3-Aに存在する幽霊相坂さよは地縛霊となって60年経つ、別段悪さをしたいとも思わずそれどころか誰かと友達になりたいと思っている。
しかしさよ自身が暗い性格であり、幽霊なのに夜の学校が怖く学園都市内のコンビニで朝が来るまで待つと言う変わった幽霊である。
のだが・・・
「最近全く見かけないと思ったら・・・。なんかとんでもないことになっているな・・・。」
私が持って来た手紙を見て、エヴァはジト目でこちらを睨みつけてくる。
ちなみに、生前の彼女と面識を持つ近衛門は白目をむいている。別に死んでいるわけではない。
「だいぶ前に、お前が積極的に話しかけていたのは知っていたが・・・。大樹、お前は仲人おばちゃんか!?」
エヴァはビシッと手紙を指さす。
そこには・・・。
『私たち結婚しました!』の文字と新婚旅行感を前面に出した男女のツーショット写真。
ちなみに、これが届いたのは半年以上前だ。
ついでに、つい2・3日前に悪霊騒動を経て今はクラスメイトの朝倉和美の守護霊をやっている。
「そりゃあ、60年誰にも相手にされていない彼女がようやっとクラスメイトの中に入り込めたんだ。よかったなってなるだろうさ。これを見つけなきゃな!!」
エヴァはさらにまくし立ててくる。
「朝倉和美の守護霊になった。まぁ、いい。夫婦そろって守護霊になるってどうよ。」
「仲睦まじいことでよいではないですか。それに、道真は妖精の梅林を愛妾に囲ってるじゃない。でも、彼はいい人いなかったから・・・。」
エヴァは呆れた様子で話してくる。
「おまえに悪気があったとは思わん。相坂も学生の成りだが年齢的にはいい年だ・・・・・・でもな。自分の生徒に日本三大怨霊の一人である平将門と結婚させるのはどうかと思うぞ。」
「亡霊同士とはいえ積極的に話せる相手を見つけたことで、学校でも友達を作ろうと前向きになったのですから・・・結果往来ですよ。」
将門塚では戦前か戦後の古い制服を着た女学生の例が目撃されるようになったのでした。
自分の夫と将門をさよに紹介された朝倉和美も顔を引きつらせていたのは麻帆良的には笑い話だ。ある意味、認識疎外の結界に助けられた様な気がする。結界ナシなら発狂しそうだと言うのはエヴァの談。
ぼちぼち麻帆良学園祭の準備期間となりまして、この麻帆良の街も慌ただしくなってきましたね。準備期間中も茶々丸さんの付喪神化がずんずん進んでいましたね。感情豊かといいますか。ただ妖気を感じないので、付喪神というより昨今のSF的なAIの自我の目覚めみたいなものなのでしょうか。
余談ですが、麻帆良の外ではねずみ男が石妖と入籍しかけた時にひと騒動ありましたね。
昭和から会う頻度が落ちたとはいえぐわごぜの娘のカロリーヌちゃんと清い交際をしていたことを忘れてたのかしら?あいつビジネスからむと回り見えなくなるから・・・。
しかし、麻帆良の学園祭は学園都市で大規模にやるから注目度が高いのよね。西洋妖怪に中国妖怪、日本妖怪の過激派も行動するなら絶好のタイミング。
少しばかり鬼太郎君のところにも顔を出しておこうかしら。
妖怪横丁で蒼坊主と呼子に会う。
蒼坊主は全国行脚のたびに出て各地の様子を探っている。
「南方妖怪は組織としてはもうバラバラ。難民になってこっちに来たのまでいる。独立独歩なのは沖縄くらいなもんだぜ。西洋妖怪の奴ら東南アジアの妖怪たちに臣忠を迫ってる。もうピーなんかは下ったって話しだ。それに外地の日本妖怪たちも勢力を盛り返しているみたいだ。南方妖怪の中にはこっちに下った奴らも結構いる。噂じゃあ西洋妖怪、それもバック・ベアードの本隊が日本に向かっているらしい。」
「あぁ、東南アジアの親米政権が転覆しているのはその影響かしら?」
私と蒼坊主が難しい話をしていると興味なさそうにしていた呼子が鬼太郎たちを見つけて大声で呼びかける。
「やっほーーーー!!鬼太郎!!」(呼子)
呼子同様に私たちの会話にまったく興味を示さなかったもう一人の同行者小太郎君。
方向音痴な蒼坊主、麻帆良の外の常識に関して若干のずれがある私、エスコートに呼子もいたのですがちょっと不安があったので暇そうにしていた彼を連れてきてしまいましたよ。そういえば、彼は半妖だからなし崩し的に察してるけど。他の子たちには誰にも教えてないんだよね。まぁ、そのうち気付くでしょう。
それはさておき。
人間を連れてくると怪訝そうな顔をする妖怪もいますので、半妖の彼なら適役ですよね。ねずみ男という選択肢もありましたが、一緒に行くなら容姿も大切でしょ。あいつ臭いし。
「大樹様、結構きついですね。」
「あら、口に出てた?」
蒼坊主は苦笑いを浮かべて言ってくるのに対して、口を押えて微笑んでごまかす。
そして、妙な気配を感じる。
「こいつは・・・。」
「蒼坊主、小太郎君・・・急ぎましょう。呼子は他のみんなに知らせてきて。」
「せやな・・・。」
「わかった!」
タイミングが良いのか悪いのか。
鬼太郎君たちボロボロじゃないですか?鬼太郎君以外は満身創痍、動けそうにありません。
ゲゲゲの森に雑兵なしでの攻め入るとは、この人狼・・・相当強い。
私の左右で蒼坊主と小太郎君は戦闘の構えを取ります。
私たちが少し前に出て捕らわれた鬼太郎たちと南方妖怪を庇う様に立ちふさがる。
南方妖怪たち話しで聞いていたより少ない。おそらくは目の前のこいつにやられましたか。
「貴方、ベアードの手のものか?見たところ幹部階級のようですが・・・貴方の様に強硬なものを取り立てるとはベアードめ何を考えているのやら。」
情報を引き出すために少々の挑発をすると軽口交じりに相手は挑発に反応する。
「これはこれは旧同盟勢力の長で在らせられます大樹野槌水御神様・・・お初にお目にかかります。ヴォルフガング・ジェボーダン、西洋妖怪軍団新四天王を拝命しております。」
「さようですか。日本は我が膝元、さらに言えばそこの長耳も連合帝国由来の庇護下。貴様、私の顔に泥を塗るか。」
「そのような意図はありませんが、今となっては貴女様の御手も南方までは広がってはおりますまい。日本ですら包み切れてなさそうですな。・・・これは失礼。失礼ついでに私はここで仕事に戻らせてもらいましょう。アニエス様を連れて帰らねばなりません。」
微妙に状況を読めませんが鬼太郎たちがアイコンタクトでダメだと合図を送ってくる。
「そう言うわけにもいかせられないようですよ。」
「では、私も実力行使とさせていただきます!」
「っく、蒼坊主!小太郎君!!あと、きついでしょうが鬼太郎君も手を貸してくださいよ!!わたし、ひとりだと少々自信がありませんからね!!」
私の声を合図に私含めて四人でヴォルフガングと戦う。
しかし、いわゆる鬼太郎ファミリーを圧倒した奴を相手にするのはきつ過ぎます。
私たちも負けてはいませんが勝ちでもない。拮抗してしまっています。参りましたね。
「これを!!」
状況はわかりませんが魔女の少女が鬼太郎に何かを投げ渡しています。
あれは、銀の銃弾!
なるほど、狼男は銀の銃弾が弱点でした。
鬼太郎君の銀弾指鉄砲でヴォルフガングを撃退します。
しかし倒すことはかなわず。転移の魔法で逃げられてしまいます。
「アデルに伝えて・・・私は運命と戦う。」
アデル・・・アニエス・・・聞いた名前ですね。
・・・あ・・・面識はないですが・・・。
「貴女はもしや、アルカナの家の者か?ブリガドーンとなにか関りがあるのですか?」
私の言葉にものすごい勢いで振り返る少女(アニエス)。
「ブリガドーンやアルカナを知っているの!?」
「だいぶ情報は古いですが、多少は・・・ですけどね。ブリガドーンはある意味彼らにとっては核のようなもの、質の悪い大量破壊兵器です。アルカナの血はそのカギです。」
「確かに、ブリガドーンは昔のカギは指輪じゃなくて血液そのものだったわ。貴女はいったい?」
「大樹野槌水御神、100年程前はベアードとも蜜月でしたので古い情報ならかなり持ってますよ。アニエスさん、事象を聞かせてもらえますか?内容によっては力になれると思いますよ。」
大樹の名乗りを聞いて目を丸くして驚くアニエス。
「貴女が、東洋の支配者・・・大樹。」
「元ですよ・・・。」