大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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64 大樹信長記 武蔵国里帰り

 

東海道の辺りから武田の脅威が去り、私こと大樹野椎水御神は安土城に本格的に住居を移すことに、武蔵国の大樹大社に戻って荷物を纏めることにした。

その為に先だって、使者が大樹大社に送られ大樹大社にいる妖精達に引っ越しの支度をするように伝えられた。

 

ぐわごぜ、白蔵主は京や畿内の政や治安維持に努めさせている。他の織田領や同盟国領も大天狗たちや水虎河童たちの天狗や河童の上役に任せている。

刑部狸は長曾我部家と最近織田に下った旧三好筋の十河家との折衝を任せている。長曾我部家の一条家領併合は平和裏に行われた。一条家の旧臣たちは朝廷の北面武士として近衛となっている。

 

風見幽香は浅井軍の北伐に加わっている。越前越中の一向一揆は掃討して、越前越中の織田領、能登畠山家や飛騨姉小路家と協力して対上杉の戦いに備えるのだろう。

 

エヴァンジェリンは客将なので特に何かある訳じゃないけど、引越しの手伝いをさせるのは少し気が引ける。それに異人であるエヴァは信長を始めとする諸将の南蛮趣味(基督教以外)に付き合っている様だ。200年ばかり吸血鬼としてヨーロッパで暮らしていれば南蛮趣味にも詳しいのだから当然か。

 

私は向日葵衆と供廻りの妖精達が同道し途中、浅井・徳川・北条に接待を受け武蔵国の大樹大社に至る。

 

大樹大社で引っ越しのために重要な宝物や祭具を葛籠や漆箱に仕舞われていく。

妖精巫女たちが荷造りをしている横でお茶を入れて大ちゃんたちとお茶を飲みながら久しぶりの再会を喜び雑談に花を咲かせる。

 

「久しぶりに戻ってきたのに・・・またすぐに安土に行かれるのですね。」

「ごめんね。大ちゃん…わたし、好きな人のそばにいたいんだ。」

「なんだか、ティタは大人になった感じがするね。」

「いずれはここに戻るつもりだけど・・・それまではここを守ってほしいんだ。」

「うん、わかったよ。ティタが戻るまで私がここを守るよ。」

「ありがとう、大ちゃん。」

 

大ちゃんたちと3週間過ごし、安土に戻る期日が近づきつつあった。

その頃の私は日々続く、吐き気などで体調不良が続いたが安土に戻る予定は変更しないことにした。

 

大ちゃんはチルノと一緒に大樹大社に残り、亡霊軍の平将門と共に関八州の守護することとなった。一方でサニーミルク・ルナチャイルド・スターサファイアの三妖精は私と共に安土へ入る運びとなった。

 

ただ、今もって続ている体調不良の為に空を飛んでの早い移動はなかなか出来ず従来の大名行列のような形での大移動となった。

 

大樹大社の神体である私が遷するわけで、正式な遷宮遷座に当たる行列であった。

この内訳は向日葵衆、大樹供廻り衆、三妖精付き妖精巫女衆(陽光組、月光組、星光組)の妖精約700、妖狐理ら150、河童山童ら100、天狗50、亡霊100。これに加え、各大名家の護衛50~100。1000人越えを擁する大規模な神幸行列であり、行くところ行くところに庶民たちが人だかりを作り見物しに来ていた。

 

安土への道程の大半で私は大型の駕籠の中で布団を引いて横になっていた。

 

「下にー、下にー。」

 

行きは2週間弱でしたが、帰りは5週弱の期間を掛けたゆっくりとした旅路でした。

 

 

徳川領浜松城にて、私は徳川家康の招待を受け浜松城で1泊することになる。

 

家康と言葉を交わす中、家康は私のお腹をしきりにちらちらと見てくる。

少しばかり気分を害した私は家康に強い口調で尋ねる。

 

「家康殿先ほどから女子の腹など見て少々失礼ですよ。なにが気になるのです?」

 

家康は遠慮がちに返答する。

 

「なんというか。大樹様、その腹は・・・なんといいますか。膨らみが小さいとは言えまるで御子を身籠ったように見えまして・・・。」

 

私は妖精ですから、身籠ると言うことはないはずです。

 

「まさか。」

 

「ですが、大樹様が行きに立ち寄られたときは随分お疲れでしたし・・・。密柑や柚の様な酸っぱいものを好まれていましたし・・・。」

 

家康との宴席は御開きとなり、翌日浜松を発った。

 

次に佐和山城で浅井長政、昼食を御馳走になると言う名目で立ち寄ることに・・・。

家康が早馬で知らせた様だ。ご丁寧にお市の方まで長政殿と一緒に来ています。

 

「御子がいらっしゃいますな。めでたきことです。」

「長政様!今動きましたわ!」

 

マジですか?そういうことした男って信長しかいないし・・・。

そういう事なんですよね・・・。

 

・・・今頃は信長も知っているのでしょうね。

 

 

 

 

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