翌日。
なんでも、昨日からネギくんの幼馴染の子が来てるらしいけど、まだ会えていない。
午後6時くらいからは用事があるけどそれまでは暇だし、少し見に行ってみようかな。
最近は半ば公然の秘密状態で、学園の結構な生徒さんたちからも私が実は国のお偉いさんって言う情報が流れてるみたいなので、堂々と大名行列もどきをしています。八雲紫が幻想郷から旧臣たちを連れ出してくれましたので、かつての並びになりましたね。
私を先頭に大妖精、チルノ、光の三妖精、リリー姉妹、水楢、梅林。妖怪の側近ぐわごぜと側回りの妖精巫女たちがぞろぞろと続く。認識疎外もありますし、これでも一般人は違和感程度しか感じないようです。
それにしても、行ってみると修行の最中で何やらにぎやかです。
あの、燃えるような紅い髪の女の子がネギくんの幼馴染なのかな。
「こんにちは。」
「ん?」
完全な興味本位で声をかけてみました。
「あ、先生。」
夕映さんが気が付いて、私を紹介してくれます。
「大樹水御(おおきみずみ)先生です。ネギ先生のクラスで副担任をしているです。先生も私たちの師にあたるですよ。ただ、エヴァンジェリンさんと違って座学担当ですが…。あぁ、そうでした。大樹先生は本当はこの国の神様で大樹野椎水御神と言ってすごい神様なんですよ。」
夕映さんの話を聞いた紅髪の彼女はむせ込んで少し下がります。
「ぶっ!?じゃ、邪神大樹。二度の世界大戦を引き起こして世界を乗っ取りかけた!!邪神大樹!?」
「あ、あー。そっちの方だったのね。確かにそっちから見ればそうですけど…。」
彼女の反応を見て、少々対応を誤ったかと怯んでいたのですが
「不死の魔法使いを師匠にしてるんですもんね。びっくりしたけど、ま!まぁ!?大丈夫よ!?」
かなり混乱しているように見えますが、整理をつけてくれたようです。
「あ、アンナ・ユーリエウナ・ココウァです。」
「これはご丁寧に、大樹野椎水御神と申します。ネギくんたちにこの世界の裏事情を教えてあげてます。今はネギくんのお父さん探しを手伝っています。」
私とエヴァという悪い意味の魔法世界におけるビックネームです。
ドン引きされたのでしょうけど思ったより回復が早い。
さすがはネギくんの幼馴染といったところでしょうか。
その後もいろいろお話させてもらいました。
ネギくんとアーニャちゃんが甘酸っぱい青春の話とか。前日にもネギくんハーレムに嫉妬した彼女が暴走した話とか聞かせてもらいましたよ。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもの。少々暗くなってきましたので私はこれで失礼しますね。
「あれ、この子どこの子かしら?」「学園の子じゃなさそうです。」
「うち、木乃香いうんよ。あなたは?」「ここで何をしているのですか?」
少し距離が開いてしまってよく聞こえませんが、なんだか騒がしそうですね。巻き込まれる前に退散しましょう。
「私?私はこいしだよ?」
エヴァのログハウスにお邪魔しています。
たまたまテレビが壊れたこともあります。
直接、赤坂グランドプリンセスホテルに出向くことも考えてのですが露出は少ない方がいいと思いエヴァのところにお邪魔居ました。
エヴァは全く興味なさそう。私も普段は興味ないいですが・・・
テレビには民政党の前の政権だった民政自由党の総裁選の様子が映っていた。
『岸辺氏が伸び悩み川野氏へ岩破派の票が回る可能性が出ています。また、安倍川派は鷹市氏に付き麻田派の中でもベテラン層中堅層が鷹市氏に若年層が川野氏支持に回ったようです。』
『おそらく岸辺氏と川野氏の決選投票になるのではないでしょうか?』
テレビではコメンテーターがあれやこれや語っている。
『開票結果が出たようです。』
『川野太郎君議員票72票、党員票101票、岸辺文雄君議員票170票、党員票110票。鷹市遅苗君議員票120票、党員票163票。土田成子君議員票20票、党員票20票。以上を持ちまして岸部君と鷹市君の決選投票とします。』
ニュースでは事象有識者たちが予想を外したことで混乱しているようだった。
エヴァが私に何かやったなという視線を送る。
「議員票では元総理が付いてますし、持ちこたえると思ってました。問題は党員票ですよね。ですが、2年前から仕込みを入れてましてね。自衛官、警察官、地方の農林業従事者、うちの氏子を党員に滑り込ませたんです。要は母数を増やしてこっちに回したんです。決選投票ですが、結構な知事さんが名前の有名税もあってか地方選挙ではべらぼうに強い華族会系の旧大名たちなんです。地方票は過半数を取ってますよ。」
決選投票の結果が告げられる。
『民政自由党新総裁は鷹市遅苗氏!!』
「民自党を乗っ取らせていただきました。」
もう少し仕込みが必要ですが、華族会に民自党。
民政党自体にも仕込みはしてある。
これなら、政権をひっくり返せる。
「そういえば、もうすぐですね。ネギくんたちがイギリスに行くのは。」
「そうだな。」
私の言葉にエヴァが相槌を打って応じる。
「魔法世界に行くわけではないのですが私も欧州に野暮用がありまして…。途中までネギくんと同行しようかと思っています。」
「ん?イギリスのどこだ?ロンドン辺りでベアードと会談でも開くのか?」
「いえ、ドラキュラ公にメッセンジャーを頼んで昨日の今日ですよ?そんな簡単に話は進みません。私はベルギーのブリュッセルです。今回の騒ぎで私への枷も形骸化しました。フットワークも軽くなりますよ。」
軽く手足を動かしアクティブさを表現して見せる。
エヴァはそれ自体は軽く流して尋ねる。
「しかし、お前も今までにないくらいによく動いてるみたいだな。」
「えぇ、ネギくんや鬼太郎君といった若い子たちが頑張っているんです。わたしも頑張らないといけませんからね。」
そういった話をエヴァとしていたら朝になっていました。
ログハウスのドアを叩く音が聞こえた。
「大樹ちゃん。迎えに来たよ。」
ドアの向こうから大妖精の声が聞こえる。
茶々丸がそれに応対に向かった。
「おや、夜更かしをしてしまいましたね。」
「あぁ、私は少し休むことにするよ。お前はどうするんだ?」
「今日はゲゲゲの森に用がありまして。」
エヴァはそれを聞くと軽くあくびをして寝室へ行ってしまうのでした。