8月30日
「世界樹発光!!」
「麻帆良学園都市より第1級総員総力即応体勢に入るとの連絡がありました。」
「麻帆良に配備した陸上自衛隊の部隊が戦闘態勢に入ります。」
「御殿場の特科より、いつでも発射可能。」
「戦車及び特科大隊、麻帆良外環部に配備中。」
「木更津及び立川の攻撃ヘリ隊が急行中。」
「三沢の攻撃機が先ほど離陸。」
大樹は立ち上がり
「こちらの状況は確認できた。そろそろ、私も招かれざる者たちでも客は客だ。お出迎えせねばなりませんね。総理、官房長官…この場は頼みます。」
総理を始めとした閣僚や官僚たちが立ち上がり頭を下げる。
「妖精戦巫女衆はすでに再編済み。新編の妖怪近衛軍もすでに麻帆良に向かわせています。」
「利根川一帯の河童たち、ゲゲゲの森の妖怪たちにも動員を掛けました。」
大妖精とぐわごぜの聞きながら大樹は麻帆良学園祭の時にもらっていた月の鉄扇を軽く振り回して手なじみを確認する。
「綿月家の心遣い、痛み入りますね。ところで、敵の首魁はまだ姿を見せないのですか?」
「幹部級の姿は確認できましたが…首魁はまだ確認できません。」
「ぬらりひょんの動きも気になるがライフメーカーだったか。どこにあらわれるのか…。」
政府の広報官たちが撮影機材が運び込んでくる。
「完全なる世界の召喚魔は世界各地に現れています。少々出遅れたと言わざるを得ないでしょう。」
大樹の前に演説代が置かれマイクなどが設置されていく。
「ですので、ここで後れを取り返さねばなりません。」
「大樹様、間もなく放送の準備が完了します。」
広報官が大樹に告げる。大樹は頷いて応じる。
大樹の周りから皆が離れていく。
「放送開始まであと1分です!」
「10、9、8、n…!?」
「た、大樹様!?」
「っぐ!?
気が付けば大樹の真後ろにぬらりひょんの姿があった。そして、大樹の胸からは刀の刃が生えていた。
「予想外のことは起こるもの…。大樹様…あんたを殺す奥の手があったわけですよ。」
「ぬ、ぬらりひょん…!?貴様!?」
「あぁ、なるほど…私の能力でも八雲の目がある上にこんな厳重な警備を抜けることは不可能です。ですが、さすがは始まり魔法使い。儂の様な妖怪の能力を極限まで高める魔法薬を作れたわけだ。とはいえ効能があるのは短時間なのでね。殺すなどと大言壮語を吐いてしまった手前恥ずかしくは思いますが深手を負わせましたので良しとしましょう。すぐに退散しましす。では…ふふ、ふははははっは。」
ぬらりひょんの不意打ちを食らって傷を負う大樹。
ぬらりひょんは自身の強化された能力も相まってその場から掻き消えるように警戒網を突破し姿を隠してしまった。
「た、大樹様!?すぐに病院を手配して!!」
駆け寄ってきた大妖精が叫ぶのを大樹が手で制す。
「止血してくれればいい。このことはネギくんや鬼太郎たちには伝えてはなりません。彼らの心をかき乱すようなことはしなくてよいのです。放送は応急処置が済んだらすぐ始めてください。」
「ですが!?」
「良いと言っている。物事には機と言うものがあるのです。それが今のなのです。わかってください。」
大樹の気迫に押された側近たちは応急処置を施してから配置に戻る。
予定より遅れて放送が流されることとなった。
各国の国家元首の緊急放送から、この大樹の演説へとつなげる形で放送が始まる。
『皆さん、私は大樹野椎水御神。この日本国における陰謀論的な話題では時折取り上げられておりましたが凡そその通りです。我の影響下にある妖怪たちとの諸所の問題が解決しておらぬ中、突然このようなメッセージをお送りすることをお許しください。ですがお願いです。どうか聞いていただきたいのです。
私は今こそ皆さんに知っていただきたい。こうして未だ戦火の収まらぬわけ。そして、新たな戦火。そもそも、またもこのような状態に陥ってしまった本当のわけを。
今現在、イタリアでは正体不明の化け物が突如攻撃を始め、逃げる間もない住民ごと都市を破壊して尚も侵攻しました。我々はすぐさまこれの阻止と防衛戦を行いましたが、残念ながら多くの犠牲を出す結果となりました。イタリア以外にも未確認ながらも進行が始まっているとの情報が出ています。確かに人類と妖怪は昨今の隔たりがありましたが、こんな得るもののない日々に終わりを告げ自分たちの平和な暮らしを取り戻したいと思い我々と手を取り合い、憎しみで討ち合う世界よりも対話による平和への道を選ぼうとした時代は確かに存在し、今もまたその試みは成されようとしていました。我々と手を取り合い、憎しみで討ち合う世界よりも対話による平和への道を選んだ各国の国家元首の皆々様方には感謝の念に堪えません。そして、平和な時代は結実の下に晒されようとしていたのです。
しかし奴らはそういった平和を望み踏み出した者たちを焼き払ったのです!子供まで! 何故ですか?何故こんなことをするのです! 平和など許さぬと! 戦わねばならないと! 誰が!何故言うのです! 何故我々は手を取り合ってはいけないのですか!?
ですが、どうあってもそれを邪魔しようとする者がいるのです。それも古の昔から。自分たちの利益のために戦えと、戦えと!戦わない者は臆病だ、従わない者は裏切りだ、憎め、裏目とそう叫んで常に我等に武器を持たせ敵を創り上げて、討てと指し示してきた者達。平和な世界にだけはさせまいとする者達。このイタリアの惨劇も彼等の仕業であることは明らかです!
この地球と言う母なる大地の子らを互いに争わせる世界が彼等の創り上げたものに過ぎないことを皆さんは御存じでしょうか?その背後にいる彼等、そうして常に敵を創り上げ、常に世界に戦争をもたらそうとする。陰謀論などではディープステート、影の政府、秘密結社などともいわれている完全なる世界! 彼等こそが平和を望む私達全ての、真の敵です! 現に奴らは私たちの平和が裏から手を回して壊すことができないと解れば、思い通りにならない人形はいらないとばかりに実力行使に出て来た!
私が、私達が心から願うのはもう二度と戦争など起きない平和な世界です。そして、全世界の妖怪たちにも告げます!私の手を取り光の溢れる世界へ帰ろうではありませんか!人と妖怪、妖精が争わなくて済む平和な世界を手にしようではありませんか!よってそれを阻害せんとする者、地球の真の敵、完全なる世界こそを滅ぼさんと戦うことを私はここに誓います!そして私は、地球生命存亡を賭けた最後の防衛策として、人類、妖怪、妖精と言ったあらゆる種族による軍事同盟、地球全軍同盟の結成をここに宣言いたします!」