戦姫絶唱シンフォギアST~Scratched thunder~   作:兵頭アキラ

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『雷帝顕現』状態の初戦闘!おかげでネフシュタンの再生能力を引き上げる羽目になったぜ。そうでもしないと一秒もかからずに戦闘が終わっちまう。
切りたいタイミングがあったので今回は短め。あと、衝撃(?)展開があります。


蹂躙、それは無慈悲にも・・・

 余剰分の稲妻を放出し終えたユニットが格納され、周囲を覆っていた斥力フィールドが解除される。発生し続ける熱がギアの防御力を超え、雷の体を蝕んでいく。その証拠に体からは煙が上がっていた。

 雷は歌う。今までのようなトランス系ではなく、全てを破壊しつくすような賛美歌を。近づけるようになったおかげで響は雷に大急ぎで駆け寄る。

 

「雷落ち着いて!私たちも一緒に戦う!だから……ッ?!」

「消えた?!」

「どこに行きやがった?!」

 

 空間すらも粉砕するかのような轟音と共に雷の姿が消失する。その瞬間、フィーネは左胸、心臓に当たる位置に違和感を覚える。気になって自分の胸を見てみると、背中から腕が貫通していた。

 

「は?」

 

 気付いたのもつかの間、その腕を中心に斥力フィールドが展開され、内側から体を引き裂かれてバラバラに吹き飛ばされる。この間、約一秒。いや、一秒もたっていないかもしれない。それを実行したのは他でもない、雷だ。ネフシュタンの力で雷から最も遠い部分を中心に再生し、鞭を渾身の力で放つ。が、すでに雷はそこにおらず、既にフィーネの顔面を鷲掴みにしていた。

 

「なッ?!」

 

 落雷を思わせるほどの速度で二メートルにも満たない高さから地面に叩きつけられ、あまりの衝撃に頭蓋が砕け散り、脳漿がぶちまけられる。ネフシュタンはこれも問題なく再生する。発動から今まで約五秒。既にコレは戦闘でも、殺し合いでもない。蹂躙だった。響と翼、クリスはこの惨劇を呆然と見ることしか出来ない。

 

「自爆覚悟ならッ!」

 

    『NIRVANA GEDON』

 

 ゼロ距離で放った再生すること前提のフィーネ渾身の一撃は両者の間で炸裂する。フィーネが再生した時、そこにいたのは全身を覆う斥力フィールドによって守られ、さっきまでと変わらず無傷の雷だった。彼女は何でもないようにフィーネの首に手を伸ばし、そのままへし折ると近くにあった手ごろな瓦礫に投げつける。まだ一分もたっていない。

 

「三分間、三分さえ耐えきればいいのだッ!」

 

    『ASGARD』

 

 フィーネは自分を奮い立たせ、雷との間に五層の壁を鞭で構築する。しかし、雷は『天槍霹靂』のような稲妻の槍を作り出し、たった一発ですべて粉砕する。

 

「ッ!」

 

 バラバラになって離脱することや時折抵抗されるのが面倒になったのだろう。腕を軽く振って『超電磁トルネード』と同じ、しかしソレをはるかに上回るような竜巻を発生させ、フィーネを拘束する。

 

「くッ!まさかこれほどの力とは……!」

 

 それからは暴力的な磁場にとらわれたまま、その場で一方的に攻撃され続ける。その攻撃は全て、人体の急所と呼べる部分に集中していた。そして三分が経し、ついにネフシュタンの再生能力を超えることが出来なかった。強制的にギアが解除される。

 

「耐えた……!この瞬間を待っていた!」

 

 倒れ込む雷の首をフィーネが鞭を伸ばし、締め上げながら引き寄せる。既に彼女の意識はない。ネフシュタンの再生能力を超えることこそできなかったが、破壊個所の再生が追いついておらず、未だに破損している所がある状態だ。

 

「何をする気だ!」

「その手を放しやがれ!」

 

 一方的な蹂躙から現実に引き戻された翼とクリスは、フィーネから雷を取り返そうと攻撃をかける。が、フィーネはそれをもう片方の鞭でいなしていく。そして雷の首からペンダントに戻ったケラウノスを引きちぎる。

 

「フハハハハ!ついに手に入れた……!忌々しき理論で形作られたケラウノスを!……ずいぶんとやってくれたな、お前にもう用はない」

 

 何故か一瞬残念そうな顔をした後、生身の彼女の腹部に蹴りを叩きこんだ。当然、内臓などが破裂する。雷の体はカ・ディンギルに向かって吹き飛んでいった。

 

「ッ……?!」

 

 響が声にならない叫びをあげる。その様子は、すでにモニタリングされていた。

 

○○○

 

 未来を含む二課のメンバーは何とか本部にアクセスできる回線を発見し、すでにそこにいた創世と詩織、弓美の三人組に二課の事を話している間に藤尭が接続する。装者の、特に雷の状態を見て叫んだ。

 

「轟雷!雷臨状態への変化を確認!」

「なんだとぉ?!」

 

 雷臨状態は圧倒的な戦闘力を得ると引き換えに三分しか使えず、もしもそれまでに敵を倒せなければどうなるかは想像に難くない。

 未来が雷の行動を見て弦十郎に問いただす。

 

「雷がどうしてこんな!雷はこんなことが出来る子じゃ……」

「俺だってわかっている……。雷君のこの状態は雷臨状態と呼称され、負の感情が極限まで高まった時に発生すると考えられている。恐怖であれば彼女に恐怖を与えるものを攻撃する」

「雷臨……状態……」

 

 未来にとっては初めて聞く言葉だ。

 

「この戦い方を見るに、おそらくは殺意だろう。雷君の両親、轟両博士と何か変わりがあるというのだろうか……ッ?!不味い!」

「へ?」

 

 雷臨状態が解除され、フィーネによって拘束されている雷がモニターされていた。ケラウノスが奪われ、生身の腹部に蹴りが叩きこまれる。藤尭が雷のバイタルが表示された画面へと移す。そこには『内臓破裂、早急に手当てしなければショック症状により死亡する可能性大』と表示される。

 それを見て、未来が叫んだ。

 

「いやあぁぁぁッ!」

 

 未来の叫びを天は聞きとどけることなく、バイタルの文字が無慈悲にも更新される。そこにはこのように表示されていた。

 

『失血性ショックによる多臓器不全、および心肺の停止により死亡』と……。




『雷帝顕現』
 轟理論によって形作られたケラウノス固有の決戦機能……と、思われる物。今回描写したのはその力の一端に過ぎない。
 発動時の余波で絶唱すら凌駕する稲妻と、ギアの出力で持ってすらその場で立つことすらできないレベルの斥力フィールドを発動させ、三人でようやく互角だったフィーネを三分間限定とはいえ一方的に蹂躙することが出来る。未だに解析できておらず、この機能の七割は謎に包まれている。
 この機能の本質と思われる現状解析できた部分を公開する。

『○○を○○る○○の力』を与え、『○○を○○に○○るシステム』

 如何やら『雷帝顕現』を発動するたびにロックが解除されていくようである。


最後のほうは三人娘もいるのですがどうも絡ませずらくて地の文だけの登場にさせてい頂きました、申し訳ない。
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