大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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81 近世 動き出す帝王

 

普墺戦争の大勝利によってドイツ東西のプロイセン領の統合を達成し、オーストリアを統一ドイツ(現段階では北部ドイツの統一)から排除した。一方、オーストリアは翌1867年にオーストリア=ハンガリーを成立させ、ドナウ河流域の統治に専念することになる。

 

オーストリア=ハンガリー二重帝国はハプスブルク家(ハプスブルク=ロートリンゲン家)の君主が統治した、中東欧の多民族連邦国家であり、国家連合に近い。1867年に、従前のオーストリア帝国がいわゆる「アウスグライヒ」により、ハンガリーを除く部分とハンガリーとの同君連合として改組されることで成立した多くの地域を抱える大国だった。そして、オーストリア=ハンガリーはプロイセンの影響を大きく受けることとなる。

 

オーストリア=ハンガリー成立の翌年、オーストリア皇帝はハンガリー国王を兼ねる存在(同君連合)とされ、軍事・財政・外交面は依然として皇帝が直轄していたが、プロイセン(ベアード)の影響は皇帝の下に宰相を設けると言う形で現れる。

スカーレット家の馬車がホーフブルク宮殿の前で泊まる。壮年の吸血鬼と幼い容姿の吸血鬼が使用人を伴い降り立った。

 

「お父様、ここが皇帝の住んでいるところなの。」

「そうだ。レミリア、スカーレット家の長女として恥ずかしくない振る舞いを心掛けなさい。」

 

「もちろんですわ。お父様・・・でも、紅魔館から引っ越しするのは残念です。気に入っていたのに・・・。」

 

ギュスターヴはレミリアに優しく言い聞かす。

 

「代わりと言っては何だがシェーンブルン宮殿を使っていいことになっている。あそこは環境がいいし、フランの心にも良い影響を与えてくれると思うよ。」

「そうですわね。お父様。」

 

そのような会話をしながら、宮殿の中を進む二人は皇帝フランツ1世への挨拶を澄ましシェーンブルン宮殿へ居を移しオーストリア=ハンガリーの政治・軍事・外交を動かすのであった。

 

ギュスターヴ・スカーレット侯爵の宰相就任。彼は西洋妖怪軍団の最高幹部であり、首領であるバックベアードとは親友同士の関係でもある初代ドラキュラ公爵の血縁であった。

 

スカーレット家は吸血鬼内でも名族に分類される良家であり、本家のドラキュラ公爵家が最高幹部であるので必然的にスカーレット家も上位幹部階級にある。また、プロイセン王国(西洋妖怪軍団)の半傀儡状態のオーストリア=ハンガリー二重帝国の国家宰相に差し込まれるギュスターヴ・スカーレットの信頼は篤い。

 

1868年に送り込まれたスカーレット侯爵はドラキュラ公爵よりオーストリア=ハンガリー二重帝国の維持を命じられた。当時のオーストリア=ハンガリーは普墺戦争を含む多くの戦争で連敗し続けており急速な支配力の低下が懸念されていた。彼はオーストリア=ハンガリーの維持のためにアウグスライヒであったりナゴドバ法だあったりと人種間問題で多くの妥協を行った。

 

1889年、ギュスターヴの実権掌握を受け入れた皇帝フランツ1世と違い反目する皇太子ルドルフを暗殺する等、政敵には強硬な対応を行った。これはフランス自由主義勢力からの影響を受けたルドルフを嫌ったが故の行動であった。また、フランスは魔法世界勢力の影響が強い国でありベアードの懸念する事であった故でもある。

ルドルフの背後関係を調べるうちにフランツ1世も一枚かんでいたことに気が付いたギュスターヴは1898年に皇帝への見せしめとして皇后エリーザベトをも暗殺した。

 

「皇帝陛下、勘違いなされますな。貴方の代わりはいくらでもいるのです。なんなら、貴方を眷属にして奴隷にすると言う選択肢もある。それが御嫌なら大人しくしていて欲しいものですな。」

 

ギュスターヴの恫喝を受けたフランツ1世は皇帝は激しく怯え、政務に没頭するようになった。

 

 

 




ギュスターヴはオリキャラです。
次回辺りから、ベアード軍団や魔法世界の動きが見えてくるか・・・
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