大空は夜空を求めて繰り返す 作:秩序の夜空
趣味で書いてるものを整理するために投稿しました。
オリジナル設定やストーリー満載なので、そこはご了承ください。
意味不明なところがあるかもしれません。
物好きな方、どうぞ。
ヴァリアーとのリング争奪戦は俺たちの勝利で終わり、仲間の傷も癒えてまた元の騒がしい日常が戻ってきた。でもその日常が俺……
そんな最中、ヴァリアーとの戦いの間、修行のために休んでいたので、久しぶりに並盛中へ登校してきたが、何やらクラスが騒がしい。
「なにかあるのかな?」
「十代目、どうやら並中に転校生が来るらしいです。安心してください、生意気な奴だったら、直ぐにオレが絞めときますんで!!」
近くにいたボンゴレ嵐の守護者の銀髪の少年……
全く安心出来ねぇー!!
そう内心ではツッコミをいれつつ、そろそれ授業が始まるので、全員が席に着いた。どこか抜けているのんびりとした教師が入ってきた。
「えぇー、先週言った通り、今日からうちのクラスに転校してくる生徒を紹介する」
そう言った後、教室のドアがゆっくりと開かれた。ふわり、とした小さな風と共にコスモスの香りが鼻を突き抜けた。
中に入ってきたのは真っ白な髪の毛を背中まで伸ばし、ルビーのように美しい瞳をしていた。胸が大きくて、身長はオレよりも小さい。
ブカブカのセーターに身を包みながら、彼女は教卓の前に立った。そして黒板に小さくて綺麗な文字を書き込む。
「……
そうかそうか、好きな人がいるのか。自己紹介を聞きながら頷いていると、周りから視線が突き刺さった。え、何かしたかな、と首を傾げる。
「ツナ、転校生がお前のこと好きだってよ」
後ろの席にいる俺の友達で雨の守護者でもある少年……
「へ?」
クラス全体が絶叫して驚きの声を漏らした。
神織は俺のところまで歩み寄ると、姿勢を低くして座っている俺に顔を近付けた。やはり彼女からはコスモスの香りがして、どこか懐かしいのような気持ちになった。
「……久しぶり、綱吉」
「え?」
俺が彼女の言葉を聞き返す前に、ちゅ……という音と共に唇に柔らかいものが押し当てられた。これが神織の唇だと気付いた瞬間、カァッと顔が熱くなっていくのを感じた。
何で初対面だと思われる転校生にキスをされたのか。でも、彼女は久しぶりっと言ってたし、俺の名前も知っていたから、彼女とはどこかで会ったのかな。
「て、てめぇ!! 十代目になんてことを!! 果たす!!」
「落ち着けって、獄寺!」
獄寺君の怒鳴り声とそれを止める山本の声が遠くに感じている中、俺はまだ温もりが残っている自分の唇に触れながら、そんなことを考えていた。
あれから放課後になって、俺の隣にはずっと神織が抱きついていた。それを隣で飼い主を取られた犬のような嫉妬した視線を向ける獄寺君とそれを面白がる山本の姿があった。
「あはは、獄寺、顔真っ赤なのな。それよりもツナ、その子はツナの彼女か?」
「いや、えーと多分昔に会ったことあると思うんだけど……その、覚えてないというか」
山本の質問に俺は気まずくて神織の方を見ながらそう言った。彼女は特に悲しむことなく、ただ無表情で俺の腕に頬を擦り付ける。
でも、確かにどこか懐かしいを感じている。これは俺の中に流れるボンゴレの血がそう感じているのかもしれない。
「私は平気だよ、綱吉。貴方が私のことを思い出してくれるまで、ずっと側にいるから」
「えぇ、ずっと側にいられるのは流石に迷惑……」
「おい黒髪女!! 十代目が迷惑がっておられるだろうが!! 早く離れねぇと、テメェを果たす」
彼女の真っ直ぐな好意は心地良さと照れ臭さがあって、思わずそう漏らしたら、獄寺君が待ってましたとばかりに、神織に畳み掛ける。
ダイナマイトを手に持って、今にも襲いそうな雰囲気だ。流石に一般人ぽい彼女を襲うのは不味い、と思いながら止めに入る。
「獄寺君たんま!! ほら、えーとここで戦ったら俺まで巻き込まれるし、何より彼女は一般人だから! それは流石に許せないよ?」
「な、なんてお心の広いお方だ! オレが浅はかでした!! おい、女! 十代目の寛大なお心に感謝しろよ!」
俺が咄嗟にフォローすると、獄寺君はハッとした様子でウザイくらいに尊敬の眼差しを向けてくる。そして、一回だけ彼女を威嚇すると、ダイナマイトを仕舞った。
それから獄寺君と山本と別れたけど、神織はうちに来ることになった。家に帰り、俺たちは階段を上がり、自室に入った。そこにはいつも通り、赤ん坊の家庭教師……リボーンがエスプレッソを飲んでいた。
「ちゃおっす、ツナが女を連れてくるとはな」
「リボーンはこの子に見覚えない?」
俺がリボーンと話している間、神織はずっと俺に抱きついたままだ。
「……いや、知らねぇな」
「私は貴方の事を知っているよ。世界一の殺し屋リボーン。呪われた赤ん坊アルコバレーノ。そしてトリニセッテや鉄仮面の男のことも」
「っ!? お前、どこでそれを!!?」
トリニセッテと鉄仮面の男という言葉にリボーンの表情は一変した。危機迫った様子で神織の首根っこを掴み上げ、壁に押し付けた。
神織は気にした様子も無く、ただ静かにリボーンを見つめている。そこで俺が慌ててリボーンと神織の間に割って入る。
「まてまて! リボーン落ち着けよ!」
「くっ!」
リボーンは歯を食い縛りながらも、いくらか冷静になった。あいつがこんなに過剰に反応するなんて、神織は本当に何者なんだ?
「綱吉、これだけは信じて。私は貴方の事を愛している。そして私と綱吉は必ず昔会っていることを」
そう言い終えた神織は何故かその場から姿を消した。文字通り、幽霊のように姿が薄くなり、消えてしまったのだ。
俺はモヤモヤした気持ちで学校の宿題を終わらせて、夕食になったので、下に降りた。リボーンは散歩に行くとかで居なくなった。
夕食を食べている間、珍しく食卓は静かだった。ビアンキは毒料理の材料調達でイタリアに帰ってるし、イーピンと
ランボとフウ太は京子ちゃんとハルのお泊まり会に参加するとかで、留守にしている。
食事を終えて、俺もたまには外に出ようかな、と思ったら、突然目の前からバズーカが飛んできた。咄嗟に避けようとしたが、何故か体が動かず当たってしまった。