大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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日常編を書いてみましたが、戦記が抜け切れてないなぁ。


61 大樹信長記 日常編①茶屋四郎次郎

 

比叡山大樹大社の完成まで秋大社を間借りし、琵琶大樹大社・尾張桃園大樹宮を行ったり来たりしている。時折、武蔵の大樹大社にも顔を出す生活が続いている。

 

狩野松栄・永徳親子が京都での戦いに感銘を受け、大樹京都戦図屏風を制作していると言う。

私は彼らに会えればと思い、今彼が工房を置いている奈良の町へ向かうことにした。

その行程に信長が同行することとなった。

 

私も大ちゃんたちを呼び寄せて、ちょっとした休暇と思って商家や文化人の下に足を運んだりしようかな。勿論、お忍びで・・・。

 

 

最近は武将や大名たちの間で茶の湯が流行っている。

つい最近まではあまり興味もなかったのだけど、信長が嵌っていて茶会に誘われてしまいました。女性が茶席に招かれるのは珍しいのだけど、そう言ったことを気にしないのはさすが信長と言ったところなのでしょうか。

 

信長の茶会には私の他に2人ほど連れてくるように言われていましたので秋比売姉妹を同行者に誘ってみたところ。

 

「あら、懐かしいわね。禅宗の茶礼の事よね。」

 

静葉がそう答えると穣子がそれを訂正する。

 

「姉さん、今は茶礼って言わないで茶の湯とかわび茶って言うのよ。」

「穣子、もしかして私の持ってる茶器って今だと使えないかしら?」

 

そう言って仕舞い込んでいた茶器を出して見せる。番茶を入れるような茶器が出て来る。

 

「静葉さん、今の茶の湯は抹茶が主流ですよ。」

 

私がそう答えると、静葉は困った様で・・・

 

「どうしましょう。私の持ってるのは今風のじゃないわね。」

 

そう言って悩まし気に首を傾けた。

 

「じゃあ、商人を呼んで茶器を揃えてもらいましょうよ!京都で助けた商人さんに頼んでみましょうよ!私もそろそろ新しいものが欲しいの!」

「穣子ったら、無駄遣いはダメよ。」

「姉さん、これは必要経費よ。」

 

私も、二人と一緒に買っておこうかな。

 

「じゃあ、京都の商家に足を運びましょう。」

 

私がそう言うと二人とも賛成してくれて、京都に行くことにしました。

 

 

 

籠を雇って、付き人の妖精を数人連れて京都の商家茶屋へお邪魔することに。ここの店主である茶屋四郎次郎はこの前の戦いで秋姉妹が助けた商人さんだそうで交友関係があるそうです。

 

「お邪魔します。」

「茶屋さん、いる?」

 

秋姉妹に連れられて、店の中に入ると気が付いた番頭が大慌てで駆け寄ってきた。

 

「秋比売様!!ようこそいらっしゃいました!!すぐに主人を呼んでまいります!!お~い!すぐに旦那様を呼んできてくれ!秋比売様がいらっしゃいましたよ!」

 

丁稚の少年が店の奥へ消えた。他の奉公人たちも慌ただしく整列し始めた。

そして、ほぼ待つことなく店主の茶屋四郎次郎がやってきた。

 

「秋比売様、ようこそいらっしゃいました。えっと、そちら様は?」

 

茶屋四郎次郎は私の方を見て静葉に私の事を尋ねた。

 

「この子はお友達の大樹ちゃんよ。」

「大樹、大樹・・・!? 大樹野椎水御神様でいらっしゃますか!?」

「この子、信長様と好い仲なのよ。」

 

彼はすこし頭の中で情報を整理した結果、目を一瞬見開いて仰け反った。

 

「そ、それは・・・・・・・。」

 

秋姉妹はあまり気にした風ではないが、今彼の頭の中は爆発寸前だと思う。

もう手遅れだけど、これ以上余計なことを話される前に話を進めよう。

 

「あの、私達三人に茶器を見繕ってくださいませんか?」

「た、大変光栄でございます。御三柱に適う様な名物を見繕ってみます。」

 

私の言葉に彼は何とかと言った体で答えた。

 

「四郎次郎さん、大樹ちゃんには特に良いものを選んであげてくれるかな?たぶん、大樹ちゃん信長様の茶会なんかの会合に今後はいっぱい出るだろうから。場合によっては茶器以外の物なんかも見繕ってあげてね。」

「かしこまりました。」

 

穣子の言葉を聞いた彼は深く頷きながら答えた。

静葉と穣子は番頭さんたちと商品の品定めをし始めた。私は、茶屋さんについて品物の説明なんかを聞いている。

 

「信長様は派手好きですので、唐物を模写した粟田焼で作らせた天目茶碗などがよろしいかと思います。」

そう言って彼は霧箱から茶碗を取り出して傾けて説明してくれる。

「内側のこの部分をご覧になってください。曜変が内側の一部に出ていまして、信長様のお持ちの物には劣りますがここまでの物はまずお目に掛かれないと自負しております。」

 

私達は商品棚を回ったり、奉公人が奥から持ってきた商品を見せてもらったりして買うものを決めていく。

 

「では、それをいただきましょう。あと、何点か持っておきたいですね。」

「では、唐物で青磁と白磁の物を用意して、井戸茶碗も持っていた方がいいでしょう。和物は美濃焼や信楽焼などは基本ですので見繕わせましょう。あと、茶筅に茶杓は竹のものが良いでしょうな。茶巾と茶筅は新しい方がいいと言いますし多めに用意しなくてはなりませんね。茶釜は天明釜か霞釜がよろしいかと・・・。茶壷は・・・富士茄子を奥からお持ちしましょう。良いものです・・・。それと香炉ですね。」

 

富士茄子はあまり売りたくないんだろうな。口が重い。でも、見せられたら欲しいですよね。

 

「では、それらを一式頂きましょう。」

「はい畏まりました。では漆細工の茶箱は差し上げましょう。護衛を付けて店の者に届けさせますが秋大社でよろしいですか?」

「構いませんよ。」

 

私が会計を済ませていると秋姉妹も終わった様で話しかけてくる。

 

「済んだかしら?煎茶の道具も買っちゃたわ。」

「私達も終わったところよ。行きましょうか。」

 

二人の問いかけに私は頷きながら答えた。

 

「そうですね。でも、せっかくだから他も見て見たいわ。」

 

すると、茶屋が芸術家の狩野永徳の所に行ってみるのはどうかと言ってきた。

私たちも興味があったので、行くことにすると茶屋さんが気を利かせて知らせの使いを走らせてくださいました。

 

私達は途中で書物の店で書籍を数点買ったり、小物をいくつか買ったり見たりして永徳の工房へ向かったのです。

 

 

 

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