対馬・壱岐の状況が大宰府に伝わり、大宰府から京都や鎌倉へ向けて急報を発するとともに九州の御家人が大宰府に集結しつつあった。京とからも天狗たちが駆けつけてきた。
大樹は九州所々の寺社衆に動員をかけ、あらかじめ渡海支度を済ませていた八百八狸の軍勢は瀬戸内海を渡り九州に上陸した。
京にいた私自身も白蔵主の軍勢とあらかじめ終結させていた各神社の妖精巫女たちと共に京を発った。
「大樹様、肥前沿岸に元が襲来し松浦党の者たちは・・・悉く討ち取られたとのことです。」
白蔵主は私に報告するその顔は苦渋に歪んでいた。まだ何か伝えていないことがあるようですね。何かあるのなら聞かせてください。
白蔵主はさらに顔を歪めて告げる。
「壱岐対馬から逃げ延びた者たちからの知らせですが・・・島内の民衆を殺戮、あるいは捕虜とし、捕虜とした女性の手の平に穴を穿ち、これを貫き通して船壁に並べ立てていたとのことです。」
じょ、女性は・・・それ以外は・・・どうなったのです。
「皆、殺されたと聞いております。いくらかは隠れ潜んでやり過ごしたり逃げ延びたものはいますが・・・。そ、それと女性と言っても若い女性の話で、老いた者や幼き者も殺されたとのことです。」
こ、この外道どもめ・・・。大妖精、急ぎ大宰府に伝令を天狗にやらせても構いません。この天津神々より続く神聖なる我が国の土地を一片たりとも連中にくれてやるなと・・・。可能ならば、連中の船に囚われている壱岐対馬肥前の民を助け出せと・・・伝えなさい。それと出雲の護りに廻っている神々にも九州へ戦力を振り分ける様に要請を出してください。
白蔵主、国家の一大事である。行軍速度を速めなさい!
「「っは!」」
SIDE 大宰府
大宰府の防人の霊たちを呼び起こし、九州全土の妖怪達を集結させ、有力神社に派遣されていた妖精達も着々と集結してる。
ぬらりひょん殿、本州の妖怪達も筑前に集結しつつあり、空の護りは天狗たちや他の飛べる妖怪たちが守り、海にも河童や人魚が守りにつき万全を期していた。
時が経てば鎌倉や四国、大樹大社からの援軍も来る。
天狗たちからの知らせが入る。
「博多湾に元襲来!!」
それを聞いた道真は伝令を聞き、指示を出す。
「ついに来たか。河童族や人魚族に船を襲わせるのだ!!」
伝令天狗が続報を告げる。
「烏帽子島の方にも複数の軍船が現れており、画皮や飛頭蛮と言った妖怪が周囲を守っております。」
床机を叩き怒鳴りながら指示を出す。
「チーの本命は唐津だ!!」
それを聞いたぬらりひょんがいち早く指示を出す。
「ものども!!唐津に向かえ!!敵を追い返せ!!」
「「「おー!!」」」
「ぬらりひょんの手勢に後れを取るな!!我らも行くぞ!!」
「「「おー!!」」」
幽霊族の戦士たちもそれに続く。
それを見送った道真は、道鎮西西方奉行少弐経資を呼び出した。
「道真様。」
「こちらの手勢は唐津に充て、博多は少弐殿に任せる。」
それを聞いた経資は不安を述べる。
「赤坂で元と戦った菊池武房は、元の兵が遺体の腹を裂き、肝をとって食べ、また、射殺した軍馬も食べたと申しておりました。博多の軍勢にも大陸の妖怪が混ざっているのでは?」
それを聞いた道真は一考し
「わかった、八百八狸の軍勢は博多に充てる。」
「それがよろしいかと・・・。」
道真は今度は大宰府の御付き巫女梅林の方に向き直り指示を出す。
「梅林、大樹様に急ぎ知らせをだすのだ。敵は強大なり、神々の来援を切に願うと・・・。」
道真の言葉に従って梅林は使いを走らせるように指示を出した。
SIDEOUT
筑前の御家人たちを蹴散らした元は博多湾全域に渡って陣を広げた。
翌日には高麗の援軍を加えてさらに肥大化した。
その様子は大宰府からも、少弐経資が布陣した大野城からも見ることが出来た。