大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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195 平成 西洋妖怪の進撃④

東京スカイツリーのある墨田区上空で地獄の門が開く。

 

 

 

 

 

 

幻想郷に伏せていたゾンビフェアリーや怨霊をお燐と空が集結させ、ヤングジェネレーションズの3人も己が手勢と方面軍の妖怪兵を整列せている。

 

 

それを確認したさとりは号令を出す。

 

「全軍!進め!日本の地獄を手中に収めるのです!」」

 

「「「「「っは」」」」」

 

 

 

さとり率いる軍団が地獄の門をくぐり進撃していく。

 

「ま、待ちなさい!っ!?」

 

さとりに呼びかけようとする大樹であったがベアードの触手に邪魔される。

 

「随分と余裕のようだ!だが、ここは私の相手をしていただこうではないか!」

 

 

まずい、弘安の役の時のような万全な状況では無いのに、ベアードのような大妖怪を相手にしなくちゃならないなんて…。せめて、鬼太郎が動けるようになるまで…。

 

 

 

「ベアード!力だけですべてが解決できる時代は終わったのです!」

 

人間を殺し過ぎては、その恨み辛みで後に引けなくなる。そうなれば、殲滅戦だ。

勝手も何も残らない。

 

「いつの時代も変わらんよ!どんなに理想を語ろうとも!この世は勝者が決めるのだ!」

 

「っぐ」

 

ベアードの触手が肩を抉る。

 

「あの戦争のあと、箍が外れた人間が何をした!世界屈指の湖を枯らし、木々をなぎ倒し世界をぐちゃぐちゃにした。どれだけの妖怪や妖精が住処を奪われたことか!!」

 

「ですが、我々とともに生きようとしてくれた人間たちが居たではないですか!!」

 

ベアードの触手を払いのけた大樹が弾幕で応じる。

 

「そういった人間たちはあの戦争でみんな死んだ!!貴女が見捨てたからだ!!我々と共に歩める人間は皆、死んだ!!今残っている人間なんぞ地上を汚すゴミだと貴女程の存在がなぜわからん!!」

 

「私は貴方ほど人類に絶望してはいません!!私たちと共に生きようとしてくれる人たちは私たちが思うよりずっといるはずです!」

 

ベアードの攻撃はさらに激しくなる。

 

「だが!いるだけだ!!思っているだけだ!!彼らは無力だよ!!大樹!!今の貴女のように!!」

「あがっ!?」

 

触手が大樹の首に巻き付き締め上げる。

 

「…私は要らない人間を地獄の炎で焼き払う!!そして、残った人類を支配して、貴女の目指した帝国以上のものを作り上げる!!」

 

ベアードは大樹の心臓に鋭く尖らせた触手を突き立てようと振り上げる。

 

 

「来たれ雷精、風の精。雷を纏いて吹きすさべ南洋の風(ウェニアント・スピーリトゥス・アエリアーレス・フルグリエンテース・クム・フルグラティオーニ・フレット・テンペスタース・アウストリーナ)!!」

「大丈夫か!?」

 

大樹の危機に駆け付けたのはネギと小太郎だった。

 

 

「ぬっ!?魔法使いか…。貴様らはいつも我らから奪っていく。住処、同胞。そして、我妻、祀もだ!」

 

ベアードの反撃を小太郎に引っ張られて躱す。

 

「避けろ!ネギ!」

 

2人に避けるように言いながらベアードに地獄奥義を放とうとするが…。

 

「二人ともどいてくれ!地獄奥義…!?」

 

何故か、地獄奥義が使えない。

 

「ふははははははっはは!!地獄奥義が使えないか!そうだろうな。地獄は今頃…。」

 

鋭利な先端を3人に突き立てようとするベアードであったが、その攻撃は防がれることになる。

 

「…っ」

「アデルか。従順なだけが取り柄の小娘が…、私に歯向かうか。いいだろう、貴様ら全員まとめてとどめを刺してくれる。」

 

 

 

「鬼太郎!受け取れ!」

 

鬼太郎はアデルが投げた宝石をキャッチします。

そして、アデルはネギの方にも声をかける。

 

「魔法使いの少年!!鬼太郎が撃つ指鉄砲を貴様の雷魔法に乗せるんだ!!」

「わかりました!やってみます!」

 

鬼太郎がベアードに逆転の一撃を放ちます。

 

「指鉄砲!!!」「魔法の射手!!特大雷の一矢!!」

 

 

「なんだと!?ぬぅああああああ!?おのれ!!小癪な真似を!!…だが!!」

 

鬼太郎達の合体攻撃で体が抉れたベアードは衝撃波を放つ。

すると、3つの転送装置が破壊される。

 

「さすがは大樹様が目を掛けるだけある。だが私を退けようとも、地獄の炎は間もなく我が手に落ちる!それまでせいぜい悔いのないように過ごすのだな!!ハハハハハハハ!!」

 

 

バックベアードは部下たちの形勢が傾きつつあることを察し撤退し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「総理、まもなく青森の三沢より爆装させたF-2が到着します。」

 

「やりなさい。」

 

 

 

ベアードにF-2からの空爆が始まる。

 

「ぐっ!?人間どもめ…。」

 

 

 

「ベアードさま!」

 

狼男のヴォルフガングなどから声が上がる。

 

 

 

大樹やネギたちから西洋妖怪軍団は離れており、距離があったが、そこからでも様子はうかがえた。

 

 

練馬や朝霞の陸上自衛隊の部隊も体勢を立て直して、反撃体制に入っていた。

 

 

「西部エリアの維持困難です。アデルの方は?」

「目的の半分は達成できた。撤退でいいだろう。・・・あの魔女はもういい、利用価値はもうない。捨て置け・・・。」

 

「っは。」

 

ベアードはカーミラに西洋妖怪軍団の混乱を抑えさせる。

 

「人間どもの被害が思ったより小さいようです。」

「そうだな。だが、このまま彼らに引き継げば問題ないだろう。しばらくは奴らの注意を引いておいてやろう。大樹も最良のエンディングは迎えられないことが分かるはずだ。」

 

 

 

その直後、麻帆良の方で爆発が起こる。どうやら、我々を陽動に使って浸透していたようだ。

 

「奴らを倒せなかったのは残念だが、目的は果たした。西洋妖怪軍団!!作戦は成功だ!

 

!すみやかに撤退せよ!!フハハハッハハ!!我々は舞台裏に回って娘の戦いを鑑賞しよ

 

うではないか。それに旧軍との同盟関係は依然継続中、形勢は依然として我らに有利だ。」

 

 

 

空自や海自の追撃を振り切って、悠然と去っていく西洋妖怪たち。

この戦いは勝てたが、問題は山積みだ。

 

 

わたしも色々と動くしかなさそうです。

 

 

 

 

 


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