戦姫絶唱シンフォギアST~Scratched thunder~ 作:兵頭アキラ
しかし、XVがヤバい。書ける気がしない。いや、雷は問題ないスペックで大活躍できるくらいには最終的になるんですけど、彼女を作品になじませる腕が私にあるのか・・・。それまでにレベル上げですね!
雷や響、未来、翼と緒川の五人は通路の間にある休憩所のソファーにてたわいもない雑談をしていた。緒川が自身の腕時計を確認する。
「指令、まだ戻ってきませんね」
「えぇ、メディカルチェックの結果を報告しなければならないのに・・・」
「次のスケジュールが迫ってきましたね」
「もうお仕事入れてるんですか」
緒川の言葉に響が身を乗り出す。翼が仕事なぞ苦でもないように答える。
「少しづつよ。今はまだ、慣らし運転のつもり」
「じゃあ、以前のような過密スケジュールじゃないんですよね?」
それを聞いた雷が未来の耳元でささやいた。
「ねぇ未来。私、響が何を言いたいかわかった気がする」
「奇遇ね雷。私も」
二人がそろって苦笑いを浮かべている間に、響が翼に提案する。
「だったら翼さん!デートしましょ!」
「?!デート?!」
「ほら来た」
響のいきなりの提案に翼が驚き、雷が「やっぱり~」と言うようににたりと笑う。四人で出掛けるデートの日は、翼のレッスンのない次の週末に決まった。
○○○
デートの日、老若男女を問わずにぎわっている公園で翼は時計を見て、集合時間に遅れている三人に軽く腹を立てながらここに流れる川の赤い橋のそばで待っていた。
「あの子たちは、何をやっているのよ」
「はぁ・・・はぁ・・・。すみません翼さーん!」
「遅いわよ!」
「申し訳ありません!」
「カヒッ・・・ハァ・・・ハァ・・・ふ、二人とも、は、早いよぉ・・・。うわぁ?!」
響、未来が到着し、遅れてフラフラと雷が追い付いてくる。雷が足を縺れさせて倒れそうになる。
「危ない!」
「す、すいません・・・」
いくら弦十郎のもとで鍛えたとはいえ、元々体力ゼロの雷に聖遺物と融合して超人的な体力回復能力を持つ響と、元陸上部の未来を比べるのは酷というものだろう。
響と未来は膝に手を突き、雷は倒れかけたところを翼に支えてもらいながらカバンからお茶とタオルを取り出して水分補給を行い、汗を拭く。
未来が息を整えながら弁明する。
「お察しの事とは思いますが、響の何時もの寝坊が原因でして・・・」
「時間がもったいないわ、急ぎましょ」
響と未来は体を起こし、雷は翼から離れて彼女のいでたちに目を丸くする。完全にノリノリの服装である。
「すっごい楽しみにしてた人みたいだ・・・」
「私、今すごく朝食を抜いた判断を評価したいよ」
雷は響が寝坊した瞬間に朝食を取らないことを選択したのだ。その結果、雷は翼の服を自身の吐き出したもので汚すことはなかった。まあ、響が寝坊しなければそんなこと考える必要もないのだが。
二人の呟きが聞こえたのか、翼が顔を赤くしながら振り返る。
「誰かが遅刻した分を取り戻したいだけだ!」
三人はいきなりの大声に首をすくめる。
「・・・翼イヤーは何とやら」
こうして、四人のデートが始まった。
何でもあると有名な巨大ショッピングモールに到着した三人は、特に目的があるわけでもなく、ただ気の赴くままに様々な店に入っていった。
小物売り場では雷が持ってきた珍妙な置物に三人が困惑し、感動モノの恋愛映画に四人そろって涙を浮かべ、ソフトクリーム屋で購入したソフトクリームを食べ歩き、洋服屋では四人だけのファッションショーが開かれ、翼の存在をかぎつけたファンから逃げ回り、見事に撒いたことに四人そろって笑みを浮かべる。
ゲームセンターにあるクレーンゲームにて、響が翼が狙っているぬいぐるみを取ってあげようと意気込んでいる。
「翼さん御所望のぬいぐるみは、この立花響が必ずや手に入れて見せます!」
「期待はしているが、たかが遊戯に少しつぎ込みすぎではないか?」
「翼さん。食費までは無課金です」
「え、それはマズくないか?轟」
「・・・私が管理しているので・・・」
「そ、そうか・・・」
つばさの隣でグッと親指を立てる雷はソシャゲ廃課金ユーザーであった。流石に食費云々は冗談であり、課金用と日常生活用の資金は未来が分けてあるのだ。破滅主義者な面があるため、雷はお金やその他の事をあまり考えていない。未来の言う『あまりしっかりしていない』のはそういうところだ。そうこうしているうちに響がクレーンゲームにさらに投資し、操作ボタンを力強くたたく。
「キエェェェ!」
「変な声出さないで!」
「うるさい!」
響の唐突な怪鳥音に雷と未来の二人は耳をふさぎ、翼は体をのけぞらせる。結果、響の気合がたっぷりとこもったクレーンは目当てのぬいぐるみを掴むことはなかった。
「このUFOキャッチャー壊れてる!私呪われてるかもぉ!・・・どうせ壊れてるならこれ以上壊しても問題ないですよね?!シンフォギアを身に纏ってぇ!」
「ああ!こら!平和的に解決しろ!」
「この怒りに身を任せればアームドギアだってぇ!」
「大声で喚かないで!そんなに大声出したいのなら、いいところに連れてってあげるから!」
「響。未来の譲歩で言うことを聞かないのなら今度の課題、一人でやってね?」
「うぐっ?!わ、わかりましたぁ・・・」
雷に完全にとどめを刺された響は、おとなしく大声を出せるところ、『カラオケ街』へと足を運んだ。
「おおぉぉ!すごい!私達ってばすごーい!トップアーティストと一緒にカラオケに来るなんて!」
翼とカラオケにこれたことに大興奮する響をよそに、予想外の和風なメロディーが流れ始める。タイトルは『恋の桶狭間』。
いきなりのことに三人は選曲者が誰か、お互いに指をさし合う。そんな三人に対して翼が冷静にマイクを取ってお辞儀をする。選曲者は翼だった。
「一度こういうの、やってみたいのよね」
「渋い・・・」
未来のつぶやきに二人が頷く。翼が歌い始めた。そんな翼に三人は大興奮だ。
「わぁ~~」
「かっこいい~!」
「現代アーティストなのに何で演歌が似合うんですかぁ~!」
因みにその後、二番手を雷に振られた響はとんでもないプレッシャーの中で歌ったそうな。
○○○
「翼さーん」
夕焼け空の下、響の翼を呼ぶ声が聞こえてくる。今日一日慣れないことをした所為か、珍しく翼の息が切れている。たった今、雷が階段を上りきったところだ。
「どうしてそんなに元気なんだ?」
「私はへとへとでーす・・・」
雷が手すりに体を預けて答える。
「翼さんがへばりすぎなんですよ~」
「今日は慣れないことばかりだったから」
翼が階段を登り切った。
「防人であるこの身は、常に戦場にあったからな」
周囲を見渡すと、そこは小さな公園だった。木の枝を優しくそよ風が撫でる。
「本当に今日は、知らない世界ばかりを見てきた気分だ」
「そんなことありません」
「お、おい?!立花何を?!」
響が翼に駆け寄ってその手を取り、引っ張っていく。連れて行った先は町が一望できる場所だった。響がいろいろな場所を指さしていく。
「あそこが待ち合わせした公園です。みんなで一緒に遊んだところも、遊んでないところも全部翼さんの知ってる世界です!昨日に翼さんが戦ってくれたから、今日にみんなが暮らせてる世界です。だから、知らないなんて言わないでください」
雷が後ろからゆっくりと翼の隣に歩いてくる。
「今までも見えていたんです。知っていたんです。ただ、翼さんには見えずらかったってだけです!翼さんはこれまでわき目もふらずに守ってきたんですから、少しぐらい立ち止まって、一休みして、自分の本当にしたいことを考えたりしてもいいんじゃないですか?」
翼は、雷と響の言葉で奏の話してくれたことの意味を理解する。今はいない彼女のことを思いながら呟いた。
「そうか・・・。これが奏の見てきた世界なんだな・・・」
そこには悩んでいた昔の翼の顔はなく、答えを見つけた笑顔があった。
次の日の学校で、屋上に三人を呼び出した翼は、三枚のチケットを手渡した。
「へ?!復帰ステージ?!」
「ああ。アーティストフェスが十日後に開催されるのだが、そこに急遽ねじ込んでもらったんだ」
それは、翼の復帰ステージのチケットだった。
「なるほど~」
「さっすが翼さん!」
「倒れて中止となったライブの代わりというわけだな」
響がチケットの裏側を向けると、かつてノイズに襲われたステージの名前が記載されていた。脳裏に当時のことが想起される。
「翼さん。ここって・・・」
「立花にとっても、つらい思い出のある会場だな・・・」
「ありがとうございます!翼さん!」
翼の予想に反して、響の声が明るい。驚いて響に顔を向ける。
「響・・・」
未来が静かに呟き、雷がにこやかに笑みを浮かべる。
「いくら辛くても、過去は絶対に乗り越えていけます。そうですよね?!翼さん!」
その言葉に翼は顔を背ける。その視線の先に、二羽の白い鳥が止まった。翼が響に向きなおす。
「そうありたいと、私も思っている」
その瞳は力強く輝いていた。
そろそろ無印編も終盤ですねぇ。
雷の廃課金ユーザー設定は今回思い付きで追加しただけで別に深く考えなくて大丈夫です。私自身忘れるかもしれませんし。