輝神機のヒーローアカデミア   作:自己顕示欲MAXマン

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最速更新です。
気づけば出来てました。おそらく今回だけです。
アンケート見ると今の所は『今のままでいい』が多いですね。個人的には展開が遅いかな?たお不安に感じていましたが、もっとじっくり書いてほしいと言った意見があったは意外でした。
まだアンケートは置いておきますので、よろしくおねがいします。

感想・評価お待ちしております。
もうぶっちゃけ「読んだ。頑張れ」だけでも嬉しいので…嬉しいので…


8話・歯車は動き出した

 周りから見られていた気もするが、職員室前についた。ここまでくればゴミ捨て場まで目と鼻の先なので、蛙吹に先に行っててくれと伝えるが「ここまで来たんだから、神機ちゃんを待つわ」と言われる。

 いやいや、話が長くなるかもしれないし…

 

 その時、大きなサイレンが鳴り響く。それと同時に、教師陣が慌ただしく職員室から出てきた。その中にはもちろん担任の相澤先生の姿もあった。

 

 「悪いな、輝。マスコミの不法侵入だ。打ち合わせは改めて行う」

 

 そう言いながら指差した先には、雄英バリアとも言われる大きな門。そこに不自然にポッカリと空いた穴からマスコミがなだれ込んでくる所だった

 

 「確認してほしい書類等は俺の机の上に置きっぱなしだから、それ持って騒ぎが収まってから戻れ」

 

 えぇ…教師不在の職員室に生徒が勝手に入って書類見てもいいんですか?

 俺の心の中のツッコミは勿論だが届くはずもなく、職員は皆対応の為に散り散りになった。

 

 「ケロ…先生も大変ね。じゃあ、私達も用事を済ませてしまいましょう?今動くのは危ないから、神機ちゃんを待つわね」

 

 「もう好きにしてくれ…」

 

 今回の件でわかったが、蛙吹は譲りたくない事は譲らないタイプらしい。どちらかというと、相手と自分の意見を聞いて冷静にかつ公平に判断し、お互いの妥協点を出すような落ち着きのあるタイプだと思っていたんだが…。その事を伝えると「誰に対しても…という訳では無いのよ?」と返される。

 俺に対しては反抗しやすいってことか…。

 

 「ケロ…。仲良くなるにはまだまだ時間がかかりそうね」

 

 「なんか言ったか?」

 

 ボソリと何かを言ったみたいだが、未だに鳴り止まないサイレンの音でよく聞こえなかった。

 

 「早くゴミを捨てたいわって言ったの。神機ちゃんも用事を済ませないと、昼食を食べる時間がなくなっちゃうわ」

 

 それもそうだな。今日の日替わりバーガーセットはメンチカツだから是非とも食べておきたい。

 そんな事を考えながら職員室の扉に手をかけた瞬間、全身に細かい針を刺されたような悪寒を感じる。これは明らかに学校内で感じてはいけない感覚。いや、むしろ感じる機会が殆どない…のほうが正しいか?

 

 「蛙吹…ちょっと離れてろ」

 

 職員室の中に居るであろう何者かに悟られないように小さく伝える。蛙吹も俺のただならぬ雰囲気を感じたのかソロリソロリと距離をとってくれる。蛙吹の立ち位置を確認し、俺自身も即座に対応できるように集中しておく。

 …くっそ、蛇が出るか鬼が出るか。何でも来い!!

 

 勢いよく扉を開けた瞬間、体中に手をつけた男が勢いよく迫ってきた。こいつか!この殺気の正体は!

 眼と眼が合う。死んでいるかのように生気が無い目をしているが、違う。明らかな狂気を孕んだ殺人者の目だ!!

 

 俺に向かって勢いよく両手を突き出してくる。それをバク転で回避しながら、回避のついでに顎を蹴り上げて体制を崩し、右手に強く個性を溜める。がら空きになった頭部に必殺技を叩き込むために。

 

 「必殺!シャイニングフィンガー!!」

 

 完璧なタイミングで繰り出された俺の手は、黒い霧の中に消えていった手の男と一緒に吸い込まれる。手応えがないことから、距離をとるために蛙吹の前まで移動をすると、黒い靄が廊下の少し離れた所に現れ。そこから先程の手の男が現れる。

 

 「…挨拶もなしに顎に一撃入れるなんて、なってないなぁ…雄英の生徒は」

 

 職員室前の廊下で、明らかに雰囲気にそぐわない異質な男と対峙する。服装は黒一色、腕や肩、顔にも手を付けており、時折覗かせる目は未だに何が目的なのかを探らせない。

 

 「…見られたからには殺しておかないとな!」

 

 そして、再び前進してくる。先程よりも速度は早く、姿勢が低い。廊下という直線の場所でありながらも、左右に体を揺らす動きを加えることで的を絞らせない。俺の後ろにいる蛙吹の距離を確認するために、相手への目線はそらさず、手探りで蛙吹を触る。こいつの動きは俺を狙っているわけじゃない。確信がある。なにせ、初手の圧倒的有利な不意打ちがカウンターのおまけ付きで失敗しているんだ。…つまり!

 

 「蛙吹!しゃがめぇ!!」

 

 「ケロッ!!」

 

 俺の目の前に来た瞬間に再び黒い霧が現れ、手の男の姿が消える。そして、現れる場所は蛙吹の死角。つまり背後だ!!学生だからって舐めるんじゃねぇ!!

 

 「なっ!?ぐあぁ!!」

 

 振り向きざまの後ろ回し蹴りが手の男の顔面にガード越しにヒットする。吹き飛ばされた勢いで、職員室のドアを突き破り、机をなぎ倒しながら壁に激突する。…アイツ、反応しやがった!

 

 「ありがとう、神機ちゃん。怪我してない?」

 

 「俺は大丈夫だ。蛙吹こそ、反応してくれてよかったぜ」

 

 ぐったりと壁にもたれるように項垂れている手の男から視線を逸らさずに、お互いの状態の確認を行う。

 しかし、項垂れていたのも数秒。俯いたままゆっくりと立ち上がる。空気が段々と重苦しくなり、相手の怒りが全身から伝わるかのように肌を這い回る。

 顔を上げれば、口角を吊り上げ、目を見開いている相手と目が合う。もう、油断してくれなさそうだ。

 

 「あぁ…やるじゃないか……。本当に驚かされる。絶対に、今、ここで、お前は、消しておいたほうが、いい事が、わかった…」

 

 言葉の区切りに合わせて、一歩、また一歩と距離を詰めてくる。散らばった紙やペンなどを踏みしめながら、機を伺っている。距離が縮まる毎にビリビリと全身が痺れる。弱気になるな!俺の後ろには蛙吹がいるんだぞ!?

 しかし、その動きに終止符を打ったのが、戦闘中にも現れた黒い霧であった。

 

 「目的のものは見つかりました。散らかされる前で良かったですよ」

 

 「なんだよ。これからが本番だってのに…。いや、本番は今じゃないな…。………神機と呼ばれていたな。お前の顔と名前、覚えたからな…ッ」

 

 黒い霧で消える間際に今日一番の殺気を放ち、手の男は消えていった。

 完全に気配が消えたのを確認して、俺はその場にため息とともにしゃがみ込む。

 

 「し、神機ちゃん!!大丈夫!?」

 

 蛙吹がらしくもなく声を荒げる。目線を合わせるよう俺の正面にしゃがみ込み、両肩を掴む。

 そんな取り乱している蛙吹に、顔を上げ、目線を合せる。両手に置かれた温もりが伝わってくる。だからこそ、強く実感できた。

 

 「よかった。俺は、ちゃんと守れたんだな…」

 

 安堵の言葉と共に、目頭が熱くなった。

 俺の努力は無駄じゃなかったと、本当の敵と対峙しても戦えるようになったんだと…そして、大切な友達を失わなかった安堵感と。全てがゴチャ混ぜになっていた。

 

 「おいおい…音がしたと思って戻ってみれば、コレはどういう事だ」

 

 俺の気持ちが落ち着くよりも先に、担任の相澤先生が帰ってきた。蛙吹は俺が無事なことが分かると、相澤先生へ先程起こったことの説明をしてくれた。

 

 「ヴィランだと!?しかも戦闘を行ったって…輝、お前……!」

 

 「相澤先生、あの場面は戦うしか無かったんですよ。相手は俺達に気づいていたんです。距離を取ろうにも、扉に背を向けた瞬間に音もなく現れて戦闘が始まっただけです。あと、しゃがんで気づいたんですが、コレを見てください」

 

 まだ何か言いたそうな相澤に、俺は踵の部分がボロボロに『崩壊』している靴を見せる。

 

 「コレは…門の崩れ方によく似ている。どういう事だ」

 

 「さっきの戦闘時に、手の男の顔面を蹴った際に手でガードされました。戦闘中にも、アイツは殴りや蹴りなどは使わず、終始掴みかからうとしてきました。おそらく、触れることが個性発動の条件だと思います」

 

 「…また詳しくは放課後に話を聞くとしよう。俺の言いたいことも纏めてその時に話す。だけど、お前達は俺とやらなければならないことがある」

 

 やらなければいけないこと?現場検証とかですか?

 

 「勿論それもあるが、掃除と反省文だ」

 

 改めて、俺は自分の戦った後を確認する。

 2メートル程ある個性フリーな巨大扉は粉砕され、職員室の机は壊れたり吹き飛んだりでむちゃくちゃ。さらには書類や置きっぱなしだった飲み物などが散乱し、後始末が一筋縄では行かないことを物語っていた。

 

 「えーっと、じゅ、授業があるので学業優先で…」

 

 「今日はマスコミの侵入もあったから午前で授業を切り上げる事になった。時間はたっぷりある。…ま、後は言わなくても分かるな?」

 

 相澤の目がギラリと光る。

 蛙吹をチラリと見ると「コレばっかりは仕方がないわ」と言われた。

 ……手だらけ男、次あったら八つ当たりも含めて仕返ししてやる…。

 

 

 

 

 

 

 開放されたのは普段の授業が終わるのと一緒くらいの時間だった。

 俺は黒い霧の個性が、おそらく『転移』であること。何かを探していたこと。本番は『今』ではないと言っていた事。等を伝えた。そもそも、俺がミッドナイトやエクトプラズムと片付けを行っている間に蛙吹が詳しく説明してくれていたからだ。

 

 最終的には物品破損の反省文を書く分だけ帰るのが遅くなったのだ。…俺だけ。えぇぇぇ…。しかも昼食も食べ損なうし…

 

 何気なくスマホを確認すると、クラスメイトから何で午後の授業に出なかったのか質問のメッセージが届いていた。とりあえず透や切島には「我、現在空腹也。詳細後日。」と適当に返しておく。相澤先生からあまり話すなと言われているからな。

 蛙吹からはお礼が届いていたが「当たり前の事をしただけだ」と返しておく。実際、そうだからな。

 

 ちなみに麗日からは「梅雨ちゃんから聞いたけど、大丈夫?何かあったらすぐに連絡してね!」と来ていた。蛙吹ェ…話したのか。でも、麗日ならいいか。麗日には「不正の話は後ろめたさが正直あったから、今度なにか奢るわ。何がいい?」と送ると「おもち!!」とだけ帰ってきた。年頃の女子がそれでいいのか?

 

 正直、不安ではあるが…雄英のヒーローに伝えるべき情報は伝えたわけだし、相手も少しの間は慎重になるだろう。

 そんな根拠のない甘さを後々俺は後悔する事になるのだが、今の俺が知るはずもないのである。

 




戦闘短いですよね?
百も承知です。ご安心ください。USJ編はやらかしてくれるはずです!
ただ、プライベートがごたつきそうなので近いうちに更新が止まる可能性があります。
その際には報告いたします。
読んで頂きありがとうございました。

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