大樹の妖精、神となり   作:公家麻呂

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91 近世 日露戦争 旅順要塞攻略戦第一次総攻撃

 

9月1日、旅順要塞攻略戦が始まる。

 

旅順は元々は清国の軍港で、露国が手中に収めた時点である程度の諸設備を持っていた。しかし防御施設が旧式で地形も不利な点を持つことを認識し強化に着手した。1901年より開始されたこの工事は、当初は下述する203高地や大孤山も含めた十分に広い範囲に要塞防御線を設置し、常駐の守備兵も1万8000が配備されていた。

 

 

 

しかし、この要塞防衛線は港湾部に近すぎ、要塞を包囲した敵軍の重砲は、防衛線内の砲台から狙われない安全な位置より港湾部を射程距離内に収めることが出来ると言う弱点を持ち地形上、防衛線外の大孤山や203高地、南山坡山(通称海鼠山、203高地の北)などから港湾部の一部もしくは全域の弾着観測ができた。そのため開戦後にはそれら防衛線外も前進陣地や前哨陣地を設け防御に努めたが本質的に完全ではなかった。

 

 

 

これらの問題点を抱える旅順要塞であるが主防御線はコンクリートで周囲を固めた半永久堡塁8個を中心に堡塁9個、永久砲台6個、角面堡4個とそれを繋ぐ塹壕からなりあらゆる方角からの攻撃に備え、第二防衛線内の最も高台である望台には砲台を造り支援砲撃を行った。さらに突破された場合に備えて堡塁と塹壕と砲台を連ねた小規模な副郭が旅順旧市街を取り囲んでいた。海上方面も220門の火砲を砲台に配備して艦船の接近を妨害するようになっていた。

 

 

 

開戦時、ロシア軍が満州に配備する戦力は6個師団程であったが、その三分の一に当たる2個師団約3万名が旅順および大連地域に配備された。これに要塞固有の守備兵力、工兵、要塞砲兵なども含め最終的に4万4000(これに加え義勇兵1万、海軍将兵1万2000)が立て籠った。

 

ロシア軍では、この要塞を含めた地域一帯を防衛するロシア関東軍が新設され軍司令としてアナトーリイ・ステッセリ中将が着任した。

 

 

7月12日、旅順艦隊を無力化した日本海軍は艦隊を派遣し、要塞の海上方面軍と砲火を交えた。天狗の偵察部隊によってもたらされた情報は事前情報が不足していた陸軍の要塞地図を更新修正し、準備を整えた第三軍は7月26日旅順要塞の諸前進陣地への攻撃を開始し、主目標はそのうちの東方の大孤山とした。3日間続いた戦闘で日本軍2,800名、ロシア軍1,500名の死傷者を出し、30日にロシア軍は大孤山から撤退した。この頃乃木は、来るべき総攻撃の期日を、増援の砲兵隊の準備が整うのを待って8月19日とする決断をした。

 

 

 

大礼服に身を包んだ陰神刑部狸が大ぶりな刀を振りかざし号令を掛ける。

 

妖怪を加えた第一次総攻撃である。

 

 

 

「我ら大樹様より神勅授かりし、我ら軍隊狸!!神州狸の力を露助と異国の術士共に見せつけん!!いざ突撃!!」

 

 

 

ラッパや太鼓の狸囃子が鳴り響き、日本領の各地域から搔き集められた化け狸たちが各々得意とする変化の術を駆使してロシア軍の塹壕や陣地を攻め落とし始める。

 

 

 

「「「「「おぉおおおおおおおお!!」」」」」

 

 

 

大樹が天皇家護持を掲げて行動を起こした最初期から大樹に付き従い数多の戦いに参加した化け狸たちは忠誠篤く、大樹を妄信する筆頭の妖怪と言えた。

 

 

 

「きぇええええ!!」

 

 

 

塹壕の中で大鉈を振り回し、スコップや銃剣で抵抗するロシア兵の脳天をかち割り、切断された腕や足が宙を舞う。竹伐狸とその郎党狸たちが暴れまわる。

 

 

 

「戦いの歌!!」「風精召喚、戦の乙女17柱!!」

 

 

 

魔法使い達の反撃である。

 

 

 

「異界の夷敵、討つべし!!者ども行けぇええ!!」

 

「「「おぉおおおお!!」」」

 

 

第一次総攻撃で連合帝国軍はロシア軍に猛威を振るったが、旅順要塞を陥落させるには至らなかった。

戦いは激しさを増していく。

 

 

 

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