戦姫絶唱シンフォギアST~Scratched thunder~   作:兵頭アキラ

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今回は今までの二倍はあります。8話は切るところが分からずに丸々やっちゃったぜ。仕方ないんや、尊みが深すぎたんや・・・。

投稿してなくてもUAが百超えたり、感想が書かれたりする作家さんホント尊敬する。私はようやくのぼりはじめたばかりだからな、このはてしなく遠い人気作家への坂をよ・・・。(空へと続く曲がりくねった謎の坂を上りながら)


語呂がおかしいとか気にしない。


仲直り、新たな決意、変わらぬ決意

 『ふらわー』で体を療養していたクリスが回復し、未来が貸していた体操服を返却して洗濯してもらっていた服に着替え、彼女の話にぶっきらぼうに答えていた。

 

「ケンカか・・・。あたしにはよくわからないことだな・・・」

「友達とケンカしたことないの?」

「・・・友達いないんだ」

「えっ?」

 

 クリスの返事に思わず声が出る。

 

「地球の裏側でパパとママを殺されたあたしはずっと一人で生きてきたからな。友達どころじゃなかった」

「そんな・・・」

 

 未来の脳裏に中学で転校してきた親友の姿がクリスと重なる。もしも私達と出会っていなければ、彼女もこんなふうになっていたのかもしれないと未来は思った。クリスの独白は続いていき、聞けば聞くほど親友の姿と重なっていく。ただ違うのは怒りを抱くか恐怖を抱くか、それだけのことだった。クリスの過去を思い出させてしまったことに未来は謝罪する。

 

「ごめんなさい・・・」

「なぁ、お前そのケンカの相手ぶっ飛ばしちまいな」

「へ?!」

「どっちがつえーのかはっきりさせたらそこで終了。とっとと仲直り、そうだろ?」

「出来ないよ、そんなこと・・・」

「フン。わっかんねーよなぁ・・・」

 

 未来の返事にクリスはそっぽを向き、『ふらわー』から出ていこうとする。不意に未来が後ろから声をかけてきた。クリスは振り返る。

 

「ありがとう」

「あぁん?あたしは何もしてないぞ」

 

 膝にのせていた体操服を横に置いて立ち上がる。

 

「ううん。ほんとに、ありがとう。気遣ってくれて。あ、ええと・・・」

 

 そう言えば名前を聞いていなかったことを思い出し、何と呼んだらいいかと言葉を詰まらせる未来に対して、どうでもよさそうにクリスは名前を伝える。

 

「クリス。雪音クリスだ」

「優しいんだね、クリスは・・・。やっぱり、あの子にそっくり・・・」

「なっ・・・そうか・・・」

 

 最後のほうは小さくて聞き取れなかったが、未来の言葉を聞いたクリスが恥ずかしそうに後ろを向く。そんな彼女に未来がそばによって手を握る。

 

「私は小日向未来。もしもクリスがいいのなら、私はクリスのお友達になりたい」

 

 一度動揺したクリスだったが、未来の手を振り払って距離をとる。

 

「あたしは、お前たちにひどいことをしたんだぞ」

「うん?」

 

 クリスの言葉の意味が分からず、未来は目を丸くするがいきなり鳴り響いたサイレンに意識を持っていかれてしまう。

 

○○○

 

「翼です。立花、轟の両名も一緒にいます」

 

 翼が二課の通信機に入ったコ-ルにでて指示を受け取る。相手は弦十郎だ。それに続いて雷と響も通信に出る。

 

「ノイズを検知した!相当な数だ。恐らくは、未明に検知されていたノイズと関連があるはずだ」

「了解しました!現場に急行いたします!」

「駄目だ!」

 

 翼が勇んで行動しようとするが、弦十郎がそれを通信越しに遮る。

 

「メディカルチェックの結果が出ていないものを、出すわけにはいかない!」

「ですが!」

 

 それでも出ていこうとする翼の前に、響と翼との話で少し安定した雷が並び立つ。

 

「翼さんはみんなを守ってください。だったら私、前だけを向いていられます」

「ありがとうございました翼さん。翼さんのおかげで私、戦えます」

 

 二人の成長に、翼は息をのんだ。

 

○○○

 

 未来とクリス、おばちゃんの三人は店の扉を開けて避難しようとするが、逃げ惑う人々にクリスは困惑する。

 

「おい、一体何の騒ぎだ?!」

「何って、ノイズが現れたのよ!警戒警報知らないの?!おばちゃん、急ごう!」

「あぁ・・・」

 

 すっとんきょうなクリスの言葉に未来は驚愕する。今までのことが頭の中を駆け巡り、クリスは歯を食いしばって避難する人々とは逆の方向、ノイズのいる方向へと突っ走っていく。

 

「あ、クリス!」

 

 それに気づいた未来が振り返って叫ぶも、クリスの耳に届くことはなかった。人ごみをかき分けてノイズのほうへ向かって行くクリスの中に焦りが生まれる。

 

(馬鹿だ!あたしってば、何やらかしてんだ!)

 

 商店街を駆け抜け、膝に手をついて呼吸を整える。あたりに人の姿はなく、クリスしかその場にはいない。

 

「ハァ・・・カフッ・・・。あたしのせいで関係のない奴らまで・・・。ッ、うわああぁぁッ!」

 

 天に向かって咆哮する。地面に膝をつき、目から涙があふれ出る。

 

「あたしがしたかったのはこんな事じゃない・・・。けどいつだってあたしのやることは・・・。いつもいつもいつもぉッ!」

 

 そんなクリスの周りにノイズが群がってくる。クリスは静かに立ち上がり、ノイズに向かって吠える。

 

「あたしはここだぁ!だから、関係ない奴のとこになんて行くんじゃねえ!」

 

 ノイズが攻撃を開始し、クリスはそれを避けながら歌う。が、のどの調子が悪いのかせき込んで歌うことが出来ない。航空型ノイズの攻撃がクリスに当たりそうになった時、突如地面がめくりあがってノイズの攻撃を防ぎ、さらに何者かの拳でめくりあがった地面が砕け、その破片がノイズの群れに襲い掛かった。

 弦十郎はクリスを守るように立ちふさがると、再開されたノイズの攻撃をさっきのように地面で受け止め、クリスを抱きかかえて安全なところまで跳び上がる。近くの建物の屋上に着地した弦十郎は抱きかかえたクリスに対して安否を確認する。

 

「大丈夫か?」

「ッ!」

 

 安心したのもつかの間、航空型ノイズが二人の上に昇ってきた。クリスは弦十郎の腕を振り払って歌い始める。

 

「Killter Ichaival Tron」

 

 赤いシンフォギア、イチイバルを纏ったクリスは腕部装甲を変形させた二丁のボウガンによって放たれたエネルギーの矢で航空型ノイズを撃墜していく。行動で無事を示したクリスは弦十郎のほうを向く。

 

「御覧の通りさ!あたしのことはいいから、ほかの奴らの救助に向かいな!」

「だが・・・」

「こいつらはあたしがまとめて相手をしてやるって言ってんだよ!」

 

 再び正面を向いたクリスは両手のボウガンをガトリング砲に組み替えて飛び上り、落下しながら弾をばらまいていく。

 

「ついてこいクズどもぉ!」

 

    『BILLION MAIDEN』

 

 ガトリング砲から放たれる無数の弾丸がノイズをチリへと変えていき、上空にいるノイズも次々と落としていく。

 

「おれは・・・、またあの子を救えないのか・・・」

 

 弦十郎のつぶやきは誰にも聞かれることはなかった。

 クリスはガトリング砲から使い勝手のいいボウガンに戻すと河原に着地し、ノイズの攻撃を踊るように避けながら的確に射撃を当てていく。クリスの暴れっぷりに町中のノイズが集まって来ていた。

 

○○○

 

 学校からノイズとの戦いに下りてきていた雷と響は、近くの廃ビルから聞こえてきた女性の叫び声を聞いて救助に駆け付けていた。

 

「誰か!誰か今・・・ッ!」

「無事だったら返事して・・・?!」

 

 二人の叫びは上からの攻撃で遮られ、足場を砕かれてしまう。しかし、弦十郎との特訓で体を鍛えた二人は下の階に身をひねらせて着地し、攻撃を仕掛けてきたタコのような中型ノイズに思わず声を上げそうになるが、横から伸びてきた手によって口をふさがれてしまう。慌てて二人は手の伸びてきた方向を向くと、未来が口に指をあててそこにいた。

 指示の通り静かにしていると、未来がポケットからスマホを取り出して何か文字を打ち始め、それを二人に向ける。

 

『静かに。あれは大きな音に反応するみたい。あれに追いかけられて、『ふらわー』のおばちゃんとここに逃げ込んだの』

 

 雷と響はシンフォギアを纏うと逆に二人を危険にさらすことを理解し、未来の出してきたスマホにかかれた言葉に大慌てで二人はスマホを取り出して答える。それを三回ほど繰り返した後、未来が二人のスマホに手を添えて返事を書く動きを止めさせる。おばちゃんが目を覚まし、その時の声に反応してノイズが動き始めた。

 未来が二人の耳元でノイズにばれないようにささやく。

 

『私、響と雷にひどいことした。今更許してもらおうなんて思ってない。それでも、一緒にいたい。私だって戦いたいんだ』

『だめだよ・・・。未来・・・』

『お願い・・・。未来は傷ついちゃダメ・・・』

『どう思われようと関係ない。響と雷の二人に背負わせたくないんだ・・・』

 

 二人から顔を話して立ち上がり、叫んだ。

 

「私、もう迷わない!」

 

 その声に反応してノイズが矛先を未来に向けて連続で攻撃を開始し、未来はそれに触れないように廃ビルの外に駆けだすと、ノイズも未来を追って外へと身を乗り出す。雷と響の二人は未来の決意を無駄にしないために倒れているおばちゃんのほうへ駆け寄って無事を確認すると、シンフォギアを起動させる。

 

「Voltaters Kelaunus Tron」

「Balwisyall Nescell Gungnir Tron」

 

 雷の体が金と灰色の、響の体がオレンジと黄色のシンフォギアを纏う。響がおばちゃんを抱えて跳び上がり、雷が未来のほうへと駆け出す。

 ちょうど来ていた緒川の車におばちゃんを預けて響も雷に合流し、二人で未来の行方を捜す。二人の脳裏にスマホでのやり取りが蘇る。

 

『二人とも聞いて。私が囮になってノイズの気を引くから、その間におばちゃんを助けて』

『駄目だよ。そんなこと未来にはさせられない!』

『そんなことしなくても私がノイズを倒すよ!だから逃げて!』

『元陸上部の逃げ足だから何とかなる。それにこれは私の覚悟なんだ、だからやらせて』

『何ともならない!』

『そんな覚悟、未来がする必要ないよ!』

『じゃあ、何とかして』

 

 思ってもみなかった未来の返しに二人は詰まらせる。

 

『危険なのはわかってる。こんな覚悟、普通に生きていればする必要のないことぐらいわかってる。だからお願いしてるの。私の全部を預けられるの、響と雷の二人だけなんだから』

 

 戦っているのは雷や響だけじゃなく、未来も戦っていること。助ける側だけじゃなく、助けられる側も一生懸命なこと。本当の人助けは自分一人の力だけではないことを理解する。

 遠くから未来の叫び声が聞こえてきた。

 

(そうだ。私が誰かを助けたいという気持ちは惨劇を生き残った負い目なんかじゃない!二年前、奏さんから託された・・・私が受け取った!気持ちなんだッ!)

 

 決意を新たにした響の脚部装甲が変形してアンカージャッキを構築し、空中で稲妻を纏った雷の右足へと体を預ける。

 

(まだ私は自分への罰のために戦ってる・・・。でもッ!誰かのために、私の大切な人のために・・・、私が大切だと思うもののためにッ!戦う決意は変わらない!)

 

 強烈な斥力によって弾かれた稲妻を纏った雷の右足が、響を上にのせても変わらない速度で振りぬかれる。

 

    『雷刃抜拳・滅神』

 

 完全に振りぬかれる直前にアンカージャッキが起動し、伸び切っていたアンカーが雷の足を叩きつけ、それを足に展開されている斥力フィールドがさらに押し出す形で響を弾き飛ばす。

 

「響はノイズを!未来のことは任せて!」

「わかった!」

 

 ミサイルのように射出された響を確認した後、地面に着地した雷は左足のユニットも展開してプラズマを発生させながら猛スピードで未来のいる方へ駆け出す。

 

    『電光刹那』

 

 響はノイズの攻撃で崩れた地面から落下する未来を確認すると、右腕のバンカーを伸ばしてノイズを勢いをそのままに殴り抜き、それによって発生した衝撃波でノイズを粉砕する。猛スピードで駆け抜けてきた雷は落下する未来の真下にやってくると、ジャンプして空中で受け止める。

 三人そろって真っ逆さまに落ちていく中、響はアンカージャッキを起動し、雷は未来に被害が出ないように両足のユニットを弱く起動させ、磁力場を形成して減速する。

 

「うゎ?!ちょ、響!そんな勢いで落ちたら・・・うわぁ?!」

「へ?・・・待って!」

「え?何が・・・」

「「「きゃあぁぁぁぁ?!」」」

 

 が、響の着地の衝撃で磁力場が乱れ、雷と彼女に抱きかかえられた未来は先に着地していた響を巻き込んで芝生の坂を転がり落ちる。最初は三人の悲鳴だったが途中からおかしくなってきたのか笑い声が混じっていく。すでにギアが解除され、雷と響の二人は制服姿へと戻っている。

 

「いたた・・・」

「いたい・・・」

「うぅぅ・・」

「「「・・・」」」

「「「ぷっ・・・、アハハハハ!」」」 

 

 三者三様に打ったところをさすっていたが三人そろって顔を突き合わせ、また笑い始める。響がスカートについた汚れを払いながら立ち上がる。

 

「かっこよく着地するって難しんだなぁ~」

「ちょとぉ。かっこよく着地できなかったのは響だけでしょ~。せっかく未来を抱えて着地出来たってのにぃ・・・」

「あはは・・・ゴメンゴメン」

 

 響の言葉に雷が立ち上がり、口をとがらせる。そんな二人の間に未来が体を入れる。

 

「まぁまぁ。あっちこっち痛くて生きてるって気がする。ありがとう。響と雷の二人なら絶対に来てくれるって信じてた」

「ありがとう。未来なら最後まで絶対にあきらめないって信じてた。だって、私達の友達だもん」

「友達なんだから、これからもずっと一緒にいよう?」

 

 響の言葉からまだ友達同士であること、雷の言葉から今まで通りの関係でいようという言葉に未来は目に涙をためて二人に抱き着き、そのまま後ろに倒れ込む。未来は「怖かった・・・」と泣きじゃくっている。それにつられて雷と響の二人も涙を流す。

 

「私も、怖かった・・・」

「うん・・・うん・・・。私も怖かったぁ・・・」

「私、二人が黙っていたことに腹を立ててたんじゃないの・・・。誰かの役に立ちたいのはいつもの響だし、自分を傷つけても誰かを守ろうとする雷だから・・・。でも・・・、最近はつらいこと苦しいこと全部背負い込もうとしてたじゃない・・・。私はそれがたまらなく嫌だった・・・!また響が大きなけがをするんじゃないかって、また雷が自殺まがいのことをするんじゃないかって心配してた・・・。だけど・・・!それは二人を失いたくない私の我が儘だ・・・。そんな気持ちに気づいたのに、今までと同じようにできなかった・・・」

「未来・・・。それでも未来は私の・・・あははは!」

「何?・・・・ぷ、あははは!」

「へ?」

 

 響が涙をぬぐって未来の顔を見た瞬間に大笑いを始める。それが気になった雷も涙をぬぐい、同じく大笑いする。状況を飲み込めていない未来がポカンとした顔をする。

 

「髪の毛ぼさぼさで涙でぐちゃぐちゃ、なのにシリアスなこと言ってるし!」

「こ、こんなの・・・うくくっ、笑うしかないよ・・・ッ」

「もう!二人だって似たようなものじゃない!」

 

 未来は頬を膨らませてそっぽを向く。気になって雷と響はお互いの顔を見合わせてまた笑い始め、二人とも自分の顔が気になって未来に鏡を要求する。

 

「未来!鏡貸してぇ!」

「小さいのでもいいからぁ!」

「えぇ?!鏡はないけど、これで撮れば・・・」

 

 未来はポケットからスマホを取り出して三人そろって撮ろうと提案する。

 

「あぁ、もうちょっと・・・!」

「ちょっと響、私見切れてる!」

「わわゴメン!もう少し詰めるね!」

「撮るよ二人とも・・・」

 

 三人で撮った写真をみて、口々に感想を言い合う。

 

「うおぉ・・・。すごいことになってるぅ、コレは呪われたレベルだ・・・!」

「私も想像以上だった」

「私のせいだぁぁぁ!」

「「駄目だよ雷」」

「じょ、冗談だよ・・・」

「冗談に聞こえないんだよ雷のは」

「そうそう」

 

 全く冗談に聞こえない冗談に突っ込んだ二人の圧に雷が気押されてしまう。そしてまた、三人そろっておかしくなって大笑いを始めた。

 

「帰って一緒にお風呂入ってまた三人で寝よう!久しぶりに未来とくっついて眠れるぅ。響の体てば固くってさぁ」

「うん!・・・て、えぇぇ?!それどういう意味?!」

「そのまんまの意味だよ」

「ふふっ。わかった、三人一緒に寝よ!」

「やった!」

 

 雷がガッツポーズをし、そんな雷に響が「どゆこと?どいうことぉ~!」と叫ぶ。未来はそんな二人を見て、また笑い始めた。

 

○○○

 

 完全に日が暮れて雷と響、未来の三人は商店街にいた弦十郎と緒川のもとに来ていた。緒川が未来にカバンを手渡す。

 

「はい。『ふらわー』さんから回収しました」

「ありがとうございます」

「どういたしまして」

 

 カバンを受け取っている未来の横で、雷と響は弦十郎に申し訳なさそうに話し始める。

 

「あの、弦十郎さん・・・。私達、未来・・・この子にまた戦ってるところを一から十まで目の当たりにされてしまって・・・」

「すみません・・・」

 

 しょぼくれる二人と弦十郎の間に未来が口をはさむ。

 

「違うんです!私が首を突っ込んでしまっったから・・・」

「ふむ・・・。詳細は後で報告書という形で聞く。まあ、不可抗力というやつだ。それに、人命救助の立役者に、うるさいことは言えんだろうよ」

「やった!」

「よかったぁ!」

「うん!」

 

 頭をかきながらそう言った弦十郎の言葉にハイタッチを決める。すると突然、ピンク色の車がドリフトしながら突っ込んできた。了子が車から降りてくる。

 

「主役は遅れてご登場よ!さて、どこから片付けましょうかね!」

 

 そんな了子に五人そろって呆れ、弦十郎が再び口を開く。

 

「あとは、頼りがいのある大人たちの出番だ。響君たちは帰って休んでくれ」

「「「はい!」」」

 

 友里からドリンクを受け取っている間に離れた弦十郎に未来が詰め寄る。

 

「あの!避難の途中に友達とはぐれてしまって、雪音クリスと言うんですけど・・・」

「なっ?!・・・うむ。被害者が出たとの知らせも受けていない。その友達とも連絡が取れるようになるだろう。心配ない」

「よかったぁ・・・」

 

 未来は安堵の表情を浮かべ、一礼して雷と響のほうへと駆け出す。

 

○○○

 

 未来と、今までの反動で未来に抱き着いたままの雷と響は三人そろってベットの中に入る。

 

「おやすみ~」

「おやすみ」

「おやすみなさい」

「ぐ~」

「へ?!早い!」

「どれだけ疲れてたんだ・・・」

 

 ベットに入った瞬間にいびきをかき始めた響に二人は驚くが、悪戯っぽい笑みを浮かべた響にそろって嬉しそうにじゃれつく。新しい写真立てには、三人で撮った服も髪も顔も汚れた今日の写真が入れられていた。




因みに未来さんの「友達でいられない発言」は雷の一週間のミノムシの刑で完全に許されましたとさ。

(ミノムシ状態とは!常にくっついている非常に尊い状態である!)

無印編が終わったらミノムシ状態のあずみくか、雷の翼やクリスを巻き込んだ買い物観察でも書こうかな

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