『こちら!護送隊CP!現在!多摩川橋より東京ICへ到達!警視庁、神奈川県警、天狗ポリスの増援を受けたが被害は甚大!さらなる増援を望む!!繰り返す!至急増援を!!』
護送車に爪を立てるカニ坊主。
「こうなったら、私たちも戦うわ!」「えぇ。」「そうね!」
「三妖精様!?」
護送車から飛び出す三妖精。
「ぬ、光の三妖精!?戦国時代以後、歴史の表舞台に現れなくなったが未だこちらに留まって・・・いや、戻ってきたのか。」
「なんか強そうなデカいのがいるわ!必殺技よ!」
「スリー!」「フェアリー!」「アターーック!!どりゃー!!」
「ぬ!?ぬぉおおおおおお!?」
「な、こいつら~!?お前らやっちまえぇ!」
カニ坊主が倒されたのを見た朱の盆が動揺する。
「おぉ!さすがは三妖精様だ。各々方!!ここが踏ん張りどころぞ!堪えろ!!」
信春が感嘆の声を上げる。
「う~ん、信春様。喜んでいるところ大変申し訳ないんだけど。」
「わたしたち、これが結構大変なのよ。」
「つまり、大ピンチってこと。」
のっそりと起き上がる蟹坊主。
それを見た信春は困り顔で三妖精に尋ねる。
「そ、それは・・・何と言うか。う、うむ。何とかならんのか?」
「えっと、う~ん。」「とりあえず・・・ね。」「やるだけやっているわ。」
三樹介文書をめぐる東京ICでの戦闘は激しいものであった。その戦闘は一人の乱入者によって一つの転換を迎えるのだった。
市街戦は近隣にも飛び火。
小規模なものであったが東京の各所でぬらりひょん派の妖怪が破壊活動を行っていた。
そんな中を逃げ回る一般人の中にいたのは犬山まなだった。
車の中から妖怪に引きずり出される女性。
引きずり出している妖怪は彼女と面識があった妖怪である鏡爺だった。
自身ががしゃどくろに狙われていた時に助けてくれた鏡爺である。直感的に敵ではないと判断した彼女は鏡爺に話しかけたのだった。
「鏡爺さん?」
「君は?犬山まなちゃんか!?どうしてここに!?」
「たまたま、用事があって・・・じゃなくて!?どうしたのその人!?ケガしてるよ!」
「わしも偶々だったんじゃ。彼女を見つけたのは…けがの具合が良くないんじゃが・・・・・・彼女には・・・」
「おい!彼女から離れろ!」
拳銃を構えた警官が警告してきた。
「ま、待ってこの人は・・・この妖怪さんは・・・敵じゃありません。そうよね鏡爺さん。」
鏡爺に支えられていた女性が警官を宥めると警官は拳銃を収めてこちらに駆け寄る。
鏡爺は目を見開いて女性に話しかける。
「き、記憶が・・・鬼太郎からは記憶をなくしたって・・・!?ゆ、夢子ちゃん。」
「ど、どういうこと?この人は?」
若干蚊帳の外だった まなの問いに答えが返ってくる。
「ゆ、夢子ちゃんは戦後最初の妖怪と人を繋ぐ者だった少女で・・・。」
「がああああ!!」
今度は本当に妖怪が襲い掛かってくる。
「は、早く逃げるんだ!」
応戦する警察官。
「か、鏡の中に!」
鏡爺の機転で鏡の世界へ入っていくのだった。
鏡爺の先導で天童夢子と犬山まなは三樹介文書をめぐる戦いのただなかに乱入する。
彼女たちは勇敢にも双方に訴えかける。
「みんな!もうやめて!!私たちが戦う必要はもうないの!!」
「そうよ!戦うのはおしまい!」
彼女たちを見た妖怪たちが動揺する。
その中でも特にひどく動揺したのは朱の盆だった。
「あ、あぁ、ゆ、ゆ、夢子ちゃん。な、なんで君が…。」
「一つ、皇軍に登用された妖怪たちは戦後の社会進出を見据えて各鎮台奉行と幕府の協議を行い人間社会と妖怪社会の併存を目指すものとする也。
一つ、二つの社会の共存するより良い世を目指すため。妖怪にも参政権を与えるべく協議するもの也。
一つ、妖怪、人間双方の利害がぶつかることも想定されるため。早急に法整備を行うもの也。
略
人間、妖怪、妖精数多の者たちが暮らすこの世界は一部が独占できるほど小さきものにあらず。多くの者たちがこの世界の恩恵を受けることを望む。 大日本合藩連合帝国幕府 征夷大将軍臨時代理 織田三樹介。」
妖怪たちは夢子の言葉に矛を収め、彼女の言葉に耳を傾けた。
天童夢子と言えば昭和の時代に妖怪と人間を繋いだ繋ぐ者であり、ぬらりひょん派に参加した妖怪の半数は皇宮襲撃事件の際に人間の放った凶弾に倒れ、妖怪が見えなくなったという話が広がり希望の光を見失った妖怪たちであった。
そして今、その天童夢子は妖怪が見えており、そして再び彼らの目の前に希望の光は輝き始めたのだ。さらに、当代の繋ぐ者と目される犬山まなも揃っており多くの妖怪たちに変化を感じさせるものであった。
動きを止めていた妖怪たちの最期の一押しに三妖精たちがスッと書状を渡す。
「日本政府はこれを基に皆さんと一緒に暮らせるように妖怪新法制定準備を行っています。私たちはもう争う必要はないはずよ!」
大樹紋と菊紋が押された添え状を掲げる。
自分に優しくしてくれた少女、その少女を害した人間の持つ負の部分を見て人を信じ切れずに彼女の示した道を歩まずに進んだ。だが彼女は30年と言う時間を挟んで再び道を示してくれた。
「夢子ちゃん、こんなに立派になって…。俺は30年間、何をやっていたんだ。」
朱の盆が武器を落とし、崩れ落ちたのを皮切りに、ほとんどの妖怪たちが朱の盆同様に繊維を失った。同じく動揺し行動を決めかねていた蟹坊主に朱の盆が声をかける。
「…人のありように不満があったからぬらりひょん様にお仕えした。だが、これはと言う人間もちっとはいただろう?お前が昔話してた姫様とやらも民百姓皆殺しみたいな復讐は望んでないだろ。」
「…………そう…だな。」
極一部の妖怪たちが逃げ去ったが、ほとんどの妖怪たちが平伏し恭順の意を示していた。
妖怪による内戦は終わろうとしていた。
ダイダラボッチも退治された。ぬらりひょん派の主力を率いていた朱の盆、蟹坊主の降伏によって騒動は収束を見せていた。
「大樹様、国内のぬらりひょん派の妖怪は過半数が壊滅並びに降伏しました。ぬらりひょんに国内を騒がす力は残っていません。」
「あれは軍の指導者としてではなく謀略家としても恐ろしい存在だ。油断はするな。」
「っは。」
ぐわごぜの報告に大樹は手を緩めるなと指示を出した。
ぬらりひょんの同盟相手であった大陸中国の妖怪たちは直接火星の完全なる世界と繋がっているわけではない。ぬらりひょんが雲隠れしている以上去就を決めかねているはず。
あとは火星からあふれ出てくるであろう完全なる世界率いる召喚魔と魔法世界の魔物たち。
そこに八雲紫がスキマを通じて現れる。
「派遣した将門公が撤退を開始したわ。」
「撤退ですか?」
「メセンブリアーナもヘラスも地球出身者以外手も足も出ないんじゃ仕方ないわよ。両国ともに半数以上が消されたわ。」
「では、火星は滅び火星の地球出身者が難民化すると…。」
大樹の問いに紫は眉間にしわを寄せてから答える。
「いえ、完全なる世界の連中も想定外だったみたいね。地球と火星が繋がったわ。」
「ですが、麻帆良はまだ…。」
「繋がったのはイタリアよ。」
「バチカンですか?」
「それも外れ、ローマから東のガルガーノ半島と言う地域に大規模な裂け目が出来たわ。バチカンから出現すると想定して布陣していたイタリア軍は甚大な被害を受けて敗走中よ。ガルガーノの裂け目は人為的なものだったわ。おそらく、出現場所はもっと増えると思う。」
火星からの戦火の火の粉は麻帆良だけに収まらず地球全体へと飛び火する様相を呈してきたのであった。
「ぬらりひょん、やってくれる。」