大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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189 平成 分かれ道

なんだかんだで3日目となりました。

結果だけを麻帆良駅の街頭テレビで見ていましたが、蟠桃に住人がいたのですね。

クウネル・サンダースとか名乗ってるけど。アルビレオ・イマだよね。

挨拶くらいしてくればいいのに、こちとら先住民ですよ。

それに、あの演出ならネギ君を優勝させてあげてもいいような・・・。

まぁ、魔法記録みたいだけどお父さんに会えてよかったのかな。

 

 

「大樹野槌水御神様ですね。」

 

不意にかけられる声。

声の主に視線を向ける。

 

「玉兎・・・月の兎が地上に何の御用で?」

 

 

 

 

 

 

 

 

学園地下

蟠桃の根が張る広大な地下遺跡のさらに先。

春日美空、ココネ・ファティマ・ロザの二人が見つけ、撃退された。

このロボットの格納庫に彼女たち二人を尾行してたどり着いた者たちの姿が・・・。

 

「ふ~ん?これはなかなか興味深いね。純粋科学だけでここまでできるなんて!僕の合成魔獣にも取り込みたいくらいだよ。」

 

「ヴィクター・フランケンシュタイン?流用は可能かね?」

「もちろんだよ!ドクターヨナルデ!僕は科学者だよ!こういったことも専門のうちさ!」

 

「それならよいのですじゃ。ふへひひひ!!グレムリンたち・・・プロフェッサーをお手伝いして差し上げなさい。」

「助かるよ。ドクター・・・技師は多いに越したことはないからね。脆弱な日本妖怪に無能な魔法使いと侮っていただけになかなか強力な第三勢力がいたもんだね。」

 

「それを利用するわけじゃがのぉ。」

 

 

 

 

日本領海

 

「刑部様、敵の哨戒網を抜けました。」

「うむ。」

 

米軍、自衛隊の哨戒網を抜けた刑部狸率いる旧日本妖怪軍残党。

過去の亡霊、否、歴史の陰に沈んでいた過去の妖怪が再び表舞台に立たんと、こそ淡々とその時を見計らっていた。

 

「先行部隊の報告待ちだな。合図に合わせて攻撃開始だ。裏切者に不忠者どもに忠臣たる我らが鉄槌を下す。63年、63年・・・妖怪の生にとっては大したことのない月日・・・だが、この63年は我らにとってあまりにも長かった。我らはこの日が来るのを一日千秋の思いで待っていた。待っていたのだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

麻帆良学園祭3日の夜、花火が上がっていた。

ネギ君は超鈴音の野望を阻止する決意を決めたようだ。

エヴァは最初の約束通り、超鈴音に協力したようだ。

 

私は思い出す。

超の持つ情報の全貌を把握した時のことを・・・。

それを知ったのは本当に最近だ。昨日今日の話だ。

それを届けたのはぬらりひょん、本当にどこにでも現れる。いけ好かない奴だ。

絶対もっと前から知っていたのだろう。私の選択肢を潰すためにこのタイミングで伝えたのだろう。嫌な奴だ。悪知恵が働くのは八雲以上だ。

 

「かの者が未来人だと言うことですよ。」

 

魔法世界は崩壊しており、地球人との戦争状態だった。地球の人類は地上をたたき出され月に拠点を移していた。そして、地球人が月の表面に穢れを持ち込まれたことで月の動きは封じられる。可能性の一つだが、ぬらりひょんが持って来た。

高い可能性だ。

いや、遺憾ながら放っておけばそうなるのだろう。

 

 

ぬらりひょんとの密談で超の計画も凡そ把握できた。

魔法の公表、最悪の未来は避けられる。しかし、その次は別の最悪が来ただけだったのだ。

 

「しかし、割りを食うのは我ら妖怪。人間・・・人間・・・貴女は人間を可愛がられる。私はともかく貴女に尽くした妖怪たちに報いてやる時期が来たのではないですかな。」

「・・・・・・・・・。」

 

今からじゃ、私にできることなんて。

ぬらりひょん、貴様の狙いに乗らざるを得ない。

確かに、そうかもしれない。

南洋に籠る刑部狸からの書状。西洋妖怪軍団の動き、国内の妖怪と人間の揉め事の大半は人間に非があることは認めざるを得ない。

 

ネギくんたちに希望を見出していたが、その希望を潰えることを知ってしまった。

 

『人を恨んで恨み抜く。妖を恨んで恨み抜く。世を憎しみて焼き払い。残るものは何も無し、荒廃、滅び、無。』

 

面をつけた影のような妖怪はひらひらと舞っているのが見える。

 

「随分と大きいノツゴですね。あれも、私を利用するか。忌々しい。」

「何か気になることでも?」

 

あぁ、ノツゴはぬらりひょんとは無関係なのか。

 

「いえ、大したことではありません。行きましょう。」

「御意に…。」

 

私とぬらりひょんはベランダに立つ。

 

 

ネギ君たちと超鈴音の戦いはネギ君の勝利で終わったようだ。

最後は超さんを主役に送別会。

翌日の朝、ネギ君たちはエヴァの水晶玉の中で遊んでいるのだろうか。

もはや、語るまいて・・・。

 

私はぬらりひょんを連れて大学の研究棟に入っていく。

そして、超さんが所属するロボ研の研究室に入る。

そこには、他の誰もがおらず彼女だけがいた。

 

 

「超さん、魔法を世界に公表すれば、魔法使いたちが大手を振って表を闊歩するでしょう。世の中には知らないほうが良いこともあるし、必要上に荒らすべきでない物事があるのです。超さん、今からでもデータを改竄してなかったことにできませんか?」

 

魔法公開のデータの入ったフォルダ送信にエンターボタンが押されていた

 

「もう、遅い。世界はより良い方向に・・・悲劇は避けられるネ。」

「いいえ、一つの惨劇を避けるために大きな行動を取れば、別の大きな波が経つ。世の中はそんなに簡単ではない。世界なんてこんなはずじゃなかったなんてことばかりです。」

「せ、先生は・・・先生はまさか・・・。」

 

超さんは怪しげな笑みを一気に凍らせる。

私は、扇子を超の胸に突き出す。とっさに超さんは体を捻る。

扇子が彼女の脇腹をえぐる。

 

「っぐ・・・うぅ・・・こんなことになるなんて・・・。」

「さすがは劣化版とはいえ綿月様の扇子・・・か。」

 

私はとどめを刺そうと近いたのですが、彼女はカシオペアを起動して何処へともなく消えていった。

 

「逃げられたのですか?」

 

背後の扉が開かれ数人の玉兎と妖狸が入ってくる。

 

「かもしれませんね。ですが、もはや止められるものではない。刑部には好きにやれと・・・ベアードとも話をしたいので席を作ってください。それと・・・月夜見様によしなにとお伝えください。」

 

きっかけなんてものは、案外些細なものなのだ。たった一人の少女の行動が歴史を変えることだってある。

 

 

 

 

 

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