大樹たちは警察関係が入っている中央合同庁舎第2号館の隣中央合同庁舎第3号館に入った。
警視庁副総監が警察の首謀者であることはわかっていたが、その上の警視総監や警察庁の高官たちも、距離感的に黙認しているだろうと踏んだ大樹は警視総監に連絡を取った。案の定、彼は中立の立場をとっておりクーデターを黙認するつもりだった様だった。
警視総監を通じて首謀者の副総監らクーデターの関係者や中立容認派の高官たちと話し合いの席を設けられた。
会談の席が設けられたのが中央合同庁舎第3号館だったことに大樹は頭が痛くなるのを感じた。
中央合同庁舎第3号館は国土交通省所管の建物で地下で2号館と繋がっている。
とりあえず…会談の席に現れた人物たちをつなげていく。
国土交通省事務次官、技監。海上保安庁次長。中央合同庁舎第2号館にも運輸系の部局が入っていて、そこから繋がって総務大臣補佐官と事務次官。それらの内部部局部局長数人。警察庁からは人は出てこなかった中立黙認とのことだ。毛色が違うのだと郵便公社の社長がいる。
なるほど、郵便公社がクーデターに加担してたのか。
滝川の忍衆が掴み切れないわけだ。郵便関係の隠蔽が起こってるわけだから。
そして、永森副総監ら警察関係者。
「本来警察には軍の暴走を未然に抑えるという考えもあったような気もするのですがね。何も知らない国民を騒乱の中に放り込む片棒を担ぎますか。」
「確かに国民を巻き込むことに抵抗がないと言えばウソになる。だが、奴らがこの国の法治に関わるのなら我々がその意思を曲げることはありません。」
無数のパトカーと警備車が堀の外苑を包囲していた。
パトカーに先導された特型警備車からポリカーボネート製の盾を構えた機動隊員たちが何か所か堀にかかる大橋の前面に整列する。MP5を装備した隊員が縦の隙間から銃口を覗かせている。
「学園長、麻帆良は完全に包囲されています。生徒達には外に出ないように通達しました。」
「……大樹様が上手く話をまとめてくださるのを祈るしかあるまい。」
麻帆良駅の電光掲示板は運行休止再開未定の表示が出ている。
外延部のビルの屋上に狙撃手たちが配される。
大樹たちの会談は続く。
「皆さんはやはり魔法使いが日本の法治にまで口や手を出すことに不満があると…。」
「無論です。日本であって日本でない今の体制は法治国家として異常なのです。我々は軍ほどロマンチストではありません。戦前のように戻せるとは思ってはいません。ですが、国民の無理解無関心に一石を投じる必要はあると考えます。多少荒療治であっても、今のこの国には変化が必要です。」
「であれば、クーデターである必要はない。それにここにいる方々は魔法世界の影響力を落とすことが目的なのですね。」
家電量販店に置かれているテレビが一斉に放送停止の信号を発し始め、ラジオも同様に砂嵐しか流れなくなる。
「少しづつだけどネットに情報が上がってきてるな。駐屯地が騒がしいだとか、交通規制が多いだとか、駅構内になぜか規制線が張られたとか。」
電子精霊を操る長谷川ちうは学園の電子戦担当教員弐集院と協力して情報の改竄操作に尽くしていた。
「テレビやラジオの放送がストップしたよ。彼らの規模は相当なものみたいだ。」
次の瞬間、電子精霊たちが画面買いにはじき出されてくる。
「ど、どういうことだ?!」
同様するちうをしり目に弐集院は推測する。
「クーデターに加担した勢力が大手サーバーを落としている。ネット社会でも実社会でも情報を封鎖して闇を作っているんだ。」
麻帆良大橋にブルドーザーが運び込まれる。
「麻帆良の影響力の低下すればいいということですね。」
「えぇ、形ばかりのものではなくです。」
「ここに、関東魔法協会会長の直筆で関東魔法協会が護国会議の傘下に入り従属状態に入ることを承知した内容の書類があります。」
「そ、それは。」
「協会長のサインと印は押されています。あとは私とあなた方のサインと印があれば、これは成立します。いかがでしょうか。」
ここに来て、今まで動じなかった永森副総監が初めて動揺を見せた。
「す、少し時間をいただきたい。」
そういうと彼は私から書類を見せられ、ほかのクーデター派官僚たちと話し合いを始めた。
「お早い回答を。時間があまりありませんので…」
「わ、我々は今回の決起は見送ることとしました。ただし、妖怪たちや自衛隊のそれに関して我々は一切関与をしないものとしたく思います。」
つまりは、クーデター積極参加から消極的になって中立に回ったということか。
「私としては、この後のことを考えているのですが…。」
「ここにいる一同、御神心に従います。」
警察機動隊の麻帆良包囲が解除され、麻帆良に向けられた銃口が降ろされる。
「警察の部隊が撤収しているようです。」
「大樹様と警察決起部隊との交渉が成功したようじゃな。」
学園長たちの会話に割り込んだアルビレオ。
「まだ、半分だよ。いや、半分も言っていないな。」
アルビレオの言葉を聞いた学園長はタカミチに指示を出す。
「包囲が解けたわけじゃ。ワシらにも大樹様から指示があるやもしれん、魔法先生や警備に参加している練度の高い魔法生徒たちにいつでも動けるように指示を出してくように。」
「わかりました。関係各位に通達します。生徒の選別は各教導教員に任せます。」
「それでよい。」