大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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190 平成 第三次世界大戦

 

 

きっかけは少女一人に依るところは大きい。

しかしながら、少女の動きを知っていた妖怪は二人、吸血鬼エヴァンジェリンと妖怪の陰謀家ぬらりひょん。

吸血鬼の方は少女の策謀を掴みきっていないがために・・・。

妖怪の陰謀家は自らの野望の為に・・・情報を小出しにしていた。

 

ゆえに、魔法世界という異なる世界を表舞台に引きずり出したことは、月に住まう天津神々を刺激したのだ。これが地球人類と火星人類の戦争で在れば、共倒れを狙った静観を行っただろう。しかし、地球各国政府の要人は魔法世界と癒着しているものも少なくなく、多少の混乱はあっても将来的には一つの強大な勢力となることだろう。彼らに抗う大きな勢力にそうなる前に月は動いたのだ。

 

「月夜見様、大樹は我々の要求を飲みました。」

「であるならば、彼女の忠勤に報いてやりなさい。」

 

月の都、宮殿のベランダから見える地球を遠くに眺めた。

月夜見は淡々とした声で控える綿月姉妹の姉豊姫に伝える。

 

「大樹を地上の総督に据え、彼女を地上の支配者とすれば・・・。月を害する存在はなくなりましょう。」

「かの者の我らへの忠はこれまでの彼女自身が証明しています。」

 

「己が血族の血筋を今の今まで守り続けた。あの小神・・・贔屓するのは当然か?」

「いえ・・・そのような。」「っ…」

 

「冗談ですよ。我ら天津神々に忠を尽くす…かの国津神なれば災星との戦いの先陣を任せられる。」

 

 

 

2018年6月22日 大樹野槌水御神とバックベアードによる会談。西洋妖怪軍団すべての作戦行動を中止、大樹の傘下に収まる。

同日深夜、旧日本妖怪軍、日本本土上陸侵攻開始。

 

 

妖力変換式銃火器を手にした妖狸たちが深夜の東京の中を走り回る。

眠らない町、東京とはいえ深夜帯人の姿は疎らだ。しかし、人はいる。

 

だが、妖怪の存在は信じていない。ゆえに多くの人は何が起こっているかわかっていなかった。

 

「大樹様。警視庁、主要テレビ局、主要公官庁制圧完了しました。」

 

警察庁警視庁の窓ガラスが割れ、拳銃の発砲音とその倍の銃声が響く。

 

「総理、敵がすぐそこまで!!」

「っく!!」

 

秘書に急かされて連舫首相はヘリに乗り込む。

 

「妖怪どもめ。」

 

 

同年6月23日、本土妖怪の多くが日本政府を攻撃。

月の都より地上潜入部隊に作戦開始命令が発令。

 

 

河童の長老が杖を振り上げる。

 

「戦争じゃ!人間たちと戦争じゃ!!」

「武器を取れ!!外地の同胞と協力して人間どもから我らの土地を奪い返せ!!」

「「「おおおお!」」」

 

6月24日、欧州及びアメリカにて西洋妖怪軍団が無差別攻撃を開始。

ロシア帝国にてレティ・ホワイトロックが帝位を継承、妖怪主権国家誕生。

ロシア帝国、ロシア連邦に宣戦布告、戦争状態へ。

東南アジアおよび南洋諸国にて南方妖怪と戦争状態に突入。

 

「我、バックベアードは東洋の女神大樹野槌水御神の傘下に入り…ここに、東西の妖怪の統合を宣言し…人間どもに宣戦を改めて布告する。」

 

 

6月25日、関東地方より以西の地域が大樹政権軍の手に落ちる。日本国、閣僚から

も死者が出ているため臨時政府が仙台にて組閣される。

 

大樹は大徳寺の祭具殿に織田木瓜の描かれた品々をしまい込む。

大樹は品々を一瞥した後、大徳寺を立ち去った。

 

その数時間後大樹は京都に設置した新首都にて妖怪たちを集める。

大樹が姿を見せた妖怪たちは歓声を上げる。大樹は手で抑える。

 

「かつて、世界に対して我々の居場所を求めた。100年前のあの戦争だ。その結果は諸君らの知っている通りである。我々は、あの戦争で力を示した。しかし、彼らはあの手この手と卑怯な手を使い。我らの力を削いだ。その結果、人間どもは増長し世界を汚していった。このままではダメだ!我々はそう思いもう一度戦った。だが、すべてが遅かった。我々は負けた。それは連合国、そしてその背後の災星の跳梁を許した。それが、最大の誤りだった。ここに至って私は人類が今後絶対に地球を汚すことが無いようにとすべきだと確信したのである。それが、私が起った目的である。私はバックベアードに対してブリガドーンの無制限使用を認めた。諸君、私は災星の魔法使い…そして、私利私欲の為に奴らに連なったこの星の害悪たる者どもの粛正をここに宣言する!!」

 

 

大樹は全世界に対し宣戦を布告したのであった。

 

 

 

 

6月26日、中華民主主義人民共和国に対して中国妖怪による宣戦布告、戦争状態へ。

アメリカ合衆国、太平洋上の西洋妖怪軍団に対し核兵器を使用。西洋妖怪軍団、ブリガドーンをニューヨークにて起爆。西洋妖怪軍団、アメリカの魔法使い学校を制圧。

 

ホワイトハウスでは合衆国大統領が執務室の席を立ち大勢のシークレットサービスや補佐

官たちを連れ、軍の将校が黒いブリーフケースを持って地下の緊急指揮所へと移動する。

 

そこに到着した一同は席に着く。

しばし無言の時間が流れる。

いくつもの液晶画面の内のテレビの映像を流している画面からの声だけが嫌によく聞こえ

る。

 

 

『大惨事です。いまだかつてないレベルの大惨事です。歴史上はじめてアメリカの都市が

敵の手に落ちたのです。それも、大都市を含む複数の都市がです。』

 

 

大統領の前に軍の将校が持っていた黒いブリーフケースが置かれ、ケースが開けられる。

大統領はロックの暗証番号を読み上げると、さらにもう一枚のカバーが外れる。

 

大統領は首にかけられたカギを、ケースの中のカギ穴に差し込み。周りと自分に言い聞かせるように話し始める。

 

「我々はこの現実を直視し、この惑星に存在する別の知的生命体の台頭と言う。これまでにない厳しい状況に立ち向かわなければならない。アメリカ合衆国に…いや、人類に神のご加護があらんことを。」

 

大統領はカギを一気に回す。

緊急戦争命令は当該の基地に伝わり、核ミサイルが発射される。

 

 

6月28日、劣化ブリガドーン弾頭の生産開始。

 

「要は魔力の凝縮です。質の低下を了承いただければ。ブリガドーンに似た現象は雑多な魔法使いから搾り取ることで可能です。」

「であるならば、戸惑うことなく実施したまえ。」

「っは。」

 

ヴィクター・フランケンシュタインの言葉を聞いたベアードは計画を実施するよう命じる。

 

 

6月29日、中国政府、国内の妖怪占領地域に核弾頭を発射。

 

 

6月30日

ネギ・カモ・明日菜・木乃香・刹那・のどか・夕映・ハルナ・千雨・楓・古、麻帆良祭最終日(6月22日)から一週間後の妖怪と人間による世界大戦の世界に飛ばされる。

 

 

 

 

 




世界大戦世界には長居しません。

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