博多と唐津では人妖入り混じった壮絶な戦いが繰り広げられていた。
軍船に乗っていた大陸妖怪達が下りてくる。
台形状の岩の上に陣取ったたんたん坊が大声で檄を飛ばす。
「押せ!押し返せ!大陸妖怪を海の向こうまで押し返せ!!」
「いまだよ!かまいたち!!」
「まかせろ!!」
黒い牛頭の巨人の腕を二口女が髪で絡めて抑え込み、かまいたちがそれを切り刻んだ。
「よし、このままいくぞ!!・・・ぐぉ!?」
たんたん坊は慌てて飛び退いた。彼のいた台形岩は砕け散る。
「ガヒー!!」
巨大な空飛ぶ頭が雄たけびを上げる。
「俺とほとんど同じ見た目のくせに!!空なんか飛びやがって!!叩き落してやる!!ップ!!ップ!!ップ!!」
画皮はそれを交わすが、代わりに飛頭蛮などの大陸妖怪にあたって石化して落ちる。
「くそー!!躱してんじゃねー!!」
「ガヒー!!」
「それ~!!突撃じゃあ~い!!」
一反木綿に率いられた化けガラスや唐傘お化けが、大陸妖怪の飛行部隊に突撃していく。
「そこらの妖怪に負けてられないぞ!!天狗衆!!蹴散らせ!!」
黒鴉の号令で烏天狗たちも錫杖や刀や槍を構えて攻めかかった。
射命丸は辺りを見回してから「ちょっと貸しなさい。」と言って側にいた天狗から槍を受け取り投げつける。
画皮が串刺しになり、地面に縫い付けられる。
「そこの大きいの!!あれを石化して壊して仕舞いなさい!」
射命丸に言われたたんたん坊は石化の唾を画皮に吹きかけてから、空を見上げて話しかける。
「あぁ!!わかった!!あんたすげぇじゃねえか!!助かったぞ!!」
「あたりまえです!私は天狗の中でも上役の方ですよ!!」
「いわれてみりゃー、人の容姿だもんな!!今度、手下に菓子折りでも持って行かせる!!」
「それは!楽しみにさせていただきますよ!!」
上位妖怪たちはそれなりに余裕がある様だ。
「そらそらそらそら!!どうした!!なっちゃいないねぇ!!」
「大陸妖怪って言っても大したことないねぇ!」
「二人とも、油断は禁物ですよ!!」
「「「ぐえ~!た、助けてくれ~。」」」
伊吹童子、星熊童子、茨木童子の三人の周りには大陸妖怪の骸が山のように積みあがってた。
大陸妖怪の角端獣は背骨がへし折れ、刑天と言う頭部が無い代わり胴の前面が顔になった巨人の姿の妖怪は顔面が判別できない程の撲殺死体になっていた。ちなみに鬼の四天王四人目は京都でお留守番である。
ぬらりひょんの妖怪軍主力が到着し、唐津を包囲する形で包囲殲滅を指示した。
「戦況は優勢じゃぞ!!さすがは鬼の四天王と天狗の精鋭!!右翼左翼足並みを崩さずに前進!!唐津に土足で踏み込んだ大陸妖怪を殲滅するのじゃ!!!」
「全軍、進めぇ!!」
ぬらりひょんの命令に従い、朱の盆が大声で号令を掛けると妖怪たちが前進していく。
日本妖怪の勝利は確実となった。
一時は大宰府や大野城まで迫られ、水城大堤や小水城まで撤退した幕府軍であったが、唐津に上陸した妖怪軍団が壊滅した事を知った少弐経資は八百八狸の援軍と合流し、大宰府の防人霊軍を加えた幕府軍は博多の元軍勢への逆襲に出た。
刑部狸は幕府軍の参謀として少弐経資の横に控えて指示を出す。
「二ツ岩に猯たちを率いさせて敵の鉄玉の仕返しをしてやるのだ!」
猯や野衾たちを率いた二ツ岩マミゾウは猯たちに元のてつはうの爆発音を覚えさせ戦場は爆発音で溢れ、野衾たちが空からの投石で襲い掛かった。
「戦況は我らが有利となったぞい。刑部殿に合図を出せ!」
マミゾウの指示で狼煙が上がる。
「む、二ツ岩殿からの合図!少弐殿!!号令を出すのだ!」
「わ、わかった!!今こそ反撃の時ぞ!!全軍掛かれ!!異族を討ち取れ!!」
玄蕃狸、団三郎狸、お富狸ら八百八狸の将である狸たちが化け狸たちを率いて元に攻めかかり、それを見た御家人たちも我先にと攻めかかる。
「掛かれぃ!!」「「「おぉおおおおおお!!!」」」
水城の防衛線から攻めかかった幕府軍に押されに押され、元寇は元の本隊は勿論のこと漢人の軍勢や高麗の軍勢もさんざんに打ち負かされ博多湾の港まで押し返された。