大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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205 平成 大逆の四将

 

この地獄での戦いは西洋妖怪軍団との日本での戦いにおいてある種の決戦と言って良いものであった。

西洋妖怪軍団においてバックベアードに続いてナンバー2・3である初代ドラキュラ公爵とさとり・K・ベアードが手傷を負い西洋妖怪軍団は組織としての動きは鈍くなるだろう。

 

この戦いの後で、筆頭幹部である初代ドラキュラ公爵と大樹は日本より撤退する西洋妖怪軍団を追撃しないという取り決めをいくつかの条件のもと結び。

さとり率いる西洋妖怪軍団の日本撤退が実行に移された。さとりが率いていたのは東部アジア方面であり対中国妖怪の橋頭保である香港澳門領域、南洋妖怪・旧日本残党妖怪の混在する東南アジア地域の拠点はそのままである。ただし、東南アジア地域は旧日本残党最大勢力であった刑部狸率いる軍団が解体されたためその領域の支配者は大樹の援助を受けた南洋妖怪に戻りつつある。

ヨーロッパ、南北アメリカ大陸、オセアニアに加えアジアとアフリカの一部地域を支配もしくは影響下に置いていた世界最大の妖怪勢力の弱体化は今後、妖怪たちの世界情勢に大きな影響を与えるだろう。

 

また、四季映姫から地獄で大逆の四将なる妖怪が解き放たれたことを知らされた。

 

「さきの戦いの混乱で地獄に封印されていました危険な四体の妖怪が解き放たれました。対応は閻魔様がある条件をもとに鬼太郎と取引をして彼が請け負うものとしております。一応、大樹様にもご一報をと思い参りました次第です。」

 

最近は四季映姫が閻魔様からの使いとしてよく来る。時折、代理の代理で小野塚小町が来ることもあるが、地獄の方も事後処理で混乱しているらしい。

 

「四季殿も大変なご様子で…。」

「幻想郷の方は大した影響はありませんでしたが、本庁の仕事がこちらに割り振られるようになりましたので…。」

 

ん?そういえば。

 

「時に四季殿?鬼太郎と閻魔様の間での条件とは?」

「あぁ…それは・・・。」

 

四季映姫が言葉を濁す。

 

「何か言えないような内容なのですか?」

「い、いえ。」

「なら話していただきたいですね。」

 

四季映姫が観念して話す。

要約すると巨大なノヅコ、彼らの間では名無しと呼ばれていたようだがその妖怪との戦いの過程で猫娘が殺され、彼女をよみがえらせる条件として閻魔と大逆の四将の封印を請け負ったらしい。また、蘇った猫娘が幼児化しているとのことだった。

 

鬼太郎君たちも大逆の四将の捜索で忙しくしているようだ。

名無しとの戦いの後で大変だった時に協力してくれた鬼太郎君には私の方でも何かお礼も兼ねて協力してあげるべきかもしれない。

 

「大樹様、時にお伺いしますが?幻想郷から旧臣や一部の妖怪たちを連れ帰っているご様子。何かしらご計画があるようで?八雲紫や妖怪の山も何かと慌ただしく動いているのをお見受けしましたが?」

「まぁ、何かと忙しくなりそうでね。こちらも…。」

 

今回、通過点としてでしたが幻想郷に寄った際、大ちゃんを中心とした旧臣たちが私の下に戻って来てくれました。妖怪の山からも河城にとりや山城たかねら河童と山童が加わり、天狗からも大天狗の一人である飯縄丸龍を大将とした天狗衆の派遣が決まっている。

 

今回のこともあって、戦後手綱が緩んでいた大樹による妖怪たちへの統制が強化される傾向になっており、天狗ポリス・旧北方鎮台の雪女たち、護国会議に組み込まれていた妖狐衆、外地組との再編中の妖狸衆などの大樹傘下への正式な編入が始まっていた。

 

 

地獄の炎をめぐる戦いが終わって、数日。

ネギくんたちは他の生徒さんたちと海水浴に行ってしまいました。

紫には幻想郷からの援軍の選定をお願いしておいた。

 

「た、大樹様!!陰神刑部狸様、松山城の謹慎先にてご自害!!」

「い、いったいなにが・・・。」

 

大樹は陰神刑部狸に最後に会った二ツ岩マミゾウに話を聞いたが

 

「刑部の最後の言葉はお伝え出来ませんが、彼の名誉のために誓って大樹様への恨みや害意は一切ありません。それだけはご理解ください。」

 

というだけだった。

かつての忠臣の死に寂寥感を抱くのだった。

 

「大樹様…。」

大ちゃんが私に耳打ちしてくる。

 

「大逆の四将の一人、黒雲坊が復活し天狗ポリス本部を襲撃しているとのことです。」

「護国会議の兵力を天狗ポリスへの第一陣の援軍として直ちに派遣してください。第二陣として四国の妖狸衆を。今は自衛隊を動かすわけにはいきません。警察には十分に警戒をするように伝えなさい。」

 

大樹が戦力を整えて向かったころには、すでに京都では護国会議や大樹傘下の妖怪たちが黒雲坊の呼び出した水神擬きの水龍丸や偽朱雀の松明丸(こいつは沢山いる。)の多くを撃退していた。

 

天狗ポリスのエースである黒鴉に取り付いて黒雲坊の怨敵であり黒鴉の父替わりであった大天狗の赤嵐坊を襲わせるのだが正気を取り戻した黒鴉、それに「呪われた血に汚れた手であろうとも・・・、強い気持ちを持ち続けていれば、必ず洗い流せる。この人が・・・、この人から貰った言葉だ!その言葉の正しさを証明するために、この人は私を・・・、私を育ててくれたんだ!厳しく私を叱り続けてきたのも全ては・・・そのために!私は・・・、この人から貰った言葉の正しさを証明する!」黒鴉の言葉通り黒雲坊を撃退するのだった。

 

 

少し離れた山奥。

 

「おのれ、よくも。こうなれば、もう300年ほど耐えてまた復活してやる。」

 

復讐を誓う黒雲坊であったが、何者かに貫かれてしまう。

 

「さて、それはどうかな。」

「っが!?」

 

一本ずつ赤い線が通った無数の跳ねた毛の黒髪と鋭い赤いつり目、両耳の青いピアス、近頃の若者よりのファッションで思わせるが、白いパーカーから覗かせる腕の呪装術が一般人でないことを示していた。

 

 

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