6月10日、ロシア帝国の援助国フランスに対し大日本合藩連合帝国政府はバルチック艦隊護衛において日本軍(南洋妖怪)と交戦した事実をもとに賠償を請求。これを拒否したフランスに宣戦を布告した。
連合帝国は阮朝の連合加盟を受けて第10代皇帝である成泰帝の要請を受諾し傀儡化が進む北ベトナム解放を決断(ハイフォンに要塞が築かれる等フランスの横暴がうかがい知れる。)。
これに対し、天狗や唐傘お化けや一反木綿に妖精と言った航空兵団を派遣し、翌月には精鋭の妖怪郡である西国鎮台と中央鎮台の妖狐狸衆が派遣された
この際にコーチシナの南洋妖怪勢力に決起を促し連合帝国の阮朝庇護が本気であることを示した。
吸血鬼ピーやケンパス蛇などのコーチシナの妖怪反乱軍もこれでもかと言うほどフランス軍の足を引っ張り、北部に上陸した連合帝国軍を支援した。
上陸から数日で阮朝正規軍や民兵がこれに加わり23日にはドンダン進駐を果たす。
北部側からも南洋妖怪の義勇軍が合流して26日ランソン進駐を果たした。ランソンヘ向かって線路脇を行軍する陸軍部隊は住民から飲み物をもらう程に解放軍として歓迎された。
29日、仏印沖に停泊するフランス軍の軍艦を連合帝国の航空妖怪隊が襲撃。ハイフォン沖仮泊するフランス軍艦艇に大打撃を与えハイフォン沖より追い出した。数日後には日本海軍の駆逐艦隊が停泊した。そして、日本陸軍より乃木希典大将を総大将に据えた軍団が派遣される。山間のトーチカから発砲する仏印軍、仏印軍陣地に砲門をひらく連合帝国の歩兵砲。両軍はぶつかり合い。7月2日、連合帝国軍(本国軍、)ハイフォン要塞へ攻撃開始。復讐に燃える阮朝軍と南洋妖怪軍の猛攻は強力で幾つもの防塁や塹壕を突破した。連合帝国陸軍や妖怪軍も負けず劣らず奮戦し、21日ハイフォン要塞を陥落させた。
連合帝国軍及び阮朝軍は南下しようと動いたもののコートシナにメガロ・メセンブリアやイギリス等の義勇軍が到着し南洋妖怪反乱軍は沈静化しており、鉄壁の守りを固めていたため南下を中止。8月1日、ランソン省のドンダン市鎮にて終戦協定が結ばれる(ドンダン条約)。
第二次仏日戦争の裏で、連合帝国の諜報機関及び夜道怪や八雲紫と言った異次元異空間に精通している妖怪の協力を得てイギリスやフランスなどの国々の虜囚の身となっている東南アジア諸王朝の王族およびその子女を救出(ビルマ・コンバウン王朝ティーボー国王、ラオス・チャンパーサック王朝チャオ・ニュイ国王、カンボジア王国シソワット国王、ハワイ王国リリウオカラニなど)した。
7日、阮朝フエ宮殿にて成泰帝主催の解放式典が開かれる。この式典には東南アジア諸国(ラオス・ルアンパバーン王朝及びチャンパーサック王朝、カンボジア王国、タイ・トンブリー王朝、ビルマ・コンバウン王朝、ハワイ王国)や同盟国及び準同盟国(ドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー二重帝国、オスマン・トルコ帝国)に連合加盟国や諸藩藩主が招かれていた。さらに西洋妖怪軍団からはバック・ベアード名代としてさとり第一王女とこいし第二王女、御付きや同行者の有名どころとして火炎猫燐、霊烏路空、カミーラ、エリートの姿があった(お燐と空は王女の御付き、エリートは駐日大使として、カミーラはその上司として参加)。南洋妖怪達も参列している。
西洋妖怪軍団の中でも最高位の存在が参列している時点で察することが出来るだろうがこの式典には大樹野椎水御神が参列した。日本と言う国が確立して2000年近い月日が経って初めて、彼女が国外に出たのだ。それ以前に天皇をはじめ皇族や日本の時の天下人やその側近たちしか見たことが無く。その姿は絵画ぐらいでしか知られていなかった存在である。
成泰帝のエスコートを受けた彼女は上座に案内されて玉座に座るように促される。
玉座に彼女が座ると成泰帝は下座に降りる。宮殿は静寂に包まれ、各国王朝の王族や同盟諸国の元首級が彼女の一挙一動に注目する。
「私たちの住む東洋は危機に瀕しています。イギリスやフランス、ロシアと言った国々、貴方達が白い悪魔どもと称する存在です。見なさい、かつての東洋の擁護者たる清帝国は最早亡国に等しい・・・東南アジアや南洋の国々は奴らの跳梁跋扈で滅びが迫っています。」
同意するように頷くもの達がいた。
「我が国は、幕府開闢よりそう言った脅威を跳ね除け先住の民たちと融和協調の輪を広げ連合帝国の礎としました。我が国には『和を以て貴しとなす』と言う言葉があります。我が国には多くの民族がいます。大和民族、アイヌ、琉球、ニウヴ、イヌイット、アボリジニ、新大陸の先住民たち、他にもたくさん。それに妖怪達も日本妖怪を始め南洋妖怪や西洋妖怪多くの者たちが繋がっています。連合帝国の和は輪となり大きく広がりを見せています。彼らは連合帝国を恐れ戦争を仕掛けてきました。清と同じ憂いを受けるかもしれませんでした。ですが、連合帝国は勝利しました。それは偏に連合加盟国や諸藩、諸民族、人と妖怪が一致団結したが故です。ですが、この戦いの勝利で選別主義、差別主義者たちの脅威はさらに強くなりました。その証拠に、奴らの横暴さは増し、この場にお集まりの方々の国々も亡国の方もいらっしゃいます。ここに来て私は、連合帝国の・・・否、東洋の団結が必要なのだとここに理解しました。そして、そしてその輪をさらに広げドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー二重帝国、オスマン・トルコ帝国と結びさらに強固な力を持つことが出来ました。これが我々の、そしてこれからの歴史です。」
大樹の声のトーンが上がる。
「対して、イギリスやフランス、ロシアと言った国々はどうか?あれは侵略者の破壊者の歴史です。1492年、コロンブスがアメリカ大陸を発見したときから始りました。大航海時代に伴う、白人の植民地政策で残虐非道な行為が行われました。新大陸、アフリカ、そしてアジア、中南米では奴らの侵略によって、一世紀足らずの間に、それまで独自の文明を打ち立てて、平和で幸せに暮らしていた罪のない先住民をほぼ全滅させてしまいました。先住民に対する白人の残虐無法ぶりの一例です。300万人の先住民が住んでいた地域が、コロンブスが来てから50年後の1542年には、この美しかった地に生き残ったのは、ただの200人だったと・・・。なぜそうなったのか?奴らは先住民をすべて奴隷を牛馬のように使ったからです。尊厳も何もかもを踏みにじり、重い荷物を背負わされ100キロ、1000キロの道を歩かされた先住民の背中や肩は、重い荷物ですりむけ、まるで瀕死の獣のようで、奴らは鞭や棒や平手や拳固で、容赦なく彼らを痛めつけたのです。奴らは先住民を野獣として扱ったのです。アフリカでは、16世紀から18世紀にわたり、白人達は奴隷貿易を行い、欧州、アフリカ、新大陸の三大陸にまたがる貿易によって欧州に莫大な利益をもたらしました。そして、東洋にも奴らの脅威は迫っています。その現状は、他の地域と同じく原住民は過酷に殺戮、搾取され、奴隷状態の悲惨な状況です。植民地支配者に対しての反乱については、きびしい弾圧と虐殺があります。このままでは世界が奴らの奴隷にされてしまいます。」
欧州諸国の奴隷の歴史を強く非難し、欧州諸国のありようを否定する発言をする。
「奴らの科学と言う物質文明の際限ない欲望に根差した考え方は非常に危険です。彼らは際限なく木々を伐採し、それを燃やしその煙でロンドンの空はいつも曇りの様だと聞いています。そして、そのような光景は欧州の各所で見受けれられつつあります。一部では海に工業廃水を流し込んでいると言う話も聞く。今はまだ、母なる大地と父なる海がをその慈愛溢れる揺り籠で浄化しています。ですが、それにも限界はあります。
かつて人類が精霊や神霊と言った超自然的な存在と共にあろうとしたのは大地が人の欲望の重みに耐えることが出来ないことを理解していたからです。
しかし人類は物質科学文明を極めるや精霊の力を力技で従わせることで人類そのものの力を手にしたと誤解してしまった。人類は精霊や神霊と共にあることでその能力を広げることが出来ると言う事をなぜ忘れてしまったのか。こう言った考えを奴らは野蛮で遅れた考えと言う。だが、母なる大地と父なる海を苦しめる奴らの方が遥かに野蛮であると理解できるでしょう。」
さらに彼女の発言は英仏ら欧州諸国の背後に隠れるメガロ・メセンブリアに向けた内容も述べられる。
「英仏やその背後にいる存在は、業の深すぎる欲望に従い世界を食いつぶそうとしている。今ここで、それを食い止めねばこの清らかな水と青々とした木々に満たされた世界は無くなってしまうのです。それほどに世界は疲れきっている。今、誰もがこの美しい世界を残したいと考えている。ならば自分の欲求を果たす為だけに、寄生虫のようにへばりついていて、良い訳がありません。欲望に根差した存在の一部はこの世界を捨てた存在です。それが今更しゃしゃり出て、独り善がりの思想を押し付ける。それこそ悪であり、人類を、世界を衰退させていると言い切れる。そのようなことは許されることではないのです。私はこれ以上、大地を、海を、空を汚すなと言っている。・・・この度お集まりの皆様方に伏してお願いする。今、一度私に力を貸して欲しい!!私に!連合帝国に、否!!この美しい世界を守るためにどうか力を貸して欲しい!!」
フエ宮殿の演説は公式の記録は残っていない。一部の国の王族が知るに留まっている。
この時の事を彼らは後にこう語っている。
「この日、世界は二つに割れた。」