大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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29 文永の役 神風

 

 

SIDE 大樹の軍勢

 

大樹大社の妖精巫女や各神社付きの妖精巫女たちからなる戦巫女衆を中核に白蔵主の手勢と、野次馬根性丸出しでついてきた青娥娘々のキョンシーたちを加えた軍勢は備中水島灘にて泡塩水軍、村上水軍の協力を得て、豊前企救半島に上陸した。

 

企救半島の港で風見幽香が出迎えた。

 

幽香さん?遊撃をお願いしていたはずですが?

 

「あ~、唐津の方は粗方片付いてるし・・・ねぇ。博多の方も一時は大変だったけど刑部狸が頑張ってるから大丈夫そうよ?九大天狗のお歴々も宗像大社で指示を出すに留まってるし・・・。」

 

大勢は決したとみてよいのでしょうかね。

宗像と大宰府どちらを先に顔を出した方がいいでしょうか?

 

「大宰府の道真公はこの戦を主導されておりますので労らわれてはいかがでしょうか?道真公も喜ばれ大樹様にさらなる忠誠を誓うでしょう。」

 

大ちゃんは私に道真の労をいたわるように進言してきた。

そうですね。道真はよくやってくれました・・・。何か礼を考えておきましょう。

では、大宰府の方へ向かいましょう。

 

SIDEOUT

 

 

私達が大宰府に到着したころには博多での戦いも幕府軍の優位に変わっており元を博多湾まで追い詰めていた。

 

道真、よくぞこの地を守ってくれました。

道真公・・・この度の褒美として、私より大宰府天満の神紋を授けましょう。

私は紙に描かれた星梅鉢紋を見せる。

 

「おぉ・・・大樹野椎水御神様!!一度は刃を向けた私なんぞに過大な褒美!!大宰府は大樹様を永劫にお支えしますぞ!!」

「道真様・・・この梅林もこの身朽ち果てるまで大宰府で護国を誓います。」

 

道真は星梅鉢紋の描かれた紙を抱き感涙を流し、梅林は泣き崩れる道真を妖精の小柄な体で必死に支えた。

 

 

道真殿、梅林が重そうにしているので・・・。

 

 

「あぁ・・・、これはすまない。大樹様、大宰府は大樹と共にあります。そのことをお忘れなきよう・・・。」

 

はい、胸に刻んでおきます。

 

 

「元が撤退していきます!!」

 

伝令の妖狸が指をさしながら告げる。

それを聞いた私は命令を下す。

 

九大天狗を呼び寄せなさい!!私が直々に指揮を執り追撃を掛けます。道真殿、貴方も手伝ってくれますね。

 

「勿論です!!我が迅雷を存分に照覧あれ!!」

 

 

 

 

這う這うの体で博多湾を出る元の軍船。

それを空から俯瞰する私達。

九大天狗を中心に優秀な天狗たちが前列に並び、その後ろに私と道真が並んで立つ。私の護衛といった風にチルノたちや幽香が控える。

 

私は彼らに命令をするだけですが、この国の主神である私がいることが重要なのです。

 

「大樹様、号令を・・・。」

 

道真が私を促す。

わかっていますよ。

 

私は声を張り上げ、号令を出す。

 

「天狗たちよ!!風を起こせぃ!!道真!!雷を落しなさい!!我らの国を犯すもの達は何人も許さぬ!!この神風を持って大陸に知らしめよ!!」

 

天狗たちの風が一つとなり竜巻を起こし波が荒れ、道真の雷が合わさり嵐となり元の軍船を飲み込んでいった。

 

 

 

『日本軍が水城へ敗走せる後 松原に陣を布く元軍に 神勅を受けし妖怪狸どもが一気呵成に攻めかかり 恐れ慄ありし元軍は海に逃げ その御光臨されし 大樹野椎水御神と天満大自在天神が天狗ども引きぐして降臨され 嵐驚かして元軍討ち払ひき。 』

 

※『』宮内庁書陵部蔵 歴代皇紀

※大樹記、八幡愚童訓、金剛仏子叡尊感身学正記、勘仲記、薩摩旧記、等に細部に差異があるものの同様の記述が残っている。

 

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