大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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58 大樹信長記 復活 両面宿儺

 

信長率いる3万と筒井軍及び畠山残党1万は河内を掌握し、和泉・摂津へと軍を向けた。

堺港は刑部狸の手勢が守りを固めており、無傷であった。

 

信長は信貴山攻めに筒井軍1万と池田恒興5000を差し向ける。この戦いには聖白蓮を介した真言宗系の僧兵が一部参陣し、松永久秀が籠城する信貴山城を包囲した。

 

織田軍は信長率いる2万5千と和泉で防戦している佐久間信盛の軍勢5千、摂津の織田方の軍勢で三好軍を挟み撃ちにしようと動いた。

高屋城を陥落せしめ、堺を再度保護下に置いた。

しかし三好軍は讃岐・阿波から援軍を得て、さらに雑賀根来衆の援軍を得て膨れ上がる。

また、石山本願寺を軸に本隊は動かなかったが一部の一揆衆も前に出て織田軍と交戦した。

 

四国から援軍を迎えた三好軍は1万2000、本願寺軍2万、雑賀根来衆からの援軍2万、遊佐軍2000、摂津の三好方(詳細不明)と言う5万越えの大軍であった。

また、鉄砲や大砲の保有数は堺、国友、日野、河童の鍛治町を抑える織田軍の鉄砲保有数は群を抜いていたが、雑賀根来衆の銃火器保有数は織田に迫るほどであり、旧政権であった三好軍も侮れないものがあり、それらと協力関係にある本願寺も無視できない程であった。

 

その為、織田軍はそれまでのように火力に頼った戦いで有利に立つことが出来なかった。

和泉・摂津の各戦場で両軍が銃火を交え、戦国時代とは思えないような激しい銃撃戦が行われた。この2倍もの敵に渡りあえたのは織田・大樹軍の保有する個人の最強戦力である大妖怪たちの存在であった。

 

しかし、信長も手を拱いていたわけではない。

信長は美濃や尾張から援軍を呼び寄せ、柴田勝家、稲葉一鉄らは命に従い軍の編成を進めている。

また、元興寺の妖怪住職ぐわごぜは真言密教総本山西大寺に働きかけ、織田軍へ援軍派遣を約束し、焼き討ちの報復と言わんばかりに華厳宗東大寺も僧兵派遣を約束した。

 

 

 

また、大樹大社は天狗の内乱にも積極的に介入し関東の内乱に対して大樹は大樹大社保有の武装神官及び戦巫女だけでなく妖怪軍を投入した上に、北条氏政に圧力を掛けて、天狗の反大樹派の討伐を命じた。

 

日光山は一早く寺院衆を通して恭順を誓ったが、箱根山や秋葉山は恭順を拒否。

大樹大社、大神官である大妖精の命を持って討伐が命じられた。

秋葉山には日光山と高尾山の天狗たち、そして大樹恩顧の妖怪衆がこれにあたり、箱根山には北条軍1万、大樹大社から1000の兵力が投入された。

 

箱根山の戦いは激しい物であり、風魔忍軍の投入も行われ、翌月には徳川家より3000の援軍が到着。種族の能力的な力の差を投入した兵力による人海戦術で押しつぶした。箱根山は各所で火の手が昇り、天狗の法術と北条・徳川連合軍の銃と弓が激しく射ち交わされ、錫杖と刀が打ち合わされた。

この戦いで大樹は反大樹派の妖怪たちに自身が影からではなく正面から天下を掌握しつつある織田家、関東の有力大名他大大名を動かすだけの力を持ったことを示したのであった。

 

 

飛騨・近江・大和・山城の天狗衆の多くは関東で大名家を動員した反大樹派の徹底した弾圧と大樹大社の使者が織田家・浅井家・筒井家・姉小路家を激しく行き交う様を見て、こちらでも討伐の準備が進んでいると察し、神の怒りを買うことを恐れ次第に沈静化していった。

反大樹だった天狗もほぼすべてが、大樹に詫びを入れ中立を誓うか大樹方に廻った。

 

 

 

 

 

織田軍は公方・義昭が策した和泉河内摂津の三好軍、本願寺、松永軍に苦戦する様を見て遂に京で挙兵した。

室町幕府の力を結集し、自ら信長を打倒しようとしたのだ

 

 

足利義昭の挙兵。

義昭はぬらりひょんに付いた妖怪達と共に京の制圧に動き、京都の治安維持のために残された織田軍と白蔵主の手勢と交戦し彼らを退けた。

 

白蔵主及び愛宕太郎坊よりの使者が到着し、事と次第を伝えた。

 

「足利義昭挙兵!ぬらりひょんの手勢と共に京を掌握!ぬらりひょんは斑鳩流術師と共謀し両面宿儺を操り進軍中!白蔵主様は洛外にて軍を再編しておりますが、望み薄く大樹様の来援を望む次第にございます!」

 

「鞍馬山がこれに同調し、他の大天狗が討伐を行っております。鞍馬山の暴挙は天狗衆の意にありません。どうか、御理解ください。」

 

再建中の秋大社に宿を取っていた私達は信長の危機を聞き、兵を動かそうとしていた矢先の事でした。

 

「っ・・・河童たちは和泉・摂津の戦いに赴いていましたか。」

「・・・私の手勢は小勢ですので・・・・・・周囲の妖怪達を搔き集めたとして、それから洛外の白蔵主の手勢と合わせ2000が精々かと。・・・風見殿を越中・加賀一向一揆の討伐に向かわせたのは間違いだった。」

 

私の横に控える刑部狸は苦肉の表情を浮かべながら返答した。

 

「向日葵衆や他の妖精巫女たちはどうです。周囲の寺社衆を集めては?」

「向日葵衆や妖精巫女たちを搔き集めて500、すぐにでも呼び集めるべきです。ですが寺社衆は・・・所詮、人の軍。両面宿儺の前ではどうにもなりますまい。であれば尾張美濃からの援軍を待ってからでも・・・。」

 

それを聞いた私は刑部狸の案を却下する。

 

「それは成りません。両面宿儺の様な鬼神を放置しては京の民に犠牲が出てしまいます。それに両面宿儺の封印を解くような連中です。帝にすら手を出しかねません。」

「大樹様!それは成りません!大樹様は未だ力を完全に取り戻したわけではありません!御身に何かあってはなりませぬ!」

 

私は京へ向かう意志を刑部狸に告げると、刑部狸は血相を変えて猛烈に反対する。

 

「私は約束したのです!天照大御神からこの国を託されたのです!」

「な、なりませぬ!なりませぬ!先ほども言ったように貴女様は万全ではないのです!そんな状態で戦ったら!御身が滅んでしまいます!せめて、諸国の妖怪達の終結をお待ちください!」

 

私は刑部狸の言葉を無視して障子に手を掛ける。

私が障子を開ける前に、スパーン!と音を立てて障子が開かれる。

 

「お前ら、私の事を忘れていただろう?堺では随分派手に戦ったんだがな?」

 

「あ、あなたは・・・。」

「えばんぜりん殿か?確かに風見大妖と渡り合える実力、共に戦っていただけるなら心強い!!」

 

目の前に現れたのは私と見た目の年齢がほぼ変わらない程度の金髪少女。であった時はボンキュッボンの美人吸血鬼だった。エヴァンジェリンさんだった。

堺の一件から大樹大社の客分として、過ごしていた彼女だが確かに彼女の実力ならば両面宿儺と戦えるかもしれない。

 

「どうした。驚いているのか?呆けた顔をして?・・・さっそく行こうではないか。両面宿儺とやらの討伐に。」

 

 

 

 

 

「きゃーーーー!」

「逃げろーーー!」

 

幕府軍の尖兵として斎藤龍興や六角親子が両面宿儺を前に出して、織田に協力的だった名士や商人たちを惨殺して回る。

 

「織田に与する奴らに慈悲はいらん!」

 

彼らの周りには挙兵した足利の兵だけでなくぬらりひょんの手勢の妖怪達もいた。

義昭率いる室町幕府軍は、過激な行動が目立ち人心が一瞬で離れて行った。

これを見た細川藤孝は義昭に諫言するが聞き入れられない。

 

「かようなふるまい!幕府から人の心が離れてしまいますぞ!」

「ん?そちは怖気づいたんか?あ!?信長に通じておるのか!?」

「松永久秀、動けず。武田が引いた今・・・いくら、両面宿儺を従えたからと化け物1体で軍には勝てませんぞ!織田には神々が味方しておりますぞ!諏訪の戦神らが動いたらもはや勝ち目はありませんぞ!」

 

義昭はそれを聞いて大笑いする。

 

「ふひゃひゃひゃはは!!大丈夫、戦神は諏訪からでれん。残る豊穣の神ごときで両面宿儺を倒せるわけないんよ。ぬらりひょん殿も協力してくれる・・・この策は万全なんよ。」

 

 

 

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