達を連れて来ても構いませんよ?援軍は多い方が助かりますので・・・。よろしいですか?」
「御意にござるよ。」
電話をかけ終わってスマホを桜咲さんに返す。
「大樹先生は・・・あの・・・その・・・長並みに・・・、もしかしたらそれ以上の御方なのでは・・・。」
「なぜそのように?」
「さっきの電話もですが・・・、プライドの高い天狗たちに指図を出して彼らも素直に従っています。天狗は召喚術を介しても色々と条件が付きますので・・・、もしかして・・・。」
大樹は困ったように頬に手を当ててから、人差し指を彼女の口にあてる。
「う~ん、惜しいところいってるような気がしますが答えは口にしないでください。まだ、その時じゃないんですよ。・・・さて、天狗たち本山の麓まで護衛をさせますので、近衛さんと一緒に先行っててください。」
「は、はい。」
さて、手筈は整えましたし・・・。
「黒鴉、私たちは白蔵主の方に行きましょうか。」
「っは。」