大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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38 鎌倉幕府の終焉 暗雲

九州に上陸した元寇を叩き出し、勝利した日本は勝利に沸き立った。

 

この戦いに貢献した五柱。大樹野椎水御神、八坂刀売神、洩矢諏訪ノ神、秋比売静葉、秋比売穣子は日本の民に慕われ、各地に大樹神社、諏訪神社が多く造られた。また、主神として祀られていなかった秋比売姉妹も大和国五條に秋大社が建立された。

 

そして、その建立された秋大社の本殿で大樹野椎水御神の差配にて、各勢力の長達や功績を上げた者たちへの恩賞についての話し合いが開かれた。鬼たちは褒賞を辞退し、天狗たちは彼らを祀る社への朝廷と幕府からの寄進を約束した。水虎河童は彼らのための鍛冶屋町の建築を約束した。

 

また、朝廷と幕府は大樹野椎水御神を祀る桃園大樹宮を尾張那古野に、琵琶湖大樹神社を琵琶湖の武島に建立した。

二つとも規模こそ大したものではなかったが、特に桃園大樹宮は短期間で建立され神器返還の儀式が執り行われた。

元寇の戦いでは妖精たちが桃の棍と桃の小弓で戦ったことに由来して、建立された社には神楽堂に併設された小さな桃園が造営された。

その桃園大樹宮には御神体として直径1尺(26㎝)程の紅玉と碧玉が奉納された。紅玉と碧玉にはそれぞれ大樹大社の神紋である葉を広げた大樹の紋と天皇家の菊紋が刻まれており、これが天皇家養母大樹を意味しているとされる。

 

 

 

刑部狸に対しては四国探題奉行職を与え、四国妖怪の大将として正式に認めるものとした。

 

「ありがたき幸せ!奉行職の任・・・拝命いたします。」

 

刑部狸と共に筑紫平野の戦いで手柄を上げた白蔵主は畿内探題奉行職と伏見稲荷大社の警固役の役職を与えた。

 

「っははぁ!!この白蔵主!!畿内の地と秋比売様方を全霊を賭してお守りします!」

 

頼りにしてますよ。白蔵主・・・。

 

「この刑部も大樹様がお困りの時は瀬戸内の海を越えて駆け付けますぞ!」

 

ふふ、刑部殿も頼りにしてます。二人とも私の忠臣ですよ。

 

「「大樹様ぁ!」」

 

たんたん坊、貴方には東北探題の役職を与えます。それともう一働きして欲しいの・・・

 

「な、何でございましょうか?」

 

たんたん坊、チーの脅威は完全に去ったわけではありません。それに第二第三の彼が現れることも考えられます。此度の戦では敵の大軍船に苦慮しました。敵の移動拠点は脅威と言えます。我々もそう言った物を築く必要があります。

たんたん坊、貴方には移動城塞・・・名付けて妖怪城の築城を命じます。完成の暁には城主にもなってもらいたいのです。

 

「おぉ!!これはお役目甚大ですな!!お任せを!!」

 

 

ぬらりひょん、貴方は妖怪軍の総指揮を執ると言う大任を全うしてくれました。

貴方には関西探題の奉行として西の守りを頼みたいのです。

 

「関西探題奉行職、謹んで拝命いたします。」

「っははぁ。」

 

ぬらりひょんは深く頭を下げ、その横に控える朱の盆も頭を深く下げた。

 

 

菅原道真には大宰府の損壊部の修繕費用と騎馬として雷獣を贈った。

また、道真の寵愛を受ける妖精梅林の名を玉名天満宮に着ける許可を願い出て、それを許可した。玉名天満宮は梅林天満宮と名を変え梅林がその巫女頭に就任した。

平将門には将門の塚の慰霊祭を行い。関東探題奉行職を就任させた。

 

 

大樹野椎水御神は妖怪達を心服させ、妖怪達をも大樹の陰に迎えたのであった。

 

 

 

 

その半月後。

大樹大社に戻った大樹は、御神木の前での神事が執り行われた。

 

御神前の席に座り、私は大ちゃんが祝詞を読み上げるのを聞き、京から来た力士が相撲を奉げた。さらに幕府の腕自慢が流鏑馬、競馬を奉げ、妖精達が神楽舞を披露する。

そして、神事の最期に私が土地と海の豊饒を願い御神木から加護が発せられ土地に力が付与される。

 

その豊饒祈願の言葉を参列者たちに告げる。

 

「无邪志国の大樹の袂より 大樹野椎水御神は 

土地の穢れ 土地の厄災を祓い 清めくださいと申し上げることを

聞き入れます。 私の半身たる神木よ 我が想いを 大地に届けよ。」

 

私の想いと力が 御神木を通して広がっていく。

その途中で胸の辺りが強く痛みだす。苦しくて意識を保つこともままならず倒れてしまうのでした。

 

すぐに、他の神々に知らされ神奈子たちが私を診にやってくる。

 

「神器の反動だね。あれだけの神器を扱ったんだ。反動も相当だろう、養生すると良い。だが、永い年月の養生が必要だ。当分は神事で力を使うことは控えることだよ。」

「あんまり無理するなよぉ。」

 

神奈子と諏訪子は彼女を労り、武蔵国を後にした。

 

「豊穣の神である私達が大樹の分まで頑張るしかないわね。」

「そうね。穣子・・・、土地の力が続く限りは実りを維持できるから・・・。」

 

翌日に見舞いに来た秋比売の姉静葉はこの後に起きるであろう世の乱れを予感して憂いた。

 

 

 

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