大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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33 弘安の役 玉名の奇跡

 

大樹野椎水御神、討たれる。

死んだところが確認されたわけではないが、窮奇に敗れ地に落ちていったのを多くのものに目撃されており、生存は絶望的であった。

肥前の日本軍は総崩れとなり、敵は脊振山地を越えて肥前を分断しようとしていた。

この悲報を受け取った大宰府でも大混乱が生じ、糸島半島のぬらりひょんの甲集団が大宰府まで撤退し、肥前を守っていた鎮西東方軍、刑部狸と白蔵主の丙集団も筑紫平野まで撤退し即席の土塁を構築。たんたん坊の乙集団と鎮西西方軍も北松浦半島・東松浦半島を失陥し後退を続け肥前南部経ヶ岳で抵抗を続けている。アカマタら丁集団は壊乱状態に陥り散り散りとなった。

 

大宰府では、道真、将門、ぬらりひょんが緊急の協議を開いた。

諏訪勢のミシャグジたちを借り出して大宰府近郊は維持していたものの不利であることは変わらず。協議では元寇に水城まで越えられたため大宰府を放棄することまで話し合われた。妖精巫女たちの間で動揺が広がっていた。

 

その中で、唯一優位だったのは周防での戦いであり見事に元寇を叩き出していた。

その周防にも大樹野椎水御神、討たれるの報は届いており、秋比売姉妹と幕府及び諸国の御家人を率いてきた北条時宗の間で協議が開かれた。

そんな最中、お飾りのために協議に参加していなかった胤仁親王(後伏見天皇)の夢枕に天照大御神が立たれ、大樹野椎水御神が筑後玉名で生きている事を告げたのであった。

 

「余の夢枕に、天照大御神様が御立ちになられ大樹母様が肥後玉名で傷を癒しておられる!!余は!!帝より預かった神器の数々を大樹母様にお届けせねばならん!!時宗殿!!直ちに関門を越え直方平野を突破し、筑紫平野を越えて肥後玉名まで行かねばならん!!軍勢を肥後玉名へ進めよ!!」

 

胤仁親王の言葉を受け、時宗は関門越えを即決。秋比売姉妹の手勢を周防と筑前小倉に配し、幕府軍本隊で関門を越え、鎮西東方軍・六波羅探題派遣軍を纏め上げた時宗率いる幕府軍は直方平野の元寇を粉砕。時宗は大宰府入りした。大宰府で、胤仁親王より大樹野椎水御神の存命を伝えられた。大妖精はチルノと共に妖精巫女精鋭50を率いて胤仁親王に同行することを決めた。

時宗は再度全国の御家人に緊急の動員を命じ、朝廷もそれを追認した。

 

 

筑紫平野を守っていた白蔵主や刑部狸の軍勢は劣勢であり、それを見た時宗は胤仁親王の軍勢に幕府軍より一部の手勢を割いて玉名へと向かわせ、自身は筑紫平野の白蔵主と刑部狸に加勢した。

そして、胤仁親王は梅林天満宮で傷を癒していた大樹野椎水御神に会うことが出来たのであった。

 

 

ところで、東松浦で消息を絶った大樹がなぜ肥後の玉名にいるのかと言うと・・・。

 

 

窮奇に敗れた大樹は琉球及び南方妖怪の丁軍団の本陣に落下した。

本陣で目撃していたアカマタも総崩れ状態の軍勢を纏めることを諦めて、逃げようとしていたところであった。

目の前に落ちてきた大樹を抱きかかえたアカマタは大混乱状態で総崩れの日本妖怪や御家人の誰かに告げる事も出来ずに肥前から逃げ出した。

彼についてきたキジムナーたちもだ。

 

「な、なんとか安全なところまで逃げてこれたが、どうすればいいんだ!!」

 

筑紫平野の先にある玉名の地まで逃げおおせたが、大樹野椎水御神は今にも死にそうなほど顔色が悪く、出血も続いている。

 

同じ琉球妖怪のチンポが「とりあえず社に連れてけば、なんとかなるじゃないか。」と言う一言でそれに従い近くの社。玉名天満宮に駆け込んだのだ。

 

日本の神様だけあって、霊地的加護を受けたのか神社のご本尊で傷を癒すと血が止まり少しずつ治り始めていた。

琉球妖怪たちは大樹の回復を願って踊って祈りをささげた。それが数日続いたある日・・・三種の神器を携えた胤仁親王が朝廷の神官たちを連れてやってきたのであった。

 

「大樹母様はここにおられるか!!」「大樹様!!」「ティタ!!」

 

 

 

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