大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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73 大樹信長記 織田軍再編

 

 

本能寺の変から2カ月、信長と大樹は八雲紫の助けで岐阜の信忠と合流することに成功した。

しかし、大樹の傷は思いの外深く、立ち上がることも困難であった。

八雲紫の説明によると、光秀らの銃の弾丸は蠱毒の呪詛等のあらゆる穢れを込めた呪弾であり、それが彼女を弱らせているのだと聞かされた。

それを聞いた信長は「であるか・・・。」と答え大樹のそばを片時も離れなかった。

 

そして、本能寺の変から2カ月後。大樹は一時的に目を覚ます。

 

「信長・・・うぅ・・・貴方を失いたくなかった。」

 

その言葉を聞いた信長は大樹の差し出された手を握って答える。

 

「お前と言う蝶をやっと捕まえられたな。」

「私も・・・貴方と言う風に・・・やっと乗れた気がします。」

 

大樹はそう答えると再び目を閉じた。

 

「大樹!死ぬな!」

「織田様、大樹様はお休みになられただけです。」

 

動揺した信長を八雲紫は静かに宥めた。

 

「そ、そうか。」

 

 

 

 

 

 

 

羽柴秀吉は毛利軍に敗れた後、淡路を経由し四国に流れ着いた。流れ着いた先で刑部狸と連携し長曾我部元親や十河存保らを説得し、水軍衆といくらかの兵を借り受け、堺・大阪の織田軍を拾い上げ、瀬戸内海を抜け尾張伊勢の港に上陸し信長と合流を果たした。

 

「信長様ぁ~!!よくぞご無事で!!この猿めが!!四国より援軍を率いて駆け付けました!!」

 

信長直々に出迎えを受けた秀吉は感涙しながら信長に駆け寄っていく。

そんな様子を見ていた蜂須賀正勝は横にいた河城にとりに呟いた。

 

「信長様が亡くなっていたら・・・あるいは彼奴が天下を取っていたかもしれんな。」

「そうかもしれないけど、秀吉にとっては信長様の猿でいるのが幸せなんだよ。」

 

それを聞いた黒田官兵衛が「かもしれませんな。」と応じて、他の秀吉の家臣らと信長と秀吉の姿を眺めていた。

 

さらに北条家は東北の最上家・伊達家と同盟を結び北国諸大名への睨みを利かせたことにより、徳川家や諸将は蜂起した残党を征伐し、岐阜の信長の下へ兵を率いて合流しつつあり、信濃真田家(甲州征伐の際に降伏し、本領安堵となった。)の仲介により越後上杉家と一応の和睦が為されたことにより、柴田勝家も信長の下へ向かっていた。浅井家は明智方と接している面が多く近江国坂田柏原と高島朽木で明智軍と睨み合っていた。長政は伊吹山に逗留していた伊吹萃香ら鬼衆を説き伏せ坂田柏原の自陣に招きいれたことにより自軍の倍にも及ぶ敵軍と対陣し続けた。また、飛騨姉小路家は信長の安否が判明した翌月には援軍1000を岐阜に送っており、刈谷の水野信元も本能寺の変後自ら500を率いて尾張の神精丸を守る為にと清州城前に布陣した。

 

光秀は足利義昭率いる室町幕府軍を招き入れた。足利義昭を擁する室町幕府軍の主力は毛利家と宇喜多家の軍であり他に山名家や赤松家の残党で構成されていた。室町幕府の古参の臣は既にほとんどいなかったが、ぬらりひょんが義昭を神輿に指定し諸将がこれに便乗した為、光秀の主導権が失われつつあった。

 

岐阜を起点に勢力を回復した織田軍は反撃を開始、織田方と明智方は近江を起点に二分された。

 

丹後を領有していた細川家は明智(室町)方に与していたが、丹後の半領を義昭の最側近一色藤長に与えたことで、不満を持ちその動きは意図的に緩慢であり、裏では織田方に内応していた。一方では領土の大半を取り上げられていた若狭武田家は領土を回復し、積極的に明智方に協力した。四国の十河家に三下り半を突き付けられた三好三人衆ら三好残党は室町幕府の将として権威を回復。また、本願寺も一部が明智方に合流したが顕如が姿を隠したため合流したのは過激派のみであった。雑賀衆であったが領内で揉め事を起こすことを嫌い反織田・親織田双方がそれぞれに兵を派遣する形で応じた。筒井家であるが、当主順慶は未だに旗色を示さず中立を守っていた。明智方は九州諸将に参陣要請したが音沙汰は無かった。

 

 

岐阜を起点に勢力を回復した織田軍は反撃を開始、織田方と明智方は近江を起点に東西に二分された。

 

織田と明智は全国の大名たちを巻き込み、それぞれ東軍西軍に分けられた。

天下分け目の戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

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