主人公の口調も、少しずつ変わりますので。
あ!お気に入り3件ありがとうございます。
「でけぇ…」
独り言が出てしまう。
周りを囲う、見るだけでセキュリティの頑強さをわからせてくる塀。一般で見るよりも明らかに大きなセキュリティゲート。そして何より、巨大なH型のビルの様な校舎。全てが逸脱したデザインとスケールに度肝を抜かれる。
「校舎おっきいよね!アカン、ちょっとだけ緊張してきたかも」
と、隣で歩いている麗日が右手を胸に当てる。確かに、この校舎を間近で見ると今から雄英の試験を受けると実感せざるをえない。しかし、緊張しようとしまいとやることは変わらないだろ?
「そうやね。全力で頑張る!!」
麗日が両手をグッと握り込む。そんなやり取りをしていると、目の前で爆発頭の男が緑の縮れ毛に「どけデク!!」やら「殺すぞ!」とか言っている。これから受験する学校内でそれは既にどうなんだ?
受験日に喧嘩でも起こるのかと眺めていたが、そんなことはなく爆発頭は校舎へと向かっていった。結局アイツは何がしたいんだ。緑縮れ毛も萎縮してはいるようだが、雰囲気を見るに知り合いなのか?オドオドしながらも、次の一歩を踏み出した緑縮れ毛の男が盛大に足を引っ掛けて地面にダイブする…ところを麗日が個性で浮かせた。
「転んじゃったら縁起悪いもんね。緊張するよねぇ」
と、麗日が話し始める。おいおい、割と時間ギリギリだし今は話してる余裕ないぞ。
俺が後ろから声をかけると「わっ、もうそんなギリギリか!」と振り返る。麗日は「お互い頑張ろう」と、緑縮れに声をかけて先に校内へと入っていった。ちらりと緑縮れを見ると、放心状態で直立している…かと思えば「おっおっおおおおおおお」とか言い出した。こいつと知り合いと思われるのも嫌なので、俺も足早に目的の場所へと向かった。
校舎内に入り、受験番号の書かれた席に座る。俺は予め卓上に置かれているプリントをペラペラと捲りながら、流し読みしていく。仮想敵4体にポイント制で10分。そのうち一体は0ポイントか…なぜ0ポイントがいるのかは、誰かが質問して聞いてくれるだろ。
「今日は俺のライヴにようこそー!!!エヴィバディセイヘイ!!!」
シーン
「こいつあシヴィー!!」
と、ハイテンションのグラサンが出てきた。そして、実技試験の概要説明を初めた。案の定、4体目の仮想敵については眉毛がクイックターンしてる眼鏡が聞いていた。しかし、何かとあの緑縮れは絡まれているな。あれも個性の力だったりするのか?
4体目の仮想敵がお邪魔虫だと説明が入り、校訓の『Plus Ultra』を聞いた所で会場へと移動となった。麗日とは会場が違うため、軽く声をかけておく。
「まだ、緊張してるか?」
「もう大丈夫!…嘘、結構緊張してるかも…」
と、力強く答えたかと思えば、表情がみるみる苦笑いへと変化していく。個人的には麗日は合格確実だと思っている。期間が長いとは言えないが、格闘技の心得があるだけでも素人と比べればその違いは大きな差になるだろう。そして、今回の内容が市街地戦。つまりは混戦と言うこと。戦う場所にもよるが、麗日の個性は触れればそれだけで相手を無力化出来る。近接戦闘を行ってくる仮想敵であれば、今の麗日なら余裕で対処できるだろう。
「お前のやってきたことが、分かりやすく実感できるいい機会だ。俺は何も心配してないぞ?」
そう言って、握りこぶしをゆるりと麗日の方へ向ける。意図を汲み取ったのか、不安そうにしていた表情が引き締まっていく。そして、俺の握りこぶしに答えるように、麗日も自身の拳をコツンと合わせる。
「ありがと!元気でた!!」
じゃあ、行ってくる!と、駆け出した麗日を見送り、俺も会場へと向かった。
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いざステージを目の前にすると、かなりの広さがある。というか、街がそのまま入っているような感じだ。
チラリと周りの受験生に目をやると、皆が様々な装備を付けている。ちなみに、俺は体全体を覆える赤いマントのみだ。服装はラフにカッターシャツにジーパンである。装備が必要ないわけではないが、貧乏学生には些かハードルが高い。他には赤髪のツンツン頭や、目が大きく猫背気味な女子。ガタイのいいたらこ唇がいる。ホント、十人十色とは言うが個性的だ。しかし、受験というのに個性を使えるからか、周りが浮足立っているようにも見える。市街地のスケールのデカさもそうだが、急に始まることも想定しておいたほうがいいかも……
『ハイ、スタートー!』
な。と、思考が思い切る前にスタートの合図が聞こえた。もちろん、呆けている周りを置き去りにして全力でスタートダッシュを決める。
今回の試験は数を倒す事が前提だ。俺は機動力も戦闘力もあるが、索敵能力はない。だからこそ、まず行う行動は一つ。高所を取る。敵を知り、己を知れば100戦危うからず。至極ごもっともだ。
個性の発現を行う。両足が青白い光を放ち、輝き始める。脚力の上昇により走る速度が上がり、そのままの勢いでビルに跳躍を行い、壁を蹴るようにしてビルとビルの間を登っていく。屋上についたら、まずは主な主戦場の把握を行う。周りを見渡せば、スタートから近い広場で早速混戦が起きていた。遅れてスタートし、まっすぐ進んだ先が戦場になった感じだな。あそこは除外だ。そこよりも奥側の広めの場所の把握と、そこへ至る道順を把握する。その際に、仮想敵の多いルートを大体記憶した所で行動を開始する。
再び、両足に個性を発現し大凡の目処を立てた路地裏ルートを駆けていく。すると、壁を突き破って1ポイントと書かれた、俺よりも大きい
速度を落とすことなく、真っ直ぐに俺自身も走る。自分よりも大きな鉄の塊が迫るも、恐怖心はない。そのままの勢いから片足に個性を集中し、瞬間的に速度を上げ懐へ潜り込む。
ビュウウッ!と風を切る音が気持ちいい。後は、この流れで右手に個性を集めて殴ればいい!
バガアァァァン!!
思ったよりも脆かったようで、
俺の体は光っているが、マントによって隠れているため発光は抑えられている。しかし、それでも仮想敵が光に群がる虫のように引き寄せられてくる。スタートダッシュの恩恵なのか?。広場と比べると狭い道を選んでいるため、大きめの3ポイントとは遭遇しないが、その代わり1ポイントと2ポイントは入れ食いに似た状態になっている。
正面には
左右の
「ハッ!!」
グッと力を込めると光が収縮し、
分析をしている所で、後ろでぶつかり合っていた
「これで5機。この調子で行けば、広場につく頃には20機倒せそうだな。」
拾った鉄パイプをベルトとズボンの間に挟み、再び広場へ向けて走り出す。広場までは同じことを繰り返すだけだ。
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ロボットは30破壊した後から数えるのをやめた。流石に開けた場所になると、人数も増えてカオスな状態になるな。所々では他人の個性に巻き込まれたり、壊したロボットの部品が当たったりなど、怪我をしている奴もチラホラと伺える。それを監視のヒーローや救急用のロボットが人知れずに運んでいる状態のようだ。
特に筋力増強型が厄介だ…力任せにロボットを粉砕するから部品が飛びまくって大変な事になっている。故意の妨害は即アウトとは説明会で聞いたが、あそこまで派手にやると鉄くずのショットガンみたいなもんだ。
「シュガー・ラッシュ!!」
ガタイのいい男が
気づいた時には鉄の破片と塊が結構な速度で向かってきている。背負っている受験生を置けば一人なら逃げれるだろう。しかし、そいつがとった行動は受験生を背中から降ろし、庇うように落下物と向かい合う。人を助ける、意志の籠もった強い瞳。俺は全身に個性を巡らせ、降りかかる物体と、それに立ち向かう女子の間へ瞬時に移動し、鉄パイプを刀の居合斬りに似た構えで深く腰を落とす。
「巻き込まれないように怪我人を庇え。あれは俺がなんとかしてやる」
「ケロ…わかったわ」
俺の体が輝きを増す。マントの間からも光が漏れ出す。そして、鉄パイプへも個性を伝導させると細長く青白い…例えるなら、ビームサーベル状になる。
マントがダメになるが仕方ない。
「スラッシュ…タイフーン!!」
その場で剣を振り、高速で回転する。個性による波動で、体全体を包み込むように光の渦ができる。
飛んできた鉄とぶつかった瞬間、それらは鉄であったのかどうかを怪しむほどの速度で消えていく。いや、正しくは分解されていく。数十秒の後、回転を止め、膝をつく。そして、高温になり溶け出している鉄パイプを捨てる。火傷はしたが、後ろの二人を守れたのであれば安いもんだ。…お気に入りだったマントも消えちまった。
「助かったわ。ありがとう。…手、大丈夫かしら?」
後ろから声がかかる。大きい目をした、長い髪を腰辺りでリボンのように括っている女子だ。…いや、その髪型はどうなっているんだ。ソッチのほうが気になってしまうが、きちんと答えておこう。
「こんなもん怪我した内には入らない。それより、時間も大分経ってる。ポイントの方はいいのか?」
俺が聞くと「ケロ…」と表情を変えずに答える…。表情変わらないのか。
ドオオォォォォォォォン!!
一際大きな轟音が響く。音の方向を見ると、ビルをなぎ倒し、天災の如く巨大なロボットがこちらへ向かってくるところだった。
周りは阿鼻叫喚の地獄絵図である。走れるヤツは我先にと走り出し、個性の使いすぎで上手く動けないヤツや怪我をしている奴等は救助されたりしているが、それでも人が足りてなさそうに見える。
「お前はそいつ背負って逃げろ。人命救助は第一優先事項だ」
俺の過去がチラつく。崩れ落ちる瓦礫を見るたびに、自身に降り掛かってきた幻想が頭から離れない。このイメージを払拭するために強くなりたかった。つまり、俺は逃げる訳にはいかない。自分よりも強大だろうと。自分よりも強かろうと。
「あなたはどうするの?」
「俺はアレを止める。」
「ダメよ。危険すぎるわ」
そんな俺の思いは、大きな目の女子に止められる。俺の右手を掴み、行かせないという意思表示をしてくる。それを振り払い、再び個性を全身へ巡らせる。そして、人並みを飛び越え、一直線に巨大ロボットへと向かっていく。
ビルとビルの間を壁蹴りで上り、ビルを掴んでいる巨大な右手から顔の方面へと駆け上がっていく。あくまでも怪我人を出さないためか、ロボットの動きは鈍重で、駆け上がる俺には何も危害を加えてこない。まさに好都合である。
「俺のこの手が光って唸る!」
駆け上がりながらも右手へと個性を集中していく。輝きは一層大きくなり、昼間の明るさでも太陽が2つあるのではと錯覚するほどの輝きを放つ。
「お前を倒せと輝き叫ぶ!!」
大きな輝きが右掌へと収束し、圧縮される。そして、その手が巨大ロボットへの頭部へと向けられる。
「必殺!シャイニング……フィンガー!!」
放たれた右手は頭部の装甲を貫通し、内部へと入る。そして、段々と輝きが強くなり、一層光が漏れた瞬間に大爆発を起こす。
爆発する瞬間に手を抜き、跳躍したはいいが…爆風で位置がずれたのを感じる。予定ではビルの上だったが、明らかに広場の中心に落ちる。
「ちょっと…いや、かなり引き際を誤ったな。それに…張り切りすぎたな」
いくら鍛錬を積んで基礎体力を付けても、個性の使用はまだまだ未熟。堂々とトレーニングするには許可や資格、施設が必要なわけで、コソコソと練習はしていたが、初めての個性の全力使用には流石に体がついて行かなかったようだ。
残った個性を足に集めて受け身の準備を行うも、急に体が何かに引っ張られる。胴体を見ると、長いピンクの紐のようなものが巻き付いており、それが俺を引っ張っているようだった。
正直、オレ一人では厳しいので身を任せていると、それが舌であることがわかった。それと同時に、表情は変わってないが雰囲気的には余りよろしそうではない大きい目の女子の正面に着地した。
「あー…すまん。助かった」
「いいのよ。私も助けてもらったんだから。ただ、後先は考えたほうがいいわ」
ぐうの音も出ない。しかし、不思議な個性だ。と、考えている所で試験終了の合図が聞こえた。周りは巨大ロボットを破壊した俺に視線が向くが、大半のヤツは俺と目が合うと顔をそらした。人によっては「アイツ、
「私、蛙吹梅雨。よかったら、お名前教えてくれないかしら?」
…いや、全員が全員そういうわけじゃなさそうだな。しかし、よくもまぁこんな悪人面の名前を聞こうなんて思うな。…自分で言うのも何だがな。
「悪人が人を庇ったり、救助優先なんて言わないわ。…教えてもらえないのかしら?」
そう言いながら首を傾げる。俺も助けてもらったわけだし、名前くらいは名乗っておくか
「俺は輝神機。まぁ、なんだ…合格してたらまた会おう」
言うだけ言って踵を返す。親方が待ってるだろうし、待たせすぎるのも悪いからな。後ろから「またね、神機ちゃん」と聞こえた気がしたが、いきなり名前呼びは無いだろうから気のせいだろう。
手応えは上々だ。0ポイントは自己満足で倒したが、30機以上は確実に破壊しているし、40ポイントは硬いだろう。…あぁ、一応医務室には寄らないといけないのか。
俺は汗を流した爽快感と、自分が過去よりも強くなっていると実感できた事実を噛み締めながら、医務室へと向かった。火傷した右手を見つめながら。
頑張った。
前よりも文章量二倍になりましたが時間こんなにかかるんですね…。チカレタ
梅雨ちゃん可愛いけど耳郎ちゃんも可愛いよね。もちろんお茶子も可愛いしトガちゃんも可愛いよね。