輝神機のヒーローアカデミア   作:自己顕示欲MAXマン

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おまたせ、待った?

生きてるよ!





9話・ヴィラン連合

 「こういうタイプだったかああああぁぁぁぁ!!」

 

 翌日。緑谷から委員長職を譲り受けた飯田の叫びが木霊した。

 ヒーロー基礎学の授業場所がバス移動のため、初の委員長の責務である!と張り切っていた所、想定していた席のタイプと違うかったからだ。

 

 「まさかこのタイプだったとは…。」

 

 「気にすんなよ。少なくとも、1年間はこんな機会に恵まれるぜ。」

 

 ポンッと飯田の肩を叩き、バスに乗り込む。最後の方だったからか、長椅子しか空いていなかったので、そこの真ん中に腰を下ろすと、左右に蛙吹と麗日が座る。なんで女子同士で隣り合わせにならないんだよ…。実は仲悪いのか?

 

 「そんなことないよ?ね~梅雨ちゃん」

 

 「ケロケロ。仲良しよね、お茶子ちゃん」

 

 俺を挟んでキャッキャと両手を合わせる二人。尚更、俺が邪魔だろ。

 その様子を正面から見ている緑谷、飯田、切島が微笑ましそうに眺めている…いや、まぁいいんだが…。ちなみに、峰田は「俺と場所変われ輝コラァ!!麗日っぱいと蛙吹っぱいを目の前にしてなんで行動しないんだ!お前リトルシャイニングフィンガーはふの――」と憤怒の顔をして喚いていた。何も言うまい。

 

 

 

 

 バスが出発してからすぐは今から行う授業についての予想だったが、数分も経てば各々の得意分野から個性の話へと変わっていた。そんな中、蛙吹が緑谷に話しかける。

 

 「緑谷ちゃん。私、思った言っちゃうタイプなんだけど。あなたの個性って、オールマイトに似てるわね」

 

 「えっ!えええぇっ!?そ、そそそそんなことないとオモウナー」

 

 「そうだぜ梅雨ちゃん。オールマイトは怪我しねぇぞ」

 

 「…いや、そうとも言い切れないと思うけどな」

 

 切島の反応に対して異を唱える。俺の一言にクラス全員が話を中断し、こちらに注目する。緑谷が「ど、どうしてそう思うの?」とおそるおそる聞いてきたので「あくまで推察だが」と前置きをして話し出す。

 

 「緑谷は個性が最近になって発現したんだよな?俺達の個性は幼少期から弱い状態で発現し、年齢を重ねる毎に一定水準まで能力が向上していく。でも、緑谷の場合はその過程をすっ飛ばして、最初からフルパワーが出せるんだよな?」

 

 俺の問いかけに対して、緑谷はコクリとうなずく。

 

 「つまり、俺達のように個性にそもそも慣れてないんだ。例えるなら、唐突に肉体が改造人間ばりに強化されたとしよう。握手する力加減も、走る際の踏ん張りも力加減が全て変わってくる。そうなったら、うまく扱えなくて当然だ。」

 

 俺の説明に対して「んなこたぁイチイチ説明せんでも分かるわ!!」と爆豪。俺はそれに対して結論を話す。

 

 「つまり、これからの個性の伸びしろもコントロールも…。状況次第ではオールマイトのような超パワーを使用しつつも、体を壊さないようになるかもしれないってことだ。そうなれば、実質2代目のオールマイトはお前になるだろうな」

 

 その俺の一言に対して周りが様々な感想を漏らす。納得するものもいれば「くだらねぇ!」と一蹴する者。そんな中、当の本人だけは汗をダラダラと滝のように流し俯いている。

 

 「まぁ、あくまで可能性の話だがな。それに、今の緑谷は個性の制御があまりにも出来てない。例えるなら、目隠ししたまま目押しして力の調節をしてるようなもんだ。目押しって分かるか?スロットとかの絵柄を狙って止めることを言うんだが―――」

 

 と、話の途中で緑谷がガバっと顔を上げる。どうやら、図星みたいだな。どんなイメージをしたら目隠しして目押しみたいな例え話で共感できるんだ?

 

 「じゃ…じゃあ、何かいいアイデアとか教えてくれないかな。僕も…このままじゃ駄目だと思うから」

 

 遠慮しながらも、瞳の奥を輝かせて緑谷が問いかける。

 アイデアねぇ。努力に近道はない。ただし、『道』はいくらでもある。努力の方向性だけな。

 

 「そうだな。俺の手を見てろよ―――っと、蛙吹と麗日はちょっとだけ離れてくれ。危ないからな。」

 

 俺は自分の前に掲げるように右手を上げる。そして個性を発動し、ゆっくりと練り上げていく。普段の使用時よりも丁寧に、慎重に…。

 すると、普段の薄い青色から段々と赤色に変わり、最終的には真っ赤に燃えるような灼熱の色になる。いつの間にか身を乗り出し、遠い席から見ていた奴らも「オオォ~!」と声を上げる。

 

 「これが俺の目指す最終必殺技だ。今は咄嗟で発動するのも、維持することも出来ない。ここで峰田が屁をこいても、その程度の気の緩みで解けるほどだ。…正直、話すのもきつい」

 

 遠くから「するわけねえだろー―!!」と聞こえたが、その声に意識が行ってしまい灼熱の手は元に戻る。俺の額からは汗がドッと流れ、息も切れてしまっている。その様子を見て、麗日と蛙吹が心配してくれるも、ただの疲労だから問題はない。

 そして、緑谷の手を掴み拳を作らせると、それを上から掴む様に強く握る。

 

 「イッ…!」

 

 「いいか緑谷?パワーってのは瞬発力ももちろん大事だ。だけど、それで力加減を間違えて拳を痛めたら意味がない。個性ってのは繊細に使えば使うほど燃費も効果も良くなる。個性はゆっくりと込めろ。イメージは自分に馴染ませ、保ち、維持するんだ。まずは体の許容量を知るところからだ。それさえわかれば、俺みたいに全身に巡らせられるようになる」

 

 もうヒントじゃなくて答えなんだよな。

 苦笑いをしていると隣の麗日が不満そうに俺を下から睨みあげている。なんで不満顔?俺は何もしてないんだが。

 

 「何もしてない…?」

 

 「え?」

 

 「私との特訓の時はそこまで教えてくれへんかった…」

 

 「…」

 

 「一通り弄ばれて動けんようになってから『あぁ、麗日。ああいう時は、こうするんだぞ』って毎回終わってから言ってくるのに!!デク君の時だけ大盤振る舞いや!ズルい!ズルい~~!!」

 

 合間に俺の真似(?)を挟んで忌々しそうに地団駄を踏んだかを思えば、俺の肩や胸辺りをボコスカと殴ってくる麗日。こら、蛙吹にも迷惑かかるからやめろ。蛙吹も何とか言ってくれ!!

 

 「神機ちゃん。鍛えてるだけあって、逞しいわね」

 

 などと言いながら背中をペタペタと触られる。それを正面から見る切島、飯田もニヤニヤしてないで止めろ!!…緑谷はブツブツモードか。と、気を取られてる間にも麗日の攻撃は正確性を増し、鳩尾や関節部分と的確に急所を狙い始める。

 

 「お前らいいかげんにしろよ。もうそろそろ着くから降りる準備をしろ」

 

 相澤先生の一言でピタッと大人しくなる麗日。今日の組手を今から楽しみにしとけよ。

 ボソッと麗日に耳打ちすると、顔がみるみる青くなっていったが気のせいだろう。じゃ、さっさと降りる準備でもするか。

 

 

 

 

~~~~~~~

 

 

 

 降りる迄に「なぁなぁ神機君。嘘やんな?組手楽しみにしとけなんて言ってないやんな?」と何度も麗日が聞いてきたが些細な問題だろう。

 そして、到着した場所がUSJ。『ウソの災害や事故ルーム』との事だ。…まぁ、夢の国からパク…オマージュするよりは許されるか?

 そして、念の為に増員されたヒーローがスペースヒーロー『13号』みたいだ。…あの格好で戦闘ができるのか?13号のファンだという麗日に話を聞いてみると…

 

 「13号は災害救助がメインだから、戦闘はあんまり得意じゃないみたい。でもでも!個性の『ブラックホール』はスッゴイ強力なんだよ!!何でも吸い込んで塵に変えるの!」

 

 と、誇らしげに教えてくれた。

 確かに威力は強力だが、ヒーローはヴィランを『殺してはいけない』。その括りの中で、果たしてブラックホールは相手に脅威となるのか?あくまで相手の攻撃を防ぐサポート役であり、相手を倒したり捕獲するような決め手に欠けている気がする。

 昨日のこともあるが、オールマイトがここに居ないのも気がかりだ。相澤先生が13号に耳打ちしていたが、何かあったのか?俺が思考の海に入っている間にも13号は個性についての心得を話す。

 

 「…神機ちゃん。さっきから考え込んでいるみたいだけど、どうかしたの?」

 

 考え込んでいる俺を覗き込むように、蛙吹が声をかける。

 

 「いや、大丈夫だ。どうせ俺の考えすぎだ」

 

 心配させないように歯を見せて笑顔を作る。蛙吹もそんな俺の表情を見て少しは安心したのか「ケロケロ。13号先生のお話もちゃんと聞かないと、相澤先生に怒られるわよ」と言う。

 

 「以上!ご清聴ありがとうございました」

 

 「ステキー!ますますファンになる!!」

 

 「ブラボー!!おぉ!ブラボー!!」

 

 13号の話が終わると、拍手と同時に様々な感想を口々に話す。

 そんな中、『それ』の存在に気づいたのは相澤先生と俺だった。

 

 「一塊になって動くな!!13号、生徒を守れ!!」

 

 中央広場から見た事のある黒い霧が大きく広がり、手を付けた男を筆頭に様々な人間が出てくる。…数があまりにも多くないか!?

 

 「13号に、イレイザーヘッドですか。先日頂いたカリキュラムにはオールマイトも居るはずなのですが…」

 

 「なるほど、くすねた物はカリキュラムだったってわけか。見通しが甘すぎたな」

 

 「オールマイトは居ないのか。昨日の『生徒』は…居るみたいだな。まぁいい。子供を殺せばオールマイトも現れるだろ?」

 

 その言葉を聞いて、相澤先生がゴーグルを装着し、何時もの気怠げな雰囲気から一変する。プロのヒーローはここまで切り替えが早いのか。

 

 轟が冷静に状況を分析し、相手が用意周到に準備を重ね奇襲を仕掛けてきたと全員に伝える。センサーや連絡手段が使えないこともあり、生徒全員の緊張感も高まる。

 そんな中、敵地へ向かおうとするイレイザーヘッドを緑谷が大声で制止しようとする。

 

 「待ってください!相澤先生は一人であの数と戦うつもりですか!?あの数じゃ、いくら個性を消すって言ったって…」

 

 「一芸だけではヒーローは務まらん。13号生徒を頼んだ。……輝、間違っても付いてくるなよ」

 

 相澤先生はゴーグル越しに俺に視線を合わせた後、階段を一層飛びに広場へと向かう。俺の行動はお見通しだな。釘を差されてまでは流石に動けない。下手したら退学だろうからなぁ。

 

 そんな中、イレイザーヘッドは寄せ集めのヴィランをなぎ倒していく。近接戦も難なくこなす姿に俺は拳を握る。くっそ、俺はただ見ているだけのために鍛えてきたわけじゃないのに!

 

 「よし、今の間に私達は避難しますよ!」

 

 「させませんよ」

 

 13号の掛け声に対し、霧のヴィランがいち早く反応をし正面に出る。

 

 「はじめまして、我々はヴィラン連合。僭越ながら…この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせていただいたのは…平和の象徴であるオールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして…」

 

 話の途中で切島と爆豪が切り込み、攻撃を仕掛けるもノーダメージ。

 

 「駄目だ!二人ともどきなさい!!」

 

 その通りだ。個性を無視して攻撃できる俺が動けない…。相澤先生の動きの解析で位置取りを失敗したのが原因だな…。クソッ、相手の次の一手はおそらく―――。

 

 「では、散らして、嬲り殺しましょう。ごきげんよう」

 

 黒い霧が生徒多数を飲み込む。俺も飲み込まれると、視界が暗転するように変わる。

 

 「火の海だな、おい…。災害訓練って言ってたから、火災のエリアか?」

 

 見渡す限り火。ビルがあることから市街地での大火災を想定しているのだろう。そんな中、俺を囲むように人影が現れる。

 

 「あれあれあれ?君一人なのかなぁ?」

 

 「悪いねぇ~、寄ってたかって弱い者いじめみたいになっちゃうねぇ!」

 

 「ヒッヒッヒ…」

 

 「なぁ、スケベ…しようや」

 

 一人変なの混じってないか!?しかし、弱い者いじめねぇ…

 

 「確かに、弱い者いじめになっちまうな。お前ら有象無象が集まったところで、俺一人にすら勝てないんだからな。俺が虐める側だ。」

 

 いつものように重心を低く、右手を前に、左手を腰辺りで構える。拳は作らず、柔軟に。膝も張らずに柔軟に。周りが燃えて明るいおかげで、多めに個性を全身に回しても発光が目立たなくてありがたい。

 

 「ハアァァ!?…あぁ!この人数差で頭がおかちくなっちゃったんでちゅね~」

 

 「バブバブ!げんじつ見つめれないでちゅ~」

 

 グラサンをかけたチンピラがクネクネと指をしゃぶる。が、その瞬間にチンピラ二人は俺の回し蹴り一発で吹き飛び、地面を勢いよく転がっていく。

 俺の踏み抜いた地面は軽くえぐれており、今、回し蹴りの軸足になった場所にも急にブレーキを掛けたように抉れた地面がある。

 

 「そうだな、現実見つめれないな。これじゃあなぁ!」

 

 俺の背後から襲いかかってきていた三人を振り向きざまの裏拳、正拳、肘打ちで意識を刈り取っていく。なんで火を使う個性のヤツが居ないんだ?…なるほど、人数は集めたが個性の把握まではしていないってことか。その名の通り烏合の衆なのかよ。

 1分もしないうちに大人5人が子供にやられたという事もあり、全員が警戒してうかつに飛び込んでこなくなった。それでも人数は12~3人は居るだろうに、数で押せる間に押すべきだと思うぜ。

 

 再び、地面から弾かれるような速度でヴィランに接敵する。

 個性を使われる前に3人の内の前列二人に足払いをし、そのままの回転で胴に回し蹴りをぶち込む。打ち込まれた二人は胃の中の内容物を撒き散らしながら地面に叩きつけられる。

 

 「ヒッ!ヒイイィィ!!来るな!来るなぁぁあああ!!」

 

 残った一人が体を岩石のように変化させ殴りかかってくる。そんな腰も入っていない大ぶりの拳は十分避けれるんだが、向かってきた勇気に答えてやる。

 フック気味に打ち込んできた拳を殴ると、腕にくっついていた岩が弾け飛ぶ。岩を体の外に生み出す能力か。だが、岩では止まらん!

 

 「おおおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 いつぞや切島に叩き込んだ高速の連打を全身に叩き込む。が、切島程頑丈ではなかったようで、6発ほどあたったところで踏ん張りきれずに吹き飛んだ。おいおい、切島は20発以上はしっかり耐えてたぞ。根性が足りてないな。

 

 クルリと振り返れば、すでに若干繊維喪失気味のヴィランが複数人。しかし、何か契約でもあるのだろう。後には引けないと目が物語っている。

 俺はタンッタンッとステップを踏み、人差し指をクイっと曲げ挑発する。

 

 「どうした、弱い者いじめするんだろ?かかってこいよ。ヴィランに慈悲は無い!」

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