大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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67 大樹信長記 紀州攻め

 

 

 

天正5年(1577年)、後に安土会議と呼ばれたこの会議のすぐあとで、羽柴秀吉の中国攻めが始まった。織田信忠にも紀州征伐が命じられ、明智光秀の丹波攻めと佐久間信盛の本願寺包囲も継続される。そして、能登国七尾にて上杉と事を構える浅井長政への援軍として柴田勝家率いる軍勢が進発した。

 

子供が生まれたことで、大樹は大きく動き出した。

大樹は信長の官位の取得を仲介で右大臣兼右近衛大将にしたが、さらに上の官位を引き出そうと朝廷との調整に動いていた。

信長は大樹に勧められた三官のいずれかへの任官に難色を示した。

古来からの権威に囚われない政を目指す信長としてはこれ以上の官位は不要と言う思いがあったのだ。

 

そこで、大樹は信長の為だけに新官位を創設することを決めたのだ。

大樹は朝廷を説き伏せ新官位を創った。

 

一時的に話題を逸らすが織田信長と大樹野椎水御神に積極的に協力する妖怪勢力は河童と妖狐理であるが、この時期それ以外の妖怪勢力に大樹神紋と織田木瓜・天下布武の印が捺された参戦要請や命令指示が書かれた書簡が届けられている。

 

 

『我 大樹野椎水御神は 天皇養母兼摂政なる自身の王配として 織田右大臣信長に 朝廷より新たに創られし 官位・治天下覇王 に推挙するものなる この官位は 関白・征夷大将軍・太政太政大臣の上なる摂政と同列の位に 織田信長 に のみ与へらるる官位なることを 第百六代天皇方仁 及び 天皇養母兼摂政大樹野椎水御神 は 織田信長による府の開闢を 認むることを ここに宣言す。

 

東北探題 痰々坊に対して、織田天下の下なる各大名家援助し それに抗ふ逆賊の討伐を命ず。』

 

ぬらりひょん等の敵対姿勢を見せている者たちを除く妖怪衆の長たちに上記の様な書簡が届けられた。

 

北方の諸大名の多くは織田家に従う様子であったが、佐竹家を中心とした南陸奥及び北関東の諸氏が反抗的であり、上杉家・武田家も敵対姿勢を見せていた。また、現在攻め込まれている山陰山陽方面に加え本願寺・紀州も必然的に敵対的であった。

四国も仲裁待ちだったが、織田家には敵対的ではなかった。九州諸大名は距離的地政的にも中立もしくは無回答であったが大宰府はその地ならしに九州諸大名への諜報工作を開始した。

 

 

天正5年(1577年)4月、織田信忠率いる尾張・美濃の軍勢、信雄・信孝・信包配下の伊勢の軍勢3万と筒井軍・紀伊畠山旧臣1万5000が進軍を開始。これに山童衆が加わり総勢5万を超える大軍勢は16日には和泉に入り、翌17日に雑賀衆の前衛拠点がある貝塚を攻め落とした。

18日には織田勢は山手と浜手の二手にそれぞれ2万の兵を投入して侵攻を開始した。

 

浜手の織田勢は淡輪から三手に分かれて孝子峠を越え、雑賀側の防衛線を突破して南下し、中野城を包囲した。2月28日に信忠は淡輪に本陣を進め、同日中野城は織田方の誘降工作に応じて開城した。3月1日、織田勢は平井の雑賀孫一の居館を攻撃した。

 

山手の織田勢は風吹峠を越えて根来に進み、紀ノ川を渡って東側から雑賀に迫った。これに対し雑賀衆は雑賀城を本城となし、雑賀川(和歌川)沿いに弥勒寺山城を中心として北に東禅寺山城・上下砦・宇須山砦・中津城、南に甲崎砦・玉津島砦・布引浜の砦を築き、川岸には柵を設けて防衛線を構築した。

 

 

24日、山手側の織田軍は雑賀川を挟んでの射撃戦を開始。双方の渡河部隊や千早船に被害が出た。雑賀川の先鋒大将である堀秀政は山童の石火槍衆を投入したうえで新兵器を投入。

 

「棒火矢!弾込め!」

 

堀秀政の号令で鉄砲足軽たちと山童たちが、大鉄砲と呼ばれる大口径化された火縄銃に焙烙玉を球状ではなくロケット状にして、さらに小型化したものを装填して行く。

 

準備が終わったのを確認した秀政は刀を振り下ろす。

 

「撃て!」

 

ヒューと甲高い音を上げて、雑賀川を越えて行く棒火矢。

棒火矢が敵軍に命中、爆発し炸裂した容器の破片が敵兵に突き刺さる。敵兵は絶命するか、突き刺さった金属片にのた打ち回る。炎での攻撃は威力が低かったと思われるが火傷や焼死する者がいなかったわけではない。雑賀衆の士気を下げるには十分だった。

 

「撃ち続けろ!」

 

秀政の号令通り耐え間なく撃ち続けられ、対岸の雑賀衆の陣は大混乱に陥った。

 

「機を逃すな!敵陣に乗り込め!」

 

雑賀衆はあらかじめ雑賀川の底に逆茂木・桶・壺・槍先を沈めておいて渡河の妨害を図ったが、それを狙い撃つ雑賀衆は織田軍の攻撃で大混乱に陥っており効果的な攻撃が出来ず織田軍の渡河を許したのであった。

 

渡河を終えた織田軍は雑賀衆の支城や砦を包囲を開始したのであった。

 

 

 

※『』文章、平泉大樹神社保管資料より

 

 

 

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