大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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215 平成 暗闘の表面化

 

2019年8月21日

 

『緊急ニュース速報 グランドインタラクティブホテルで会合中の政治家を狙った思われる 爆弾テロが発生。会合中の議員含む複数の被害が出ている模様。』

 

ニュース速報を見た大樹は図書館島地下の自身の執務室で各所に指示や連絡を出していた。

大妖精が報告を上げてくる。

 

「警察の方からはやり方が、この前の大塚議員爆殺と似ていると言っていました。」

「大塚・・・土転びの件ですか。あれは確かぬらりひょんが絡んでいましたね。」

 

「ですが、規模が違います。こちらの方が被害が大きいです。重体の方もいますし、おそらく何人かはこのまま・・・」

「・・・・・・。」

 

ぐわごぜの言葉に大樹は顔を歪めた。

ぬらりひょんめ、この時期に仕掛けてくるか。選挙戦に影響を出したかったのか?あるいは魔法世界か月の動きに連携しているのでしょうか。

 

 

 

 

 

某所

 

「選挙戦で大樹様の派閥が大勝してしまうのはよろしくない。切り札ではないですが手札を切らせてもらいましょう。」

「おや、あれは切り札ではないのかえ」

 

蛇骨婆の問いにぬらりひょんは答える。

 

「まさか?これは幾つかある手札の一つですよ。それとイタリアに遣った旧鼠から仕込みは済んだと連絡がありましたよ。」

「それは結構、結構。そういえば、朱の盆の姿が見えんが?」

 

「あ?あぁ、朱の盆は国内の私の派閥の妖怪たちを集めて蹶起の支度をしてもらっていますよ。これだけ派手な舞台を用意したのです私とて踊りたくなるものですよ。ふっふっふ。」

 

暗躍し続けていたぬらりひょんも遂にその腰を上げ舞台に立とうとしていた。

 

 

 

 

2019年8月22日

 

この日も大妖精やぐわごぜを交えて会議漬けであった。

「現政権は先の爆破テロを妖怪関連事件と吹聴しています。」

「馬鹿な。妖怪が爆弾なんかそうそう使うものか。」

 

「ですが、現政権に近しいマスコミはこれに便乗しています。幸いにもソーシャルメディアの方は以前より妖怪友好の情報が浸透していましたので慎重な声が聞かれています。」

「イーグルラヴィに対テロ戦を命じます。旧鎮台衆を始めとする恩顧妖怪たちには地元の治安を堅守せよと・・・伝えなさい。それと兵がいる華族たちにも協力を要請なさい。それに、対メディア戦は既存メディアに対抗してネットメディアを駆使しなさい。妖怪がやったという証拠がないのです。MUKAKINN氏やチャラトミ氏と言ったこちらとの協力を了承してくださった有力チューバーの方にも拡散をお願いしてください。そのあたりで攻めてやればよいでしょう。」

「ご随意に。」

 

 

 

「未確認の情報と前置きしますが、警察より反妖怪の人間たちのテロ行動が予想されています。お気を付けください。」

「言われずともです。」

 

 

 

「そういえば、幻想郷の八坂様が地元に妖怪式の原発を誘致したいと言っていましたね。」

「そ、それは早計です。原発自体、このご時世で不人気です。それでしたら元々あの地域は水力やバイオマスが有力です。それらを先に注力していただかないと・・・。八坂様の電力事業を地元の基幹産業にしたいというのは気が早すぎます。」

「だが、県の役人たちは乗り気なのです。」

「・・・・・・・では…原子力は最期にしてまずはバイオマスやソーラー、風力水力なんかを中心にしてくれと伝えてください。これなら、選挙の追い風にもなりますし・・・良いでしょう。」

 

 

 

「そういえば、大逆の四将とやらは?」

「すでに、黒雲坊は討伐済みです。最近、鬼太郎が討伐したと。」

「では、伊吹丸と九尾ですね。鬼太郎くんに任せてよいでしょう。」

 

「大樹様、魔法世界の件なのですが・・・。」

「ネギくんたちの方はあまり良い情報を聞かないけど。何とかなると思いましょう。エヴァが太鼓判押しているのです。」

 

 

2019年8月27日 日中

 

数日後、警察及び自衛隊が治安維持に努める中での厳戒態勢下の選挙戦が始まる。

その裏では

 

どたどたとビルの中に大樹恩顧の妖怪たちが押し入る。

 

「問答無用!!押し入れ!!」

 

別のビルでは警官隊が

 

「突入!!突入!!突入!!」

 

ぬらりひょん名義のビルや屋敷に問答無用で押し入った。

選挙結果が自分に有利な政権が勝利すると確信した大樹は遂に力業の実力行使に動いた。

 

「奴良土木建設、奴良利商事、奴良土地開発不動産他。別荘等邸の制圧完了しました。ただ、ぬらりひょん他、幹部級の妖怪たちは押さえられませんでした。」

 

「でしょうね。」

 

大妖精の報告を聞いて大樹は表情を変えずに答えた。

 

「で、奴の補給線は?」

「銀行口座はすべて凍結させました。私書箱等貸金庫も差し押さえました。海外のものも順次凍結さて行く予定です。選挙戦終了後、ぬらりひょんの人間としての偽名で全国指名手配とします。」

「捕まりはしないでしょうが、国内での行動はかなり制限されるでしょうね。となると・・・。」

 

大樹が自分の後ろに意識を向けると

ぱっくりと空間が裂け、その中から八雲紫が式の藍を連れて姿を現す。

 

「佳境に至った様ね。」

「近いうちにぬらりひょんとその陰で繋がっている者たちが引きずり出されるでしょう。」

 

「そう、そういえば・・・鬼道伊吹丸の方も比較的丸く収まって残りは九尾だけになったわ。」

「それは・・・よかったです。彼は」

「そうよ。伊吹萃香の息子よ。」

「全然似てないですね。親は奔放で子は真面目ですものね。」

「それ本人の前で言っちゃだめだから・・・結構気にしてるわ。とにかく、地獄を支える役割に戻ったから九尾のことがあるけど一先ず地獄関係は少し落ち着きそうよ。」

 

 


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