大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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216 平成 大樹復権

 

2019年8月27日 夜

 

『開票速報、保守政党連合の勝利確実。』

『華族会議席を大きく伸ばす。環境政党議席確保、旧民政党勢力大敗。』

 

勝った。

 

受話器の相手に今後の展望を告げる。

「President, the priesthood will be restored, but Imperial Japan has no intention of becoming hostile to your country. Let's do our best to deal with the latest crisis with international cooperation, as we did with the mediation of the United Kingdom.」

 

相手の疑念は晴れていないようだが、一応は納得してくれたようだ。

 

「Eh, of course. Our enemies are the same. We cannot afford to be in conflict on Earth.」

 

受話器を下ろし、側に控えていた大妖精に頼む。

「魔法世界のクルト・ゲーテル元老議員らと接見する。すぐに用意してください。メガロ本国が混乱している現状、魔法使いたちの意思決定権は実質彼が握っているはず。正確は何人かに分権していますが、彼を押さえれば何とかなるでしょう。」

 

足早に図書館島を出て、エヴァのログハウスに向かう。

 

「エヴァ、少し私に付き合ってくれませんか・・・?魔法世界人と交渉する必要があるのです。」

「どういうことだ。」

 

「今回の選挙を経て、私は復権を成し遂げました。むしろ、かつての大権以上のものを手に入れたと思います。」

「ん?日本での復権でそんな大げさな。」

 

「いえいえ、根回しせずにやったら背後の彼らにつぶされますよ。」

「まさか…いや、お前ならあり得るか。昔から神算鬼謀の持ち主とは思っていたが、そこまでの脳を持っていたか。妖精とは思えんな。」

「ふふ、誉め言葉と受け取っておきます。英国とは話をつけてあります。合衆国とも先ほど話が付きました。これから、立川の政府予備施設に移動して通信を行います。」

「なぜ、そんな場所で?」

「そりゃ、学園長室よりインパクトがあるでしょう?」

 

とは言え・・・私は彼らにとって邪神ですからね。

一筋縄ではいきませんよね。

彼らの期待通り邪神のやり口を見せてあげましょう。

 

政府予備施設ではずらりといくつものモニターが設置されていた。

 

「ねぇ、エヴァ?今の私ってどう見えます。」

「悪の魔法使いと邪悪な怪物たちを従えた。邪神と言うか大魔王と言うか・・・それ以上の何かだな。」

 

魔法世界側のモニターには私が真ん中で左右にエヴァと日本国新首相。後ろに人化したベアードと隙間から上半身を見せる八雲紫。そして、モニターの両端に各国の首脳が取り巻き然と写っている。

 

 

 

画面の向こう側

クルト・ゲーテルら、魔法世界の要人たちが映る。

魔法世界各国の要人たちが集まるオスティア終戦記念祭の会場を完全なる世界が襲撃したのだ。そこで主要な要人は亡き者となった。ネギくんたちもそれに巻き込まれたようだけど・・・彼らは大丈夫。それよりも先に目の前の彼らをどうにかしなくては。

今映っているのはクルト・ゲーテルを除けば式典に行くことが無かった言うなれば二線級の補欠どもだ。クルト・ゲーテルは結構な戦場傷があるが、何かあったか?

 

『魔皇復活・・・。』

 

魔法世界の補欠な木っ端議員がこんな失言をしてしまう。

向こうの人間から見た私はそんな評価です。

 

「さて、魔法世界の皆さん。この度は魔法世界がこのような危機に見舞われて私たちとしても本当に胸が締め付けられる思いです。」

 

クルト・ゲーテルを除けば数合わせのどうでもいい連中。特段相手にする価値も無し。

 

「ですが、魔法世界が崩壊しても6700万なんて数の難民は地球じゃあとてもとても養いきれませんよ。」

 

『では、我々に荒廃した火星で野垂れ時ねと仰るか?我々とてむざむざと滅びるつもりはありませんよ?』

「では、無理やりにでも押しかけるつもりで?」

 

超sファイルのように進みそうな雰囲気に地球側の首脳たちの顔が引きつる。

 

「皆さん!」

大樹が手を叩くと各国首脳たちがアタッシュケースをテーブルに乗せる。

 

「困りました。そうなる前に手を打ちませんと・・・。せめて10分の1以下にはなってもらわないといけませんね。」

『なにを?言っているのです?』

「核弾頭を1万もぶち込めば魔法世界の人口をかなり削減できますよね。それだけぶち込めば地軸もずれて、それどころじゃないかもしれませんね。」

 

魔法世界の補欠要人どもが泡を食って腰を抜かしている。クルト・ゲーテルも少し面食らっている様子。

 

『ネギくんたちもいるのですよ。』

「時に為政者はより多くを守るため少数を犠牲にしなければなりません。今や地球の総人口は75億を超えています。妖怪や妖精たちを含めれば100億近いでしょうね。それを高々、1億に満たない6700万のために地球の100億に負担を強いるというのは冗談が過ぎると言うものではないでしょうか?おっと、こちらに来ることが出来ない方々を含めれば12億でしたか?まあ、完全なる世界の野望がなってしまえば助からない11億はこの際捨て置きましょう。地球100億と火星1億未満を天秤にかけるなどナンセンス。」

 

魔法世界内で完全なる世界の騒乱で混乱する最中で、地球上のすべての妖怪妖精そして人類を手中に収めた大樹の大軍勢(ぬらりひょん派の妖怪やチー配下中国妖怪、人類内の反妖怪派などがいるため正確には地球上のすべてではない。)が牙を剥きかねない状況に焦りを隠せずにいる魔法世界の要人たち。

 

しかし、これ以上脅し続けると逆に態度を硬化しかねないと大樹は次は優しく話しかける。

 

「とは言え、完全なる世界が地球の脅威になっていることは事実。地球に付随もしくは非常に近しくある異界には神やそれに準する高位の存在がいます。彼らと予測した結果、奴ら完全なる世界の行おうとしていることは事の成功失敗に関わらず地球にマナや魔力と言ったエネルギーの逆流現象が伴うことが解っています。詰まる所、我々はすでに巻き込まれているのです。援助しましょう。聞くところによりますとそちらの主要な攻撃が奴らには聞かないご様子。こちらも多少の被害は覚悟して逆流するそれをきっちり受け止めましょう。幸いにも地球世界の攻撃手段は奴らには有効なようですしね。どうです?」

 

思考停止と言うわけでもないのでしょうが、しばし固まってから。

 

『・・・・・・わ、わかりました。その案を受け入れましょう。』

「あら、それはよかったわ。早速、そちらへ援軍をお送り致しますわ。」

 

『援軍ですか?ゲートはほぼすべて封鎖されていますよ。』

「問題ないですよ。援軍は我が国が誇る英華秀霊、護国の御神霊平将門公。そして彼が率いる英霊達。幸いにもあちらには相坂小夜と言う公と繋がりを持った霊がいる。そのつながりを手繰り寄せればある種の座標設定が可能で、物質的物理的な要素がない分半壊のゲートでも十分横断可能なのですよ。」

 

死んだ亡霊たちが再び戦う。幽霊亡霊の力と言うものがある種のファンタジー認識の魔法世界の者にはちょっと解らないものなのでしょうけど。

 

「魔法世界も魔法的でファンタジーですが、地球も地球でミステリアスでファンタジーなのですよ。まぁ、とにかく今後は宜しくやりましょうよ。ってことで後の外交関係だ何だって話は別画面の各国首脳陣とお話しください。私はこの辺りで失礼します。」

 

 

 

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