大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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31 弘安の役 玄界灘の戦い

 

元の大軍勢は対馬を占領した。

東路軍、江南軍、雲南軍、女真軍、三翼軍、妖怪軍が集結するのを待って南進を開始。

これに対して日本側は玄界灘で五島松浦・豊後若林・門司櫛来・坊津島津・赤間関白井を中心とした九州及び周防の大小様々な海賊衆と水虎河童が率いる妖怪たちの水軍連合、さらに愛宕山太郎坊の四十八天狗連合軍が加わった軍勢が、壱岐及び北九州沿岸・諸島上陸阻止を狙い仕掛けた。

 

元寇妖怪軍の妖怪大軍船を旗艦とした1万3000隻の軍船に対して2400隻で立ち向かった。

前回同様、画皮や飛頭蛮もいた。しかし、今回は羽民(うみん)や化蛇(かだ)と言った飛行妖怪も加わっており、前回以上の大軍勢だった。

 

「前回同様、敵の妖怪共は大したことはありませんよ!!全軍掛かれ!!」

射命丸の号令で大陸の飛行妖怪を翻弄する天狗たち。

 

海上でも狗頭鰻(くとううなぎ)と言う巨大鰻の妖怪を河童や人魚たちが束になって接戦を繰り広げ、水軍衆も倍以上の敵と勇敢に戦っていた。

 

SIDE 妖怪大軍船

 

妖怪大軍船の中にある玉座に座るチーは、部下たちの報告を聞きながら手にした望遠鏡で外の様子を見る。

 

「日本妖怪もなかなか頑張っているようだ。だが、前回のは小手調べ・・・今回は前回の様にはいかないぞ。」

 

一人で口にすると部下たちの方を向き、ニヤリと口角を歪めながら嗤う。

 

「雍和(ようわ)、あの方々に出陣していただけ。日本妖怪を絶望の淵に叩き込んでくれる。」

「っは!ただいま!!」

 

雍和と呼ばれた黄色い猿の妖怪が船室を出て行く。

 

 

 

「チー様より、出陣のお願いを申し上げます。」

 

妖怪大軍船の広い一室、調度品が飾られた豪華な部屋にいた四匹の妖怪に雍和は深く頭を下げてお願いする。

 

「うむ、日本の妖怪どもを殺し尽くしてやるか。」

「少しばかり、いたぶってやろうぞ。」

「人間どもも大勢いるなぁ。食いでがありそうだ。」

「ふははは、我らに任せるが良い。」

 

四匹の妖怪が船室を後にする。

それを確認した雍和は膝をつく。

 

「なんという、強大な妖気。恐ろしいお方たちだ・・・。」

 

SIDEOUT

 

 

 

元寇艦隊と戦っている射命丸達は妖怪大軍船からの異様な妖気を感じ取って距離を取る。

 

「な、なんです!?あの巨大な妖気は!?」

「文様!!」

 

危機を察知した犬走椛が射命丸の前に盾を構えて立つ。

別の戦域戦っていた黒鴉やはたて達も仲間の天狗たちと守りを固めた。

 

「下がれ!!これは並大抵の妖怪ではないぞ!!」

 

射命丸達の上司である愛宕山太郎坊が先頭に立ちそれを中心に大天狗たちが前に出る。

 

「来るぞ。」

 

妖怪大軍船の中から現れた四匹の妖怪。

 

「日本妖怪がこんなにたくさん。殺したい放題ぞ・・・。」

 

脚が六本と六枚の翼が生えた黒い巨大な犬の様な姿をした「渾沌」(こんとん)。

 

「これはこれは、おいしそうではないか。」

 

体は羊で目がわきの下にあり、曲がった角、虎の牙、人の爪、人の顔などを持つ「饕餮」(とうてつ)。

 

「いたぶって、嬲って、ぐちゃぐちゃにして殺す。」

 

虎に似た体に人の頭を持っており、猪のような長い牙と、長い尻尾を持っている「檮杌」(とうこつ)。

 

「ふむ、あの程度の連中に負ける等・・・情けないな。消えるがいい。」

 

翼の生えた虎「窮奇」(きゅうき)の放った一撃が狗頭鰻ごと河童や人魚たちを薙ぎ払いその余波が水軍衆の船を破壊した。

 

 

「奴らは貴様らの手に負える相手ではない!!黒鴉、他の者たちを連れて撤退するんだ!!射命丸、韋駄天のお前は大宰府に控える大樹野椎水御神様にお伝えしろ!!四凶が、大陸の四凶が現れたと!!急げ!!」

 

「わかりました!!」

「は、はい!!」

 

太郎坊が射命丸達に撤退を命じ、他の大天狗たちと四凶に立ち向かった。

 

「ほう、貴様らが相手か。」

「楽しませてくれるかの。」

「殺しがいのありそうな奴らだ。」

「くくく、貴様ら如きが舐められたものだ。」

 

 

「いくぞ!!お前たち!!」

「「「「「「「「応!!」」」」」」」」

 

四凶と九大天狗が激突した。

 

 

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