大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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83 近世 日本幻想の歩み

 

 

普仏戦争において、ベアードの操るプロイセンはフランスに勝利し、魔法使い勢力を追い落とした。結果、フランスの帝政は崩壊。フランスの魔法使いたちはイギリス、ロシアなどに渡っていった。

 

同時期に日本でも幕府の弱体化は大政奉還と言う英断を幕府に決意させた。討幕派が一定の勢力を持つようになり、それを牽制し幕府を擁護する形で大樹による介入が行われ、公武合体が成された。安土幕府は緩やかに解体が始まり、近代化を成し遂げた新政府大日本合藩連合帝国への移行が始まった。また、妖怪達の世俗化が進む一方でそれに乗れない者、拒むもの達は八雲紫が行った幻想郷計画によって現世から幻想の濃い土地へ移ることとなる。河童のほぼ半数、天狗の大半と鬼の全てが、それ以外の妖怪達も少なくない数が幻想郷へと流れて行った。幻想郷は当初は隠れ里の形式で現世と隔離された存在ではなかったが、時代が進むにつれ現世から妖怪排斥及び科学技術の発達からくる神秘の風化によって幻想郷は八雲紫の管理する強固な結界に守られ現世から乖離した小世界を作り上げた。

 

 

また、文明開化や産業革命によって衰退の兆しが見えた妖怪達についてであるが、日本に残った妖怪達の大半は熱心な大樹恩顧の妖怪たちであり、妖狐衆、妖狸衆のほぼ全て。植物系の妖怪達の多くが幻想郷へ移住せず大樹大社の傘下におさまった。また、ぐわごぜや雪女郎、たんたん坊と言った役職持ちの妖怪達の配下の妖怪達も大樹大社の傘下入りが確定している。河童の氏族たちは様子見をしている者が多く、幻想郷との出入りが規制されるまではどちらとも決めかねているのだろう。天狗の氏族も幻想郷移住を決めた者が多いが、出入り自由の間はこちら側にも影響力を残しつつ手を出してくるだろう。しかし、かつての大樹の最大支持基盤であった妖精達の多くは幻想郷移住(神秘の低下によって存在の維持も妖しくなった為)、むしろ疎開に近い移住を決断し大樹の下に残ったのは能力の高い妖精たちであり、精鋭化した面もあった。秋比売姉妹などは幻想郷に隠棲する旨を大樹へ伝えている。豊穣の神と妖精と言う日本の実りの象徴が去ったことは日本と言う国に飢饉や災害と言った形で影を落とし始める。また、ぬらりひょんの勢力も足跡が掴めていないがそれなりの勢力を維持しているものと思われる。時代と共に妖怪の勢力は衰退していたことは事実であったが、人間<妖怪なのは未だに不変の法則であった。

また、一見勢力としては衰退したものの大樹恩顧の妖怪による一枚岩体制の形成は深い意味では勢力の精鋭化であり強化された側面もある。

 

そう言った意味でも、日本と言う国は大樹と言う存在をもって国家という組織の中に妖怪が居る世界でも類を見ない存在であった。制約も多いが、ある意味で妖怪と人間の成功国家であった。

 

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