大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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191 平成 未来を変えろ

2018年6月30日、麻帆良に転移した彼らの視界に移った光景は唖然とするものであった。

 

麻帆良学園都市のありとあらゆる建造物の窓が割られ、壁が崩れていた。

 

 

 

くぐもった音を鳴らすひしゃげたパトカー。

 

さらに麻帆良の向こう側からも煙や炎が上がっているのだ。

 

東京スカイツリーが真ん中からへし折れている。

 

 

 

「い、いったいなにが…。」

 

「こ、これはいったい?」

 

 

 

 

 

「貴様ら!!魔法使いだな!!天誅!!」

 

 

 

ネギたちの視界に武器を持った妖怪たちの姿が目に入る。

 

 

 

「問答無用!!掛かれ!!」

 

 

 

「な!?」

 

 

 

不意を突かれる形だった彼らはちょっとした隙を見せてしまう。

 

 

 

「髪の毛針!!」

 

「「「「うぎゃあああ!!」」」

 

 

 

「大丈夫だったかい!?」

 

「き、鬼太郎さん!?」

 

 

 

助けに入ったのはゲゲゲの鬼太郎。

 

その奥で周囲を警戒してたタカミチから声がかかる。

 

 

 

「ここはいつ敵が現れるかわからない。ひとまず安全な場所へ。」

 

「そうですね。」

 

 

 

鬼太郎側の仲間やタカミチら魔法使いたちがいる隠れ家に向かう。

 

 

 

「い、いったい何があったんです。」

 

 

 

ネギたちの疑問にゆっくりと答えるタカミチはネット上に残る数日前の映像を交えて説明を始める。

 

 

 

ネギたちが去ったあと超によって魔法の存在がばらされたこと。

 

その後で進出してくるであろう魔法世界に対して強い拒絶反応を起こした世界中の妖怪たちが決起し大樹を祭り上げて人間と妖怪による第三次世界大戦が勃発したことを。

 

 

 

大樹をめぐる戦闘で関西呪術協会を中心とした裏の勢力が壊滅したこと。

 

陰神刑部狸率いる旧日本妖怪軍残党によって首都東京が占領されたことを。

 

そして、アメリカや中国といった国は核を使用し、妖怪側もそれに準ずる攻撃をおこなったことを。

 

 

 

「超さんのことでも混乱していますけど。どうして大樹先生が出てくるんですか…。」

 

 

 

タカミチ自身も漠然と知っているだけで完全にわかっているわけではない言葉を詰まらせる。そこで、タカミチよりは状況を理解している目玉おやじが代わりに話し始める。

 

 

 

「大樹様はご自身でお話ししたわけではないから知らないのじゃろうな。何人かは断片的に知っているようじゃが。」

 

 

 

目玉おやじは刹那などの幾人かに視線を向けるが視線を戻す。

 

 

 

「超と言う少女が魔法を公開したのは、彼女に変えたい何かがあったからじゃろう。ただ、結果は別の厄介ごとが起きたわけじゃがのう。」

 

「別の厄介ごと?」

 

 

 

「魔法を公開されて魔法使いがこっちの世界で大手を振るうようになるとワシら妖怪は住みにくくなるからのう。」

 

 

 

どういうこと?と言いたそうないくつかの視線でタカミチが魔法使い界隈の事情を説明する。

 

 

 

「メガロ本国や欧州の魔法使いは…妖怪とか怪物は…なんというか嫌いだったからね。」

 

 

 

ウェールズ育ちのネギは何となく理解した。

 

確かに、こっちに来る前は妖怪は悪魔同様に討伐対象だったことを思い出す。

 

 

 

「100年前まではワシら妖怪も妖怪として大手を振って外を歩けたからのう。それが二度の戦争で、ここまで押し込まれてしまったわけじゃ。妖怪は本来日陰の存在じゃが、あの頃を知っている者たちの中には力づくでも取り戻したいと思う者もいた。それ以上にこれ以上奪われたくないと思った者がいたようじゃ。森から出ていった者たちもいた。人間たちとの今の一応平穏な関係を絶ってもな。」

 

 

 

 

 

今の日本は首相たちが仙台まで退避して指揮を執っている。

 

日本各地で妖怪と自衛隊が交戦していた。これが世界に広がったわけで…。

 

 

 

「いやぁ…参ったよ。これは完全に予想外だったネ。」

 

 

 

声の向こうには、超が松葉杖をついた上に三角巾で腕を支えて立っていた。

 

 

 

「大樹先生にきついお叱りを受けたすぐ後に妖怪の襲撃ネ。たまらないヨ。」

 

 

 

超は困った顔をしてから続きを言う。元凶が彼女なわけでタカミチたちの表情は複雑だった。

 

 

 

「この事態を避けることは意外と簡単ネ。私たちが過去に戻って私が何もしなければいいだけネ。ただ、別件の問題もあってね。情けない話、私のロボット…あれ、妖怪たちに学園祭の時点で乗っ取られてるみたいで…。過去に戻って魔法を公開しなくても、一部妖怪の決起は起こるみたいネ。だから、君たちにはそれを何とかしてもらいに行ってもらって、その間にワタシが大樹先生にお話しして協力してもらおうと思うネ。」

 

 

 

「大樹先生は敵の親玉なんでしょ?大丈夫なの?」

 

 

 

明日奈の疑問に目玉おやじが答える。

 

 

 

「それに関しては大丈夫じゃろう。魔法の公開が彼女にこの行動を取らせて要因じゃ。それがなければ問題ないわい。じゃが、今後は大樹先生とももっと親しくしてやってはくれんか?あの方はあまり昔のことを話したがらないからのぅ。」

 

 

 

 

 

一応の行動指針が決まり、次はどう行動するかだ。

 

ネギたちのカシオペアは動いていない。

 

だが、それに関してはもう解決済みのようだ。

 

 

 

「カシオペアについては大丈夫アル。最初は大発光から1週間経った心もとない世界樹をとも思ったけど。こちらの目玉おやじ殿のおかげで何とかなりそうネ。というかなったネ!」

 

 

 

超は目玉おやじに「一応あの説明はしておきましょ」と話しかける。

 

超に対して目玉おやじは何とも言えない表情ではあったが、その説明とやらを始める。

 

 

 

「あれだけ手を入れればもう別物じゃろうて…。これから呼び出すのはまぼろしの汽車。時を遡ることができる。ただしワシの命と引き換えにただ一度だけ呼べる汽車。そして、この汽車の存在を明かした者は必ず死ぬ。そういう約束になっているのだが、この者が改造しまくったせいで別物になってしまったのでそういったことはない。じゃが、過去に戻れば改造はなかったことになるわけじゃ。向こうに戻ったら絶対に口に出してはならんぞ。彼女が言うには汽車は向こうに戻れば矛盾が発生して消えてなくなるそうじゃ。」

 

 

 

「敵がすぐそこまで」という言葉でタカミチと鬼太郎たちは行ってしまう。

 

残った超と目玉おやじがネギたちを地下の開けた場所に案内する。

 

 

 

「ここなら呼び出せるじゃろ。古き約定に基づき我が命を賭して乞う!いでよまぼろしの汽車!」

 

 

 

すると汽笛が鳴り響き汽車が現れる。

 

 

 

「さぁ行くヨ。すこししゃれた乗り物で時間旅行ネ。」

 

 

 

超に促され乗り込むネギたち。

 

汽車は出発してトンネルへと入って行くと異空間へと移動する。

 

 

 

「さあ行け!世界を救ってくれ!」

 

 

 

異空間に見送った目玉おやじの声が響いた。

 

過去に戻ってすぐに実行委員会の飛行船に衝突して飛行船もろとも汽車は水面にダイブ。

 

ネギたちのいつものノリがそこにあったような気がする。

 

 

 

 




世界大戦世界はもう終わりです。
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