大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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62 大樹信長記 日常編②狩野永徳

 

 

狩野永徳の工房にはすでに先客がいたのでした。

 

「あれ、堀殿?」

 

信長の側近のひとり堀秀政殿が軒先で待機していました。

 

「あ、大樹様いらっしゃいましたか。信長様が中でお待ちです。」

「え、信長が中にいるのですか?」

「えぇ、お待ちしておりますよ。お入りください。」

 

それを聞いた、秋姉妹は少々わざとらしい感じがしましたが気を利かせてくれたようで・・・

 

「あ、ちょっと急用が!ね!姉さん!」

「そ、そうね!じゃあ、後はごゆっくり~。」

 

とりあえず、私たちはここで別れて私は信長の待つ工房の中へ入っていくのでした。

 

 

 

「お、来たか。本当はもう少し後でと思っていたが丁度ここに向かっていると聞いてな。」

「信長、これは・・・。」

 

狩野永徳は巨大な屏風絵を仕上げていた。

永徳は弟子たちともに寄って来て頭を下げる。

 

「あの時は、私も京の都におりまして大樹様の勇壮な御姿が目に焼き付きまして・・・この事を後世に伝えたいがために筆を執った次第にございます。」

 

私が数多の妖怪達を率いて鬼神両面宿儺に立ち向かう姿が描かれており、洛外よりの場所では六角の残党を討滅する秋姉妹や、室町幕府軍に立ち向かう織田軍や妖精巫女たちが描かれていた。

私の前には氷の塊を放つエヴァ?らしき姿が描かれており、永徳がだいぶ近くから目撃していたことも理解できた。

 

「これを、安土に建てる城に飾るぞ。」

「安土だと色んな人に見られてしまいますね。少し恥ずかしいですね・・・。」

 

「不満か?」

「嫌ではないのですがこそばゆいと言いますか・・・。神様を長くやっているので敬われたりするのは慣れているのですが・・・、信長の場合は私が困るのを面白がっているような気がします。」

 

信長はニヤリと笑って答える。

 

「そうだな、たまにお前のそういった顔が見たくなる。」

「むぅ・・・子供みたいなことをして・・・桃園でよく会っていた頃はもう少し大人だったのに・・・。」

 

すると信長は私を壁に押し付けて、壁に手を押し当て顔を寄せる。

 

「なら、大人の様な事をしてやろうか。」

「あうぅ・・・。」

 

このあと、近くの農家を借りて(農家の人は一晩野宿) にゃほにゃほ した。

 

 

この頃は、武田攻めの総大将を長男信忠に定め信長は政治に注力することが増え京や築城の関係上安土にもいることが増えた。今までは私が清州の桃園大樹宮へ行くと言う建前で岐阜に立ち寄ったが、最近はお互いに時間を合わせることが容易になった。

今まで以上に、一緒にいることが増えたような気がする。

 

信長が私に背を向けて煙管をふかしている。私は汚れてしまった巫女服から信長の小姓が用意した着物に着替える。

 

「石山の破戒僧たちはいつ片が付くのかしら?」

「奴ら、思った以上に硬い。むしろ武田を下す方が容易い気がするな。徳川が武田と激しく争っている上に貴様の口添えで北条も武田を攻めておるし、美濃からも圧迫しているからいずれ武田は息が切れるだろう。毛利水軍が木津河口に現れて俺の水軍がやられてしまったわ。次は負けんが石山に勝つことは確実だが時間が必要だな。」

「最近なんだか疲れやすいわ。」

 

私は肩や腰を擦りながら話すと信長は・・・。

 

「しばらくは戦に出なくて良い。暫し養生するといい。」

 

それから、しばらくして安土城が完成した。

天正3~4年(1575年~1576年)、武田家と長篠で戦端が開かれ織田・徳川の連合軍が大勝利した年でもあった。

 

 

 

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